「さよなら子供たち」 |
エイガメモ 「さよなら子供たち」1987年 独=仏
ルイ・マル監督。彼の戦争下での経験を映画化したものなのだそうです。 人に勧めまくるたぐいの映画ではないけれど、 見てない方は是非見て欲しい作品です。
ストーリー 第2次世界大戦下、戦火を逃れるためにブルジョワ階級の息子カンタンはキリスト教の寄宿学校に入れられる。そんな寄宿舎の生活の中、一人の転入生ジャン・ボネが現れる。賢く、大人びたボネは最初はからかいの対象になるのだが、カンタンは接近し、2人は仲良しになる。だが、ボネはユダヤ人だった。
感想 ボネが、凄く魅力的なんですよ。 カンタンが自然に近づいていったのもわかる。 でもユダヤ人だという事を隠さなくちゃならない緊迫感はいつもあって、こんな小さな子が、こんな恐怖にさらされなくちゃいけないなんて。 カンタンとボネの友情は物語にあるような友情じゃなくて、なんとなく突き放してる。ドライなかんじがする。それなだけに二人が徐々に絆で結ばれていくのが解る。子供の友情って結構ドライなものだからなんかリアルだった。
寄宿学校の景色は質素だけれど守られていて、平和。清潔な感じを受けます。 帽子とマントをつけた少年たちは美しくて、脆かった。 共有の秘密やピアノの先生。いじめや小さな裏切り、そんな無邪気に日常の中で、別世界のようにあった戦争が、徐々に忍び寄る。どうして日常でさえ普通に出来ないことがあるんだろう。 さいごの、「さよなら子供たち」という言葉は、思いの外心に沈んだ言葉だった。
ボネとカンタンがピアノを弾いて笑いあうシーンや、カンタンのお母さんをボネが微笑んでみているシーンが印象的で、切なかった。簡単が母親とはなれるときに口紅がおでこにつきっぱなしだったのが可愛かったです。 これは絶対見て欲しい作品です。
ちょっと映画を見終わって調べたのですが、リュシアン神父は実在した方で、ナチ占領下でレジスタンスをしていたそうで、ユダヤ少年をかくまった罪でホロコーストの犠牲になってしまったそうです。 混乱した世の中でも、正しい事を見失わない立派な方だったんだなあ。
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2003年04月30日(水)
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