NHKの朝ドラ。結構楽しくて、はまってしまったドラマだった。
お遍路さんが多く訪れる美波町で民宿を経営する母・加代(羽田美智子)、プロサーファーとして世界のあちこちを旅する父・哲也(石黒賢)のもとに産まれた波美(倉科カナ)は、新聞部に所属。東京からやって来た都会っぽいセンスを持つ果歩(岩佐真悠子)の持つ雑誌「マニフィーク」に憧れ、その編集長・近藤(星野知子)の講演会を聞きに行く。そこで、将来は近藤のように世界を股に掛ける編集者になりたいと誓う波美。
成長した波美は、やっとのことで「マニフィーク」に採用されるが、採用された途端に雑誌が廃刊になることに。仕方なく故郷に戻り、再就職先を探す。しかし、田舎なので出版社自体が少ない。ひょんなことからゾメキトキメキ出版という小さな出版社で働くことが決まり、個性的なメンバーとともに編集者としての第一歩を踏み出していく。
この出版社で再会したのが、幼い頃に民宿「はまもと荘」に泊まりに来たことのある勝乃新(大東俊介)。幼い頃と同じく変わったところがある勝乃新に波美は反発しつつも次第にひかれていくが…。
波美のことを幼い頃から好きで、結婚すると言い続けている男・一平(武田航平)は、勝乃新の存在が気になって仕方なく、波美の職場や職場の皆がよく使っている店・アルデナイデェに侵出。波美に気に入られようと必死なのだが…。
私がどこにひかれたのか…よくわからないんだけど、波美の父母の明るさ、周りの人たちとの関係が面白かったこととか、仕事が出版社で、波美の勘違いぶりがよくわかったりとか、それが段々変わっていくのも、なんとなくわかりやすかったりとか、勝乃新との恋愛模様がどうなっていくのか…とか…そんなところだったのかな。
正直な話、勝乃新との相性は私は最悪と思ったし、2人が一緒にならなくてもいいと思ってたんだけど…。結婚してしまったのはちょっとびっくりだった。でも、この2人の恋愛の頓珍漢なやり取りとか、波美の心の乱れとかが、なんか新鮮だったのかも…。最近、こういう恋愛でドキドキするとかないからかなぁ…。
あと、最初は世界で通用する編集者になりたいと思っていた波美が、吉野編集長(室井滋)のもとで働くうちに、地元で活躍するたくさんの人がいるということに気づいていくというのも結構好きだったのかも。新人君は夢ばかり大きいっていうの…なんとなくわかる感じで。
ただ最後にいきなり2年後に飛び、いきなり一人で雑誌作って編集長としてがんばっていて、なぜか子供まで産まれているのにはちょっとびっくりしたけど…。子供の大きさからして、雑誌を作ろうと決心したくらいの頃に妊娠していたってことで…。(勝乃新との生活も経済的に苦しそうだし、その上子供も産まれて、この2人の生活は実家に頼りっきりなのかしら〜?)
そんな状態で、ゼロから雑誌を作ることが可能だったのか? そういう苦労が全く描かれないまま、2年後に飛んでおり、その点がちょっと残念だったような気がする。そこが肝心なんじゃないのかなぁ…と思ったり…。
でもまあ、朝から重くなくて、ユニークで、結構楽しかったのでよし!って感じかな。
結構酷評している人も多いみたいだけど、私の周りは案外楽しく見ていた人が多かったような気がするんだけど…。視聴率とかは、面白さとか気に入り度とは関係ないかなと思うし…。
今まで8時15分からだった朝ドラ…次回作からついに時間が変更に。これからは朝8時からということで…。また趣が違う作品だけど、どうかな…。
2010年03月26日(金) |
張り込み姫 垣根涼介 |
君たちに明日はない3 垣根涼介 新潮社 2010
STORY: リストラ会社でがんばる真介は相変わらず陽子と付き合いつつ、仕事に励んでいて…。
感想: 「君たちに明日はない」の3巻目。今回は4つの短編からなる。
1作目は英会話学校、2作目は旅行会社、3作目は自動車会社、4作目は写真週刊誌の出版社…。
どれも面白かったけれど、一番感動したのは3作目の「みんなの力」。終わりはぐっと来る感じ…。
2作目の旅行会社はすごい薄給でびっくりしたな。
それぞれの業界の事情とかがわかって、やはり今回も面白かった。
また、陽子との関係とか、真介の親友・山下とか…その描写もよい。
3作目だけれど、前2作を読んでいなくても全然楽しめるし、オススメ。
今季、連続ドラマをこれ1本しか見てなかったけど、まあ、チョイスに失敗はなかったかなぁ…という感じ。
早紀(菅野美穂)は毎年司法試験に挑戦するものの、9年連続で落ち続けている32歳独身。恋人の正登(塚本高史)は早紀より先に弁護士になり、早紀はそんな正登をサポートしている。
正登は早紀にプロポーズし、司法試験をあきらめるように言うが、早紀は自分を理解してくれない恋人なんていらないと、正登と別れる。別れ際の正登の態度がものすごく腹立たしく、こいつと結婚しなくてよかったよ…と思わず思ってしまうほど。
その後も正登は何度か身勝手なことをしながら、早紀にプロポーズを繰り返すけど、やっぱり相手のことがよくわかってない勘違い野郎だなーと思って、こんなのと結婚しない方がいいよ…とついつい思ってしまった。
そんな中で再会した同級生の璃子(永作博美)は、2児の母になっており、金持ちの旦那のもと、買い物三昧で優雅に暮らしているように見えた。早紀にいちいち絡んでくるが、実は事情を抱えていた。義母が孫を自分の子供のように手なずけ、家では何もやらせてくれない。そして、夫が浮気をしていることに気づき、どうしていいかわからない状態だったのだ…。
この長部家は名門一家なのかもしれないが、あまりにも不自然な家庭で、こんな家庭があっていいのだろうか?とちょっと思ったりもした…。
特に自分の子供を義母が手なずけてしまい、子供たちも義母になついているのは、母親としては苦しいだろうなーと。
でも、それを差し置いても、最初のうち、この璃子の生き方にはどうにも違和感があって…。どうしてこんな風になってしまったのか? それは璃子が作ってきたことでもあるわけだし。
おまけに金銭感覚がやっぱりちょっと違って、離婚を決意したときに、時給850円の仕事を見て、安すぎるから働くのをやめようとしたり…。離婚して1人で生きるってどういうことかわかってるのかなー?と思ったり…。
それなのにその後、介護福祉士を目指すけど、介護福祉士も金銭的には苦しいようなイメージが…。なんかちょっと矛盾しているような感じもしたけど、まあ、それは仕方ないのかな…。
そして、警察官僚だった光輝(谷原章介)は、最初はちゃらんぽらんだったけど、一番出てくる登場人物の中ではホッとできる存在かも…? 早紀の影響で、官僚をやめて料理人を目指すことに…。
早紀は自分の主義主張を曲げられないため、恋人も仕事もなくす。その上、正登と一夜限りの関係を持ったときに、正登の子供を身ごもってしまい…。
最初は子供をあきらめようと思う早紀だったが、子供も司法試験も両方目指すと決める。でも、そんなのは無理と言われて、せっかくできた2人の友達・璃子と光輝と縁を切ることに…。
どんどん追いつめられる早紀を救ってくれたのは、やっぱり最後には友達。
でもねー、私にはよくわからないんだけど、正登という恋人はいたのに、どうして、友達がそれまでに1人もいなかったという設定なのかな…。友達がいない人は恋人もいないような気もするんだけど…。(そんなことないのかな? 友達ができたとしても、「私には必要ありません」と切り捨ててしまったとか…)
まあ、終わり方も妥当だったのではないか…と思った。とりあえずこのドラマを今季の1本に選んだのは、よかったかなーと思った。面白い言い回しもたくさん出てきたしね…。
2010年03月14日(日) |
よろこびの歌 宮下奈都 |
宮下奈都 実業之日本社 2009
STORY: 音大附属高校の受験に失敗した玲は、音楽科のない新設私立女子高に入学。すさんだ気持ちのまま毎日を送っていたが、友人と触れあううちに玲に変化が…。
感想: 音大附属高校の受験に失敗した玲とその友達が次々に主人公になっていく連作短編集。
この新設私立女子高は、それぞれ事情を抱えて入学してきている。この学校が第一志望の人はあまりいないので、みんな某かの挫折を経験していたり…。
高校入試で人生が決まってしまうわけでもないのだとは思うが、このくらいの年代の挫折というのは、心に大きく突き刺さるのかも。
音楽を通して、クラスの心が段々まとまっていく様子など、なんだか青春って素晴らしいなーと思わせる感じだった。
2010年03月07日(日) |
インビクタス 負けざる者たち |
クリント・イーストウッド監督最新作を見に行く。
かつてアパルトヘイトという人種差別政策が行われていた南アフリカ。30年近く刑務所に投獄されていたネルソン・マンデラが解放されたところから物語が始まる。
実話に基づいた感動大作で、ネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)が大統領に選ばれてから、南アフリカの国民を1つにしようと奮闘する姿が真摯に描かれている。
それに絡んでくるのが、南アフリカを代表するラグビーチーム・スプリングボクス。チームのメンバーは1人を除いて全員白人。もともとラグビーは白人のスポーツとして盛んだった。だから、虐げられた黒人は、このチームを応援せず、相手チームを毎回応援してきたという歴史がある。
マンデラが大統領になったとき、黒人たちはチーム名やユニフォームなどをすべて一新しようとしたが、マンデラはそれを拒む。
そして、国が一つになる象徴として、このラグビーチームに貢献してもらえるよう、キャプテンのピナール(マット・デイモン)をお茶に招く。最初は怪訝に思っていたピナールだったが、マンデラの人柄に惹かれ、ラグビーチームを1つにし、チームをワールドカップ優勝に導こうと努力する。
全く期待されていなかったチームがワールドカップの決勝まで進んだとき、黒人も白人もなく、南ア人として、すべての国民が一つになる。
ネルソン・マンデラについては、もちろんどういう人なのかは知っていたが、その信念と誠実な人柄に触れて、改めて素晴らしい人だなーと思った。
とにかくラグビーシーンとも相まって、熱い感動が湧きあがってくる感じの映画で、感動を求めている人には最適な映画かも…。
感動した!の一言に尽きる映画。
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