2005年11月23日(水)  映画「ブラザーズ・グリム」

「ブラザーズ・グリム」
監督:テリー・ギリアム
出演:マット・デイモン、ヒース・レジャー、モニカ・ベルッチ

おもしろかったよ。
兄より弟が好きだよ、私は。
報われない弟よ…。
君の魔法の豆はいつ芽吹くのやら。

そんでもって、キャラが皆おもしろいね。
イタリア人のカヴァルディだっけか?
何かにつけて歌う人。
怖いシーンでも、所々のユーモアが笑わせてくれます。
その最たる役がこの人だった。
最初はうざったい敵役だったのに、いつのまにか憎めなくなって、
殺されたかと思ってたら実は生きてた、やったよハラショー!みたいなね。
素敵な悪人でしたけど、カツラっつうアクセントが効いてたね。
結局、死んだのは、本当に憎まれ役だったフランス将軍だったし。

そうそう、フランスとドイツの確執も描かれておりました。
一概になんとも言えませんが、フランス人って優雅なのか横暴なのかわからん。
過剰演出だとしても、おぃおぃ、ここで飯食うか?と。
反対に、ドイツの片田舎、素敵だなぁと思いました。
いわゆる、RPGとかに出てきそうな片田舎。
素敵。ロマンティック街道まっしぐら!!
行きたいなぁ、ドイツ。ノイシュバインシュタイン城(だっけか?)
城じゃなくとも、ヨーロッパには並々ならぬ思いがあるんですがね。

私に絵を描く技量があったならば、欧州留学して、片田舎に滞在して、細々と絵を描いて、そのうち牛飼いのお嬢さんと恋仲になって、「いや、彼奴は異国のもんなんだ。そんなヤツに娘はやれん」とか父親に反対されて、絵ももちろん売れないんで、学費も費えて、泣く泣く愛しい人を残して母国へ帰る…。帰った後、片田舎で描いた絵が売れて、一躍スターダムに。大金も手に入ったし、今度こそは、と迎えに行くと、すでにこの世をはかなんで他界していた愛しい人…。そんな人生を歩んでみたいよ(妄想絶好調)

…って、誰かの歴史だなぁこれ、こんな画家いたよな。だれだっけ。
映画と全然関係ない。すんまそん。


兄はマット・デイモンか…あそう、全然気付かなかった。
それより何より、女王様がなぁ。
モニカ・ベルッチは美しいねぇ。
大好きだよ、この御方…。
あの「PASSION」でもマグダラのマリア役をしてたけど、どこが娼婦なんだ!ってくらい神々しかったなぁ。
「ジェヴォーダンの獣」では娼婦役やってたけど、超高級娼婦だしな。
そして、実際は超機密警察だったわけで。素敵!
今回は、儚くも消えゆく女王様役でした。
鏡の中でだけ美しく蘇るのでございますよ。
年老いた狩人より、若いペテン師選んじゃったところが、枯れても干からびても女、ですな。
しかし、最後、女王の欠片を鴉が運んで飛び立つのだが…続くのか?

続いたら多分見に行くでしょう指数☆☆☆★★


2005年11月22日(火)  「フリージア」6巻 松本次郎

■フリージア6巻  著・松本次郎

猫のばあさんに刑が執行されて、溝口さんが精神異常と判明。
…というか、この漫画でまともなキャラなんてそうそういないだろう。
たいがい、刑を執行される側(犯罪者)の方がまともだ。

それにしても、デンパなヒロシさんがとても素敵です。
p38の見返りシーンとp45の返り血浴びてるシーンがなぁ。
なんでこんなにメガネは素敵なんですかぁ!!
キンゲのゲイナーにしろ、この叶ヒロシにせよ、メガネはやっぱ魅惑のアイテムだ…。
キュンキュンするメガネランキング、上位。
ゲイナーと叶ヒロシとロアルド(アバチュ2)ですね。
ロアルドは色メガネだけど。…いや、サングラス。
あ。脱線だよ。メガネ語りはもういいよ。

「 なぜ止めるんです?
    これはあなたたちが望んだ事じゃないんですか?
 
  僕が何か間違っているであれば、教えてもらえないでしょうか?」

河原でいちゃもん付けてきたちんぴら共を、ボコボコにする主人公。
確かに、相手はヴァイオレンスを望んだが…。
間違っちゃいないよ、叶くん。
だがね、だが…、君はナイーヴすぎるんだよ(意味不明)
痛いキャラだなぁ、このキャラ。
ブチ壊れ具合が半端じゃないっすよ。
一体、どうやって彼は壊れたんでしょうかね。
今巻で一番、ズシンと来たシーンですかね。

スーパーでは「お菓子買ってぇぇぇ」と泣き叫ぶ子供に接する叶くん。
子供にも対等に話する辺り、えらいというかなんというかやっぱりデンp…(殴)
買ってあげようとしたら、お母さんが飛んできたけど、この母さんと子供は、短編に出てた人らだった。そう、私が好きでも作者が好かぬ短編。


そんな訳で、次の標的が決定。
ヤクザのおっちゃんの人情味に泣けた。
なんだよ、やっぱりすごいね、人情だよ!この世界は!!(号泣)
友達っつってもこんなヘタレな友達のため、命かけるたぁ。
やっぱり、漢を知ってるよ、この職業の人は!!(変な先入観有)

死ぬと思うと泣けてくる。

前のトシオも漢だったしなぁ。
だから、相手の執行される側の方がいたってまともで人情味あるんだって。
それがまた切ないのだよ。
執行側がこんなにゆらゆら揺らいで不安定な人間ばかりだからさ。

そういえば、久方ぶりにエロシーン勃発。
私、このおだんごの頭の子あんまり好きじゃないのですよ。
黒髪が乱れる女の子キャラやないと嫌ですわ(HENTAI)
ヒロシとこの子の仲は、果たして上手く行くのだろうかね。
頑張れ、と有り大抵の言葉をかけて終わる。


2005年11月20日(日)  「STEEL BALL RUN」6巻 荒木飛呂彦

■スティール・ボール・ラン6巻  著・荒木飛呂彦

なんだか発刊ペース早くないか?
あっというまに6巻です。

今回は、ついにDIOが覚醒致しました。
過去の背景も描かれておりますが、これでDIOが「DIO」じゃないと確証。
「WRYYYYYYYY」のDIOじゃないんだよ。このDIOは。
背表紙のDIOはあからさまに小さいのでちょっと寂しい。
そして、ついに能力に目覚めるのですが、あからさまにおそろしい

だ っ て 、 恐 竜 化 だ よ ?

自分だけでなく、周りの生物も恐竜化させてしまう能力。
挙げ句の果てに、ジャイロまでも…、大丈夫?主人公!
どうなるんでしょう。この話。
ディオも死体集めしているのかね。
先読もうとしないできないする余裕がない(笑)
すごい漫画であります。


今回の見所は…
ラリったディオが、乗馬中トリッキーな動きを見せるところ。
なんだよ、こいつ(笑)


2005年11月15日(火)  漫画喫茶にて。

■クレイモア  著・八木教広

きれいなおねいしゃんが大剣を振り回して戦うファンタジー。
エンジェル伝説が面白く、月刊ジャンプにも素敵な漫画家さんがいるなぁと思ってた昔。
やっぱりおもしろいよ、この人の漫画。
ちょっとなかなかすばらしいです。
泣き所のツボもい〜い感じで突いてくるしなぁ。
きれいどころが妖魔に変身っつう設定も素敵です。
おもしろい。
美少女版、子連れ狼ですな。


■珍遊記  著・漫☆画太郎

うわ〜、懐かしい。
WJ初めて読んだときくらいに連載されてたはず。
同級生の男の子たちが夢中になっていたことを覚えている。
ぶっ飛んでる作品ですねぇ。
これ以上の漫画、出ないよなぁ…少なくとも、今のWJでは。


■破壊王  著・たなかかなこ

牛若が女の子だったら…と仮定した作品。惜しげもなく女体まみれ(笑)
弁慶よりなにより、信濃坊・戒円がなぁ、ツボなんだよなぁ。
この人の逆毛キャラにはとことん弱いですよ。はい。
テーマがテーマだけに、打ち切りが悔やまれる。
これから奥州藤原氏が出張ってくるのに!
源氏側の大物、頼朝も描かれていないのに!
北海道・蝦夷一族が出てきたから、またアイヌが来るかと期待していたのに!
そしてなにより、戒円がバージョンUPするのが楽しみだったのに!!
あぁ、なんつうか、逆毛+つり目だったらなんでもいいです(笑)
また、暗い過去も背負ってるあたり、ツボです。
キュンキュンきますな、こういうキャラには。
短編の佐々木小次郎もかっこよかったなぁ。
…もったいないなぁ、本当、この人も打ち切り作品ばっかだよ。
がんばって欲しいです。好きなんで。


2005年11月14日(月)  「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」 夢枕獏

「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」 夢枕獏

執筆に17年かかった超大作らしい。
本文読むより何より、まずは作者の後書きから読んで頂きたい。
なに?この褒めよう。
自分の作品をこれまで褒めちぎる人を見た事がないのですが、私。
自画自賛、と前もってことわって、この作品はど傑作と言い切る。

でもね、すごいのよ。ホントに。

最初はちょろちょろと流れる小川が、方々の小川と合流して最後には轟々と音をたてて海へ流れる奔流になるわけですよ。
伏線の張り方がすごい。
いろんなところで起こる小さな出来事が、実は全部繋がっていて大きな事象に発展する。
「どうなるんだこれ」と思っていたのが「うわぁ、こう来たか」と。
読んでいてドキドキハラハラ。次はどうなるのか心配でならない。
夜な夜な読書していたのだが、キリの良いところで止められない。
おかげさんで、寝不足になった。

さて、時は遣唐使の頃、処は中国・世界の中心「長安」、話を紡ぐは留学僧・空海。
相方には、空海と並ぶ三筆の一人・橘逸勢。
この2人のやり取りは、「陰陽師」の晴明と…あ〜名前忘れた。貴族の濃い顔の人。の掛け合いを見ているかの様。
そういえば、「陰陽師」もこの作品と同じ頃に書き出したそうだ。
根っから陰陽道とか密教とか、そういうジャンルが好きな私はコロリとはまりました。
時代背景もまた宜しく、胸が高鳴る作品なのでございますよ。
ところどころに仏教の教えが散りばめられていたり、仏像が喋ったり。
そうそう、小さい説話が「今昔物語」の一編だったりして、また引き込まれた。
そういう時代なんですものねぇ、この時代は。
スキなものがゴロゴロしている話なんですよ。この作品。

あまり多くを語るとネタバレなんですが、かの有名な玄宗皇帝と楊貴妃、この話が一番深くに根付いております。

史実に基づく登場人物。これがまた物語に引き込む一因。
李白や白楽天(白居易)、阿倍仲麻呂など、古典の教科書に良く出てる人がごーろごろ。
彼らの吟じた歌がそのまま話に結びつき、「あぁ、もう!なんで高校時代にこの小説読まなかったんだろう!」と後悔。
当時ちんぷんかんぷんだった歌の一節一説が、痛い程染みてくる。

「天の原 ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出し月かも」by.阿倍仲麻呂

これなんて、母国に帰りたい阿倍仲麻呂の思いがびしびし伝わりますねぇ。
そうなんです、阿倍仲麻呂は遣唐使として唐に渡り、その後、唐の国家試験「科挙」に合格。
出世の道を昇り登って、ついには唐の皇帝…玄宗のお側近くまで使えちまったんですわ!
能力の高さが買われ、日本に帰りたいと恋いこがれつつも、叶わなかったのでございますよ。
そのつらさ、この歌に読んだっつうわけですよ。
古典の教科書、これにはポン、と載ってるだけ。
しかし、そのバックグラウンドを考えると、とっても味わい深い歌になるわけです。
多分、全ての歌はそうやって、歌人の思いを汲んでこそ、本当の意味がわかるんだろうなぁ、と感じましたよ。
それにしても、時は奈良時代…すごくはないでしょうか。
いくら才能があるからって外国人をそこまで起用する唐の政治にも驚くが、
なんといっても、その才能を持ち得た日本人…倭人が居たって言うことがすごい。
いやぁ、我が国日本もなかなかやりおりますなぁ。
東端の小国なれど、大きな器をもった人材はほらこのとおり、居たんですよ。
そういう歴史認識を教えてくれる作品でもありますねぇ、これ。
一体、私は学生時代なにを勉強していたのかと後悔する。
「受験のための勉強」だったんだなぁと思う。
こんなに面白い事学んでいたのにな…もったいない(号泣)

んで、その阿倍仲麻呂の上を行くのが、この物語の主人公、空海。
たくさんの人と会い、いろんな知識をあまさず吸収して行く様、まさに稀代の天才。
そして「密を盗みに来た」と言ってはばからぬその自身、実力。
へぇ、こんな人だったんだろうなぁ、と頷いてしまう。
唐の国で起こったこの物語、脚色なんだけど、本当に合ったかの様に思える。
楊貴妃の一連の話にしても(これを言ったらネタバレになるからなぁ…)きちんとした背景があって、誠の事と信じ込んでしまう。
すごい作家さんであります、夢枕氏。
陰陽師を読んだとき以上。あれは短編で成り立ってて、一つ一つが小気味よい作品でありましたが、この「沙門空海」…長編も長編。
しかし、その長さの分、面白さは倍加。
実在の人物、そして夢枕氏の作った人物。
両方本当にこの時代に生きていたとしか思えませんわ。
それだけ写実見溢れて止まらない。
フィクションなのに、なんせ昔の事ですから、そしてなんでも有り〜の時代のことですから、「本当に合った事なんでしょ?」と思い違いをしそうだ。

というか、私はこの作品を史実と認めても良いと思う。

これが率直な感想ですな。
内容に関してはほとんど語らぬ感想でありますが、これは是非、読んで頂きたいが故。
ご自分の眼でお確かめ有れ、稀代の世界人・空海の生き様を。




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