夏撃波[暗黒武闘戦線・歌劇派]の独白

2005年01月29日(土) F.カフカ『城』、オペラ落語・・・

 フランツ・カフカ未完の大作『城』が約3時間半の芝居として上演された。新国立劇場小劇場で上演された芝居だが、謎めいたカフカの小説世界が、演出家・松本修の手によって見事に舞台化されていたように思われた。3階構造の舞台の使い方、照明・音響の間の取り方が絶妙で、そこに存在する役者も迷宮的演劇空間を十分に作り出していた。
 上演時間3時間半は長いと言えば長いのだが、決して退屈することはなく、面白く観ることができた。

 その後軽く夕食をとり、電車で千駄木に移動。今度は「オペラ落語」なるものを観に行った。自ら「モグリの落語家」を名乗るウーロン亭ちゃ太郎が、オペラの名作を面白おかしく解説しながら、アリアを日本語で歌う。今日の演目は「アイーダ」(ヴェルディ)、「ピグマリオン」(ラモー)。1時間半の上演時間、会場は笑いに包まれていた。

 「オペラ落語」を見終わってから、東京駅に急行し、新幹線で名古屋に舞い戻った私であった。

 



2005年01月28日(金) AAA(トリプレア)

 メキシカン・プロレス「AAA(トリプレア)」が後楽園ホールにやってきた。つまりは、私はそれを観るために上京したという次第(29日には、芝居と「オペラ」を観る予定)。
 「AAA(トリプレア)」は、ベビー・フェイス(善玉)対ヒール(悪玉)の構図がもの凄くはっきりしており、ショーに徹している感じ。「真剣勝負じゃないから面白くない」などと言うなかれ。空中殺法など華麗な技の応酬に観客も次第に盛り上がっていく。日本のプロレスとはひと味もふた味も違ったラテンのノリというか、少しユル〜い感じ。でも、それが心地よい。会場のあちこちに陣取った在日メキシカンたちの応援も白熱し、祝祭的な空間ができあがっていく。なんとなくサーカスの雰囲気とも通ずるものが感じられた。
 全試合終了後は、後楽園ホール近くの「格闘的アジアン厨房・コロッセオ」にて夕食をとる。メニューを見ると、前菜=「前座試合」、本格メニューは「メイン・イベント」「セミ・ファイナル」などと分類されている。また、コースメニューは、安いほうから「フライ級」「ライト級」「ミドル級」「ヘビー級」などと並んでいる。
 「コロッセオ」の他にも、水道橋駅周辺は、格闘技・プロレス関連の各種ショップが点在する。やっぱり格闘技の「聖地」・後楽園ホールのお膝元ということなのだろう。そんな街の散策もちょっと楽しい。
 で、今夜は、またしても新宿・歌舞伎町に宿を取った。なぜだか歌舞伎町に吸い寄せられるように、いつも新宿に来てしまうんだよな。雑然とした街だが、大都会を感じさせ、心うきうきしてしまう。そんな私は、お上りさん?



2005年01月27日(木) 詩「勝利の歌」

  近づいてくる
  遠く彼方より地響きを立てながら
  山脈に大きくこだまする 無数の人々の声
  歓喜に満ちあふれた 勝利の歌声だ

  人々の先頭に立ち 女神は旗印を高く掲げる
  風にはためく 真紅の旗
  大地は人々で埋めつくされ
  満ち足りた祝福の時が刻まれる



2005年01月26日(水) ノンジャンル弾き語りの夕べ

 名古屋・星ヶ丘のライブハウス「スローブルース」に行って来た。毎週水曜日は、一般の人々に開放される「ノンジャンル弾き語り」の日。「スローブルース」には2度ほど「ブルースセッション」の日(毎週火曜日に開催)に行ってはいるが、「ノンジャンル弾き語り」は初めて。勝手がわからなかったが、ギターとカズー、それにマジックホース(正式名称は不明)を持って行った。
 今夜は「ノンジャンル」ということで、いろいろな演奏が聴くことができた。ブルース、ジャズ、ゴスペル、カントリー、フォーク、ロック、歌謡曲、等々。かく言う私も、ジャンルはバラバラで5曲ほど用意していた。で、実際にやったのは、「アメージング・グレイス」(ゴスペルの名曲)、「朝日楼」(ロックの名曲「朝日のあたる家」の日本語バージョン)、「テネシー・ワルツ」(ジャズのスタンダード)の3曲。私自身のなかでは反省点もあったが、ギャラリーの反応はよく、ある程度満足できる内容だった。
 最後、参加者みんなでセッション・タイム。ブルースのナンバー(曲名はわからなかった)で盛り上がった。私も、カズーとマジックホースで参加し、途中ソロのも即興演奏も体験。ノリにノッてゴキゲンな夜を過ごした。
 「ブルースセッション」とはまた違った楽しみがあって、クセになりそうだ。今度また違った装いで、参加しようと思っている。



2005年01月24日(月) 詩「僕は未来少年」 

 しなしさとこ選手への激励の詩をまた作りました。今回は、大胆にも近未来を予想、題して「僕は未来少年」です。詩の中に登場する「君」が、しなし選手ですので、お間違いなく(念のため)。

  僕は未来少年
  だから すべてを知っている
  来たるべきあの日に起こるすべてのことを
  熱く激しい闘いの結末を

  彼女は強かった
  とても厳しい闘いだった
  けれども
  君の勝負にかける執念が
  彼女の強さを凌いだ時
  勝利の女神は
  君に微笑んだのだ

  その時 僕は見逃さなかった
  君の澄んだ瞳の奧に
  ひときわ輝く ひとしずくの真珠を

  闘いが終わったリングの上で
  君は 祝福と歓喜に包まれていた・・・



2005年01月23日(日) 詩「二つの影」

 (来月12日に金子真理選手との一戦がある)女子格闘家・しなしさとこ選手へ、激励の詩を送りました。題して、「二つの影」です。

  スポットライトに照らされて
  リング上に対峙する 二つの影

  闘いはいま始まったばかり
  二つの影のあいだで
  止まったように時間が刻まれ
  観客はただ固唾を呑んで見守っている

  実力を認めあった両者の真剣勝負
  闘いのゆくえは神のみぞ知る



2005年01月22日(土) 大槻ケンヂ

 古本屋で購入した大槻ケンヂのエッセイ集を読んでいる。とてもユニークな彼の著作を時々読むが、非常に読みやすい。彼が興味を抱く事柄が私のそれにきわめて近いということもあるのだが。旺盛な好奇心という点では誰にも負けないくらいの気持ちでいる私だが、彼の「守備範囲」もなかなか広い。障害者プロレス「ドッグレックス」までチェックしているとは、「オヌシ、できるな」ってなカンジ。
 彼とは同い年の私、今年こそは、と思ってはいるのだが・・・。



2005年01月15日(土) 家畜人ヤプー

 今年初めての上京。月蝕歌劇団公演『家畜人ヤプー』を観に行く。戦後文学最大の奇書とも言われる沼正三の『家畜人ヤプー』(三島由紀夫、澁澤龍彦、寺山修司らも絶賛!)が、高取英・演出、J.A.シーザー・音楽(シーザーの呪術的な音楽はもう最高!)で再演される、とのことで、楽しみにしてたのだが・・・。
 役者が、ね。役者についてはさほど期待してなかったけど、それにしても、ね。無茶苦茶ひどかったわけじゃないけど、原作は「戦後最大の奇書」だからね、ましてJ.A.シーザーの音楽が入るんだから、もっと役者の力で観客をゾクゾクさせてほしかった。
 まず、主役の第一声、全然声が出ていなかった。これが致命的といってよかった。しょっちゅう芝居を観ている私には、芝居が始まってから2〜3分で、その芝居のおおよそのレベルが推測できる。冒頭で観客をどこまで演劇世界に引き込むことができるか。それによって、芝居の評価は大きく左右されるものだ。今回の「月蝕歌劇団」の芝居では、最後まで醒めた目で観劇する結果となった。後半盛り返した感もあったが、物足りなさは最後まで残った。とてもよいホンを取り上げていただけに残念に思う。

 今回は本編の他に、詩劇ライヴ『奇譚少年の詩』も観てきた。3組のライブ、そしてライブの合間々々に繰り広げられる「月蝕」女優陣による小芝居、という構成。こちらのほうは余興みたいなものだったので、お気楽な気分で楽しめた。遊び心いっぱいで、なかなかよかったとは思うのだが・・・。やはり本編のほうで「真剣に遊んで欲しかった」と思う。
 ところで、今回特別ゲストとして、PANTA(元・「頭脳警察」)のライブがあった。2曲だけしか歌わなかったけど、しゃがれた声がとてもシブかった。本編と詩劇ライブの全体を通じて、PANTAの歌がいちばん印象に残ったが、それは演劇人の側からすれば「敗北」ではないか。
 複雑な思いを胸に、私は劇場をあとにした。



2005年01月14日(金) 永遠の美空ひばり

 テレビ東京系で放映の「誰でもピカソ」という番組で「美空ひばり特集」をやっていた。演歌というジャンルにとどまらず、ジャズのスタンダードやポップスを歌わせても天賦の才能をいかんなく発揮した美空ひばり。生前は大衆に大いなる支持を受け、死後15年を経てなお根強い人気を誇る美空ひばり。やはりスケールが違うよ。芸能界でステータスを築いてなお、自分をひとつの枠に留めず、あらゆるものを吸収していったわけだからね。
 美空ひばりのようなスーパースターになろうなどと大それたことは考えていないが、私も表現者の端くれとして枠にとらわれず、進化を遂げていきたいと思っている。



2005年01月13日(木) シェークスピア、能舞台、白石加代子

 シェークスピアと能舞台は相性がいい、と思う。格調高い能の様式美に、シェークスピアの重厚な物語世界とは、何とも欲張りな組み合わせ。だが、そのような舞台がととのっても、役者の出来いかんによっては、つまらないものを見せられる可能性もある。
 今日、名古屋能楽堂に、白石加代子主演の『リア王〜影法師〜』を観に行ってきた。今年に入って初めての観劇となるが、大変面白く観ることができた。
 今日の舞台は、何よりも白石の名演に尽きると言っていい。白石の発する一言ひとことに、劇場全体が呑まれていた。そんな印象を持った。さすがは日本を代表する名優だ。うまい役者であると同時に、いい役者だと思った(「うまい役者」=演劇的な技術に優れている、「いい役者」=観ている者を大いに感動させられる、というニュアンスで私はとらえている)。「うまい」と「いい」が両立する役者は少ないと思うが、白石はその数少ないひとりであろう。
 今年初めての観劇がとても素晴らしいものであったことで、私はすっかり気をよくしている。


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