感想メモ

2018年08月29日(水) さよなら、田中さん  鈴木るりか


鈴木るりか 2017 小学館

STORY:
母子家庭に育つ花実は貧乏にめげずに明るい母と一緒に毎日を楽しく過ごしているが、時にはあきらめなくてはならないこともあったりして…。

感想:
 作者である鈴木るりかは現在多分中学生で、この中の作品で一番古いものは小学4年生の時に入賞した作品だと言う。まあ、それを改稿して出版したみたいなのだけれど。

 中学生が書いたという色目でつい見てしまうけれど、花実の母・真千子のキャラがすごくよくて、こんなお母さんがいたら元気に明るく過ごせそうだなーと思うし、貧乏の描写とかも面白く描けていて、確かに中学生でこれだけ素敵なキャラクターを作り上げることができるなら、将来も有望なのだろうなと思った。

 最後の1作だけが花実が主人公ではなく、中学受験というレールに乗らされて、優秀な兄と姉に比較されつつ育った三上くんが主人公で、こちらのお母さんは花実のお母さんに比べると本当に心が狭いというか…。

 この作品を最後に持ってきたのは、花実のお母さんの豪快さ、明るさを際立たせるためだったのかなー。

 読み始めたときは、花実が主人公じゃなくて、ちょっと違和感あったんだけど、三上くんがかわいそうでならなかった。

 いい母親って何だろうね?って少し考えさせられた。



2018年08月12日(日) 植物男子ベランダー

 ベランダで野菜を育てることを趣味にしている私。前から気になっていたこのドラマを見てみるが…。

 かなーり癖のある作品で、好みが分かれそう。私も面白い回とそうでもない回と差が激しかったし、劇中のドラマ「多肉・愛の劇場」だったかな? そういうのは全然面白く感じず、飛ばしてドラマ本編だけを見てしまった。

 都会のベランダで植物を育てる男・自称ベランダー(田口トモロヲ)は行きつけの花屋に通う際もなぜか挙動不審。

 ベランダーの知人の植物好きたちも一癖も二癖もある人ばかり。

 マニアックすぎる世界が好きになれるかどうか、好みの分かれる作品だ、やっぱり…。



2018年08月08日(水) そして、バトンは渡された  瀬尾まいこ


瀬尾まいこ 文藝春秋 2018

STORY:
高校生の優子は父親が3人、母親が2人。名字が3回も変わった。しかし、それぞれの親が愛を注いでくれたので何の問題もなく暮らしていて…。

感想:
 優子は3歳のときに母と死別。父は新しい母となる梨花と結婚。3人で幸せな毎日を送っていた。が、ある日、父がブラジルに赴任することが決まり、優子は父とブラジルに行くか、梨花と日本で暮らすかを迫られる。

 友達と別れたくないという理由で、梨花と日本に残ることにした優子。父には何度も手紙を書いたが、父から返事が届くことはなかった。

 中学生の時に、ピアノを弾きたいと言ったことから、梨花は財産のある男性と結婚。優子はピアノを思う存分弾けるように。しかし、梨花は窮屈な暮らしが合わずに家を出ていってしまう。

 そして、次に梨花が結婚したのは、梨花の同級生の男・森宮。いつもおいしい料理を作って優子のよい親になろうとしてくれる。

 再び梨花はどこかに消えてしまったけれど、優子は森宮と一緒に生活している。

 このような名字が3回も変わった高校生は不幸だと周りは思ってしまうが、優子は全く不幸ではなかった。担任の先生も、優子よりも実の親に育てられている子供のほうが問題があるというのを見抜いたり…。

 そして、優子は結婚することになり、そのときに自分の周りの人がどんなに自分を愛して、自分のために考えてくれていたのかを知ることに…。

 家族の形は様々で、実の親だからといってうまく行くとも限らない。血が繋がっていても虐待をしたり、傷つけ合ったりする家族もいる。

 逆に他人でもお互いに気を使って生きていくほうがうまくいくこともあるのかも。気を使いすぎたりするのはダメだけれどね…。

 ま、これは結婚にも当てはまることなのかな?

 温かい気持ちになれるよい作品だった。



2018年08月03日(金) キラキラ共和国  小川糸


小川糸 2017 幻冬舎 

STORY:
「ツバキ文具店」の続編。あれから、鳩子はミツローと結婚し、QPちゃんの継母となって…。

感想:
 「ツバキ文具店」の続編。テレビドラマも見たし、案外覚えているつもりだったのだけれど、ミツローの奥さんであり、QPちゃんの実母の美雪がどのように亡くなったのかをすっかり忘れてしまっていた。

 続編のこの本にも、それとなくその話は出てくるけれど、はっきりとは書かれていなくて…。そこ、結構、この本で重要だったかもなーと…。

 続編は間をあけて読むことが多いので、すっかり前を忘れていることが多いのだよね…。

 でも、鳩子が先代とのわだかまりを克服して、前向きに生きていく姿勢はいいと思った。

 あとは、鳩子の実母との関係が、今後どうなっていくのか? まだ続編あるのかな?

 代書戦争みたいなのの決着もついていないし、あるのかもしれない?


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