高畑勲監督の最新作「かぐや姫の物語」を見てきた。
予告編を見たときに見たいなーと思って…。
今回のアニメの手法は今までのアニメとはちょっと違って、線画を多用。見る人の想像力をかきたてるために、あえて細かい部分を描かず、ぼかすような表現法を使ってあるらしい。
ストーリーは「竹取物語」=「かぐや姫」と基本的に同じ。
あとはたぶん色々なエピソードが肉付けされているんだと思うんだけれど、古文の「竹取物語」を全部読んだことがないので、どの部分がオリジナルエピソードなのかとか、ちょっとわからない。
キャッチコピーになっていた「なぜかぐや姫が地球に来たのか、かぐや姫が犯した罪とは」みたいなのが、はっきりと解明されなかった(=見る人に想像してくれということか?)のが、ちょっともやっとした点かな。ぼかすなら、あのキャッチコピーは?
私なりの解釈としては、この世は悩んだり、苦しんだり…ということがあっても、生きる喜びに満ち溢れていて、そんな喜びを見出さずに一生を終わってしまうのは(悩んだりばかりでいるのは)、非常にもったいないことだから、毎日を楽しんで、一瞬一瞬を無駄にせずに生きなさいというメッセージなのかと…。
それと、かぐや姫を授かって、一生懸命に育てる翁と媼の喜びの描写がすごくよかった。笑った、這った、歩いた! その一瞬一瞬の喜びに満ちた瞬間。そして、姫のまわりの少年たちとの交流…。姫の喜びに満ちた生活…。
それを破ったのが、姫の幸せを一途に願っていたはずの翁だというのが悲しい。姫を都に連れて行き、高貴な人と結ばれることこそが姫の幸せと信じ込む。
でも、姫はそれにより、どんどん元気をなくしていく。
どうして姫の幸せが別にあると気づかなかったのか?
でも、これは現代の我々にも通じるものがあるのかもしれない。
親は子のためによかれを思うことをしても、子がそれをよしと思うかはわからない。
子の幸せを一番に考えていたはずの幼い頃。その気持ちは大きくなってからも変わらないはずなのに、子供の意とは違う方向に子供を持っていこうとしてしまう…。
何となくそういうことも含まれていたのかと思った。
わらべ歌がとてもよかった。昔から本当にある歌みたい…。
それと姫を月から迎えに来る時の音楽や描写もすごくよかったように思う。
山田悠介 角川文庫 2009
STORY: 一流企業をすぐに辞めてしまった健太郎は「何でも屋」のバイトを始めることに。ちょっと変わった仲間たちと少し刺激のある毎日を過ごすことになった健太郎は…。
感想: 軽いノリで読める作品で、気晴らしにはちょうどよかったかも。
一応ちょっと気が弱い流されやすそうな今時の若者・健太郎のちょっとした成長物語にもなっているけれど、押しつけがましくもないのでさらっと読める。
続編も出ているみたいだけれど、読むかどうかはビミョーかな。
2013年11月05日(火) |
ランチのアッコちゃん 柚木麻子 |
柚木麻子 双葉社 2013
STORY: 恋人と別れて落ち込んでいた三智子に、上司のアッコ部長が三智子の作るお弁当を1週間自分に渡し、自分のお昼を三智子が食べることを要求し…。
感想: 三智子のお弁当とアッコさんのお昼を交換するという第1話。会社が倒産し、新たな派遣先に派遣された三智子と移動のポトフ屋を始めたアッコさんとの交流を描く第2話。合コンに励む野百合が高校時代に追いかけられ続けていたゾノせんこと前園先生と出会い、一緒に生徒を追いかける第3話。かつて首にした玲実が自分の会社のビルの屋上でビアガーデンを始めることになったことが面白くない社長の雅之の第4話。
第1話と第2話はつながっているけど、第3話と第4話はアッコさんがやっていた東京ポトフが話の中にちょっと出てくるだけなので、ほとんど別のお話。
どうもこれは前評判がよくて期待が高かったので、面白くないわけではないのだけれど、ちょっと1話と2話は拍子抜けするというか…。もう少し面白いのかと思った…。
でも、第3話と第4話がかなり面白い展開で、ちょっと自分のツボにはまった気がする。
やっぱり前評判をあまり聞きすぎて期待を持ちすぎるとよくないのかもなーと思った。
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