宿題

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2006年11月30日(木) 夢追い虫/草野正宗
美人じゃない 魔法もない バカな君が好きさ
途中から 変わっても すべて許してやろう


★夢追い虫/草野正宗★

2006年11月29日(水) en-taxi vol.16/中原昌也
一般の客とは違う、二階のエントランスがわれわれ取材陣の席であった。
そのせいか、音があまりよくなかった……
ここはライブ用には設計されていない美術館であったので、
一般の人々のいる下の方がよく聞こえたに違いない。
立ち見ではなく、われわれには椅子が用意されていた。
そして手摺が目の前にあった。
それに寄っかかり、僕は寝てしまった。
ライブの最中はほとんど……
ヒプノティックな音の波状攻撃であったせいもあるが、
あと精神的に参っていてとても疲れていたからなあ……。
帰りにヨシミちゃんの子供を見た。
ぶかぶかの服を着てて、相変わらず可愛らしかった。
ライブを観る前から、そのように感じるのはわかっていたけれど、
一言で言えば大竹さんもヤマンタカさんも羨ましいなあ……ということ。
のびのびしてて自由だなあと、誰が見てもまず感じる単純なことを、
僕も思うし、何のプロ意識もないから素直にそれを書く。
実際には彼らだって大変なことの連続なのかもしれないけれど、
少なくともやりたくないことだけはやっていない。
このような抜けの悪い音を、ダラダラと堂々と演れるのは
本当に羨ましいことだと思う。


★en-taxi vol.16/中原昌也★

2006年11月28日(火) 夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦
私は慌てて手を合わせ、「なむなむ!」とお祈りしました。
これは、私が独自に開発した万能のお祈りで、
絵本を読んでいた幼い頃から愛用しているのです。
「そうだ。ずんずん祈らねばならんぞ、なむなむ!」
「なむなむ!」


★夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦★

2006年11月27日(月) 夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦
「お父さん、私は気にしてないよ。
エロオヤジでも何でもいいよべつに」


★夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦★

2006年11月26日(日) タモリ先生の午後2007/タモリ
ある本を読んでいたんです。
アメリカのコンピュータ会社につとめている、まぁまぁの人……
ハーバード大学とかを出ている人が書いたんですけど。

「人は、何かをしゃべる。
相手につたわるつたわりかたは、正確にはいかないから
いびつな内容が世間に蔓延してしまう」

簡単に言うとそういう内容の本なんですけど、
まぁ、当たり前のことなんですね。
当たり前のことなんだけど、書いている人のほうは……
異様に盛りあがるんですね。
「たぶん、自分の書いたことを読みなおしてないんじゃないか」
と思うぐらい、異様に盛りあがっちゃうんです。
はじめのほうで「書いた人はまちがえてないか?」
と、読んでるほうにははっきり、わかるんだけど、盛りあがって、

「人々が、自分の心にあるものにそれぞれ、
なにかを強引にむすびつけるからこそ誤解が蔓延してしまう。
だから、教育というのは まったく前提条件のないところで
やりはじめなければならない」

と言うんだけど……そんなの、ありえないんですよね。
ありえるはずがないのに、本人は、ものすごく盛りあがっている。
だから、途中から、「バカじゃないか」と思うと同時に、
「まちがっているけど、本人は、ものすごく盛りあがっていること」
が、おもしろくなっちゃって。
途中から、「こいつ、盛りあがってんなぁ」と。
本人も、最後に、はたとそのことに気がつくんですよ。

「まったく前提条件のない生徒がはたして、いるのだろうか?
 ……いない」

白紙の状態で教育なんかできっこないということに気づくんですが、
この人のすごいところは、気づいたとわかったときに
どういう解決方法をとったかというと……。

「これはたいへんにむずかしい問題なので
 みなさん、アンケートをください」

と書く……なんなんだ!(笑)
最後は、アンケート。
気づいたなら本を出すのをやめりゃいいのに
出してるんだもん。


★タモリ先生の午後2007/タモリ★

2006年11月25日(土) 竹光侍/松本大洋
私は甘いものを食べている時に
幸せを感じる質なのですね。


★竹光侍/松本大洋★

2006年11月24日(金) Vintage Wine Spirits, and Roses/ムーンライダーズ
不幸は ずっと 続いてもいいんだ
心の 傷は 塞がらなくてもいいんだ
小さな 幸せ なら手にしなくてもいいんだ


★Vintage Wine Spirits, and Roses/ムーンライダーズ★

2006年11月23日(木) ルナティック雑技団/岡田あーみん
ちょっと甘かったな。
やっぱり努力と勝負は自分に合った方向で使わないと。


★ルナティック雑技団/岡田あーみん★

2006年11月22日(水) ルナティック雑技団/岡田あーみん
私は死にません。いじわるな人間は悪運が強いんです。
私の根性の悪さで天湖さまを守らせてください。


★ルナティック雑技団/岡田あーみん★

2006年11月21日(火) 一色/矢沢あい
祈りを捧げなよ 
一つでいいよ
自分の幸せを 
願えばいいよ


★一色◇NANA starring MIKA NAKASHIMA/矢沢あい★

2006年11月20日(月) 悪童日記(12月15日)水道橋博士
19時、お台場・フジテレビ入り。
『人志松本のすべらない話 年末拡大スペシャル』収録。(12/29放送)

さて芸人で、この番組に呼ばれれば、
当然、恍惚と不安、二つ我にあり、だ。

しかし、今回、俺は、完全にアウェイな感もある。
なにしろ、懇意な芸人は、ほぼ皆無だ。

しかし、あそこの空間に出演すれば、
全員が戦友のような共感を持ちえて、
最後は皆で打ち上げもあるとのこと、
それは、内心、期待した。
個人的には、何時かは、
"松本人志"という存在と話をしてみたい。

ちなみに、
今年、初めてダウンタウンと共演、
ダウンタウンDXとかに呼ばれるようになったが、
浜田さんは、前室で、気軽に声をかけてくれるが、
松本さんとは、本番以外では、
一度も話をしたことがないままだ。

19時、お台場・フジテレビ入り。

出演:
松本人志、千原ジュニア、ほっしゃん。
宮川大輔、河本準一、ケンドーコバヤシ
関根勤、小沢一敬、田村裕(麒麟)、水道橋博士

本番前に全員、同じ控え室で、
たぶんDVDの特典映像用と思われる撮影。

芸人楽屋の本番前のテンションで、
激しいキャッチボールが続くが、
吉本の輪には入れない。

関根さん、小沢君と短く会話する程度、無口なまま。

そのまま、本番突入するわけだが、
まるで肩慣らしも何もなく、
マウンドへ上げられるようなものだ。

これは、ほとんど勝ち目がない〜
まるで、硫黄島に送られる日本兵、
というような気分だったなぁ。

客席ゲスト:
浅野忠信、片瀬那奈、黒谷友香、郷ひろみ、
杉本彩、原紗知絵、山田優

豪華な布陣が見守るが、
これは視野に入りそうで入らない。

何回も出演していれば安心かと言えば、
そうでもないようだ。
観察していても、
今まで、高打率を誇った、大輔、河本も緊張気味。
むしろ、毎回、続けば、期待値も高いし、
勝負ネタも底がついてくるだろう。
そのナーバスな感じは伝わる。

何回話せるかは、サイコロの出目、次第だが、
なかなか、廻ってこないで、緊張続く。
一度、話せば楽になるのだが……。

で、中盤になってようやく順番廻ってくる。
最初の話だけは、O・Aにも必ず、残るようなものを。
その後は、個人的には、デラックスでも話せるような話は避け、
芸人ウケするような、下ネタ話を並べた。
しかし、23時台の放送を意識すれば、
O・A採用率を考えての取捨選択もあっただろう。

10人という過去最高の出演者なので、
思ったより、サイコロは廻ってこないまま。
用意したネタの玉数はあったので、
なんとも出し切れない思いもあるのだが、
普段、自己採点が厳しい俺だが、
本番前の、あの硫黄島へ送られた気持ちを考えれば、
生きて帰れただけでも合格に思う。

収録後・都内のモツ鍋屋へ。
関根さんを除いて、出演者は皆、出席。

末席で、話を聞ければと思っていたが、
大輔を挟んで、松本さんの隣へ通され、
PRIDEの話をいろいろ聞かれる。

酒も入り、俺の積年の思いもあり、
矢次ぎ早に質問を続ける。
芸人だけではなく、
松本人志の映像作家としての仕事を高く評価していて、
ラジオの放送室を第一回から全て聴いていて、
『たけしとひとし』という、
互いに影響を受けていない天才の共通性について、
長年興味深く観察している俺は、質問がとまらない。

「よー知っとんなー」 と何度も飽きられたが、
結局、ほぼマン・ツー・マンで話し続けた。
10時半から、朝4時までロングインタビュー、

本末転倒だが、ルポライター気質の俺は、
このインタビューをやりたくて、
従軍記者として、あえて硫黄島へ行ったようなものかもしれない。

朝5時、帰宅。

翌日、酔いが冷めると、それが満足感ではなく、
戦場から解放された打ち上げの、あの時間、
皆、親分と分かち合いたかったろうに、
俺一人が独占し、 松本さんにも他の戦友にも申し訳なく思った。


★悪童日記(12月15日)水道橋博士★

2006年11月19日(日) 東京夜話/いしいしんじ
言問橋の方から、歌声が流れてきた。
「なんですか、あれ」
「教会のボランティアや。飯、配っとるんや」
橋の下には、二百人近い男が座り込み、大声を張り上げていた。
彼らの前に黒服姿の中年男とジャージの若者たちが並んでいる。
若者はハンドマイクを持って、さあ、もっと大きく、とか、一緒に、とか叫ぶ。
ぼくと先生とイヌが近寄ると、若者の一人が笑いかけた。
「どうぞ、後ろに並んで」
言われるがままに、ぼくたちは列の後ろに付いた。
橋の下のトンネルには、すえた臭気が詰まっていて、
空気中に字が書けそうなくらいだった。
みんな、潰れた声で歌っていた。
ぼくも合唱に加わった。歌詞が簡単だったのだ。

(一番)
神様 ありがとう
神様 ありがとう
神様 ありがとう
神様 ありがとう
(二番)
神様 ゆるして
神様 ゆるして
神様 ゆるして
神様 ゆるして

これよりシンプルかつ力強くかつ意味不明かつクラクラな歌詞は
この世には存在しないだろう。
合唱が終わった後、神父らしき中年男の説教が始まった。
聖書の朗読では、漢字を読み違えるなど、たどたどしい限りだ。
「世の中は乱れています。乱れきっております」
中年男は息も絶え絶えに言った。
「こういうときこそ、人を信じなければなりません。
そして、そのためには神を信じなければなりません。」
話は螺旋階段のように、同じところをぐるぐる回りながら
テンションを高めていった。
通路に座り込んだ男たちは、わりあいおとなしく、
中年男の説教を聞いていた。
なにしろ、これが終わらないと飯の配給が始まらないのだ。
ただ、やはりどこも短気な人間はいるもので、ときどき野次が飛んだ。
「ハレルヤッ!」
「アーメン!」
これが、この集会の野次に当たるのだった。
あらゆる状況で、犬に限らず人間も、うまい工夫を考えつく。
「ハレルヤッ!」
「アーメン!」
敬虔な怒号の中、説教は終わり、ぼくたちは昼食をとった。


★東京夜話/いしいしんじ★

2006年11月18日(土) 傷をさらけ出さないことの痛ましさ/柴田元幸
「君にとっては何もかもがジョークなんだな」と彼は言った。
「そんなことないわ。ただ、口に出すと何もかもジョークになっちゃうのよ」

ローリー・ムーアの第二短編集『ライク・ライフ』に収められた
「狩猟をするユダヤ人」のなかの一節である。
ある意味でこれは、この短編集における典型的な一節ともいえそうだし、
またある意味では逆にまったく例外的な一節だともいえる。
なぜ典型的かというと、この本に出てくる人々はみな、
自分の言葉、自分の行為、自分の肉体、
自分の何もかもに対してつねにチグハグさを感じているからだ。
自分ではそんなつもりはないのに、
すべてがジョークとなって出てきてしまう。彼らはみな、
釣り道具を使って野球をすることを強いられた人物のようであり、
扇風機やうちわで寒さをしのごうとしている人物のようなのだ。

にもかかわらず、なぜこの一説が例外的かというと、
「口に出すと何もかもジョークになっちゃうのよ」という、
ほとんど悲壮感さえ漂う、自分の傷をさらけ出すような言い方が、
きわめて非ローリー・ムーア的だと思うからである。
あえていえば、この短編集全体が、この一言を言わないための──
あるいはこの一言をついに言ってしまう権利を得るための──
涙ぐましい、時にほとんど痛ましい努力であるように思える。
傷をさらけ出すことではなく、さらけ出さないことが痛ましいのだ。


★傷をさらけ出さないことの痛ましさ/柴田元幸★

2006年11月17日(金) 隠れた物語/パトリック・マグラア
ある種の現代アメリカ文学は、時代を包む空虚感、喪失感、
死の匂いなどを、書き方にも忠実に反映させている。
理論的には正しいと思うけれども、そこから情熱が抜けると、
ただ退屈なだけになってしまう。
そういう書き方で成功しているのは、
レイモンド・カーヴァーをはじめごく少数。
私としてはむしろ、ゴシックこそそのようなテーマを
ずっと前から扱ってきたジャンルだと思う。


★隠れた物語/パトリック・マグラア★

2006年11月16日(木) ビッグ/アン・スピルバーグ
暗闇で光る魔法の指輪だよ。
もう迷わない。


★ビッグ/アン・スピルバーグ★

2006年11月15日(水) 名古屋カルチャー通信インタビュー/古厩智之
僕もあの子(周二役の子)がなんで死んだのかはわからない。
何かを掴んでいたのか、あるいはあれ(自殺)で何かを掴んだかもしれない。
子供ってよく死にます。それで大人は原因を探しますよね。
いじめとか家庭の問題とか。その原因は背中を少し押したかもしれないけれど、
子供って死にやすい。縁を歩いていて、ぽんと(原因に)押されるだけ。
子供ってそういうもの。大人になるにしたがって、
縁から落ちないように安全なところを歩くようになる。


★名古屋カルチャー通信インタビュー/古厩智之★

2006年11月14日(火) 「まぶだち」パンフレット/ユウ・ザ・ロック★×古厩智之
ユウ・ザ・ロック★
「だから映画のさ、最後のエンドロールのところで感動したね。
あいつ(主人公)、みんな同級生が死ぬかどうかしてる中で、
東京でマンガのアシスタントをやっているんだろ。一本立ちじゃなくてさ。
ハッと立ち上がって、身体が震えたね。
泣いたよ。ヴィデオで観たときも、夜中だったけど、
彼女が寝てたけど雄叫びあげたもん」

古厩
「(笑)うれしいですね。なんか彼女の寝てる近くで泣いたっていうのも」


★「まぶだち」パンフレット/ユウ・ザ・ロック★×古厩智之★

2006年11月13日(月) 夫婦/清水ミチコ
先日、さる番組でスタッフに、
「今日のお客さんの中に、自分のオットが大好きで、
やたら高い声で何度も声援する女性(妻)が会場におられます。
今日はだんなさんが出るので、とうぜんはしゃいだり、
声援すると思われるので、シミズさん、ヒカないでください。」
と、言われました。
その方、ものすごいハイテンションなのだそうです。
(ちょっとヤかも、、。)
と思い、本番へ。
すぐにどこにおられるのかわかりました。
たった一人でものすごいわめくような声援なんですもん。
隣に座ってたヒトなんて、完全に
「僕、関係者じゃないです」、みたいな風に
うつむいています。

私もその声に
(なんだこのヒト、こんなに大声で
人前もはばからずに家族をたたえるなんて。)
と、思ったのですが。
その瞬間、なぜか、ケーベツどころか、ゆさぶられるような
感動に包まれてしまい、あっと言う間に自分の涙との戦いでした。
私の家族だって、声に出すことができたら、
あんな感じじゃないのかしら。
この方、なんて素直でいらっしゃるのか!
なんて感じ。
「まったく、うるさい女がいるもんですー。」
と、口では軽く言いながら、
脳は強く、今泣くな!と命令していました。


★夫婦/清水ミチコ★

2006年11月12日(日) 裸足のピクニック/鈴木卓爾 中川泰伸 矢口史靖
「祥子さん、たぶん勘違いしてるんだと思います。
私、住む家が欲しいって言ってるんじゃないの。
家庭のことよ。私が欲しいのは団欒なのよ。
もっとなんていうの、気持ちの問題なの。
あったかくて、安心できる、居るだけで落ち着ける、
そういう場所が団欒よ。
それがなければ、どんな贅沢な豪邸だって、
私にとっては家じゃないわ」

「それがゼータクだって言ってんのよ。
どこにあんたが言うような団欒があるのよ。
ないでしょう?
じゃあ自分で作るしかないじゃない。
人に用意してもらってりゃ良かった頃とは、違うんだから。
ここに新しい団欒を持つしかないでしょうが」


★裸足のピクニック/鈴木卓爾 中川泰伸 矢口史靖★

2006年11月11日(土) あんただけにそっと/うの花
周りの人はきっと 周りの人はきっと
知ってても言ってくれない
だから
あんただけにそっと あんただけにそっと
教えたいことがある
ほっぺにごはんつぶついてる ほっぺにごはんつぶついてる

疲れてるんだね いつもと違うもの
みんな自分のことで精一杯
だから
あんただけはそっと あんただけはきっと
支えたい いつまでも

あんたにとって人生がかけがえのないように
僕にとっての人生もまたかけがえのないもの

あまりにも無力な僕は情けない
もとのあんたに戻れば 僕のことなど忘れて
スタコラ走り回る コロコロ転げ回る
それがいい 愛おしい

絶対うまくいく だから焦るな 今はゆっくり休みな

疲れてるんだね いつもと違うもの
みんな自分のことで精一杯
だから
あんただけはそっと あんただけはきっと
支えたい いつまでも

絶対うまくいく だから焦るな 絶対うまくいく
絶対うまくいく だから焦るな 今はゆっくり休みな


★あんただけにそっと/うの花★

2006年11月10日(金) ユリイカ総特集宮沢章夫/宮沢章夫
この年の大きな出来事は、転形劇場が解散を目前にして公演した
『水の駅』を、T2スタジオで観たことだった。
少女がひどくゆっくりした足取りで歩いてくる。
舞台の中央には客入れのときからずっと
水道からの水がしたたり落ちている。水の音がする。
長い時間が過ぎた。
少女がようやく水道のある位置までたどりつき、
バスケットの中からコップを取り出す。
その瞬間、ぴたっと水の音が消え、それと同時にサティの
『ジムノペディ』が流れたのを聴いたとき、
これまで観たどんな舞台よりも美しい瞬間に出会ったと思った。


★ユリイカ総特集宮沢章夫/宮沢章夫★

2006年11月09日(木) ユリイカ総特集宮沢章夫/佐藤信
この間のベケットの柄本明さんの読みっていうのは、
ベケット学者には絶対にできない「読み」であって、
過激さスレスレの際どさなんだけど…ものすごく正確なんですよね。
あの自信はどこから来るのか!?(笑)
柄本さんのベケットの読みは、ベケットの戯曲が非常に正確に
書かれているのに対応するくらい正確なんだよね。
それは「柄本明のベケット」という論文を書きたいくらい。
なぜこのセリフを聞こえなくしたか、なぜこの部分はフリーにしたか。
演出していると本当にわかるんです。
それはもう、普段の柄本明がやれないような、
恥ずかしいところのギリギリなんです。
そして観客にはその恥ずかしさは微塵も感じさせない。
でもベケットを読み込んでいる人にとっては、
柄本明の「恥ずかしながら、やってるよ」というのが伝わってくる。


★ユリイカ総特集宮沢章夫/佐藤信★

2006年11月08日(水) 1/川本真琴
だから あたしたちないもの いっぱいないもの
口ずさむ歌はそれぞれだけど
1コのこと祈りたい


★1/川本真琴★

2006年11月07日(火) THE CASE/Tommy heavenly6
考えても見てよ だって
きっと みんな 傷つきたくないの
優しくして欲しいはずで
それは間違いないの


★THE CASE/Tommy heavenly6★

2006年11月06日(月) 東京夜話/いしいしんじ
本は違った世界への扉を開く、と小学校で国語の教師が
口酸っぱく言っていた。
たしかにその通りだ、と僕は思った。
そのかわり、表紙をめくると背後でもうひとつの扉が静かに閉まる。
本は「外」の世界を一時的にしろ滅ぼしてしまう。

古本は、それぞれ一冊がいろんな世界を滅ぼしてきた。
兵器としての年季が、そこらの新刊本とは違うのだ。
もはや「なにかのため」に書かれる実用書などは、
兵器としての用をなさない。
それは「外」の存続に奉仕するものだからだ。
もちろん、「外」の世界を亡ぼすに足りる力をもった新刊だってたくさんある。
しかし新刊書店は「なにかのため」の本にあらかた占領されてしまって、
兵器としての本は隅に追いやられている。
そういう意味で、古本屋はその空間そのものが世界を滅ぼす兵器だと
言っていいかもしれない。

ぼくはぼけっとカレーを待ちながら、そんなことを考えていた。
そのころ、ぼくは毎日カレーばかり食べていたのだ。
通を気取っていたわけではない。
ほかの食べ物を選ぶのが面倒だっただけだ。
とにかく、そこら中にカレー屋はあった。
神保町の交差点から駿河台下にかけては、とにかくおいしそうなカレー屋が
集中していた。


★東京夜話/いしいしんじ★

2006年11月05日(日) キラービー/真島昌利
ブーン ブーン ブブーン
ブーン ブーン ブブーン
ピカピカのキラービー

ブーン ブーン ブブーン
ブーン ブーン ブブーン
邪魔者は皆殺し

おまえのピンチをいつでも
救いに行くんだキラービー

ブーン ブーン ブブーン
ブーン ブーン ブブーン


★キラービー/真島昌利★

2006年11月04日(土) タリホー/甲本ヒロト
わいタリホー さめタリホー
氷もほっときゃ 流れるぜ

あれはカモメか 翼の上か
そのまま長い堤防か
形は変わる 自分のままで
あのとき僕は ああだった

闇に溶けてゆく 海へ 海へ
まぶしい陽に昇る 空へ 空へ

わいタリホー さめタリホー
氷もほっときゃ 流れるぜ

ほんとうのとき 教える時計
おもいをはかる 温度計
涙の記憶 消えたりしない
漂っている 赤道か

闇に溶けてゆく 海へ 海へ
まぶしい陽に昇る 空へ 空へ

わいタリホー さめタリホー
氷もほっときゃ 流れるぜ


★タリホー/甲本ヒロト★

2006年11月03日(金) 矢野顕子について/坂本龍一×糸井重里×今井栄一
坂本
わかった。
俺にも、お兄さんが必要だったんだ!

今井
それがわかったんですか(笑)!

糸井
坂本くんは、傍で見てて孤独だね。

坂本
お兄ちゃんがいないんだよな、俺…。

糸井
あははは! 勉強できすぎたから(笑)。

今井
いきなり、なんか、なよなよって感じになってるでしょう、なんか(笑)。

坂本
お兄ちゃん欲しいよー(笑)。

糸井
いつも男ぶりすぎなんだよ(笑)!
坂本くんは、もっと甘えた方がいいよね。
価値観何本もあるから、
全部でちゃんとやんなきゃなんないと思うだろ(笑)?

坂本
だから、矢野さんにとっての糸井さんみたいな
お兄さん役を自分でやんなきゃいけない。

糸井
そうなんだよ。

坂本
俺は。

今井
自分でやんなきゃいけない(笑)。

坂本
自分の中に色んな自分がいるんだよ(笑)。
オオカミ少年の俺もいるしさ。

糸井
うん。

今井
たぶん、子供の時からそうやって遊んでたんですよね。

坂本
あ、ほんとにそう。


★矢野顕子について/坂本龍一×糸井重里×今井栄一★

2006年11月02日(木) 矢野顕子について/坂本龍一×糸井重里×今井栄一
坂本
僕はね、きっとね、大森さん出現以前は、
オオカミ少年みたいな感じだったと思うの。

今井
教授が?

坂本
うん。

糸井
(笑)人間の言葉をしゃべらない。

坂本
裸足で歩いてるような。
それがね、仕事を頼む前にね、大森さんが、僕のことを、3回くらい、
ぱって呼びつけたり、どっか行ったりとか、ちょっと調教してたんだよ。
僕のことをね。

糸井
大したもんだねぇ。

坂本
大したもんでしょ(笑)?今から考えると。
それは、僕は調教されたなんて感じてないけど。
ある日、何かやってて、一緒にタクシー乗ってて、赤信号で止まった時に、
僕がね、勝手に飛び出してって、そこにある牛丼を食べに行って。
牛丼屋があったの。そこに。ぱっと見たら。
おなかすいてたんで(笑)、タクシーに大森さんたちを残してさ、
牛丼食べに行って。

糸井
くくくくく(笑)。

今井
それおいくつくらいの時ですか? 教授。

坂本
26、7じゃないですかね…。

糸井
ジャージ以下じゃないか!

坂本
(笑)あ、そう、ジャージ以下。
食べて、また乗ってきたっていうね(笑)。食べるの早いですからね。

糸井
いい話だね!

坂本
たぶん、オオカミ少年みたいだったと思う。

糸井
けだもの。

坂本
そうそう。まだ人間の言葉しゃべってない。


★矢野顕子について/坂本龍一×糸井重里×今井栄一★

2006年11月01日(水) 矢野顕子について/坂本龍一
言葉…、詞の表現もさ、
ま、散文もそうかもしれないけどさ、
その、何て言うの、暴露すればいいっていう、
それ、ジャージなんだけど、
そういう文章とか詞ってのは、
やっぱ、やですよ。

不潔ですよね。
で、やっぱり、それはそれとしてさ、
その、日常がなくなっても
ちゃんと存在してるようなさ、
言葉として存在価値のあるような言葉って、
やっぱり気持ちいいわけですよ。
そういう感じだよね。矢野さんの言葉は。


★矢野顕子について/坂本龍一★

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