感想メモ

2018年04月24日(火) 桜風堂ものがたり  村山早紀


村山早紀 PHP研究所 2016

STORY:
老舗書店に勤める一整は、ある事件をきっかけに書店を辞職する。地方にある桜風堂書店を訪ねると、思わぬ出会いと運命が待ち受けていて…。

感想:
 前評判がよく、期待して読んだ本。ほのぼのしたい人、明るい気分になりたい人、心を癒したい人におすすめかも…。

 一整は万引き事件をきっかけに書店にいづらくなり、不本意ながら店員を辞めることにする。

 子供の頃に家族を亡くした一整は天涯孤独の身。行く当ても特になかったのだが、ネットで繋がっていた地方の書店を訪ねることにしたときから、運命が大きく変わり始めて…。

 この本では、書店や書店員の仕事、書店の置かれた状況などが描かれている。そして、自分も最近めっきり書店に行かなくなったなと思う。

 やはりここ10年ぐらいで書店に対する風当たりは強くなっているだろう。私の場合は、本を買うことが基本的になくなり、ほぼすべてを図書館で賄い、買うとしても雑誌とか文具とか。

 その上、今ではAmazonなどがあって、書店に行かずにネット注文してしまうことも多い。書店に行っても目当ての本があるかどうかもわからない上、なかった場合の取り寄せには2週間ぐらいかかることもざらだし。ネットなら最短翌日ぐらいには本が届くから、やっぱりこっちに分があるよね。

 昔はよく書店で立ち読みしたり、だらだらしたりしたものだけど、そういうこともなくなってしまった。

 そんな風潮の中、書店は生き残りをかけて色々なことを考えている。その一つがカフェのある書店。

 なるほどなーと思ったり。

 物語はホッとできる展開だし、書店の現状を知りたい人、幸せな展開が好きな人にはオススメ。



2018年04月12日(木) 天才を育てた女房 〜世界が認めた数学者と妻の愛〜

 スペシャルドラマ。実在の数学者・岡潔(きよし)(佐々木蔵之介)とその妻・みち(天海祐希)の半生を描く。

 京都帝国大学の学生・潔と出会ったみちは、潔に惹かれ、親の反対を押し切り、結婚。

 潔は結婚するとすぐにフランスに留学。あとを追うようにみちもフランスへ。

 子供ができて、日本に帰って来たものの、潔の数学の難解さから、認めてくれる人はなく、潔は京都帝国大の職も失う。

 そして、太平洋戦争が始まり、学問どころではない世の中へ。

 それでも、潔には数学しかなかった。みちは極貧の中、夫を支え、3人の子育てに翻弄されながらも生き抜いていく。

 そして、ついに潔が認められる日がやって来て…。

 岡潔は数学の三大難問の一つを解くために生涯を数学に捧げる。研究で寝るのを忘れ、病気になるほど没頭する。

 普通ならこんな変わり者の夫…途中で離婚も考えられた。

 そんな時、有名な将棋棋士として活躍した阪田三吉(笹野高史)の妻(泉ピン子)に、言われる。「自分が三吉と離婚しなかったのは、この人は自分がいなければ生きていけないと思ったからだ」と。そして、そっとお金を渡してくれるのだった。

 確かにもしみちが離婚していたら、潔は生きていけないだろうし、きっと数学の世界で名を残すことなく死んでいただろう。

 この妻にしてこの夫ありという二人だと思った。



2018年04月02日(月) カーテンコール!  加納朋子


加納朋子 新潮社 2017

STORY:
3月で閉校した萌木学園。この学校を単位が足りずに卒業できなかった数名の学生たちを救済するため、寮に住み込み補講をすることが提案される。9月の卒業に向けて、学生たちは変わることができるのか?

感想:
 大学の単位を取れずに社会の放り出されることになるはずだった学生たちが、寮に住み込み、ネットや外出、嗜好品、面会をすべて絶たれて卒業を目指してがんばる…という環境に置かれる。

 寮に住み込んだメンバーは個室は与えられず基本的に2人一部屋。

 眠くて起きられずに単位を落としてしまった子、病気で単位が足りなかった人、性同一性障害のため、適合できなかった人、拒食症や極端に太りすぎの者、エナジードリンク中毒でやはり昼間は起きることができなかった者などなど…それぞれに事情は様々。

 そんな面々が、規則正しい生活と運動、食事により、心身の健康を少しずつ取り戻していく。

 家族と一緒に住むことが、毒になっている者は、家族と切り離されることで、次第に変わっていく。

 なぜ学園の理事長が救済措置を取ったのかも後に説明されるが、納得のいく展開で、いい作品を読むことができて、よかったなーと思った。


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