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2007年02月06日(火) ■ |
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伯爵と25のシチュエーション |
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「まあ、そんな気がしてました」 カンテラ伯爵はあっけらかんと言い切った。 『後からはいくらでも言えるだろ』 Lは内心そう思いながらも「じゃあ早く言っててくださいよ」といやみを言うのでやめておいた。 「でもですね、ほら僕このグループとは仲がいいわけじゃないでしょう。僕が言ってもやっぱり部外者の言葉なんです。悲しいけれど。だから、好きにやってもらって、それが成功しようと失敗しようと手助けしよう、とだけ考えていたんです」 「立派なことですね」 Lは興味なさげに返事をした。
「だから、あなたを責めたりもしませんよ。Lさん」
Lの鼓動が、早くなる。 「わざとでしょう? 間違えたの。でも、それをいちいち暴き立てても、もう何も変わらないし、僕は、やっぱり黙っていることにしてます」 「なんで……」 口走ってしまう。 「なんでそれを……」 カンテラ伯爵は、あっけらかんと言い切った。 「まあ、そんな気がしたということにしておいてください」
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2007年02月04日(日) ■ |
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伯爵と25のシチュエーション |
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夜道。二人きり。 私は隣を歩くKに言った。 「月影って言葉があるんです。月に影と書いて月影。意味は月の光、月の光に照らされたもの。夜の世界では光や物そのものが影なんですね。でもそう考えるとですよ、今私たちの足元にあるこの影は、何なのでしょうね。光に名を奪われたこの月光の影は、少しかわいそうだと思いませんか?」 彼は答えた。 「お前、結構深いこと言うなあ」 空の月は、少しずつ欠け始めている。
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2007年02月03日(土) ■ |
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伯爵と25のシチュエーション |
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「伯爵。暇だから遊ぼうぜ」 インスリン男爵の電話である。 「今日は駄目、今から先輩の演奏会を聞きに行くのです」 男爵はとてもつまらなそうな声を出す。 「えー、この頃ぜんぜんつるんでないよなー。俺のこと嫌いになった?」 私は少し困った。 「この頃も何も私達そんなにプライベートは一緒じゃなかったでしょう」 「そりゃそうだけれど」 「それに男爵こそ私が誘った時はいつも何か用事を入れているじゃないですか」 「それは俺が忙しい時に暇なお前が悪い」 なんとまあ、横暴な。 「じゃあ、私もう行かなくては」 「あー、またなー」
いつもと同じような会話をして、電話を切る。 そこでふと考える。 こうまで合わない私達が、どうして仲がよいのだろう。 まあ、いいか。 仲がよいなら、それに越したことはないのだから。
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