果実酒の寿命は思ったほど長くもなく飲める代物でないと あっさり捨てられてしまった記録的な猛暑の夏日めくりカレンダーをちぎるよりずっとたやすく過ぎていく家具などいっさいなくなった部屋の 主なひとすじを歩くといままで聞いたことのない足音が響き渡り残像をうつす窓を開けるのをやめて室温を確かめるように 部屋の奥をくるりとまわると僕は引き返した