僕の心に 小さな熱がある 忘れていた 小さな熱 思い出した 小さな熱
消えないように 冷めないように 逃がさないように 諦めないように
いつか 大きな 炎になるように 今度こそ 今度こそ 忘れないように
君が 思っている以上に 事態は深刻で 君が 思っている以上に その道は険しい 君が あまりにも その錆びついた翼を 大切にしているから 君が目指す 光の園は もうまもなく その扉を 閉ざすだろう
君が 思っている以上に 錆の浸食は速く 君が 思っている以上に その翼は使い物にならない
迷っている 暇は もう無い
たとえ どんなに 空が君を誘惑しても たとえ どんなに 雲がゆっくり流れていても
君には もう 時間がない
だから
その翼 背負ったまま 走れ 君の過去のすべてであり 君の過ちのすべてである翼 たとえ その重み 君の足を捕らえても
ただひたすらに 君の目指す 光の園に向かって
この悲しいまでに美しく 青い 空の下で
錆びついた翼を背負ったまま ただただ なにをするでもなく 空を見ていた
錆びついた翼を 捨てることもできずに その重みで ゆっくりと地中に沈んでいった
このままでは 歩くこともできないから 捨てよう 翼を この 錆びついた 重たい翼を
そして 歩いていこう たどり着けなかった 光の園の その先へ
いつまでそんなもの 背負っているの? と 君はたずねた
はやく捨てないと からだまで 浸食されるよ 君の翼の その錆に
美しい なないろに輝く翼を かろやかに 背中にたたえた君が そう 僕に言った
僕は答えない 答えられない 触れるだけで もろく崩れそうな翼 はらはらと 錆をこぼす翼 その重みを 背中に感じながら
鈍い痛みを 感じながら それでも なお……
たとえ 黒く錆びついた翼でも それでも いつか 飛べるようにと 僕は そう 願っている
いや 違う ただ 君と同じものが 欲しかっただけだ
たとえ 飛べない翼でも たとえ 偽物でも
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