夏撃波[暗黒武闘戦線・歌劇派]の独白

2004年05月14日(金) 星のフラメンコ

 私、フラメンコも大好きなんですね。で、今日はマリア・パヘス舞踊団のフラメンコ公演を観に行きました。
 マリア・パヘスのフラメンコ、体の動きはとてもしなやかなのに、もの凄く力強いダンスでした。前半は、フラメンコ以外のジャンルの音楽を題材に採りながら、フラメンコの枠にとらわれないスケールの大きいダンスが展開されていました。後半は、うって変わってディープなフラメンコでしたが、<伝統>と<革新>という相反する世界が絶妙なバランスで表現されていたように思います。
 思わず、DVDやCD、パンフを購入しました。パンフには、マリア・パヘスのインタビューも掲載されていました。世界情勢にも思いを馳せ、次のようなコメントを寄せています。

  あたかもそれが解決策のように戦争が持ち
 上がる世界、私たちが住むこの馬鹿げた世界
 には、無理解がはびこり、会話がないの。戦
 争は解決ではない。解決は人類のもとにある
 のよ。人間の能力、感動、感情の中にね。芸
 術は話し合い、互いに理解し合い、感動し、
 合意に達し、そして破壊でしかない戦争のよ
 うなすべての惨状回避の役に立つ、人間が
 持つひとつの手段だと思う。

 この発言のなかからも、フラメンコ・ダンサーとしての誇りがうかがえます。そうした姿勢が、しなやかでありながら力強く美しいダンスに反映されているのかもしれません。



2004年05月12日(水) 秘密練習の夜(?)

 今月23日に開催の「みおよしき&夏撃波“鳥(Bird)”セッション」(詩のセッション)に向けて、本日夕方「劇団pHー7」稽古場にて秘密練習を行った。当日と当日に向けた準備などについての打ち合わせをした後で、朗読の練習をし、手応えを確かめる。実際に声に出して詩を読んでみることで気づく点も少なくなかった。2回目の練習日を決め、その日までに、作品づくりと個別に練習をしておくことを確認。
 あと10日ほどで本番を迎えるんだな〜。詩を練り直して、ギターもしっかり練習して当日に望みたいと思う。



2004年05月04日(火) 政治の空洞

 イラク駐留米軍によるイラク人虐待の事実が明るみとなり、アメリカの不正義が白日の下に晒された。戦争の「大義」すら破綻しているのは既に明らかなのに、日本政府は依然アメリカを支持し続けている。そればかりか、「イラク日本人人質事件」被害者に対して巻き起こった「自己責任論」は、国際社会の笑い者となった。
 思えば、2001年9月11日に起きたニューヨーク「同時多発テロ」は世界じゅうを震撼させたが、今日イラクにおいて展開されている米軍の攻撃はそれをも上回る「国家によるテロ」ではないのか。ブッシュのイラク政策の誤りは、アメリカを再びテロの標的とし、アメリカ国民を新たなテロに対する恐怖へと引きずり込んでいく。そして、同様のことは日本にもあてはまる。
 あらためて「日本人人質」への日本政府の対応について申し述べたいことがある。「犯行声明文」にも書かれたとおり「自衛隊のイラク派遣」と「日本人人質事件」との間には当然因果関係がある。今なお自衛隊をイラクに駐留させ、アメリカを支持する日本政府の姿勢が変わらない限り、今後も「日本人を標的とした事件」が起きる可能性は十分ある。そして、それが日本国内で起きる可能性も否定できない(実際、「テロ予告」はあるのだから)。仮にそのような事態が発生した場合、日本政府は自らの責任についてどのように言及するのだろうか。
 今回の「人質事件」について、自らの責任を棚上げしておいて、責任のすべてを「被害者」に押しつける日本のトップたち。その見識を疑わずにはいられない。ついでに言ってしまえば、「年金未払い」が明るみに出た福田官房長官なんぞが「人質」に「自己責任」を求めるとは笑止千万(「年金未払い」については、民主党・菅直人代表も非常にカッコ悪かった)。まあ、一応は国民によって選ばれたには違いないのだろうが、そんな程度の政治家に日本の命運が託されているということだけは認識しておいたほうがよさそうだ。
 そもそも政治に求められるべきものは何であろう。利害の対立を調整して戦争を回避していくことが政治の重要な使命ではないのか。ところが、ブッシュも小泉も安易な道を進んでしまい、しかも反省することが一切ないときている。一般市民も政治の本来の役割についてもう一度見つめ直すべきではないだろうか。



2004年04月30日(金) クセックACT『ドン・ペルリンプリンの恋』

 今夜、クセックACT公演『ドン・ペルリンプリンの恋』を観てきた。
 このところ毎年欠かさず観ている「クセック」の公演であるが、今回はガルシア・ロルカの作品を下敷きに構成された舞台だというので、期待は大いに高まる(私、ロルカが好きなんです)。と同時に、「期待はずれだったら、どうしよう」という不安も少しあった。「クセック」の公演は毎回ある水準は保っているとは思うのだが、年々パワーダウンしているようにも感じていた。
 今夜の公演を観て、当初の不安は消し飛んだ。照明をはじめ効果的な舞台の設定、心憎い演出が随所に見られ、そのなかで役者たちも自在に動いていたように感じられた。
 あの独特な発声や身体表現は一度でいいから体験してみたい。そして、願わくば、スペイン公演なんてこともやってみたいよな〜。
 「動く絵画」とも称される「クセック」の舞台であるが、今回はそんな「クセック」流の美学が見事に表現されていたように思う。



2004年04月26日(月) B級遊撃隊『Sの背骨』

 名古屋を代表する劇団のひとつ、B級遊撃隊の『Sの背骨』(アトリエ公演)を観に行って来た。「ナンセンス不条理劇」というスタイルを確立している同劇団の公演を観るのは、これが2回目。
 前回観たのが、確か2年前。愛知県芸術劇場小ホールでの、『ミノタウロスの悪夢』の公演であった。『ミノタウロス〜』はホンとしても非常にすぐれた作品で、その舞台も完成度は高かったように思う。以来、「B級」は私にとって気になる劇団のひとつとなった。
 そんなわけで、今回の公演も期待する気持が大きかったのだが、率直な話、あまり面白くなかった。『Sの背骨』も『ミノタウロス〜』と同様に「ナンセンス不条理劇」のテイストが感じられるのだが、観ている私の側に訴えてくる力が非常に弱かった。今回の『Sの背骨』には「リアリティー」が感じられないのだ。その要因は、ホンの力だったり、役者の力だったりするのだが・・・。
 そういえば、『ミノタウロス〜』の時には、今回演出に専念している神谷と、劇作家の佃の掛け合いがテンポよく、芝居のなかでひとつのリズムを作り出していたのだが、そうした芝居のリズムという点が今回は軽視されているようにも思われた(というか、佃ー神谷コンビの絶妙な間は真似できるものではないが)。
 でも、「B級」の芝居にはこれからも期待を寄せたいし、きっとまたすぐれた作品を見せてくれることと思う。



2004年04月25日(日) 詩、プロレス、そして演劇

 今日は、午後から朗読会「ぽえ茶」(at「神宮茶屋」)に参加。参加者5名だったので、結構やりたい放題だった。私自身、何をやったんだっけ? まず最初は「勝手に観光協会」(みうらじゅんがやっている企画)の歌詞を読んだり、歌ったりして。2巡目は、「イラク人質事件」被害者の高遠菜穂子さんのお母様・京子さんが書かれた詩『空は希望』と夏撃波自作の『たたかう蝶』(もともとは、女子格闘家・しなしさとこさんに捧げた詩であったが、私なりの「反戦歌」にもなっている)を朗読。3〜5巡目は、10年前の作品(私小説?『モノローグ・第2章』、紀行文?『水俣を行く・上』、詩『国境の町で』)を朗読した。
 さてさて、来月23日には、みおよしきさんと「詩のセッション」をやることになっている。「ぽえ茶」終了後、みおさんにある企画を持ちかけ、了承していただいた。目下、計画進行中だが、完成すれば、まさしく「セッション」の名にふさわしい企画になるものと確信している。
 とにかく、5月23日は熱田神宮そばの喫茶店「神宮茶屋」へご来場のほどを!

 みおさんと打ち合わせ後、急いで名古屋国際会議場イベントホールへと向かう。18時ゴング、「闘龍門」名古屋興行は予想以上の盛り上がりを見せていた。他団体に比べ女性客も多く、会場全体の盛り上がりからもこの団体の勢いを実感した。
 試合のほうは、前半が少したるい感じはあったが、後半は「闘龍門」の最強決定戦・決勝トーナメントとあって見応え十分であった。勝ち残ったCIMA、望月両選手からは力強さが感じられたし、ドラゴン・キッドの動きは往年のタイガー・マスク(初代)を彷彿させるものがあった。私もついつい試合に引き込まれ、歓声を投げかけていた。
 試合の合間には、女性アカペラ・グループ「Q.T.Honey」がステキな歌声を聴かせてくれた。

 全試合終了が21時すぎ。そこから急いで「pHー7地下劇場」へと向かう。そこでは、公演最終日の打ち上げが行われていた。役者にとってはいちばんの「至福の時」だ。
 今でも、私は役者だった頃のことを思い出す。苦しいことの多かった稽古を思えば、本番は非常に楽しく、公演終了後の「打ち上げ」は安堵する気持とともに幸福感に包まれていた。できることなら、またあの場所に戻りたいと思う。
 「打ち上げ」が終わり、女優の一人に車で送ってもらう(が、色っぽい話は一切ありません)。あとで気がついたのだが、彼女の車の中にケイタイを落としてしまったらしい。自分では気づかなかったが、私も相当酔っていたようだ。
 でもね、その後で「劇団pHー7」をモチーフに詩を書いたんだよね。これは、もちろん「詩のセッション」(5月23日)で発表するんだけどね。
 これからまだまだ詩を書き続けなくてはいけないのだが、いい詩ができあがる予感があるよ。23日にはギターも弾くことになっているので、こちらも磨きをかけておかなければ。今はとてもワクワクした気持でいっぱいだ。



2004年04月24日(土) 2日続きの「舞踏劇」

 「劇団pHー7」の舞踏劇『澱の匂い』を2日続けて観た。昨夜は上手(かみて)の方に、今夜は下手(しもて)の方に座って観劇。
 今回の作品、私の好みにすごく合っていたこともあるが、いつも以上に役者全員が輝いて見えた。「アングラ版・『千と千尋の神隠し』」「シンクロナイズド・スイミング・暗黒舞踏ヴァージョン」「pHー7の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』」などと、勝手に評している。
 H・アール・カオスのダンス・テクニックには及ばないものの、独特の美意識に貫かれた濃密な演劇空間を見事に創り出していたという点において、どこに出しても恥ずかしくないと思う。作品的にとても素晴らしかっただけに、観客動員が少ないのは残念でならない。作品の質に観客動員が比例するわけではない。でも、劇団存続のためには観客動員は不可欠な条件でもある。「pHー7」は20周年の節目にあたり、素晴らしい作品を生みだしたが、劇団にとってアキレス腱ともいうべき観客動員に課題を残した。
 私もいつかまた「pHー7」の舞台に立ちたいと思ってはいるのだが・・・。



2004年04月22日(木) 2日続きの「朗読」

 21日夜、千種のオーガニック・レストラン「空色曲玉」で、朗読会「詩の夕べ」が催された。「ぽえ茶」や「詩のあるくちびる」が比較的参加者が固定しているのに対し、「詩の夕べ」は毎回違うメンバーが来ていて、その度に雰囲気も微妙に違ったりして面白い。
 まずは、一人ひとりの「朗読」。そこで、私は塔和子さんの詩を読み、自作の詩「たたかう蝶」を朗読した。その後の「自己紹介」の際に、映画『息子のまなざし』をモチーフに書いた「詩」を「朗読」(演劇っぽく)。
 一巡したところで、「春」をテーマにして参加者全員が「一行詩」のようなものをその場で書き、それをつなげて一編の詩を作った(「チェーン・ポエム」という遊び)。結構つながるものなんだな、これが。
 とても心地よい気分で家路についた。

 22日夜、こんどは八事「POPCORN」で朗読会「詩のあるくちびる」に参加。参加者は10人足らずと少なめではあった。
 今回、私は10年前に書いた短編の「私小説」・『モノローグ第1章』を朗読した。参加者が少なかったので、2巡目で石原吉郎の詩「脱走」を「朗読」(演劇っぽく)した。
 私は事情の許す限り「朗読会」に出るようにしているが、「ぽえ茶」、「詩の夕べ」、「詩のあるくちびる」、とそれぞれに場の雰囲気が違う。それぞれに好きではあるのだが、私はその場の空気を感じながら、そこで読むべき詩を無意識のうちに選択している。
 3つの「朗読会」のなかで、「くちびる」は表現者と観客の距離が最も遠いように感じられる。たぶん「POPCORN」という場所の「広さ」とか「雰囲気」が関係しているのだろうが、その距離感がいい意味で緊迫感をもたらしているようにも思うのだ。
 3つの「朗読会」の他でも「発表」の場があれば、ぜひ出向いていって表現したいと思ってる昨今の私である。

 さて、ここでひとつ告知があります。5月23日(日)の午後3時より、熱田神宮近くの喫茶店「神宮茶屋」で「みおよしき&夏撃波」による「詩のセッション」があります。一風変わったコンサートみたいな感じになるものと予想しておりますが・・・。詳細は、下記のホームページ等でお確かめ下さい(「みおよしき」HP、「林本ひろみ」HPなどでも告知しています)。

http://www5d.biglobe.ne.jp/~pocom/img-keep/live.jpg

   



2004年04月18日(日) 春の祭典in近畿(其の3)

 「旅の終わりに」の巻

 「春の祭典in近畿」ツアーも今日で最終日。楽しい時間は速く過ぎ去ってしまうものだ。

 さて、今日は早朝にホテルをチェックアウトし、大きな荷物は駅のコインロッカーに入れ、南海高野線で高野山(和歌山県)へと出掛けた。奥の院、苅萱堂、金剛峯寺、壇上伽藍、大門、霊宝館などを駆け足でまわる。

 昼過ぎには高野山を発ち、再び大阪に舞い戻る。「DEEP 14TH IMPACT」という格闘技イベントを観るために、梅田ステラホールへと急ぐ。男子の総合格闘技に挟まって、今日は女子格闘技界を代表する2人(ライト級のしなしさとこ選手、ミドル級の辻結花選手)によるエキシビション・マッチがある。通常の試合と異なり、女子格闘技のPRという意味合いで行われる一戦だ。通常の試合で見られるような、ある種殺気だった空気はなく、リラックスしながらやってる感じだった。
 全試合終了後、しなしさんを囲んでファンの人達による食事会があった。しなしさんから「いつもステキな詩(これまでに何編か、しなしさんに捧げる詩を書いてきた)をありがとうございます」と言われ、有頂天になっている私だった。彼女と何を話したのかは、あまり覚えていない。彼女をいざ目の前にしてしまうと気恥ずかしくなってしまうのだった。これがファン心理というものだろうか。
 楽しいひとときは瞬く間に過ぎ去り、「ファンの集い」はお開き。夜9時ぐらいに大阪を出て、新幹線で名古屋に戻ってきた。
 明日からまた果てしない日常が始まる。楽しい思いを残しつつ、「春の祭典」は終わりを告げたのだった。



2004年04月17日(土) 春の祭典in近畿(其の2)

 「一粒で二度おいしい」の巻

 大阪での夜を過ごし、朝早々と奈良県・吉野に向けて出発。吉野といえば「千本桜」の名で知られる桜の名所。ただ、インターネットで調べてみると、下千本・中千本・上千本は「葉桜状態」、奧千本も「散りはじめ」とのこと。桜の見頃は過ぎてしまったようだが、とにかく行ってみようと、近鉄吉野線で吉野まで移動、そこからロープウェイで吉野山駅へ。奧千本までひたすら歩き続けるが、なかなか到着しない。そんな私の脇を、客をおおぜい乗せたバスが何台も通り過ぎていった。
 いろんなところに立ち寄りながら4時間ほどで奧千本に到着。桜はだいぶ散ってしまっていたが、わずかに残る花びらがそよ風に舞い、春の日ざしにきらめきながら、ゆっくりと落下していくさまは、とても美しく感動的だった。満開の桜とは趣が異なるが、やわらかな木漏れ陽のなかで心癒される思いだった。

 さて、昼過ぎに吉野を発ち大阪に舞い戻った私は、「大阪プロレス」の興行が行われるIMPホールへと急ぐ。私は、ストロング・スタイルのプロレスよりも「空中殺法」などがふんだんに盛り込まれたメキシカン・スタイルのほうが好きだ。笑いの要素を取り入れながら熱い闘いを展開し、ルチャリブレの面白さを披露してくれる「大阪プロレス」のスタイルは、私の好みに非常に合っているようだ。
 6人タッグマッチでの、「えべっさん」と「くいしんぼう仮面」(いずれも覆面レスラー)のかけあいは会場全体を笑いの渦に巻き込んでいた。かと思うと、「ビリケン・キッド&タイガースマスク」対「ツバサ&ガルーダ」のタッグ・マッチは手に汗握る熱戦だったし、シングルのタイトルマッチではチャンピオン「村浜武洋」が「大王カルト」に敗れるという波乱があり、さらにメインイベントで「獣神サンダー・ライガー」(新日本プロレスより参戦)が大阪プロレスきっての悪漢ファイター「ビッグボス・マグマ」にまさかの敗退を喫した。帰り際に「スペル・デルフィン」(大阪プロレス社長兼レスラー)と握手を交わし、ホテルへと帰ってきた。


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