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2007年03月12日(月) ■ |
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伯爵と25のシチュエーション |
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男の部屋。ソファに仰向けに寝そべる女は、キッチンに立つ男に訊いた。 「ねえ、Qさん」 「なんだい」 男は背中で答えた。女も、天井を見上げたまま、言った。 「どうか笑わないで聞いて。ねえ、Qさんは、私を好き?」 男は動じない。 「脈絡がないな」 「ねえ、答えてくださいな」 「好きですよ、それが何か?」 女は続けた。 「Qさんは、私のことを許してくださる?」 「大概のことはね」 そこで、身体を起こして、女は男を正面に、訊く。 「あなたのこと愛してもよろしいの?」 男は動じない。 「どうぞ」 そこで、料理ができあがった。 「さあ、食べよう」
男が、居間に入る。 女は、なおも訊く。 「私達、恋人になってどれくらい経つのかしら」 「さあ、二年目突入ってところだろう」 二人はテーブルに向かいあい、腰を下ろす。 「ところで、どうしてそんなこと訊くんだい?」
女は窓の外をちらりと見た。 「ええ、昨日は私の誕生日だったけど、いつ気づいてくれるかなあと思って」
男は動揺した。
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2007年03月10日(土) ■ |
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伯爵と25のシチュエーション |
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「昔、おばあちゃんが言ってた。理想の男性っていうのは、一緒にいてほっとできる人のことなんだって」 「そうかい、で?」 「わからないかなあ、こんなことカミングアウトしてるんだから……」 「一緒にいてほっとする?」 「……、言わせるなら最後まで言わせてよ」
「なー伯爵。人前であんな問答をするあいつら見てるとなんかいらいらしてこないか?」 「P君にとっては、理想のカップルではないのでしょうね」
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2007年02月26日(月) ■ |
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伯爵と25のシチュエーション |
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俺は孤独だ。 誰にも理解されない。 誰にも理解できない。
そう、俺の孤高な心をわかることができる奴なんて誰もいないのだ。 人の苦しみのわからぬ奴らめ。 理解をすぐに放棄する奴らめ。
自分の孤独を声高々に叫び、人の孤独を見ぬ振りをする。 短い物事でしか量れず。 稚拙な言動で人を謀る。
俺は孤独だ。 俺だけの孤独だ。 誰にもわけてやるものか。
だから その差し出した手をどけろ そんな澄んだ眼で俺をみるな
そんな 優しい言葉なんて かけないでくれよ
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