冒険記録日誌
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2002年03月31日(日) |
ラルハスの戦い(ハヤカワ文庫) |
グインサーガ。 それは世界でも類を見ない壮大なドラマと、魅力的な多くの登場人物。 さらに作者のクドイ程の後書きが有名な、現在も続いている大河小説です。 三国志とヒィロックファンタジーとSFが膨大な文章をかけて見事に融合。 しかも読みやすくて、執筆ペースが異常に速い。 指輪物語のような古典名作とは、また違った面白さがあるのは確かでしょう。
で、ゲームブックのブーム当時に出版されたのが本書。 グインサーガのゲームブックである「ラルハスの戦い」です。 ちなみに作者は栗本薫本人ではなく、多摩豊氏です。 主人公はパロの一田舎貴族に過ぎない、ラルハス君。 モンゴール軍に攻め込まれたその時のパロが舞台です。 モンゴール軍から逃亡中のナリス達と遭遇。敵国モンゴールまでスパイ活動に行ってマリウスとアムネリス達に会う。パロの古代機械で転送してしまい、ノスフェラスでレムス達に出会う。 と、設定生かしつつ、なんとかラルハス君が主要人物と接近する機会を作ろうと、苦心惨憺した様子がうかがえます。 実際、多摩氏本人の後書きによると、原作の設定を壊さずに、いかにラルハス君を小説の中に組み込むかが課題だったそう。 私のラルハス君はパロ王家に忠実な国民として、モンゴールで情報収集します。パロに帰ってきてナリスに報告。ナリスの微笑と感謝をもらい、再び平和な田舎で暮らします。HAPPY END。 物足りない・・・。 あくまでも一貴族のラルハス君。実際、活躍できる事なんてこんな所でしょうけど。ゲームブックは読者が主役。もっと目立った冒険がしたかったなー。 後、戦闘ルールがあるけど、そんなに戦闘もないのでこれはカットしてもよかったのでは。古代機械で転送するシーンは、今の小説の展開では矛盾してきたなぁ。なによりグインと会話するシーンがないぞ!グインに殺される事はできるけど。
と、いろいろ不満はあるけど、グインサーガは好きだから許しちゃいます。
2002年03月30日(土) |
ゲームブックの置き場 |
私のゲームブック置き場は、ほとんどが外の物置の中。 ダンボールに入れて家に置くと、奥さんがガミガミです。 物置だと雨の日なんか、なかなか取りにいけない。湿気も心配だ。 部屋に大きな本棚が欲しい! と、言うわけで先週、本棚を買いに出かけました。 スポンサーの奥さんも一緒です。 ふっふっ。買うからには、やはり天然木で作った一生物の本棚がほしい。 黒塗りで大きさ形ともに、合格な本棚を見つけます。気に入った! 17万円。
さて、次はホームセンターへ行くことにします。 合板だが大型本棚などを見つつ、まあこれなら大量に本が置けるなぁ、とか考え中。 「これ、いいんじゃない」 奥さんが見つけたのは、四角いカラーボックスに車輪をつけたようなもの。 「これなら、和室のスキマのスペースが使えるね」 な、なにっ。 「これなら家計費から出してあげる。他のなら、自分のおこずかいで買って」
こうして、ゲームブックの置き場は、移動本箱の中と決まりました。 おかげで、一部でもゲームブックを家の中に入れることができます。 よかったよかった。・・・・ううっ。 しかし、コロコロと本箱を動かすのは、幼児が車型のおもちゃ箱を引っ張って、遊んでいる光景を連想します。 まあ似たようなものでしょうが。
2002年03月29日(金) |
薫の君によろしく! DOKIDOKI平安京ストーリー(双葉文庫)その3 |
*ネタバレ注意。最後の雑感以外、プレイ予定の人は読まないようにして下さい*
最初からスタート。 再び平安時代へ旅立った私。 今度は文なんてまどろっこしい事はせず、面と向かって許婚に怒鳴っちゃいます。 相手気絶。沙理のお父さんに怒られる。 やっぱり、帝の御所へ行くことになりました。今回は尼寺に逃げ込みましょう。 しかしあっさり見つかって、御所での生活が始まる事になりました。 御所の優雅なイメージとうらはらに、先輩女房達のイジメに耐えながらの毎日。 女はこわいです。まるで監獄所のようです。
そしてある日、夜の町で「影」と名乗る謎の美青年に助けられます。 実はこの美青年は「薫の君」とあだなされる、東宮様(次に帝になる人。皇太子の事)でした。 私は薫の宮のプレイボーイぶりに、怒って平手打ちをします。 しかし逆に気に入られて、お傍近くに取りたてられました。 この瞬間、現代でも平安時代でも微妙な立場だった、敦の主役転落が決定です。 薫の君から右大臣と左大臣の政権抗争の講釈を受けた後、行儀作法のレッスンが始まります。 どんなレッスンかと言うと、 「関連する言葉どうしを線で結びなさい」 「次にあげる花が、それぞれどの季節の花か答えなさい」 「次の文を敬語に訂正しなさい」 テ、テストですか。いいでしょう、社会人読者をなめては行けません。 すべて合格してみせました。ふふん。 ラブポイントも急上昇中。 宴ではお淑やかな姫に化けてみせ、左大臣一族の陰謀を未然にふせぎ、薫の君とお忍びデート。 恋に政治に大活躍です。 そして一週間のつもりが3ヶ月もたってしまいました。
しかし、私のタイムスリップしたのは平安時代の末期。 もう武士の世が目の前の時代でした。 炎上する御所で、泣きながら薫の君に別れを告げ現代に戻ります。 エピローグで薫の君にそっくりの人に出会って、HAPPY ENDです。
*雑感*
以上がゲームブック版「なんて素敵にジャパネスク」のプレイ状況でした。 あ、違った。 でも、読む前からそう思っていたものの、あの有名少女小説にそっくり。 (知らない人は適当に検索して調べてください。) ぶっとび姫さまが大騒ぎとか、東宮様のお忍びとか、左大臣の謀反とか、似てる似てる似てる。 許婚の名前が「タカシナアキラ」。ジャパネスクで登場する婚約者の通称が「タカアキラ」。 もしかしてこれも狙ってない?ねぇ?ねぇ?
次は冷静な感想。 エピローグは2種類。もう一つは敦君が出てきますが、やはり脇役です。 ストーリーは、小説でも文庫本2冊くらい必要だろうと思うほど、波瀾万丈。 そのせいで、沙里姫や敦、薫の君のライバルの中将、リサに敵意をもつ近江など、魅力的な登場人物が登場しているのに、どれも中途半端で書ききれていません。 ゲームブックとしては簡単。平安気分に浸れる点は、合格です。 総じて「なんて素敵にジャパネスク」のファンなら素直に楽しめると言ったところでしょうか。
2002年03月28日(木) |
薫の君によろしく! DOKIDOKI平安京ストーリー(双葉文庫)その2 |
私は屋敷の自室に連れて行かれ、身だしなみを整えてもらいます。 誰も正体に気づかないようです。 さっそく、許婚(いいなずけ)の男に平安時代らしく優雅に文を送ります。 でも、歌なんて書けないので、中はへのへのもへじ。 沙理のお父さんに怒られます。 許婚へのお詫びに管弦の宴とやらを開催することになりました。 琵琶を弾くことになって慌てて練習。成果はYesNoの質問で進む診断チャートで占うようです。 「好きな男の子はいますか?」 いません。このゲームブック、男の子は読んじゃ駄目なんですか。 なんとか琵琶はうまく弾けましたが、敦のそっくりさんに抱きついちゃいました。 沙理のお父さんに怒られます。 でも、許婚さんにはますます好かれちゃいます。 どこが気に入ったのでしょうか。 おまけに花嫁修業にと、帝の御所へ奉公に出ることになりました。 敦と相談して(そっくりさんは名前も同じでした)、帝の御所に行く前に脱走計画を考えます。 わたしの乗っている牛車を、敦の手配したニセ盗賊が襲撃。 しかし、斬り合いの最中に逃げようとしたものの、勇気ポイントが足りずに失敗。 さらにニセ盗賊が逮捕されても知らん顔していたので、敦に絶交されちゃいました。 なぜか元の世界にも戻れなくなって、ゲームオーバーです。
次回こそクリア?
2002年03月27日(水) |
薫の君によろしく! DOKIDOKI平安京ストーリー(双葉文庫)その1 |
今回は過去の思い出話しではなく、まだ未プレイのゲームブックに挑戦します。 双葉社のペパーミントゲームブックシリーズです。 コバルト文庫とかX文庫とかに見られる、少女小説の世界を舞台にしたシリーズですがご存知でしたでしょうか。 表紙のかわいい女の子のイラストからも、漢な男性読者を寄せ付けない雰囲気がほとばしる内容です。
「薫の君によろしく!」 は中学2年生の女の子、リサが平安時代にタイムスリップすると言うストーリー。 キャラクターメイキングですが、チャーミング・勇気・ラブの3つが設定され、全て50ポイントからスタートです。 それにしても、ラブポイントに嫌な予感がします。 さて、ボーイフレンドの敦と自宅で、ギターなど楽器の練習をしているところから物語は始まります。 古ぼけた鏡を見つけた二人。書いてある呪文のような言葉を読んで、鏡の向こうの世界に吸い込まれてしまいました。 そこは、時空のハザマ。 ここには、リサそっくりで十二単を着た平安時代の少女、沙理がいました。 彼女も向こうの世界で鏡の文字を読んだそうです。 沙理は、親の決めたいいなずけと無理やり結婚(現代では夜這いにあたる)させられそうになり、戻りたくないと言います。 私も信じられない!と同感する事にします。チャーミングポイントがアップです。 結局、私たち二人が一週間ほど入れ替わって、沙理のいいなずけに肘鉄を喰らわせることになりました。 いいなずけの人も、いささか可哀想です。 最後にずっと存在感のなかった敦が、ポケットから(何が出るかはランダム)風邪薬と現代の小銭をプレゼントしてくれました。彼は現代にもどって、沙理の面倒をみます。 さあ、タイムスリップ! 気がついて蔵からでると、十二単を着ている私に向かって、屋敷の女房らしき人が近寄ってくるところでした。
DOKIDOKIしながら次回をお待ちください。
2002年03月26日(火) |
カザンの闘技場(社会思想社) |
T&Tって知ってます?手軽にできると、結構有名だったTRPGです。 これを一人でもできるようにと考えられたのが、T&Tソロシナリオのゲームブックシリーズ。 一冊の中に2話の中編ゲームブックが収められており、8巻まで発売されています。 計16話の冒険が用意されている事になりますね。 このシリーズの特徴は、各冒険に同じキャラクターを使用できること。 例えばレベル1の戦士が、ある冒険に挑戦。結果、毒が効かない体質になる。さらに魔法の弓を手に入れた。この後、別の冒険にこの戦士を使うと、 1.経験値が十分ならレベル2に成長した状態からスタート。 2.冒険中、毒針にさされたとしても無効。 3.弓はそのまま所有。 と、特徴が引き継がれます。もちろん、どの冒険を先に選ぶかは自由。 一人の冒険者が数々の伝説を残すと言う、カッコイイシュチェーションが楽しめるわけです。 では、さっそくチャレンジしましょう。
本書の1話目「ソーサラー・ソリテア」 冒険の舞台は、古びた謎の屋敷。あたりは嵐です。 主人公の職業は、魔法使い。 戦闘で貧弱な彼らの為に考えられた、魔法使い専用シナリオだそうです。 すぐ、中にはいるのも不用心なので、しばらく様子見るように選択。 「戸口で突っ立っているあなたは、まるで避雷針のようだ」 カミナリが、直撃です。 さて、暗い館の中に潜入。“そこにあり”の魔法をかけて調べたいと思います。 この魔法の結果は、サイコロによるランダム。どんな内容でしょうか。 「君の魔法は17レベルの魔法使いの実験を邪魔した。彼女は怒って“炎の嵐”を君にかけてから消える」 と言う事もあるそうなので、封印します。 さあ、どんどん進みましょう。 「そこには異国の王女が、鎖でつながれていた」 誰が誘拐したのでしょうか。伏線も、その後のストーリーのつながりもありません。 そもそも、私はなぜ館を、調べているのでしょう。
2話目「カザンの闘技場」 闘技場が舞台のひたすら戦って、勝ち続けることが目的のシナリオ。 ストーリーはありませんが、謎だらけの屋敷を探索するより、単純明解で清々しいです。 他の冒険で育てたキャラを、ここで腕だめしさせるのもいいでしょう。 さっそく戦士を作成。能力値にあった武器を選択したり、この作業は結構楽しいです。 装備を整え、対戦相手を決める為にサイコロをふると、相手はオークと決まりました。 これならレベル1の戦士でも勝てそうです。 戦闘開始。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 プリンの攻撃。オークは鎧でふせいだ。 オークの攻撃。プリンは鎧でふせいだ。 だぁぁぁあ!もういい!
他のソロシナリオもいくつか試しましたが、本書がもっとも良く出来ていたと思います。 GAME OVERのパラグラフに「14に行け」と書き加えるなど、プレイヤーの創意工夫により、楽しむことは十分可能です。
2002年03月25日(月) |
惑星不時着(創元推理文庫) |
ハスラー星に地球の手がかりを知る人物がいる。 前作「巨大コンピュータの謎」で、この事を知ったデュマレスト。 彼はシャラナの父親の世話で、小さいが豪華な旅客宇宙船でハスラー星へと向かいます。 デュマレストのかたわらには、シャラナもちゃっかり座っています。 身辺のゴタゴタを防ぐ為、シャラナも暫くハスラー星に疎開するのです。
しかし、たまに特等旅行をすると、トラブルに巻き込まれるのがデュマレスト。 なんと、謎の生命体が乗務員を襲ったのです。 ここは超高速飛行中の宇宙船の中。助けは呼べません。 被害現場から謎の生命体を調査。悲鳴が聞こえれば急いで直行。 他の乗務員や乗客と二人一組で行動。 気分はもう映画「エイリアン」です。 武器を選ぶときは、迷わず火炎放射器を選択しました。 やっとの思いで、謎の生命体を滅ぼしたと思ったら、宇宙船爆発! 辺境の惑星に不時着の憂き目に遭います。 さらに原住民にシャラナを人質にとられたデュマレストは、一人で都市部へ向かいます。 (こうやって書いてみると、悲惨なストーリーだなぁ) さらにこれでもかこれでもかと言う、展開が用意されています。 鉱山の発掘、海中の探検、闘技場の戦い、戦艦の指揮官になっての海戦、 海賊のアジトへ侵入、街中での調査、暗殺者との戦い、シャラナ奪還作戦etc もりだくさんの内容ですが、クリアに必須でないイベントも意外と多い。 裏返して言えば双方向システムでもないのに、いろんな道筋が選択できるのです。 実際本書はパラグラフ管理が絶妙で、ゲームをやらされている感じがしません。 数々の冒険をこなしてラスト近く、思わぬところで地球の手がかりを手に入れる事ができました。 シャラナと共に再びハスラー星に向かうところで本書は終了です。
この続きである第3巻はまだ発売していません。 ゲームブックの復活に伴い、(ゲームブックブームの頃から遅筆ではあったが) グループSNEが再び筆をとる日を期待しつつ、感想を終わります。
2002年03月24日(日) |
巨大コンピュータの謎(創元推理文庫) |
ある作品を違うジャンルで扱っていたのを見て、好きになる現象ってありますよね。 映画を見てハリーポッターの本を読み始めた人。 アニメを見てポケモンのゲームを始めた人も多いことでしょう。 ゲームブックにも、同じ現象はあります。 私の場合、デュマレストゲームブックがそれです。
原作小説、デュマレスト・サーガのストーリーを説明しておきます。 宇宙全体に人間が繁栄したはるか未来。 生まれ故郷の惑星に帰りたいと願い、その座標を探す男がいた。 名はアールデュマレスト。故郷はアース(地球)と呼ぶ。 しかし人々にとって、アースはもはやおとぎ話しの存在でしかなかった・・・。
いいですねぇ。ロマンがあります。 SF物といっても、巨大ロボットや宇宙艦隊は登場しません。 ナイフ一本を武器にさすらい人となって、旅客宇宙船で旅するのです。 この「巨大コンピュータの謎」も、ある情報惑星に主人公のデュマレストがたどり着くところから始まります。 しかし、アースの情報料は予想以上に高い。なんとかして金を稼ぐ必要がある。 ここからが、面白いところですが、その方法は一つじゃない。 腕に自信があれば、闘技場。運試しに、カジノ。情報収集すれば、じいさんと宝探しにいく展開もあります。 もしくは、宝さがしの軍資金あつめに他の手段を選んだり、自由度は高いです。 やがて、デュマレストは誘拐事件に遭遇。 女の子がさらわれたか、誘拐を防いだかで、ストーリーは分かれてしまいます。 ちなみに女の子シャラナは、イラスト効果もあって当時から、読者にかわいいと評判でした。 判断ミスをすると、一瞬でゲームオーバーにもなる厳しい調査を越え、犯人をつきとめる。 そしてそのさらに奥に隠された、サイバーの野望を阻んで行く展開は、まさにデュマレスト・サーガ。 原作を知らずとも、シティアドベンチャーゲームブックとして楽しめます。 このタイプは意外と数がないので、本書はその貴重な一冊でしょう。
このゲームブックの後書きでは、本書がストーリー的には、小説の1・2巻の間だと書かれています。 確かにまだ宿敵サイバーには、本格的に狙われていません。 しかし、ずっと後でわかるはずの、地球に関する情報が判明し過ぎていると思います。 これはもう小説版とは別。もう一つのデュマレストサーガだと考えた方が、素直です。 ちなみに小説の方は、ゲームブックより先に絶版になっていて、全巻そろえるのに非常に苦労しました。 原作のことをもっと知りたい方は、勝野知徳様のサイトへ行くことをオススメします。 宇宙友愛協会 http://www26.freeweb.ne.jp/novel/mgfcom/index.html
次回は惑星不時着(たぶん)
2002年03月23日(土) |
かまいたちの夜(チェンソフト) |
今回はゲームブックではない、スーパーファミコン。 でも、親戚みたいなもんであるサウンドノベルゲームの感想です。 このジャンルで唯一やりこんだのが、このかまいたちの夜。 前作の弟切草に比べ、ストーリーが練られている。 この内容をそっくりゲームブックにしても、面白かったのではないかな。 (アナザーストーリーのゲームブックがあるらしいけど、持ってない)
ストーリーは、吹雪のなか孤立したペンションで殺人事件がおきると言うもの。 王道です。ベタベタです。典型的です。犯人はこの中にいる!なのです。 客の一人である僕は、彼女と一緒にペンションにやってきています。 たわいない団欒のシーンが続いた後、ガラスの割れる音と共に謎の殺人事件発生! 別に爺さんが名探偵だったわけでもないけど、僕は一生懸命犯人を推理します。 そのチャンスは3回。犯人を見つけたら終了。 チャンスを逃すたび、お話しは続き、お客や従業員が次々に殺されてしまいます。ヘタすると全員皆殺しの憂き目にあうホラー小説と化してしまいます。 トリック自体は簡単だったので、3回目のプレーでクリアしました。
で・も・。おもしろいのは、ここから。 次のプレーでは、新しい選択肢が増えているのです。 妖怪が襲ってくる話しやら、スパイが密会をする話やら、わけわかんないオチがあったり、違う話が楽しめてとってもお得。 話の中身も本編で犯人だった奴が、いい人になっていたり、目立たない宿のおばさんがムチとローソクを持ってきたり、バラエティ豊かです。 これゲームブックでは、あんまり使ってない手法ですね。 何度も楽しめる本がゲームブックなのだから、ちょっとマネしてみたらいいのに。
つっこみコーナー 最初のサスペンス編の犯人様。 謎がとけても、あなたがなぜあんな手間のかかる事をしたか理解できません。 死体なんて雪山の中に捨てればいいと思わなかったのですか? さらには、宿の人間を皆殺しにするつもりなら、トリック自体なにか意味があったのでしょうか。
2002年03月22日(金) |
グーニーズ(二見書房) |
ゲームブックの存在を知って間もない小学生の頃、親に買ってもらった本。 海賊の宝の地図を見つけた少年達が宝捜しをするという、直球ど真ん中のお話しが気に入った。 元ネタの映画があるとは全然知らなかったのですが、少年達が生き生きと魅力的に動いていて、とても面白かった。 はっきり言って、後で見た映画を超えていたと思う。 どの選択をしようが、失敗しようが彼らはくじけない。 「ちくしょー」とかあっけらかんと言いながら、宝捜しを再開するのだ。 これは、システム的にもそうなっていて、この本は途中で終了することがない。 つまり、少年達が殺されたり、活動不能な状態になることは決してないのだ。 替わりに海賊のワナなどにひっかかったり、崖からおちたり、悪人につかまったりすると、10分、30分と時間が余計に経過する。 実は、映画でもそうだったが少年達の住む町の土地は、後10時間で悪徳業者に売り渡される予定になっており、時間内に少年は宝を持ち帰る必要があるのだ。 時間がかかりすぎて、10時間を過ぎたらそれがゲームオーバーと言うわけです。
当時の私は、時間以外をメモしておらず、骨でできたピアノを弾くのに3度も失敗して、同じ回り道をグルグルと繰り返す。 ぬぉ。やばい、もうすぐ10時間だ。 と思っていたら、宝の部屋にたどり着く。 袋とじの部分を開けるのも楽しく読むと、宝を前に最後の選択肢。 欲張って、やばい事になりそうだったが、とにかく無事クリアした。 クリア後に経過時間によって、グーニーズとしての冒険度診断が用意されている。 制限時間ギリギリだったが、それが良かったらしく、君こそグーニーズと書かれていた。 やったね!
2002年03月21日(木) |
モンスターの逆襲(社会思想社)その5 |
*ネタバレ注意。最後の雑感以外、プレイ予定の人は読まないようにして下さい*
ついに最後の敵、魔法使いストームシャドウの住む島にやってきました。 でも、冒険を進めるうち、実は魔法使いストームシャドウは本物ではないと判明。 実は本人は改心しており、弟子ザルタンが裏切ってその肉体を奪い取ったのです。 と言う、なにやら複雑なストーリーはさておき、イフリート、デーモンと順調にパワーアップします。 ストームシャドウの魂に導かれて、ザルタンと対決です。 魔法使いに殺されたドラゴンの霊のおかげで、ザルタンの魔法は全て無効。 さぁ、トドメと言うときに、ザルタンは黒いヒスイを4つも出して勝ち誇ります。 途中で登場したなぞなぞ親父は、こいつだったのです。 変身!彼が何に変身するか、サイコロを振る。 あれっ、スライムみたいなキラーブロックになってしまった。 あっさりデーモンの炎で燃やしておしまい。 復讐を終えた主人公は、炎の精霊界へと帰って行きました。完
ウォーロック版と文庫版との違い。 ウォーロック版はストレートに魔法使いストームシャドウが最後の悪役で、ザルタンとか、戦士フリントとかの設定は文庫版で誕生したものです。 この章のパラグラフも、文庫版は100から150へ増量しています。 最後に魔法使いが黒いヒスイで変身するシーンも、ウォーロック版と文庫版で何に変身するかが違います。 他にも細かいところはありますが、こんなところで。
この章の雑感。 最後は壮大な物語が完結したような達成感あり。(この日記だとそう見えんが) 特にドラゴン族に変身してクリアすると、素晴らしいエンディングが用意されています。 まだ、この本は注文すれば入手できますのでぜひおためしを。
2002年03月20日(水) |
モンスターの逆襲(社会思想社)その4 |
グレンとの戦いから数ヶ月がすぎ、ついに戦士ブリンケンとの対決を前に控えました。 しかし、道を急ぐ主人公の前に騎馬隊がおそってきます。 実は、オオカミ男最大のピンチなのです。 ここはメデューサ以外、敵と戦ってもきりが無いので逃げるしかないのですが、 サイコロ運悪く逃げ遅れると、一騎倒してからでないと再び逃走できません。 昼間なので、オオカミに変身できず、戦闘になると分が悪すぎるのです。 ここで何度もオオカミ男は死にましたが、とにかく話を進めます。 変ななぞなぞ親父が登場。クイズに答えて、黒いヒスイをもらいます。 わけのわからないまま、ジャアントに変身。 続いて、先日まで戦士ブリンケンがいた城で、やりあったあげく、 もう一個黒いヒスイを見つけて、ジンに変身です。 船で立ち去っていく戦士ブリンケンを、飛んで追いかけて無事成敗しました。
ウォーロック版と文庫版との違い。 ウォーロック版には、サチェロスに変身した場合、本能的に森で女の妖精を追っかけてしまい、そのまま遊んで暮らすというバットエンドがあります。 ウォーロック版はハーピィに限り、漁師を歌声で酔わせて、ブリンケンの乗った船を追いかけさせる展開があります。
この章は基本的に一本道ストーリーです。 他の感想として、ブリンケンは戦いで弱ると精霊を呼び出して攻撃させてきますが、そのまま自分で最後まで戦った方が強かったと思います。
2002年03月19日(火) |
モンスターの逆襲(社会思想社)その3 |
二番目の標的、僧侶のグレンは街のど真ん中の教会に住んでいます。 町の人の視線を避けて、町の地下にのびる迷宮を突破して教会に向かう。 ・・・のがセオリーですが、オオカミ男には、関係ありません。 堂々と街中を歩いて、教会に侵入。 オオカミに変身して、僧侶のホールドの術も破り、強引に突破です。
ウォーロック版と文庫版の違い。 ウォーロック版はオオカミ男はいません。しつこい。 他はダークエルフの商人から買った品の効果が少し違います。 文庫版のみ地下迷宮でグールに殺され、グールに変身する展開もある。
僧侶グレン編は、オオカミ男以外、地下迷宮を通らないとクリア不能。 またグール以外のアンデットに変身すると、これもクリア不能です。 短いから気にならないけど、はまりになりやすい選択が多いです。
2002年03月18日(月) |
モンスターの逆襲(社会思想社)その2 |
冒険を始めた私。最初の標的は、盗賊ランブル。 盗賊=弱いというのは不満だが、ま、それはそれとして。 さっそく、黒いヒスイを調べている、ドワーフの2人組に出会います。 話しかけてみると、問答無用で戦闘を仕掛けられ、あっさり死亡。 ・・・さすがコブリンです。 でもこれが、冒険者がごく普通にコブリン退治する光景なんだなー。 しかし、2度目のプレイでダイアーウルフを味方にして、ドワーフを倒す。 ボブコブリンにするか、オークにするか、コボルトは弱くなりそうだな。 よし人間になろう。黒いヒスイでさっそくへーン、シン! 人間、弱すぎ。ノーマルな人間って、こんなに弱いのか〜。 でも、ランブルを騙して2個目の黒いヒスイを奪い取る。 オオカミ男に変身して形勢逆転。一気に倒しちゃいました。
ウォーロック版と文庫版の違いについて。 そもそもウォーロック版は、オオカミ男に変身できません。 あと、ランブルの店にそっと忍びこんだ場合は、少し違う展開もあります。
盗賊ランブルの章は、クリアまでいろんな道筋があって好きです。
2002年03月17日(日) |
モンスターの逆襲(社会思想社)その1 |
モンスターが主人公って設定は、たまにありますよね。 「ワードナの逆襲」とか結構好きです。 ゲームブックでも「モンスター誕生」と「モンスターの逆襲」と2つあるんですね。 (他にもあるかもしれんが、有名どころと言うことで) で、まず「モンスターの逆襲」なんですが、これがはまりました。 主人公はコブリン。 多くの仲間を殺した、4人の人間達への復讐の為に旅立ちます。 人間達がぶんどった、コブリンの秘宝の黒いヒスイは変身能力があるのです。 こいつを奪い返しながら次々に強力なモンスターへ変身して、人間達を打ち倒していくお話しです。 さあ、冒険を始めます。
次回に続く。
ダブルクラウンさんのゲーマニ情報ですが、4月発売予定のパンタクルに、 読者の広場的な小冊子がついているらしい。 アドベンチャラーズイン的な内容を目指すのだろうが、何か投稿しようかな。 でもイラストヘタだし、感想文は他の人も書きそうだし、どうしようかな。
それにしても、ゲームブックコンテストなんかも復活するのかな。 まだまだ復刊の流れは動き始めたばかりなのに、期待ばかり先立つなー。
ゲーマニ http://www06.u-page.so-net.ne.jp/kc4/chacha/gamebook/index.html
剣社通信 http://www.soudosha.com/
2002年03月15日(金) |
顔の無い村(社会思想社) |
ゲームブック情報誌「ウォーロック」に掲載していた「顔の無い村」のレビューです。 この作品は「送り雛な瑠璃色の」と言う文庫本に収録されているのですが、持っていないので、ウォーロック版をプレイしています。 ルールはFFシリーズやソーサリーと共通なので、つかみは問題なし。 舞台は現代の日本。情報はこれだけ。
技術:10 体力:17 運:11 でスタートです。
いきなり、静まりかえった和室で目覚める私。 なぜここにいるのか、記憶もない。 手がかりを求めて捜索するが、謎の書き置き以外ないので外にでる。 ここからは町内マップが表示されて、行きたいところの番号に進む。 ドラゴンファンタジーシリーズなどでしばしば見られるシステムだ。 時間の概念があるので、ウロウロしていると夜になって状況が変わるらしい。 人の姿を求めて駅に行くが・・・ ヒィィィッッ。おのれら、寄るんじゃない。 診療所に行くが・・・ な、なんじゃぁ。 河原に行くが・・・ ヒィィィッッ。 怖い、怖すぎる。 途中で武器を手に入れ、戦闘は楽になった。 サイコロ+5とは名刀の実感がする。 それにしても、強制的な運だめしが多い。 殆ど回復しないので、3点しか残っていない。 7点でスタートしていたらマイナスになっているよ・・・。 夜になって、謎の物体の波に逃げつづける。 何とか脱出して、正常な世界に戻る。 ふぅ、終盤厳しかったが、初プレイでクリアしたぞと。
でも、本当は一度死なないと進めない展開もあるのだ。 ちょっと、もったいない感じ。 しかし、静かすぎて不気味な町と謎めいた人間や妖怪は、非常に怖さのツボを得て描かれています。なにか有害な存在が身近に迫ってくることは伝わってくるのに、その実態が見えてこない。正体がわからないゆえの怖さというか。 これは「地獄の館」のようにゾンビやカルト教団が襲ってくるような海外のホラー映画的な怖さとは違って、日本の都市伝説じみた怪談話に近い怖さです。 ゲームブックの面白さってパラグラフ数ではないね。
2002年03月14日(木) |
スーパーマリオブラザーズ マリオを救え!(双葉文庫) |
ファミコン冒険ゲームブックシリーズ記念すべき第一作(と思う)。 この本を人が読んでいるのを見て、初めてゲームブックの存在を知った、個人的にも記念すべき一冊。 ストーリーは普通の現代人である「僕」が、マリオの助けを呼ぶ声に導かれる。 そしてキノコワールドに入り込んで、マリオの代わりにクッパ軍団と戦うと言うもの。 キノコワールドは、ファンタジー世界というより無機質な電子世界といった感じで、イラストの他にゲーム画面の写真を使っている。パックンフラワーと戦う、土管に入る、と単調なアクションと文章が続く。中にはクリボーにワイロをやって牢を脱出すると言うイベントもあったが、各行動とストーリーに脈絡はない。まさに、「TVゲームが本でできますよ」と言うためだけの作品であった。 おもしろかったのは巻末にパラグラフ40の「ルイージの大冒険」と言うミニゲームブックがあること。今でこそ彼が主役をはるゲームが登場しているが、当時影の薄い彼が主人公というだけでもすばらしい企画だった。アイテム3つの所持状況さえ、記憶すればいいのでメモをとる必要がなく、本編よりこっちを遊んだことが多い。 でもルイージの冒険もゲーム画面の写真はマリオだったのはやはり可愛そう。(苦笑)
2002年03月13日(水) |
名探偵ホームズ 鬼岩城の謎 (学習研究社) |
マイナーなタイトルの思い出話しです。 主人公は行方不明の兄を探す少年。 悪の組織から逃げながら、名探偵ホームズと共に鬼岩城にかくされた秘宝を探す。 現在この本は所有してないけれど、そういう話だったと思います。 なぜ電車とか走る現代にホームズがいたかは謎だし、パラグラフも190しかなかったけど印象深い作品です。 それは、選択肢によってストーリーがまるで変わるから。 自由度が高いとかそんなんじゃない。 例えば主人公が隠し通路を探すか、あきらめて宿屋に行くかと言う選択肢があるとします。この行動でなんと秘宝の在りかが変わってしまうのです! 他にもどの通路を選ぶかによって、後で再会するお兄さんが悪人として登場することもあれば、犯罪捜査員として主人公に協力してくれることもあるなど、主人公の行動の結果とは、何の関係もない物語の設定がどんどん変わってしまう。 そのためその場その場のミニゲームや、危険がせまっている場面を除けば正しい選択肢という考えは存在しませんが、何度もストーリーを楽しむという意味では面白いアイデアといえます。 こうゆうゲームブックって、ありそうで意外とないと思います。
この作品を遊んだ時は小学生だったのですが、子どもなりにこのホームズは推理をほとんどしないなぁと思っていました。鬼岩城も登場するし、むしろ怪盗ルパンが同行する設定にした方がふさわしかった気も。 ちなみにグットエンディングは何種類かありまして、財宝を入手できたかと、兄さんやその恋人の女性(この女の設定も展開によって変化…)と一緒に生還できたかによって、それぞれ70点から100点に評価されていました。
2002年03月12日(火) |
それはダークサイドの誘惑 |
この日記って本当は3月13日から始めたんだよね。 3月1〜12日の書き込みは全て、メルマガサイト「ゲーマニ」に投稿したり、後で書き足したりした内容なんです。 なぜかと言うと13日からってのが中途半端っぽくて、気になってしょうがなかったからなんですね。 私はゲームブックでも、そのレーベルで1冊だけ所有してない本があると無性に気になるタイプなのです。 きっとコレクター道に陥りやすい人種なのでしょう。 そういえば現在のゲームブックファンの中には、ゲームブックコレクターも結構多いですね。 でも、ゲームブックの収集を始めると、長く険しい地獄の苦しみになるのは、目に見えているからやっぱり止めておきます。 しかしああ、最近では今まで気にも止めなかったヘタレ本でも、持ってないゲームブックが古本屋にあると、購入しようか迷ってしまう・・・。
2002年03月11日(月) |
荒寺の大蛇(ろーたろう) |
「まだ未プレイのゲームブックに挑戦したい!」 それなのに過去に発売された大半のゲームブックが、新書で入手できない現在。 ゲームブックファンなら、そんな欲求はないでしょうか。(コレクターは除く) これって実は簡単にかなえることが出来るのです。 気がつきませんか? あるじゃないですか。未知のゲームブックが沢山。 Webで自作ゲームブックを発表しているサイトのことですよ。 検索やゲームブック関連HPのリンクから、いくらでも発見する事ができます。探せばもう数え切れないくらいに。 「でもそれってもうサウンドノベルみたいな奴じゃない?それはゲームブックじゃないよ」 「パソコン見ながら、長文読んだり、アイテムをメモしたり、サイコロ振ったりなんか面倒だよ」 「そもそも素人作品じゃ読む気がしないよ。ここぷりん部屋の作品だってしょうもなかったし」 あわわっ、でもこれぞゲームブック!と感じさせるものはあったんですよ。 「ナラティフ」というサイトにある「荒寺の大蛇」というデジタルゲームブックがそれです。 一人に武者となって荒寺の妖怪退治をするという、和風っぽい内容の分岐小説なんですが、とにかく背景画像や効果音の演出がよくできてます。 まあこれだけだとサウンドノベルの良作ではあるが、ゲームブックファンには物足りないかもしれません。 しかし決定的に一般のサウンドノベルと違うところがあります。それは戦闘シーンがあること。 画面中央に現れたサイコロ2個(ここがミソ)をクリックで振って、そのたびに敵か自分の体力を2ポントずつ減らして行くのです。 これって、まるでファイティングファンタジーシリーズのような、戦闘じゃないでしょうか。買い物したり、拾ったりして、食料や小道具などのアイテム管理をするあたりもゲームブックっぽい。 そして能力値やアイテム管理も、パソコン上で全て処理してくれるから、メモの必要など一切なし。すこぶる快適な操作環境でした。 けっこう短いストーリーだったけど、それが残念に思えるくらいよくできてるよ。 さぁ、君も挑戦してみたくなったら早速「ナラティフ」に移動して、ダウンロードしてみよう!
ナラティフ http://www.ab.wakwak.com/~fjt/r/
注意*「荒寺の大蛇」はWindowsパソコンでしかプレイできません。マックユーザーの方はご愁傷さま。 (昔マックを裏切って乗り換えた男、山口プリン)
2002年03月10日(日) |
悪魔族の叛乱(J・H・ブレナン/二見書房) |
この作品は以前メルマガのゲーマニ亭に感想を投稿していますので、それを読んだほうが早いでしょう。 というわけで以下、ゲーマニ亭108号から無断転載。(書いたのは僕だけど)
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ゲーマニ亭主様
拝啓 お久しぶりでございます。お元気ですか?僕は元気です。いや、13へは逝きまくってます。
ゲーマニ亭に感想をよこすべしという条件で、二見書房の「悪魔族の叛乱」を譲っていただいたのもかかわらず、すっかりごぶさたしてしましました。 ちゃんとクリアしてから報告したかったのですが、なかなかクリアできずに今にいたっています。
というか序盤すら抜け出していません。
サイコロ運もあるのでしょうが、最初から奴隷商人達に強制イベントで殴られて体力が減り、脱出したあとも戦闘につぐ戦闘でなかなか生き残れないのです。 運良く生き残り、物語の鍵である魔剣ドゥーム・ブリンガーを発見したことも何度かあります。しかし、「1から6の中から二つの数字を適当に選んでサイコロを一つ振れ。選んだ数字と違っていたらゲームオーバー」とは少々酷いのではないのでしょうか。強制イベントなのに成功率は3分の1しかないのですよ。まったくの運任せですよ。どう考えても厳しいですよね。ついてないときはついてないもので、これがなかなか成功しないのです。
一度だけ成功しましたが、すぐそのあとに閉じ込められてしまったうえ、罠にかかって死んでしまいました。とにかくよく死にます。 真面目にルールを守っている正直者は愚かでしょうか?そうかもしれません。しかしもう少しかんばってみます。
私だってルールを端折ってゲームブックをプレイすることはありますが、それはつまらないゲームブックと判断したときだけです。 「悪魔族の叛乱」はあのドラゴンファンタジーシリーズを書いたブレナンの作品とは思えないほど、硬派なヒロイックファンタジー風の作品。追放された荒野族の戦士が運命の糸に手繰り寄せられるように冒険に向かっていく物語。死のセクションも14ではなく13です。
私的にはこちらの路線の方がドラゴンファンタジーシリーズより好みの雰囲気だったりします。あ、いや、奴隷商人に慰み者にされそうになる少女が登場するからとかそういう意味ではないですよ。
シリーズものなのに日本ではこの第一巻しか翻訳されていないのは大変残念なことですが、ひとまずこの一冊だけは挑戦を続けます。 もしクリアできたら続きをご報告いたします。それまで亭主もお変わりなきようご自愛下さい。それでは。 敬具
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以上なのですが、あれから全然進んでいません。もう真っ当にクリアするのはあきらめて小説感覚で物語の続きを読んでしまいました。 つまらないゲームブックと言い切ってしまうには、勿体無い雰囲気をもっている作品なのですけどね。最後は冒険を共にする2人の仲間も登場して、さあこれからというところで本書は終わっていますが、もし日本語版のシリーズが完結していたらそれなりに楽しめるシリーズにはなったと思います。 ただ少なくともA級作品とはいえませんね。私にとってA級ゲームブックとは、世界観、ゲームバランスが共に気に入った作品でないと駄目なのです。(例えばソーサリーとか、ブラッドソードとか、ティーンズパンタクルとか、吸血鬼の血闘とか) 某サイトの情報によると、この「悪魔族の叛乱」は日本語版を出版するにあたって、原書から大幅な設定の変更をしていたそうですが、それならついでに戦闘バランスも調整して欲しかったなぁ。
2002年03月09日(土) |
ウィザードリィIII ダイヤモンドの騎士(双葉文庫) その3 |
最下層に到着した冒険者一行。さすがに強そうなモンスターが続いて登場します。ここからは、パーティから2人目のリタイア発生とか、謎の騎士との再会などイベントも多いのですが、ネタバレになるので書くのはパスです。 それにしても今までの階で、手裏剣などいくつかのアイテムを取りこぼしたようです。 その分サイコロ運がないとクリアできないシーンがあるのがつらいです。それに加えてバンパイヤロードにやられたレベルドレイン攻撃が痛い。最強のレベル6から、一気にレベル4まで落ちます。これが響いて、ダバルプスとの最終戦に負けてしまったのです。 惜しい!
最初からは辛いので最下層の入り口から再スタートしますが、なかなか勝てません。 そして4度目の挑戦。ついに主人公の呪文で弱ったダバルプスを斬りつけるのに成功! 苦戦ながらとにかくクリアしました。
<雑感>
ウィザードリィの設定や雰囲気はよく再現されている気がします。 でもウィザードリィの魅力って「5階の魔物と戦ったとき、僧侶が石化して困ったよ」とか「このあたりで経験値を稼いで転職したな」とかプレイヤーの数だけ冒険のストーリーがあるあたりがいいと思うのですよ。 本書はメンバーチェンジから宿の行き来まで強制イベントになっているので、この楽しさがないのが残念でした。 まあ原作と比較して考えなければ、これはこれで面白い作品とは言えます。
余談ですが、本書には出口も入り口もない隠れパラグラフがいくつかあるのです。 その中の一つには、“美青年の僧侶が主人公を禁断の世界にさそうシーン”が書いてあって、ちょっと笑えました。本書を持っている人は気づいていましたか?
2002年03月08日(金) |
ウィザードリィIII ダイヤモンドの騎士(双葉文庫) その2 |
冒険者一行はついに地下迷宮に降りました。 迷宮と言うだけはあって、簡単ながらも迷路になっているので、マッピングを始めます。スライムやディングなど下等な魔物と戦いながら探索しますが、経験値と金が存在しないので、アイテム入手以外に魔物を倒すメリットがない。作成していくマップを参考に、不用な戦闘をなるべく避けます。地下1階を大体制覇したころ、強制イベントで盗賊がリタイア。 リルガミンの街に戻ると新たに忍者が仲間に入りました。性格を善か悪から選べとあります。ウオオォォォォ。善悪混合パーティは邪道! でも善の忍者など俺の美学が許さん! 原作にこだわって、変なところで無意味に悩みます。結局“悪”を選択しましたが、やはりどっちでもその後の展開に影響はありませんでした。
地下2階に進みます。途中で1階に戻ろうとすると、主人公達が「もう必要ないだろう」などと言って戻れません。つまりここからは街にも自由に帰れなくなります。 消耗したヒットポイントはマジックポイントと引き換えに、(美青年の)僧侶が治療してくれます。 でもこいつ、主人公を熱っぽく見つめるのでなんだか恐いです。早く宿屋で回復したい。あ、そう言えば宿屋でも僧侶は主人公のベットに入ってこようとしました。 追い出しましたけど。
一方、パーティ唯一の女性キャラ、エルフの魔法使いはヘビに締め付けられて喘ぐシーン(イラスト付き)とか妙にお色気が多い。 なんとなく人気時代劇「水戸黄門」を連想しました。仲間のキャラクターについては、どうも作者の趣味が全開している感じです。 そんな私の不安をよそに、冒険自体は地下3階・4階と普通に進んでいきます。 魔物以外にシュートや回転床のトラップに苦しみながらも“ダイヤモンドの騎士”の武具を入手成功。 一旦リルガミンの街に戻りました。 宿に泊まって明日はいよいよ6階を探索。魔人ダバルプスの待つ最下層です。
続く
2002年03月07日(木) |
ウィザードリィIII ダイヤモンドの騎士(双葉文庫) その1 |
原作を知らない人に説明すると、ウィザードリィは(6人パーティが基本で)冒険者が地下迷宮の奥にいる悪い魔法使いを退治するゲーム。 ダンジョン探索型ゲームはこのウィザードリィが元祖なんですね。 自由度の高いキャラメイキングとシナリオが、今でも根強いファンを生んでいます。 最新作はもう別物ですけど。 (ちなみにウィザードリィIIIと言っても、双葉ゲームブックはファミコン版を元にしているので、本書のストーリーはPC版で2番目のシナリオです。あーややこしい) いい加減にこのあたりで、本題のゲームブックの話しに入りましょう。 まずはシステム説明。ヒットポイント、マジックポイント、アイテム管理はパーティ共有。主人公の武器以外は、装備品の概念がありません。驚いたことに所持金と経験値もなし。 えらくバッサリと斬り捨てたルールです。ゲームブックであまり要素を詰め込めると、プレイが煩雑になるのでしかたないかもしれませんが。 最初は主人公の戦士、それから盗賊の2人でスタートですが、ゲームが始まってからすぐに他の冒険者達もパーティに参加して6人になりました。 パーティの職業構成は、戦士・盗賊・侍・僧侶・司教・魔法使いの固定です。キャラメイキングはウィザードリィの最大の魅力なので選択の余地がないのは非常に残念。 かろうじて各キャラの性格(善・中立・悪)は選べますが主人公が最初から善なので、善人悪人の混合パーティは邪道!と、私のこだわりで善人だらけのパーティにします。 これで準備はできました。いざダンジョンへ出陣です。
続く
2002年03月06日(水) |
人食いライオンを撃て!(いけうち誠一/大都社) |
漫画で152ページになるゲームブックです。 内容はイサムとニックとケイトと言う3人の冒険家が東アフリカで人食いライオンを退治するお話し。 能力値とかアイテムは一切なし。判断ミスをするたびマイナス点がつき、-10点でゲームオーバーです。 冒険をはじめるといきなりゾウが襲ってきます。
ニック「向かって来るのは1頭だけだ。撃ち殺そう!」19へ イサム「じっとしてろ!そんなことしたら他のゾウが興奮する」34へ
じっとしていたら、ゾウは威嚇だけして立ち去りました。 その後もニックとイサムはことあるごとに意見が分かれ、そこで選択肢になります。 意見の対立は動物の習性やサイバイバルの知識に関することで、どちらかが正解。 間違うとマイナス点がついて正解の選択肢に移動します。(たまに話しが分岐する) いやぁ、なんか単純で面白いです。短いので気軽にできるし。今の子供達にもとっつきやすいかも。 アフリカマメ知識の勉強みたいで、小学生向けの学習雑誌を思い出しました。 ちなみにいまいち存在感が薄い、女性キャラのケイトですが泉にいくと入浴シーンが拝めると言う基本は外していません。
本書はチャレンジゲームコミックスと言うシリーズの第1巻らしいです。巻末に続巻の予告があったので見てみると、 爆走1万キロバイクラリー「改造バイクがずらり勢ぞろい!強豪相手にキミは優勝できるか!?」 Loveハンティング「タイプの異なった女の子が6人。キミはどの子とニャンニャンしてみたい!?」 このシリーズ・・・・・・どの購買層をねらっていたのだろうか。
2002年03月05日(火) |
手軽にできる絶体絶命(多摩 豊/早川書房) |
ウォーロック13号でこの本が「不条理なゲームブック」と紹介された当時は興味がなかった。 その後、原作者である火浦功にはまっていた時期があって、その時さんざん探しても見つからずじまい。 そして現在はなぜか2冊所有している、因縁の本です。 ちなみに、原作である「みのりちゃんシリーズ」は、常識が通じない小説。 主人公がマッドサイエンテストの少女という設定はまだ良い。 この世界ではお弁当用にウィンナーをタコさんに切っていると爆発することがあっても不思議ではないのだ。 で、ゲームブックでは原作と同じく、唯一のまとも人である記者、山下さんの視点で進める。 喫茶店でフルーツパフェにするかチョコレートパフェに迷ったみのりちゃん。 その場で「選択機」なる装置を製作!してしまう。 これが誤作動を起こして、いろんな次元を旅することになってしまうハメになる。 さっきまで宇宙船にいたかと思えば、つぎの瞬間マファイアに銃を突きつけられ、気がつくと賭博上で着物をきたみのりちゃんがいるといった具合。 いろんなシーンがぶつ切りになって、くるくる状況が変わる。 どうやったら元の喫茶店に戻れるかなんて“考えるだけ無駄”なのである。 ひたすら巻き込まれ、極限状況を楽しむ。そんなゲームブックだった。
2002年03月04日(月) |
怪談学園 水絵のゴーストバスターズ(安藤 夏/双葉文庫) その2 |
再挑戦するが、その後も音楽室で2度飛び降りた私。 無念ながら、ものおじしないB型人間になって音楽室を突破。(注:後でチェックしたら、O型で不器用でも、ちゃんと抜け道があった) 次々と襲ってくる幽霊達。 理科室で顔がただれた女の子。 トイレの花子さん。 階段で突き落そうとたたずむ謎の影。 寂しくて子供達をさらう、校庭の大木。 ・・・なんだかベタベタだぞ。 それでも怖がっていると協力者登場。 それは、幽体離脱中の男の子、久太郎君。 この異常現象を止めないと、彼は蘇生できません。 やがて、幽霊達を登場させた悪人が登場です。 さあ、妹を救え、仏像を運べ、冥界道の開通を阻止するんだ。 でもわたし、久太郎君がちょっと気になってきたの。 ・・・やはり少女小説に、この展開は必須なのだろうか。 一度、日本兵達にさらわれて終了したものの、他は大体順調に進める。 悪人との戦いを越え、見事封印成功。 ありがとう久太郎君、また合えるよね。 そして翌日(ネタバレ自主規制)。
HAPPY END
微笑ましい(?)展開に、ニヤニヤ笑いながら読んでました。 とは言え、行動の自由度が高く、意外と丁寧に作られています。 従来ファン向けとは正反対の、可愛い絵と文章の少女小説ゲームブック。 今では、ゲームブック界でも珍品扱いとは、少々不遇かもしれません。
2002年03月03日(日) |
怪談学園 水絵のゴーストバスターズ(安藤 夏/双葉文庫) その1 |
ペパーミントゲームブックシリーズ(注1)に初挑戦です。 主人公は小学6年生の女の子。 夏祭りの途中で忘れ物に気づき、友達と妹の3人で夜の学校に足を踏み入れると言うストーリー。 美少年に恋する話しとかじゃなかったので、ちょっと安心する。 まずキャラクターメイキングですが、この本はサイコロを使用しません。 女の子向けらしく、雑誌でよくみかける性格診断チャートで、好奇心、器用度、運動値を決定。 次に夏祭りに来ていたので、金魚やワタアメなどから所持品を選びます。 なんかパンタクル2で、ハンカチとチリ紙を持って冒険にいくメスロンみたいです。
さて、冒険が始まり夜の学校にそっと進入します。 すると誰もいない音楽室から、ピアノの音が聞こえくるではありませんか! キャーーーーーーーと逃げていると、妹とはぐれ、友達は家に逃げ帰ってしまいます(注2)。 妹を探しに一人で音楽室に戻ると、無人演奏ピアノが登場。 天上から滴る血で「展覧会の絵」(注3)をひきながら、精神攻撃をしてきます。 ここで、あなたの血液型は?と選択肢。 アクシデントに弱いO型(と書かれていた)の私はパニック。 ワタアメで滴る血を止めようとするが、「器用度B」なので失敗。 そのまま窓から飛び降りて、ゲームオーバーです。
注1:少女小説をベースにした女の子向けゲームブックシリーズ。 注2:こらこらっ。学校に来たのは、あんたの忘れ物のせいだろ。 注3:一部ゲームブッカーに好評のクラシック。
2002年03月02日(土) |
チョコレートナイト(鈴木直人/創土社) |
「そう。この本を手に取った時、あなたはぼく自身と化す。 身長100センチ、体重30キロ、毛むくじゃらの顔、大きな目。 ちょっと利口で、一見気弱そうで、でも勇気はある。この冒険は、そんなあなたでなくてはつとまらない。 さあ、ぼくの足を使って、あなたは歩き始める。右、左、右、左、そう、いいぞ。 うん。これならバッチリだ。ぼくらは息が合いそうだ!」
2001年の秋。 「ドルアーガの塔」など執筆し、日本のゲームブック界では一番の巨匠と呼ばれた、鈴木直人氏の新作が10年ぶりに発売された。 この情報を最初に知ったとき、一緒に紹介された上の鈴木氏独特の文章を見て真実だと信じました。衝撃でした。 創土社さんの活躍によりゲームブックは息を吹き返したと言えるでしょう。思いもかけない喜びです。 それでは、ネタバレにならない程度に紹介してみます。
ストーリーは、「悪い魔法使いのジェットフィンガーが人間の国の王様を病気にしてしまいました。治して欲しかったら御姫様と結婚させろと言ってきた。そこでファジー族の勇者ポポレイポラは、結婚を止めてもらうよう嘆願するために、魔法使いの城に向かいます」というもの。 わかりやすい子供向け童話のようなお話しで、街の人もブタさんだったり、猫さんだったり、かわいらしいです。 従来の鈴木直人氏の作品を知っている人は、この作品に違和感を感じるかもしれない。 鈴木氏の芸術的とも言われた緻密なパラグラフ管理による魔法システムも、特徴とも言えた双方向システムによるマッピングもないから。 しかし、鈴木氏の文章にはユーモアがあふれていた。ブレナン作品の溢れるようなユーモアとは違う。 ちょっとした文章の言葉使いの端々に、にじみ出るような笑いのエッセンス。そこが妙に楽しかった。 鈴木氏はこの十年間も物書きをしていたのだろうか。 独特のセンスはそのままに、文章表現が10年の間に大きくスキルアップしていると感じた。(追記1) ゲーム内容的にはパズル要素が強い。 ゲームブックの知識がない人に対しては、ストーリーがついたパズルの本 と紹介した方が早いかもしれない。 実際にプレイしてみるとジェットフィンガーとの対決シーンなど、職人芸とも言えるパラグラフ管理も健在だったと分かってうれしい。(追記2) はやり良く練り込まれて作られている。
ただし、少しは不満点も書きたい。 まずプレイヤーは、冒険中にアルファベットを書き込んでいくだけで良いという部分。 双葉社のペパーミントシリーズなど、同じ手法を取っているゲームブックは他にもある。どれも初心者向けの作品だ。 しかし本書の場合、同じ記号を複数書き込んで数えたり、消したりとやたら煩雑に書き換えを要求するので、かえって面倒に思えた。 この手法でカバーするには本書のシステムは複雑すぎたと思う。 金貨何枚、体力何ポイントと数で表した方が分かりやすかっただろう。 もう一つはサイコロを使った戦闘シーン。 パズルメインの本作品では違和感があった。ゲームブック初心者には、敷居にならないだろうかと心配になる。 次回発売を控えたパンタクルに向けて、戦闘ルールに慣れてもらう為の布石かとも思ったが、それでも蛇足の感はぬぐえない。
まあ不満と言ってもこんなところで、どちらも作品の本質をどうこう言うものではない。 かつての鈴木作品を期待した人などには、ガッカリしたと言う評価をくだす人もいるかと思うが、それは好みの問題だろう。 私は本書が名作だと思っている。 ゲームブックを殆ど持っていないという人は、まず先にこれを購入する事を自信をもってオススメしたい。
本書が、21世紀の「火吹き山の魔法使い」とならん事を祈っています。
(追記1) あとでこの作品が鈴木氏が昔書いて眠らせていたままの、未発表作品だったと知る。なんか恥ずかし…。 (追記2) 他の読者から、このシーンは完全に運任せだという不満の意見もあったようだけど、ここはジェットフィンガーの言葉をヒントに、効率的な矢の使い方と、最低でも2回分の稲妻が当たらない場所を予測できるように出来てます。
2002年03月01日(金) |
[右下の“HomePage”をクリックすると掲示板へ飛びます](R5.1.29再開) |
これは他に誰もやらないだろうと思って始めた、ゲームブックをネタにした日記です。 日付の扱いこそいい加減ですが、一応日記であって公平正確なゲームブックのレビュー集ではありません。 私自身がゲームブックを読んだときの感想などをただ書き綴ったものです。 作品の感想は基本的に甘口な評価となっています。 これは、ただでさえマイナーな世界で嫌ごとを書くよりは、まずゲームブックの面白さを知ってもらいたいという考えからです。もっと単純にその方が書いていて楽しいという理由もありますが。 ゲームブック用語も多いので、わかる人だけわかる内容となっています。 それでもいいと言う人だけ読んで下さい。
(2021.6.6追記) 掲示板を再設定しました。冒険記録日誌右下の「HomePage」をクリックすれば掲示板「書き殴られた板」へ飛びます。日記の感想などがあればこちらに書き込んでいただけると嬉しいです。 日記以外の更新は、レンタル元の「ぶっとびネット」にログインができない状態なので無理そうです。
<それでも一応ゲームブック用語の解説を少しだけ>
FFシリーズ……社会思想社から出版されていたファイティングファンタジーシリーズの略称です。某有名RPGや横スクロール格闘アクションの略ではありません。
一方向システム……どの選択肢を選んでも話しがドンドン進んでいくようになっている構造のこと。同じ場所に後戻りできない。
双方向システム……同じ場所を何度も行き来することができる構造になっていること。迷路のシーンなどに多い。
創土社……このご時世にゲームブックの復刊や新刊を出していた出版社。ゲームブックの新刊を出すのは創土社だけではありませんが、編集者の酒井さんの熱意により始められ、名作ゲームブックの復刊などゲームブックブーム当時のティストを残しているのはここだけです。
グレイルクエスト……昔、二見書房でドラゴンファンタジーシリーズとして発売されていた「14へ行け」で有名なゲームブックの原書でのシリーズ名です。復刊した創土社版のシリーズ名もこちらです。
はみだしゲーム……「クロスワードランド」というパズル雑誌に掲載されていたミニゲームブックのことです。作者は奥谷道草という方で、その正体はグレイルクエストで挿絵を描いていたフーゴハル氏。それにしても今でも新作のゲームブックが雑誌で定期的に連載されているというのは凄い話しです。(追記)残念ながら連載は終了しました。しかし、連載終了後もフーゴハル氏はまだまだ元気で、その後も書籍でゲームブックの新作を出しています。
<この冒険記録日誌の限定用語>
みーちゃん……山口プリンの愛娘。寝る前の読み聞かせに、たまにゲームブックで遊ぶことがあります。
たけたろう……ゲームブックのリプレイレポートを書くときの主人公の名前。常に最低能力値でスタート。性格は基本的に気弱で臆病で平和主義ですが、状況が優勢になると調子にのります。
ともみ……たけたろうの腹違いの妹という設定で、女性が主人公だったり、2人のキャラが必要なゲームブックのリプレイレポートを書くときに登場。こちらも常に最低能力値でスタート。兄貴と違って強気な性格。大食い。
最後にこの日記を書くにあたって、良く参考にさせてもらっているサイトを紹介します。
ゲームブック倉庫番 https://w.atwiki.jp/gamebooklist/
ここには日本で商業発売されたほぼ全てのゲームブックを網羅したリストが掲載されていまして、簡単な内容までわかる作品も多いです。 あなたが(ゲームブック風表現)この日記でまったく知らない作品の感想を読んだとき等には、このリストとセットで読むと、いくらかわかりやすくなると思います。
山口プリン
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