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2017年05月14日(日) 第1回 伊藤隆之先生の公開レッスン

伊藤先生を初めて知ったのは北川先生からでした。
良いピアニストなのでコンサートをやりたいのだけれど手伝ってくれないかという事で、準備の一部をお手伝いしました。
私の大好きな作曲家ドビュッシーのスペシャリストで、そのコンサートもオールドビュッシーのものでしたので喜んでお手伝いさせていただきました。
コンサートではドビュッシーについての伊藤先生の造形の深さと、それでいて分かりやすい内容が印象に残りました。

その後、去年になってレッスンをお願いしたのですが、レッスンでは穏やかなお話と、確かな演奏、そしてフランスの音楽の伝統に基づくご指導に感激し、是非とも公開レッスンを…とお願いして実現にこぎつけました。

伊藤先生は現在、ドビュッシーのピアノ曲全曲レコーディングに挑まれており、3月にも5枚目となるCDの録音に取り組まれていました。
そのオーガナイズがフランス式(!)で終わってみないとどうなるかわからない…ということで、すべてが終わった3月の下旬からこの公開レッスンの企画を具体的に決め始めました。
そういう訳で、この日の公開レッスンは長い構想期間と短い準備期間を経て実現することとなりました。

当日取り上げられた曲目は以下の通りです。

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小4
チェルニー30番 1番
パッヘルベル:フーガ (プレインベンション)
チャイコフスキー:『こどものためのアルバム』より マズルカ
小3
キルンベルガ― :バレエ
クレメンティ:ソナチネop36-4 1楽章
マイカパル:こもりうた op28-15
ショスタコーヴィチ:ぜんまいじかけのお人形

中2
ベートーヴェン:ピアノソナタ 第5番 Op.10-1 第1楽章
ドビュッシー:『子供の領分』より ゴリウォグのケークウォーク

成人
ショパン:スケルツォ3番

成人
ベートーヴェン:ピアノソナタ 第26番 Op.81a 『告別』
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この日の公開レッスンで伊藤先生はこれらすべての曲について完璧なお手本を示してくださいました。
聴講された方からは「あの曲があんなに良い曲だったなんて!」という感嘆の声が聞かれました。
ちなみにこれは公開レッスンだからではなく、伊藤先生から伺ったところによると、今回のご帰国でレッスンされた曲は50曲。その全てをお手本を示してご指導されたとか。
まさに、音楽を持って音楽を教えてくださるレッスンでした。

まず印象に残ったのは、最初の生徒さんの最初の曲、チェルニー30番の1番のレッスンで、ピアノを弾くのにあるべき手の使い方について、お子さんにもわかる表現で丁寧に説明されていたことです。
その内容は今まで何度か講座をさせていただいた音楽家のための運動療法士イザベル・カンピオンさんのお話とも一致するものでしたが、伊藤先生の説明はより具体的で、小さなお子さんにもわかる表現だと思いました。
伊藤先生の丁寧な説明と、実演を繰り返し見せてくださるレッスンで、生徒さんの音はどんどん響きのあるものになっていき、感動的でした。

レッスン中、伊藤先生はエコールノルマルの大学院を卒業したようなピアニストを対象に『メトードローズ』を題材にピアノの奏法について学ぶメソッドをお持ちだというお話もしてくださいました。
3年くらい続けると、奏法が改善されるそうで、そういうレッスンもとても興味深く感じました。

伊藤先生のレッスンのもう一つの特徴は、パリに伝わるで伝統を私たちに伝えてくださる点です。
楽譜をどう読むかとか指使いなどもありますが、この日、”ゴリウォグのケークウォーク”のレッスンで、この物語の主人公のゴリーちゃんが2000年近くまでイギリスのビスケットのキャラクターとして現役だったと伺い、驚くとともに、本当に生きた文化を感じることができて感激でした。

他にもたくさんの音楽的感動があり、充実した6時間の公開レッスンでした。

次回、まだいつになるかは決まっていませんが、鋭意企画中です。


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