Leonna's Anahori Journal
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2003年03月31日(月) |
マリアージュ・フレール |
今日の放課後喫茶活動は、銀座すずらん通りのマリアージュ・フレールへ。 なんと今回は、創業約150年、フランス紅茶専門店老舗中の老舗ざんすよー。
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オヤジ喫茶の探求に情熱を燃やす私とクルミ嬢にとって少々不似合いな高級店へ出かけたのは、とりあえず、これが私の最後の放課後だから。私が仕事の更新契約をしなかったため、クルミ嬢と一緒に仕事をするのは今日が最後だったのだ。
友達もできたし、喫茶活動もできるし、比較的気楽でストレも少ない仕事をなぜわざわざやめるのか。理由はたったひとつ。椅子なのだ。椅子って、つまりハンス・J・ウェグナー。今の仕事を続けていても、いつになったらウェグナーの椅子が買えるかわからないという、そういうこと。
だけど、年齢だの職能だのいろいろ考えると、この選択はかなり無謀。あとで後悔しても知らないぞーチマリスー。 いいえ、無謀は承知のうえ。とめてくれるな、おっかさん!(あ、おっかさんはもういないんだったわ)
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マリアージュ・フレールは二階建ての路面店で、古めかしい木造の内装は本当にフランスの古い建物みたいだ。せまい螺旋階段を上がると二階がティールームになっている。
上下白い服を着た男性が注文を取りに来て、その上品でプロフェショナルな接客態度に私もクルミ嬢も大感心。何頁もあるお茶のリストの中から、アールグレー・インペリアルと、ケーキを頼む。
運ばれてきた紅茶は、カップに注いだとたんに嗅いだこともないような良い香りが漂った。いや、たしかにアール・グレーの香りには違いないんだけれど、こんな清々しくかつうっとりするような香りは初めて。アール・グレーにもピンからキリまであるのだなあ。 ケーキもただ美味しいだけではなくて、いままで味わったことのない不思議な味と香り(お酒か果物か香料)が、まさに隠し味といった程度に仕込んであった。
私たちは、やっぱり高い店は違うわ!と共通の感想を抱きながら、ゆったりとした気分で最後の放課後をしめくくった。
きのう、横浜の父の家へ向かう電車の中で「ホテル・ニューハンプシャー」の上巻を読み終わり、鞄へ放り込んできた下巻にブックカバーをかけかえた。
上巻の終盤から物語りは大きなうねりを見せ始め、強烈なソロー(悲しみの意。この物語の中では一家の飼い犬の名前でもある)の予感を孕みつつ前進している。
この物語を読んでいて感じるのは、人間は善人であれ悪人であれ、多かれ少なかれ誰しもがグロテスクな存在であるということだ。 もちろん、愛すべき滑稽さだとか、吐き気のするような冷酷さであるとか、グロテスクの内容にもいろいろあるのだが、グロテスクであることは正常な人間の属性のひとつであってグロテスクであることを恐れていては人間、やっていかれないのではないだろうか。
アーヴィングの小説を読んでいると「グロテスク?それがどうしたの?」という気になる。小さなパラダイ・ムシフト(価値観の変化)がすでにおきている。これすなわち書き手であるアーヴィングの筆力の証だと思うのだが、どうだろう。
昨夜はウルグアイ戦のあと、続けて十時半からセリエA第26節、ミラン×ユヴェントスを観た。やっと、再放送をスカパーで。
試合開始前、ミランの選手たちの顔が、全員尋常でなくなっているのに驚いた。これに負けたらスクデットの可能性が消えてしまうのだから気合いが入って当たり前と思うかもしれないけれど、あの綺羅星のごとき選手達が全員気迫の塊みたいになってあらわれたのだから、キックオフ以前から、それはもうちょっとスゴイ雰囲気だったのだ。
で、フツーにやってもスゴイひとたちが、死ぬ気でやったらどうなるか?
ミランDFの高い位置でのパスカットに、特に前半、ユヴェントスは苦しめられた。後半はミランGKジーダの好セーヴが光った。ルイ・コスタのドリブル〜三拍子をきざみながら足を引きずるような彼独特のドリブル〜でさえ、いつもの倍のスピードで敵の中央を突破していった。
そして、まるで全速力で走る重戦車のようシェフチェンコ(彼が通ったあとには彼を止められなかった相手選手がバタバタと倒れていた)。 そのシェヴァが、前半4分に最初のゴールを決める。
しかしすぐそのあと、10分にネドヴェドのFKから1点を奪い返すユヴェントス(ネドヴェド、あの男は危険だ!)。しかし前半25分、再びピルロからのパスを受けたピッポ・インザギがエリア内でなんとかボールをコントロールして執念の勝ち越し点。結局これが決勝点となった。
特筆すべきは、シェヴァ、ピッポ、双方とも絵に描いたような美しいシュートではなく、ゴール前のボールにしつこく食らいつき、苦労しながらも何とか流し込んで得点をあげたということだろう。この優れたストライカー二人のゴールへの執念がミランを優勝争いの圏内に踏みとどまらせた。
はっきり言って、こういう試合を観るために私はサッカーを、セリエAを観続けているのだ。そう言いたくなるようなミランの戦いっぷりだった。ふぅ(さすがに疲れました)。
まもまく始まるサッカー国際親善試合、日本×ウルグアイですが。
みなさん!ウルグアイ代表といえば誰ですか?
そうです、私の大大大好きな!インテルのMF! 魅惑のドリブル突破&アンタッチャブルシュートの! そして、顔はちょっとネズミ男似の!(いらんこと言うなッ) アルバロ・レコバくんでぇ〜す!
わーいわーい、熱烈歓迎、アルバロ・レコバ。 でも、ほかにどんな選手がいるのかぜーんぜんわからないんだな、ウルグアイ。
で、調べてみて驚きました。 マンUのフォルラン、あの新進気鋭の金髪FWて、ウルグアイのひとだったのね?! うわ、ますます楽しみになったよ、日本×ウルグアイ。 しかしとても同国人にはみえませんなぁ、レコバとフォルラン(あ、またいらんことを書いてしまった)。
なおウルグアイには他にもマルセロ・サラジェタ(ユヴェントス)、ジャンニ・ギグー(ローマ)、フェデリコ・マガジャネス(トリノ)、ダリオ・シルヴァ(マラガ)、等々の選手がおります。
結論: 外見だけでウルグアイ人を見分けるのは無理。
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いま8時53分。日本×ウルグアイ、2−2のドローで終わったばかりです。
やはりきましたね、フォルラン。ウルグアイの1点目。 ゴールきめたあと、しっかりユニフォームの裾をくわえて、割れたムネハラの誇示も忘れず(あれはたしかマンUでもやってました)。
日本はあれだけ敵のゴール前へ詰め寄りながら、決定打がなかなか出ず結局引き分け。それだけに、稲本のゴールはカタルシスでしたが。アレックスは、ちょっと線が細い感じがしたなぁ…
川口がハンブルしたコーナーキック、蹴ったのはレコバですが、コースだけ見ると取れそうだけれど、リプレイをよくみると、あの球にはイヤラシ〜イ回転がかかってましたね。恐るべしレコバ。
今日はレコバのドリブル突破があまり見られず残念だったのですが、この変な回転のかかったボールを今しがたスポーツニュースの映像で確認して満足そうにうなづいている私。一体どちらの応援だったのか…
次は圧勝してください。応援してます、ジーコジャパン。いやホントに(笑)
米軍が、イラク攻撃に劣化ウラン弾を使用したことを認めた。 ・・・だから言わんこっちゃない! とにかく劣化ウラン弾は使っちゃあダメだってば! よその国の大量破壊兵器にはひどく神経質なくせに、平気で放射能まき散らしてからに… --
(以下、攻撃開始まえにチマリス掲示板へ書き込んだものから抄録)
◎劣化ウラン弾について(3月4日)
アメリカが湾岸戦争で使用した劣化ウラン弾は、すでにイラクの子供達に 大きな被害をもたらしています。 なかには「あれはリッパな核戦争だった」という人までいる。 しかしアメリカは科学者や医療関係者等の示すデータにも 「ウラン弾のせいではない」といって耳を貸さない。
原爆のような規模や破壊力はないけれど、土壌や地下水を汚染し、 長時間かけてじわじわとその地域の人を弱らせる劣化ウラン弾の被害は 本当に悲惨なものです。 多くの国が保持しているのならなおのこと、この危険な爆弾の影響力につ いて取り上げられなければならないと思います。
◎イラク攻撃反対(3月5日)
人種も宗教も違う他国の政治に、どういう状態であればどの程度介入し てよいのか?という問題がまずあります。 このことは、911テロ、何があのような憎しみを生んだのか、 その原因を考えてみればわかることです。 (イラクをそう簡単に“テロ国家”と呼んでよいのだろうかとも思う)
だからこそ、話は大量破壊兵器の有無、その査察からきちんと手順を 踏んで進んでいたのです。 なのにそのルールを無視して、国連決議に逆らってでも他国を攻撃する というアメリカに止めろというのは、むしろ当たり前のことではありま せんか?。いくらフセインが暴君だからといって何をしてもいいという ことではない。
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なお劣化ウラン弾について詳しく知りたい方はこちらから。
検索エンジンで「劣化ウラン弾」「報告書」等のキーワードから調べてみると、さらに詳しく知ることができます。
朝方、夢に村上春樹が出てきた。
その村上春樹が、「別にどうってことない。」と言いながら日本旅館の庭にある池へ猫を投げ込んだ。 猫が溺れそうになりながら必死にこちらへ泳いできたので、痛い目にあうのを承知で右手を池の中へ入れたら、案の定、猫は思い切り私の腕にしがみついてきた。鋭い猫の爪がガシッと腕に食い込んで、アイタッと思ったところで目が覚めた。
こういう夢をみるのは、多分『ホテル・ニューパンプシャー』を読んでいることと関係があると思う。村上春樹も、死にかけた動物、びしょぬれの動物も、全てのイメージの源はアーヴィングの小説なのだ。
夢の中で訥々と話す村上春樹の声を聞きながら「あーやっぱり私がイメージしていた通りの声だ」と思っている私がいた。 そりゃそうだよね。夢なんだから、私の中にあるものしか出てこないにきまっている。
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放課後の喫茶活動、きょうはモーツアルトでザッハトルテ。 いくらなんでも、このままでは太る。腹筋運動しようしようと思いつつ、はや三日。
ここ二日くらい、わが家で流行っている遊び。
遊び方は、まず相手に「何か頭の良さそうなこと言って」という。で、相手がどんなこと言ってもそれに対するリアクションは「ガーン!」。これだけ。
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「ねえねえ、とうちゃん。何か頭の良さそうなこと言ってみて!」 「ブッシュがジャイアンで、ジュンイチロウはスネオだよ。」 「…ガーン!」 「ねえねえ、とうちゃん。また何か頭の良さそうなこと言ってみて!」 「オレ本当はばかだから、そんなこと言われても困る。」 「ガーン!」 「おいチマリス、今度はおまえが何か頭の良さそうなこと言ってみろ」 「んーとね、キンシチョウ。」 「ガ、ガーン!」 「チマリス、ほんとうに頭の良さそうなこと言ってみな」 「…熊のおまわりさん。」 「ガーン。」
ああ、アミノ酸ジャンキー夫婦。
のこったのこった! ミラン、優勝争いに残った!!
セリエA第26節。注目の大一番、ミラン×ユヴェントス。 ここで負けたらエウエウエウッのミランが、2−1でユーヴェに勝利! いんやぁ、えがったなぁ〜
(この試合は結果のみでまだ観ていません。シェヴァとピッポの活躍ぶりを、再放送でゆっくり楽しみたいと思います。うはうは)
“サッカー日本代表、アメリカ遠征中止に”って、あったりまえだあな。
しかし川淵キャプテンというひとも、なんというか、鬼軍曹みたいなひとだよね。
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横浜の父の家で、一緒にイラク攻撃関連のTVを観る。 父はカート・ヴォネガットと同じ1922年の生まれで第二次大戦で徴兵され、従軍経験がある。この父、最近では私が戦争について何か意見を求めても口が重くて喋りたくないようなそぶりを見せることが多くなった。
それでも今日は、NYの人たちがテロ対策に買おうとしている防毒マスクの映像をみて「あれ着けて走るとすごく苦しいんだ、訓練のとき」と、兵隊だった頃のガスマスク体験を話してくれた。
なんでも、訓練中あまり苦しいときはマッチの軸を折って弁のところ(だかどこだか)にはさみ、空気が入ってくるようにするのだそうだ。こういうちょっとしたコツは年上の兵隊が教えてくれるらしい。それで、はさんだ軸のことを忘れてそのままにしておいた若い兵隊がガスを吸って倒れるのをみたことがある(おそらく実戦ではなく訓練中に)そうだ。
それがモラルに関することでなく“単なる思い出話”としてならば、結構楽しそう(懐かしそう)に戦争体験を語る父なのだが。訊いても答えてくれないときのその沈黙は、どんなに能弁なひとの“戦争反対論”よりも重たく感じられる。少なくとも私には。 --
しかしさぁ。 衆人環視のもと、あんなことしていいのだろうか。バクダッド。 人命が一番大事にきまってるけど、町だって建物だって、よその国の大切な財産じゃないか。
ああいうこと、ああいう破壊行為が“仕方ない”とか“当たり前”になったら、それは人としての価値観がゆがんでるってことになる。
お昼に会社の食堂へ行ったら、TVでアメリカがイラク攻撃を開始したと報じていた。むー、やはりというか、ついにというべきか…
ところが、このニュースを聞いた同じテーブルの女性がやおら株価の話を始めたのにはビックリ。いつもディズニーランドの乗り物だの、パレードだのの話をしているお母さんが、いきなり、株価。(むーむーむーむー)
この若い(主婦で派遣ワーカーの)お母さん、恐らくわれわれ日本人が“エコノミック・アニマル”と呼ばれた時代を知らない世代だと思うのだが… グッと突き上げてくる思いを押さえ込み、なんでもないような顔をして、静かーにお弁当を食べるチマリスでした。(むーむーむーむー)
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相も変わらず放課後の喫茶活動が続いております。 きのうモーツアルト、きょう麻布茶房。明日何処行くクルミとレオナ。
さて、その麻布茶房にて。 クルミ嬢、バッグからやおら一冊の本を取り出します。有名な西原りえぞう先生の(たしか)鳥頭紀行。それの(たしか)三冊目。りえぞう先生とそのオット氏とゲッツ板谷氏が、チベット行って、三人揃って頭丸めた写真が出てる本…
実は私、西原理恵子の本を読むのは初めてだったのですが。ダメだわやっぱり。キツイの、ツライの、ツヨ過ぎるの。あんなに、あんなに私生活を切り売りして成り立っている本、つらくって、アタシ読めない…、などと言いつつ、茶房で熟読すること一時間。
「なんならお貸ししましょうか。持って帰ってゆっくり読んでいいですよ」というクルミ嬢。その申し出を丁重に断って本を返したときには、肩はこり、後頭部にはしつこい鈍痛が居座っていた。
(でもあの花田紀凱ネタには笑ったけど)
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夜、クルミ嬢から下の画像が送られてきた。 以前話してくれた新宿駅から盗んできたアサーノのポスターの写真。壁一面を埋めるという特大ポスターの写真だ。 しかし、これをみて「フン、あたしを羨ましがらせようとしてるのねッ」などと微か(ほんの微かにだけども)思ってしまった私。これって、魂のサイバラ化、なんじゃないのか?
なんだかんだ言ったって三歩あるけばセンソーを忘れる、私も立派な鳥頭。
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