みやにっき
詩人を名乗ることにした。

2004年04月19日(月) メモとしておいておく

結果だけ少し。
本人家族他,人的には被害なし無傷。
しかし全財産が失われた状態なので,学校への復帰はいつになるのかな。
この週末,実家に帰ったので,いくらか綺麗げなものを譲り受けてきた。
なにか足しになるだろうか。

あの子の車椅子は燃えてしまいました。
「あの子なんにも悪いことしてないのになあ」って,思う。
人の良し悪しなんて関係なく,しあわせもふしあわせも降ってくるのでしょう。
それはただの,ただの事実なのでしょう。
でも。
良し悪しに関係ないんだよねってそんな台詞は,僕は,僕にしか言ってはいけない。
どの他者に向けて言ってもいけない。
世の中ってそういうもんだからさってそんな台詞は,言ってはいけない。
どの他者に向けて言ってもいけない。
僕が僕の夜を諦めて諦めて眠るために必死で言い聞かせるものでなくてはならない。
明日も生きていくために今日をあきらめられるように。

どうか行政がよく働いてくれますように。
あなたがたを信じるしかない人間が,いっぱい,いるんです。



やっと桜が満開です。
今日は子どもたちと一緒に花見に行きました。
入院している子のお見舞にも行きました。

この世界のかなしみとさいわいとうつくしさ。

桜が咲いたよって,子どもたちの手を握った。
汗ばんでいたのは僕の手ですか。
君の,手ですか。



2004年04月15日(木) ごめんね

鎮火のしらせから三時間
未だ安否情報入っておらず

細胞がぴりぴりする
細胞から祈れるならそうしたい
臓腑から祈れるならそうしたい
他のことがなくまっさらの祈りのかたまりになりたい

でも普通に,僕は,いるわけで



戦争とか地震のことを思っていたよ。
当事者の彼らは,宗教や神の名前のことなんて考えていない。
ただ祈っているだけだ。
細胞から臓腑からひたすらに祈る。
ああ僕はなんだか吐きそうだ。
吐く。
吐いた。
吐いても僕のは結局自己憐憫なだけで。
ひとのことで心をいためている自分がかわいそうでならないだけで。
細胞で臓腑で祈れていないから,余裕で,エンピツなんて触っている。
仕事も手につかないなんて下手な言い訳をしてみている。
そんな下衆。
祈れもしないくせに信仰を欲しがってはいけない。
わたしの神に名前を付けたがっているのはきっと僕なのだ。

「祈ろう」とか「祈れる」とか「祈るしかない」とかもうどうでもいいや。
キリスト教がうんぬんとか仏教がとか神道がとかそんな暇なことどうでもいい。
死は愛は生は祈りは愛は愛は愛は愛は

愛は

どうか無事でいてください
君も君のママも君の兄弟もどうか無事で
せんせいは職員室にいてもできることがなくておうちに帰りました
なにしろ担任でも責任者でもないので
家で連絡を待とうとか何かのために体力を温存しておくとか
自分に言い訳をしました
君の家のあったあたりを少し車を走らせました
夕方まであったろうあたりを
消防車が帰っていくところでのんびりと鉦を鳴らしていった
普段なら停まっていないあたりに車が何台も停まっていた
それよりも君に僕は今日ちゃんとあいさつをしたのか
安否情報が入っていない
馬鹿みたいにたくさん食べて半分吐きました
せんせいは自分がかわいそうでなりません
「何もできない立場にいて辛いからせめて祈ろう」て呟いて
あんまりに自分の呟きが恥ずかしくてもう一度吐いて
もう一度食べました
倒れるわけにはいかない
「祈ろう」とか「祈れる」とか「祈るしかない」とか
自分の余計な言葉がうるさくって祈りになりゃしないので
せんせいは自分がかわいそうでなりません
しょうがないので君の名前だけリフレインする
馬鹿みたいにリフレインする
馬鹿みたいに君の輪郭を思い出そうとする
馬鹿みたいな祈りがその瞬間の僕の細胞に臓腑になっていけばいいのに



この時間に緊急連絡網が入らないということは,きっと命に別状はない。
そう信じたい。
信じることにする。
と何度も言い聞かせても信じられないから,細胞の祈り臓腑の祈りって呟く。
神に名前をつけるな。
どうか無事で。
先生はとりあえず,自分の健康に気をつけながら,自分の仕事をするからね。



ごめんね



2004年04月12日(月) 桜のえだの赤い

あー。
えーと。

いろいろです。

ストパかけました。
したら前髪が毛穴に対して垂直になろうとするので。
毎朝毎朝,起きるとスネオになっています。
ナチュラルスネオヘアー。
降りてきてもせいぜいが河童です。
ナチュラル河童ヘアー。
イメージしてんのはこんなんじゃないんーだー!ゲハー!

もう何日かで桜が咲くのでしょうかね。
木が,薄く目を覚ましかけて全体に赤いのです。
目覚める前の生き物は,全体に,赤い。



2004年04月05日(月) 祈ることを苦しみではなく喜びのうちに行えますよう

前もって言うと,そう言った人が悪いと言いたいのではないです。
自分の側にどう響いたかを内省しただけなので。
どうか,気に病まないでください。



「祈ることならできるから」
と言って欲しかったのではない自分に気づく。
なにかこう,自分の中に,言われて釈然としない部分があることに気づく。
それを求めていたのではない,じゃあ,何なんだ。

つまりは。
「祈ることしかできないけど」
と,申し訳なく後ろめたくいてほしかったのだろう。
いま僕が立っている,無力感と罪悪感と自己嫌悪と後悔の側に立って欲しかったのだろう。
自分への共感が欲しかったのだろう。
なんとまあ,あきれるほどに,あさましいことよ。

「何もできなかった」のではない。
たくさんの要素を鑑みて僕はそれをあえて選んだのだ。
もっとやれたかもしれない。
それは物理的には可能だったかもしれない。
でも僕が動いても無駄なのだと気づいてしまったら,もう,動けなかった。
動かないことを選んだのは僕だ。
「だってしょうがないんだ」と何百回,自分に言い聞かせたんだ。

「だってしょうがないんだ」
「だってしょうがないんだ」
「だってしょうがないんだ」

くそったれ!はじしらず!あまったれ!

だから,僕は,罪悪感の側に立つ。
この業が,決して許されることなどないのだと,僕は知っている。
僕が知っている。
僕が許せないから,かみさまに,赦しについて祈るのだ。

僕は,あなた(不特定多数の「世の中」「みんな」)もその側だと言いたかったのだろう。
祈るしかできない自分をどうか恥じてくれ。
どうか罪悪感に打ちひしがれてくれ。
僕の苦しみの側に立ってくれ。
無力感と罪悪感と自己嫌悪と後悔の側に立ってくれ。
世の中の全てのちいさなものよわいものを踏みつけてなおも生きていかざるをえないことをどうか恥じてくれ自分の生を呪ってくれ恥じてくれ恥じて打ちひしがれてくれ。
僕を一人にしないでくれ。
僕を一人にしないでくれ。
どうか。
どうか。
「祈ることならできるから」
なんて言って,置いていかないでくれ。
そんな,乗り越えたところから声をかけないでくれ。
僕はまだそんなところにまで行けてないんだ。

満足なんてしないでくれ。
同じく飢えてくれ。
置いていかないで。

一緒に泣いてはくれない微笑むきみを,少し,憎んだ。
それからゆっくりと深呼吸をして。
僕は,



きみのようにいきたい,て,思った。





深刻にどうでもいいことですが,今年新しく来た先生がた。
女の子は若くてかわいいのが何人も!
でも殿方は全然ですな!つかムサ!
よかったねえダーリン,今年も浮気の心配はなさそうよ。

新学期準備をしています。
共通理解を図るのが大変だー。
がんばります。



バネは,ネジのお隣に埋めました。
あの子らがどうか寒くないようにとか。
純粋な自己満足のために,祈っています。

かみさま
ゆるしたいのです



2004年04月04日(日) つつじの下で会おうね

バネが死んだ。

昨日の夜には元気だったのだけど。
あさ,まだ寝ているようなので起こさずに買い物に出かけて。
夜になって帰ってきてみたら,巣箱から出て,死んでいた。
ヒーターで温められた上に横たわっていたので,凍死ではないだろうと思う。
ここ2週間ほど,ずいぶんとのたのたとだるそうで食が細かったので。
正直,もうそろそろかなあ,と,思っていた。
君の死を待っていたわけではないのだけれど。
もうそろそろかなあと思ったので。
ネジの時のように後悔しないように,
大好きないちごとくっきーを,食べさせてあげてた。
それだけだ。
それだけが,おぼろな,自己満足だ。

ネジが死んだのが3月3日。
バネが死んだのは4月4日。
仲良しだったのかなあ,と,ぼんやりと考えている。

ネジはいくぶん灰まじりだったのだけれど,バネは真っ白で。
目がとても大きくて細長い顔で,左の目の方が大きい。
菜っ葉が好きだったね。
とかくよく噛む子だった。
好奇心旺盛で,物音がするとすぐに見に来るくせに,
臆病で,ちょっとでも手を近付けると「じーっ!」て怒って逃げる。
脱走した時には,ネジみたいに近付いてこないので,捕まえるのが大変だった。
実家に連れ帰った時には風呂場の中に逃げ込んだのだっけ。
手を出すと噛むのだけど,秋ごろからあまり噛まなくなった。
特に3月にネジが死んでからは,ちっとも噛まなくなった。
今までは逃げてばかりいたのに,僕の手から餌を食べた。
なぐさめてくれたのだとか,そういうことは,ないだろうと思う。
でも君は,僕の救いだった。
そんな風に書いてしまうとひどく陳腐だけれどもね。
僕は。
まいにち,おはようって,ただいまって,言って。
なあに?ておきてきたおはなをちょんちょんとして,大好きだよって。
ああ僕の言葉にはちゃんと,いのちがあるって。
おぼろな自己満足で。

ねえ,ちっちゃい子たち。
何がきみたちのさいわいなんだか,僕には,よく,わからないよ。
僕はそんなに極悪な飼い主というほどではないと思うので,
たぶん,売れていったきみたちは,似たりよったりな生を過ごしたんだろう。
あの店のあのケージに入れられた時,いやそれ以前に,
商品の生産として生まれた時からか。
売れても売れなくても誰が買っていっても,あまりかわらず。
きみたちははじめから,こうした生を,約束されていたのだろうか。
愛玩の生。
僕は人以外として生きることなど想像できずにいるのだけれど。
きみたちがハムスター以外の生き方をすることも想像がつかないのだけれど。
ねえ,ちっちゃい子たち。
何がきみたちのさいわいなんだろう。
そしてエゴまみれな僕は,また,いつか。
売り場に並んだ,きみたちの生を,自分の手に迎え入れて。
僕のために生きてくれって,言うんだろう。
あと二年くらい,僕と,生きてくれって。
僕の家の,僕の目の届くところで,僕のために生きてくれって。
言うんだろう。
どうせどこの家に行っても同じく生を生きるのだからとか言いながら。

ねえ,ちっちゃい子たち。
僕はね。
言うと陳腐になるの知っているけれどもね。
いましばらく,自分の罪を上げ連ねて,後悔させておくれね。
何について詫びればいいのか,よく,わからないんだ。
何がいちばん間違っていることなのか,よく,わからないんだ。
何を償えば気が済むのかさえも,わからないんだ。

かなしい。

あした,起きたら。
ネジのお墓のとなりに,バネを埋葬します。
一緒のつつじが,咲くでしょう。
僕はそれを見る。
僕は,それを,見ます。

ばね。
ばね。
ぼくのちっちゃいこ。
ぼくのおはようとただいま。
ぼくのおはようとただいまに,さよなら。



2004年04月01日(木) 一日3秒祈ること。

祈って。
祈って。
僕の大事な子が,新しい場所で,どうか愛されますように。
あの子は,たったひとり,旅に出るよ。

祈って。
お願い,祈って。
僕の大事な子が,いま,死にかけているんだ。
祈って。

食事前とか。
眠る前とか。
エレベータの「閉」ボタンを押さずに待つくらいの時間でいい。
ほんのちょっとでいいんだ。
祈って。

あの子たちのいのちは,こんなんで終わるわけがないんだ。
この世界はこんなにも美しくて,美しくて,美しくて。
残酷だけれども。
とても残酷だけれども。
でも,いっぱいのさいわいに満ちているはずなんだ。
生きていて,いいはずなんだ。

僕はまた,あの子たちと一緒に,笑いたい。
生きていきたい。
だから祈って。
お願い,祈って。
あんたの人生一瞬も損になったりしないから,一瞬でいいから祈って。

かみさま
あの子たちまだ,9つなんだ



ああ。

先生はね,君が泣いている時に,のんきに詩なんて書いているよ。
いま君が身をいっぱいに震わせて泣き叫んでいる時に。
いま君がベッドの上で幽かな声を上げている時に。
のんきに,詩なんて書いているよ。
技術がうんぬんとか,シーンがうんぬんとか,詩人としての意識がうんぬんとか。
ごはんだって,普通に,食べたよ。
先生さあ,お昼はおそばだったし,晩はカレーだったんだ。
先生さあ,ストパかけにいきたいなーとか,本ほしいなーとか。
新しい運動靴買っとかないとなーもうすぐ新学期だしーとか,考えているんだ。
泣ける映画を見に行きたいなーなんて,考えているんだ。
あと,のんきに詩なんて書いている。
そりゃもう,詩人だからね!詩が趣味だからね!!

ああ。

何を赦されて生きているのか。
何を赦されたつもりで生きているのか。

くそったれ

くそったれ




お願い
生きて


 <なんだっけ?  まとめて  そんでどう?>


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