冒険記録日誌
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2016年08月28日(日) |
たったひとりのサバイバル・ゲーム!灼熱砂漠を脱出せよ(トレイシー・ターナー/角川書店) |
たったひとりのサバイバル・ゲーム!のもう一冊、砂漠編です。 今回はサハラ砂漠のツアー中に、砂嵐に巻き込まれて、一人はぐれてしまった主人公。砂漠の真ん中からゲームがスタートします。 基本的な内容はジャングル編と同じで、シンプルな分岐小説タイプのゲームブックで、砂漠に関するコラムが沢山挿入されています。先に読んでと書かれているコラムもありますが、ゲームの答え同然のことが書かれているので、最初は読まずにゲームを楽しんだ方がいいかもしれません。 狭い日本で窮屈な生活をしている山口プリンとしては、同じさ迷うならアマゾンのジャングルより、広大な砂漠の方がいいな。実際はアマゾンのジャングル以上に生存が厳しい環境だと思いますけどね。 ただ、ジャングル編と違って、本作には通常のゲームクリア(街のあるオアシスにたどり着く)以外にもう一つのゲームクリアのパターンが用意されています。 それは確保した水場の周囲でひたすら救助を待って、数週間後に発見されるというもの。自力で砂漠を横断したらおもしろい経験ができたかも、などと主人公は、ぼやいていますが、まあこれが現実には一番正しい選択肢なのでしょうね。でも、水と塩だけで数週間一人で救助を待つという体験も、結構な冒険だと思うぞ。
あと、ゲームブック本編の話しではないのですが、水がないから尿を飲むのは本当に駄目なのでしょうか。コラムに登場した男性の例では、尿を飲んで実際に生還していますが、「これは絶対にオススメできない」と書かれています。山口プリンが読んだいくつかのサバイバル指南書でも、非常時に尿を飲むことについて、可と不可で意見が違っていました。 これは前からちょっと気になっているんですよね。他に海水はどこまで飲んで良いかも、指南書によって意見が分かれやすいところです。
今後もこのシリーズが日本で続いてほしいのですが、売り上げ次第でしょう。応援する意味でも、2冊の本に入っていたアンケートハガキは、出版社に送ってみようかと思っています。 どんなアンケートなんだろう?なになに?今度はどんなサバイバルに挑戦したいか? そうだなぁ。定番中の定番は、やはり無人島でサバイバルでしょうか。あとは豪雪地帯とか山岳地帯とか、船が難破して漂流生活とか。変わり種では廃墟都市でサバイバルとかいいなぁ。 そんな風にいろんな冒険が楽しめるよう、よかったら皆様も本シリーズを応援してあげてくださいな。
2016年08月27日(土) |
たったひとりのサバイバル・ゲーム!ジャングルから脱出せよ(トレイシー・ターナー/角川書店) |
児童向けに書かれた自然とのサバイバルをテーマにしたゲームブックです。 他のサイトの情報などを参考にすると、海外ではシリーズ化されているらしく、そのうち2冊ほどが日本へ翻訳出版されたものだそうです。 遭難して人里離れた場所に独りぼっちな主人公が、厳しい自然の中をさ迷いながら生還を目指すというのがシリーズの共通コンセプト。以前はディスカバリーチャンネルでベア・グリルスのサバイバルゲームとか夢中で見ていた山口プリンには大好物のシュチエーションです。 過去のゲームブックでは、さいとう・たかを氏の書いた西東社のサバイバルゲーム(2004年8月10日の冒険記録日誌参照)に近いコンセプトと思います。でも、それよりもゲームブックではないのですが、朝日新聞出版から出ている科学漫画サバイバルシリーズの方を連想しました。大人気なのか、最近の本屋の児童書コーナーでよく見かけるんですよね。 案外そちらのヒットを見て、これなら行けると本書の日本版発売にGOが出たのかもしれません。 実際、私も科学漫画サバイバルシリーズを立ち読みして、これをゲームブックに仕立てればもっと面白いのに!と思っていたので、予約した時からとても期待していましたよ。
というわけで届いた本書を早速遊んでみると、シンプルな分岐小説タイプでした。 本書はアマゾンのジャングルが舞台で、小型飛行機が墜落して一人ジャングルの奥地で生き残った状態から始まります。無事人里までたどり着いて、救助されればクリア。選択肢はサバイバル知識を問うようなものが大半で、ゲームの合間に頻繁にジャングルにおける豆知識コラムが挿入されていて、学習本的な要素もあり。 難易度はそれほど高くなく、動物に遭遇すれば出来るだけ接近を避ける、知らない植物は食べないなど、基本的に安全重視の選択肢を選んでいれば楽にクリアできる感じです。絶対に間違っているとは言い切れない選択肢で、運悪く害虫に刺されてしまうなどで、ゲームオーバーになることもたまにありますがね。 適度に展開が分岐してくれ、クリアまでの時間が短いこともあって、ちょっとした時間に遊べて遊び勝手が良いです。 シンプルイズベスト的な意味でゲームバランスが良く、科学漫画サバイバルシリーズの読者層もすんなり楽しめそうな、期待通りの内容でした。
ちなみに日本語版はアニメタッチなイラストをふんだんに使っているので、日本の児童書っぽく仕上がっていますが、本書の文章そのものは、余計な表現を削ったストイックなものです。(余談ですが、イラストの使いまわしが多いのは、ちょっと気になるところ) 文章がストイックゆえに、実はイラストが劇画調だったとしても違和感はないかも。もし仮にイラストレーターが、さいとう・たかを氏なら、文章はそのままでも氏の名作サイバル漫画「サバイバル」みたいなノリに変わっていたでしょう。西東社のサバイバルゲームはまさにそうなんだけどね。
2016年08月21日(日) |
怪盗ジョーカー ミステリアスゲームBOOK(福島直浩/BANDAI) |
コロコロコミック連載のたかやしひでやす氏の漫画を原作としたゲームブックです。1〜3巻と3冊出ているけど、ここではまとめて紹介します。 このゲームブックは最近発売されたばかりなんですが、通常の書店取り扱いではなく、ゲームセンターに設定してあるジャンボカードダスというガチャガチャの一種の景品です。 この景品を扱っているジャンボカードダスというのは、あんまり一般的ではないようで、ごく一部のゲームセンターにしか設置していないみたいです。 どこのゲームセンターに行っても置いてない!と、一部のゲームブック関連のネット界隈ではゲームブックファンの方々の悲痛な叫びが聞こえていました。 正直なところ、原作に思い入れもなく、ゲームブックコレクターでもない私は興味がなかったのです。近所のゲームセンターにあれば、買ってもいいかな程度には思っていましたが、探し回る気は全然なし。 でも、先日家族で小旅行した先で大型ゲームセンターがあったので、試しにちょっと覗いてみたらあったのですよ。怪盗ジョーカーのジャンボカードダスが。 一回300円で景品は3種類。カプセルではなく、小冊子をビニールで包んだ状態で出てくるようです。 どうせなら全部欲しいなぁと、一回挑戦してみると、1巻が出ました。次にまわすと3巻、3回目は2巻とストレートに全種類出ました。やった! ストレートに出たのは業者が元々3種類が順に出るように中身を設置していただけという可能性もありますが、それよりも幸運だったのは3冊目が出たと同時にジャンボカードダスに売り切れマークが表示されたことです。入手困難というのが実感できるなぁ。久しぶりにレアゲームブック、ゲットだぜ!
というわけで、さっそくプレイした感想を書いてみます。やっぱり、ゲームブックは遊んでなんぼですから。 まず、怪盗ジョーカーの世界観ですが、ゲームブックを読んだ限りでは、主人公がちょっと間抜けな忍者のハチを相棒に、宝の所有者に予告状を出しては狙った宝を盗み出すと言う、定番ドタバタコメディ。これだけで8割は説明が終わってしまう気がします。 ゲームブック版は漫画形式ではないですが、文章と共におそらく原作者書き下ろしと思われるイラストがたっぷり使われています。1〜3巻のどれも、移動先と対応パラグラフ番号が書かれた地図を中心に、どこかに隠されたお宝を探していくという双方向システムです。能力値や戦闘などの煩雑なルールはないのですが、フラグチェックとして時々、そのパラグラフに書かれた□にチェックマークを入れたり、どこそこのシーンではパラグラフ番号に○○加えた番号へ進めなどと指示されることはあります。各巻のパラグラフ数は50ちょっと程度のミニゲームブックです。
──1巻 ナイトサファリの秘密──
なぜか動物園に隠されている「マーライオンの涙」という宝を探しに、園長に予告状を出して、動物園内を探し回る怪盗ジョーカー。 各動物たちのブースを巡っていくわけですが、各地に散らばった相棒のハチや怪盗仲間でライバルでもあるスペードやクイーンなどを見つけては仲間として同行させていく展開。必要なシーンで特定の仲間がいると、動物を追い払ったりしてくれるので、新しいシーンに進めるという、コンピューターアドベンチャーゲーム風の謎解きをしている気分になりました。 難易度的には簡単ですが少しでもイベントを飛ばすと、終盤で宝をライバルに奪われたりしてゲームオーバーになってしまうので、子ども向けと油断していると一発クリアは難しいかもしれません。自分は初回プレイで、スペードに宝を横取りされて失敗しました。
──2巻 潜入!シャドウキャッスル──
シャドウ・ジョーカーなる主人公のライバルの本拠地が舞台。行方不明になったシャドウ・ジョーカーの双子の妹を捜索します。 古城のような屋敷内の見取り図を中心に進行するわけですが、マップには移動できる場所が少なく、捜索により少しずつ新しく移動できる場所とその対応パラグラフ番号が増えていくので、この巻のみマップに頻繁に書き加えていく必要があります。結末はドタバタ風ハッピーエンドと真のハッピーエンドの2種類です。 ストーリーは3巻中では比較的シリアスですが、シャドウ・ジョーカーとその妹にかかわる設定など、原作に登場した話しが絡んでいるので、原作を読んでからの方がより楽しめそうです。
──3巻 ハチのめんそ〜れ大作戦──
テレビで沖縄特集を見ていたら沖縄料理を食べたくなって、「沖縄の名物を食べつくしに行く」という訳のわからない予告状を出して、沖縄に旅立つ主人公と相棒のハチ。沖縄そばやゴーヤチャンプルー等の作り方を料理担当のハチに覚えさせるのが目的ですが、これは盗みなのでしょうか? 一部シーンはたいした必然性もなくハチの視点で進行したり、どっちでも間違っていないような選択肢で片方が即ゲームオーバーになることが多いなど、ゲーム的にはとっちらかった内容で出来はあまりよろしくありません。この巻は完全なギャグストーリーだし、やり直しは簡単なので、「やられちゃったよ。ま、いいか」とノリ重視で楽しみましょう。
全体的には小学生向けに書かれているとはいえ、思っていたよりしっかり作られている印象でした。 とはいえ、普通のゲームブックファンにとっては、コレクター目的以外には無理して入手する必要はなさそうです。コロコロ雑誌本体にも別の怪盗ジョーカーのゲームブックが付録でついていたそうですが、こちらまでは私は手を出しません。 雑誌の付録まで含めると、小学生女子向けホラー雑誌とかにも時々ゲームブックが掲載されていたりしますが、全部おいかけるとキリがないんですよね。そちらにお金を使うくらいなら、今まで封印している同人ゲームブックの方に手を出した方が、純粋にゲームブックを楽しめるのではないかと思ったりもしますし。 こういったミニゲームブック達の存在は、たまに山口プリンのゲームブックに対するスタンスについて問いかけてきます。って、あれこれ小難しく考えるものでもないか。 原作ファンはもちろん、この手のコロコロ系の漫画に理解がある人が、このジャンボカードダスを見かけたら、試しに購入してみるにはいいんじゃないでしょうか。
(追記) 自宅近くのドラッグストアへ買い物に行ったら、なんとここにも怪盗ジョーカーゲームブックのカードダスがありました。(汗) 市内の主な大型ショッピングセンターにあるゲームセンターを3カ所くらい見た時はなかったのに、こんな田舎(山口プリンの自宅は、窓の外にホタルが飛び、雨の日に玄関を開けると大抵カエルが2・3匹いる環境です。)の店に設置してあるとは設置基準がわかんねぇ。 本来なら嬉しいことですが、なんとなく希少価値がなくなったというか、ブームの過ぎたたまごっちを店頭でみかけた気分だ。
今日は特にオチも主張もないダラダラ話しです。
ニュースでガンガン宣伝してくれてるせいか、話題沸騰のポケモンGOですが、ゲームブック世代でやっている人はいるのかな? ちなみに私は全然やる気なし。でも、ポケモンGOに対して、歩きスマホがどうだとか、昆虫採集の方が健全とか批判的な気持ちは全然なく、技術もここまで進化したかと素直に感心しています。 どのみちゲームをする時間がゲームブックで精一杯と言うこともあるのですが、単に自分が何かを集める系のゲームにハマらないせいです。子どもの頃からビックリマンシールとか、キン肉マン消しゴムとか周囲で流行っていても、興味なかったしな。 そんな私がポケモンGO的楽しみを一番感じていた時は、20年近く前に、古本屋でゲームブックで収集していた事ですね。 偶然でも古本屋を通りかかると、ふらりと寄ってゲームブック捜索をしていました。目立たないところに挟まっているゲームブックを発見した時の、しかも値段は200円程度で、レア物ゲットだぜ!は快感。
ポケモンGOのような現代の技術も凄いですが、さらに未来になると人工知能の進化の方を使ったゲームがもっと凄くなるんだろうなと思います。 ゲームブックファンの私としては、決められているのは世界観の設定だけで、プレイヤーの行動を示すと、即興で新しい展開で反応をしてくれる、つまりTRPGのゲームマスター役をやってくれるゲームが作れるようになるんじゃないかと予想しているんですね。 これはサウンドノベル系というより、過去のゲームだと、ゾーク1の進化形のイメージです。 ドラゴンファンタジー(グレイルクエスト)風や、少年少女向け双葉ゲームブック風に、語り口やゲーム性が違っているとゲームブック者としても楽しめそうです。 さて、そんなのが出る時代になったらゲームブックの存在意義はどうなるのか? これは心配しなくてもいいでしょう。スペック的な面ではスーパーファミコンが出たあたりで、とっくにゲームブックは負けてますし、いまさらです。 それでもゲームブックが現代でも細々生き残っているのは、ゲームブックならではの魅力があるわけですよ。
そんなことを書いていたら、昔プレステで遊んだゾーク1をやりたくなりました。代わりに確かゾークのゲームブックはJICC出版からシリーズが出ていたなぁ、と本棚の奥からひっぱり出してざっと見返してみましたが、やはりこのシリーズからはゾーク的な雰囲気を感じない。システム的にも普通のゲームブックだし、オリジナル要素は苦手な感じだし、残念です。 もっとこう、ゾークのゲームブックは、どこまでゲームブックで自由な行動を可能にするか実験的システムを使ったものを期待したかったな。森の中の落ち葉を数えるとか、そんなアホな行動まで再現したようなやつをね。暇なときごくたまにですが頭の体操として、どんなパラグラフ構造のゲームブックならゾーク的な面白さを再現できるか考えたりしています。 ちなみに私はもう一つ、ローグ的(あるいは風来のシレン的)な、ランダムでアイテムや敵の配置が違うので、毎回攻略法を変える必要のあるゲームブックもやってみたいです。 エニックス文庫から「トルネコの冒険」シリーズは出ていますが、エニックス文庫のゲームブックの例にもれず、ストーリーメインでゲーム的に甘いですし。もしかして同人ゲームブックの方には本格ローグ的な作品があったりするのだろうか。
2016年08月14日(日) |
スーパーマリオワールド 恐竜ランド編(橋爪啓/双葉文庫) |
原作がスーパーファミコンということで、91年出版です。 双葉のマリオシリーズゲームブックはこれで4作目ですが、3作目の「スーパーマリオブラザーズ Vol.3 マリオ軍団出撃」が87年発売とかなり間が空いています。原作は説明不要の人気ゲームとはいえ、双葉のゲームブックでも終盤の作品ですので、シリーズ1〜3を遊んだ人でもこれは知らないや、という人は多いのではないでしょうか。実は私もその一人だったのですが。
ストーリーは、恐竜ランドへとバカンスにやって来たマリオ兄弟とピーチ姫だけど、いつものようにクッパによってピーチ姫がさらわれてしまった。6つの島からなる恐竜ランドを駆け回ってピーチ姫を救い出すという、原作通りのものです。 一見普通のことですが、実はマリオのゲームブックでは原作通りというのは珍しいです。 ゲームブックの1の主人公はゲーム世界に吸い込まれた少年でマリオを救う話しだし(ただし、1に同時収録されているおまけゲームブック「ルイージの冒険」は原作の2に近い)、2は未来にタイムスリップしたトンデモ系SFでしたし、3はルイージとピーチを加えたRPG風と原作とは完全別物でした。マリオゲームブックは他に勁文社からも出ていますが、これはマリオとは何かが違う世界観でしたからね。(2002年05月と8月の冒険記録日誌参照) というわけで、やってみました初プレイ。
プロローグからストーリーとか文章は、ほんわか系の雰囲気なんですが、フラワーとマントの数、ライフポイント(HP)、ファイティングポイント(戦闘力)、ヨッシーの満腹チェック、アイテム管理にフラグ用のアルファベットチェックと倒した敵キャラの記録と、ゲームプレイに必要な書き込みが多くて、ルール面は結構ガッツリ系でした。 恐竜ランドの各島には子クッパが待ち構えている城があり(一部城にいない奴もいますが)、子クッパを倒すと次の島に進むステージクリア型。基本的に一方向システムですが、迷いの森ステージに登場する迷路のように一部は双方向要素も使われています。 旅の仲間にはスーパーマリオワールドだけあって当然ながらヨッシーがいます。ゲーム中にはちょくちょく、マリオが攻撃するか、ヨッシーが敵を食べるかの選択肢がありまして、マリオが倒した敵の数は、経験値のように後々マリオの戦闘力に影響し、ヨッシーが食べると満腹ポイントが増え、ヨッシーの力に影響するので、どちらを多めにするかは悩みどころでした。自分のプレイではヨッシーの食事をメインにしていたので、中盤から時々敵に負けることもあり苦しかったです。初回プレイは最終ステージへの移動に必要なアイテムがなくてゲームオーバー。 でも迷いの森ステージで、何度もヨッシーが敵を食べることができる場所があることが判明したので、2回目のプレイでは普段はマリオメインで攻撃して、迷いの森でヨッシーに食べさせる作戦でクリアしました。
私的にはゲームブックでは世界観がぶっとんだ2や、ゲーム的に面白い3がお気に入りだったので、それに比べれば本作はいくらか地味かもしれません。 しかし、原作を生かして作られた正統派マリオのゲームブックとして考えると、雰囲気・ゲームバンスともに悪くない作品です。まあ、ライトユーザー向けの雰囲気なのに、ゲーム管理が煩雑なのはちょっと問題がある気もしますが、それは販促上の話しで作品自体の欠点ではありません。 それに原作ではルイージの影が薄いとされた、スーパーマリオワールドなのに、ゲームブックではルイージが大活躍してくれます! ちょいと三枚目な性格ながら、ルイージはマリオに同行して一緒に戦ってくれ、ワープ土管などで離れ離れになったと思ったら、ボス戦の最中に再登場して助けてくれるなど、なかなか美味しい役どころです。ルイージの扱いが不遇だったゲームブックシリーズ1〜3が嘘のように、ちゃんとマリオブラザーズしていることに、ルイージファンの山口プリンとしては感動でした!
最後に余談ですが、本作には「任天堂は京都にある」みたいなメタ発言も時々あり、他のマリオゲームからもゲストキャラがたまに登場します。 ボーナスゲームを取り仕切るスーパーマリオランドのディジー姫、回復アイテムを郵送してくれるドクターマリオ(本作ではマリオの従妹という設定)という具合です。 特に「最近出番がないから、クッパの手下となった」と言いつつ雑魚として登場したドンキーコングはとてもお気の毒。もう少し耐えればスーパーマリオカートで仕事があるよ、いずれ再ブレイクできるから早まらないで!と励ましてあげたいものです。
2016年08月13日(土) |
謎の村雨城 不思議時代の旅(三原 治&塩田信之/双葉文庫) ふたたび |
2002年5月31日の冒険記録日誌にも取り上げていますが、山口プリンが初めてクリアしたゲームブックということで、非常に思い入れが強い作品なので、今回はまともに感想を書いてみたいと思います。 原作はファミコン(ディスクシステム)初期のアクションゲームです。 ゲームとしては珍しく和風ティストの世界観で、主人公の鷹丸という侍が忍者や般若の攻撃をかいくぐり、道中をつき進み、城の奥にいるボスを退治する内容です。任天堂ゲームなのに、ゼルダの伝説という名作と同時期に発売されたせいか、そこそこ出来は良いのにマイナー作品扱いをされ、続編も出ていない不遇の作品です。 私はディスクシステムがないので、プレイできなかったのですが、攻略本だけは持っていました。ゲームブックと出会う前の私は、ゲームソフトが買うことができなかったので、欲しいゲームがあるとよく攻略本を買って読んで、疑似体験気分を味わっていたのです。そんな当時の私が、ゲームブックに夢中になったのは当然の流れといえるでしょう。
本題ですが、このゲームブックでは、主人公は現代にすむ17歳の高校生となっています。主人公が江戸時代にタイムスリップして、謎の村雨城をめぐる冒険に巻き込まれて旅立つことになるのです。鷹丸は真面目な性格の侍として登場し、主人公のサポートをする役どころです。 原作は当時のアクションゲームの例に漏れず、たいしたストーリーはない作品で、ゲームブックの題材としては向いてないはずなので、このような味付けは良い工夫と思います。純粋な時代小説風にしなかったのは、ゲームの読者層を意識したのと、敵の黒幕が宇宙人というSF設定に合わせたのではないかと思います。 他の双葉ゲームブックに多い、ただ単にゲーム少年がゲームの世界に吸い込まれたというご都合主義的なものではなく、本作ではなぜ主人公がこの冒険に巻き込まれたのか、ちゃんと最後には説明してくれます。また、主人公のあこがれる謎のヒロイン、由美子を相手にボーイ・ミーツ・ガール風のサイドストーリーがこれに絡んでいて、爽やかな読後感のあるエピローグが印象的です。 ゲーム本編の内容そのものは、基本的に一本道ストーリーで、青雨城、赤雨城、緑雨城ステージこそ省略されていますが、他は原作ゲームの要素をかなり忠実に再現しており、桃雨城と村雨城の城内のみ簡単な双方向システムとなっています。登場するアイテムの大半は原作パワーアップアイテムと同じ名前と効能で、敵も原作に登場するキャラそのものが多く登場します。 タイムスリップ直後に木に登って東京(江戸)から富士山が見えることに驚くシーンとか、城下町に入って町人と会話したり風呂に入ったりするオリジナルシーンがある一方、原作に忠実すぎるあまり、小説的に読むと変なシーンも結構あり。 例えば四方向に手裏剣を同時に飛ばすという人間離れした技(飛車の術)を主人公が難なく使ったり、城内のある部屋で忍者の大軍が登場しても次の部屋に移動すれば静かになることとか、街道で派手な赤い忍び服を着た忍者が登場することとか。特に体全体がピカピカ点灯する忍者って何者なんだよ。原作通りと言えばそうなのですが、それでいいのか? 原作再現以外でも、前の冒険記録日誌でネタにした、野球のバットやエアガンを持ってホコテンに行く主人公とか、他にも突っ込みどころは多いです。
でも今回は感想を書くだけではなく、昨日実に30年ぶりくらいに、まともに本作を遊んでみました。 当時は気にしていなかったのですが、今読むと地の文章がかたい感じがします。エンディング等を別とすれば、描写も少なめ、状況説明だけで済ませているシーンが結構あります。中ボスとなる桃雨城の女城主も、決戦では一言もしゃべってくれないですし。ただ、本書の挿絵のイラストは結構、雰囲気と合っていて、描写の説明不足を程よく補完してくれていたみたいです。 他に中盤の展開ですが、城下町で敵の目をくらます為に、芸人に扮したヒロインを先頭に、町中の人が阿波踊りをしながら街を練り歩くシーンはやっぱり好きだな。エンディングへの伏線となっていて、うまい演出です。 ゲーム難易度的はそこそこでした。すっかり細かい記憶が抜けていたので、序盤で3・4回ゲームオーバーになりましたが、サイコロやバトルポイント表のようなランダム要素はないので、中盤まで上手く進行できると後は楽にクリアできました。 もっとも昔のプレイで、強力なアイテムを入手しようと城内で粘るあまり、同じ罠に何度も引っかかり、体力が減ってラスボス戦でゲームオーバー、となった記憶もあるので、最後まで油断は禁物です。 ゲームクリアまでの所要時間は他の双葉ゲームブックと比べてもそう長くない方で、サクサク遊べました。ゲームブックブーム当時は、次のゲームブックをすぐに買う余裕がなかったので、この作品を何度も遊んでいたのですが、この作品自体のテンポの良さと適度な難易度も、繰り返し遊んだ理由にあったのだと思います。
原作ゲームと同じく、決して名作とは呼ばれないマイナー作品ではあります。しかし、私にとっては素晴らしい作品です。結局のところ、私のゲームブック好きの下地は、こういった作品達に支えられているのかもしれません。
2016年08月07日(日) |
アリスインワンダーランド〜時間の旅〜ゲームブック時間の問題(ジェームズ・ボビン/講談社) |
(amazonの商品紹介文より) これは普通の本ではありません。時間を遡ったり未来に飛んだりできる魔法の本。 ティム・バートン監督が「不思議の国のアリス」をもとに描いた大ヒットファンタジー「アリス・イン・ワンダーランド」の続編映画「アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅」のゲームブックが登場。 読み手のあなたは最初に「アリス」になるか「マッドハッタ―」になるか、はたまた「赤の女王」や「白の女王」になるかを選ぶことができます。 さらに、あなたの判断で読み進めるページが変わり、物語はどんどん変わっていきます。 あなたは無事に映画通りの、あるいは映画では見られなかったハッピーエンドにたどり着くことができるでしょうか……? さあ、あなたがこの本に夢中になるのも「時間の問題」です。
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ただいま上映中の映画のゲームブック版です。 いやぁ、映画とタイアップで同時発売とか、ゲームブックブームの頃みたいでなんだか懐かしいなぁ。それに海外作品のゲームブックというのも最近では珍しいですし。 そう思いながら遊んだ本作ですが、残念ながら出来の方は自分的にはイマイチでした。 まず、ゲームブックのタイプとしては、シンプルな分岐小説です。ルールだけでなくパラグラフのフローチャートまでシンプルで、選択肢は映画本編と同じものとIFのものの2択が基本。IFの選択肢はすぐにゲームオーバー(映画とは別のハッピーエンドになることもあり)になる完全一本道なんです。 4人の主要登場人物の中から主人公を選べるというのも、これも単に4本の短編ゲームブックが収録されているだけでした。 まあ、一つの映画のストーリーをそれぞれの登場人物の視点でみられるので、これはこれで面白い工夫ですけどね。遊ぶ前はさらにザッピングシステムとかそんな要素の入ったパズル的ゲームを期待していたのでちょっと肩透かし。主人公によってゲームの長さが違い、やはり本来の主人公のアリスが一番長いです。 特徴的なのは、映画本編とは違うと思われる選択肢を選んだ場合に文章が逆さまのパラグラフになっている演出です。つまり通常の文章は映画の展開、逆さまの文章はIFの展開という風に整理されているわけですが、その工夫は必要だったのかな?文章が逆さまのパラグラフを読むたびに本をひっくり返すのはメンドイし参ったなぁ、というのが正直な気分でした。 原作となる映画はストーリー、雰囲気ともに結構クセがあります。私は一作目を見ていたので(本書の原作映画は二作目です)大丈夫でしたが、見ていない人は本書だけでは物語についていけないかもしれません。 というわけで、本書はゲームブックではあるのですが、ゲームブックファンよりは原作映画ファンが楽しむグッズと割り切った方が吉かもです。
今回は不満ばっかり書いてしまいましたが、サバイバル系の海外産ゲームブックも近々発売されるらしいし、今年のゲームブックの出版状況はいい感じですね。自分には合わなくてもいろんなゲームブックが発売されるのはいいものです。
2016年08月06日(土) |
ランダムZEDに挑戦! |
なるべくネタバレを避けながら書きますが、遊んだことのある人しかわからない話題ですので、これからソーサリーをプレイ予定の人は読むのを避けた方がいいかもしれません。
ゲームブックの名作ソーサリー。 このゲームブックは魔法使いでプレイした場合、48種類もの呪文を使えるのが特徴ですが、この中に正体不明だが究極の魔法とされる謎の呪文ZEDがあります。この魔法は作中では第四巻終盤というクライマックスに近い状況で、2つの唱え方が用意されています。 一つはこの呪文の正体を知ってから唱えるもので、安全です。クリアにいたる正式なルートでしょう。 そしてもう一つは、どんなことがおこるかわからないまま唱える方法で、なんと11とおりもの結果にランダムに分岐する非常に印象的なものです。 正式なルートではZEDを唱える描写はあっさりとしているので、ZEDそのものに注目するなら、こちらのルートの方が印象的でいかにも究極の呪文という存在感があります。 しかし実際のゲームプレイで、本当にこのランダムZEDに挑戦した人はどのくらいいるのでしょうか。たぶん皆無ではないでしょうか。 なぜならこのランダムZEDに挑戦する選択肢には同時に、傍にいる人物にこの呪文のことを尋ねるという選択肢があるのですから。 今にも敵に襲われそうというならともかく、このシーンはちょっと時間を割くことに何のデメリットもない状況です。未知の呪文を唱える前に少しでも情報を得ようと、余程せっかちなプレイヤー以外はそいつにまず、ZEDのことを聞き、呪文の正体を知ってから唱えるはずです。 正体を知って唱えるのと比べ、ランダムZEDはリスクしかないので、ネタバレしていた状況でもこれを選択する人はいないでしょう。 というわけで、ギミックとしては非常に面白いランダムZEDですが、ゲーム的には残念ながら意味は薄いといえましょう。
と、いいつつ実は私はガチのプレイでランダムZEDを唱えたことがあります。 だいぶ以前の話しですが、最低能力(技術点5、運点7、体力点14の魔法使いで1巻からスタート)で遊んだときでして(冒険記録日誌にはたけたろうの冒険として1巻のみリプレイを書いています。いずれ最後まで書いてもいいかもなぁ)、問題のシーンでは残り体力点が9点しかなかったのです。 この場合、なにが問題なのかというと、最終戦のラスボス戦です。 ZEDを唱えると体力点が7点も消費されます。ラスボスに対峙した時点で残り体力はわずか2点。 ZEDにより不意をついたとはいえ対戦時のラスボスの魔王は弱く、体力点がもう少しあれば、魔法で軽く捻ることができるのですが、この場合は直接戦闘で倒すしかありません。拍子抜けとか影武者の方が強いとか散々な言われようの魔王であっても、この主人公には強敵です。 実は最弱スタートといえども、剣術熟達の腕輪と、優れた剣(カントパーニで購入した剣を、マンパン砦の研磨機で研いだ名もなき名剣)、黒エルフの隊商で買った鎖帷子を装備しているので、技術点にはかなりの補正があるのですが、(7匹の大蛇は取りこぼして原技術点は増えなかった)サイコロ運が悪ければ一撃で死んじゃいますからね。その可能性は高いのです。 そこで一度仕切り直して、体力点が多い状況で改めてラスボスに挑戦しようと判断。あえてのランダムZEDに挑戦したわけです。 ZEDの結果はサイコロ2個を振って決まります。さあどうなる? あんまり戻されるとつらいけど、開門の呪文を知った状態で、カーレを自由に歩き回れるとかは楽しいかも! 果たして振ったサイコロの数字は……。
8!
目の前に現れた扉を開けると、ファーレンホワイデがいました。
なんかつまんね。( ̄ω ̄;)
ちなみにそのあと無事クリアできました。
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