宿題

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2003年05月31日(土) 虹の都/水族館劇場
いつかはきっとたずねてゆける 虹の都のまぼろしを

獣たちが走り廻る 夜の森の向うがわ

転がる石を月にかざせば 青いサファイア羅針盤

星の海を流れてゆくよ ゆくあてもない方舟が


鳥がそっと運んでくれる 虹の都のまぼろしを

死んだものも生きている 闇の底の王国を

転がる石を炎にかざせば 紅いルビーのカンテラさ

氷の河を流れてゆくよ ゆくあてもない渡り鳥


★虹の都/水族館劇場★



■駒込大観音光源寺境内 特設野外劇場《水の森》

お寺の境内にこんな建物が建っていて、
チケットを買うと、番号の書いてある石を渡されて。

入場前のお芝居も楽しみなのですが、今回は、

この建物の周囲から、軍服姿に鉄砲を持った人達が走ってきたり、
馬の首を持って泣いている人がいたり、看護婦姿でバイク(でっかいやつ、本物)に
乗って走りこんでくる人がいたり、ふくろう(本物)を持った女の人が唄ったり。
よく見ると、私達が待っているところは駅のようになっていて、
「骨ヶ原」という駅の看板も。
踏み切りの音が鳴ると、建物からにゅーっと舞台が出てきて、
役者さん達はみんなそこに乗って、またにゅーっと建物の中に吸い込まれてゆく、

というものでした。
その吸い込まれながら唄っていたのがたぶんこの曲。

中に入ると、本物の水が大量に滝のように落ちてきたり、
どうなってるんだろう?って思うようなすごい仕掛けがたくさんで、
あとちょっと怖いような気持ち悪いようなメイクの役者さんもたくさんで、
これが「アングラ」?とか思ってわくわくしてしまうのですが、
ちがうのかもしれません。

葉月螢さんがものすごくかわいかったです。

2003年05月30日(金) テロ以降を生きるための私たちのニューテキスト/斎藤環
ほとんどの先進国が神経症化してしまった今、その意味でも国家間の戦争はありにくい。

神経症的な国家においては、国家のあり方そのものに関する内省が国家的な自意識をもたらすことで、

過剰な行動に抑止がかかる。

さまざまな意味で神経症足りえない国――それはしばしば、経済的に貧しい国だ――

あるいは、カルト的な集団だけが、テロと戦争の主体として振る舞うことができる。

いっぽうアメリカは、もちろん神経症的な葛藤を抱えつつも、それを多重人格的に処理することで

――つまり「なかったこと」にするという忘却の技術によって――今日の覇権を勝ち得てきた国家だ。

それゆえ今回の「戦争を」精神医学的に理解するなら、人格障害者と多重人格者の戦争ということになる。

繰り返し断っておくが、ここはいかなる価値判断も含まれていない。

長く苦しい戦いになることが予測される。

それでは、現時点で私たちに可能な身振りとはなにか。

他国の視線を気にするとういう点において、世界の冠たる対人恐怖症国家であるわが国が、

あくまでもその神経症的な内省の構造を維持し続けること。

自意識過剰な戸惑いの中で、それとも正義と倫理とをあえて口にし続けること。

そうした身振りに固執することで、「正しい物語」ならぬ「凡庸なアンチクライマックス」

の到来に寄与しうるなら、私たちはそのときあらためて「神経症的な倫理性」を

確認することになるだろう。


★テロ以降を生きるための私たちのニューテキスト/斎藤環★

2003年05月29日(木) カラフル/森絵都
くだらないと笑われても、ぼくには今、二一八〇円のスニーカーを教えてくれた早乙女君が、

世界で一番、尊い。


★カラフル/森絵都★

2003年05月28日(水) 熊沢パンキーズ




■この写真だけで楽しみ。

2003年05月27日(火) トットチャンネル/黒柳徹子
(とにかく、短所を書いちゃおう。そして、短所のように一見、

みえるけど、よく読むと、長所とつながるようなことにしよう)

短所・大喰い

まっ先にこう書いちゃったものの、

(俳優になるのに大喰いなんて、まずいかな?)

と思ったけど、一応そのままにして、次に、「散らかす」と書いた。

これは家族の中で有名なことだったから、やはり書いといたほうが気が済むように思えた。

それから、「就職が決まっていない」と、少し小さい字で書いた。

気がついてみると、長所につながる、逆説的なところは、全くなく、短所そのものだった。

そしてトットは、最後に、御丁寧に、こんなことまで書いたのだった。

「私は楽天的なせいか、いろんなこと、すぐ忘れてしまいます。

母は、時々、私に、“ちょっと参考のために聞いておきたいんだけど。

さっきあなた、自分で、『失敗した』とかいって。ワァワァ泣いてたわね。

でも、いま、そうやって、ゲラゲラ笑って、オセンベをボリボリ音をたてて、食べてるでしょ?

少しは、さっきの泣いたこと、どっかに残ってる?”と聞きます。

そんなとき考えてみると、私は、すっかり、さっきのこと、忘れています。

反省とか悩みを、すぐ忘れるのですから、これも短所と思います」


★トットチャンネル/黒柳徹子★



■NHKに入る時の「あなたの、長所と、短所を書きなさい」
という筆記試験の設問でのお話。

「散らかす」がキュンときました。

ちなみに長所は

素直なとこ
親切(友達がそういいます)
いつも機嫌が良くて、食欲もある

だとか。

2003年05月26日(月) テロ以降を生きるための私たちのニューテキスト/森達也
つくづく思う。日本はオンリーワンになれる国だった。

世界で唯一の被爆国であり、非武装中立国という(ジョン・レノンが唱えそうな))理想を、

非現実的と揶揄されながらも懸命に標榜し、国歌すら持たず、

多国籍軍が軍事力で他国を制圧しようとした時、西側諸国で日本だけは経済力でこれに参画した。

G8では唯一非キリスト教国家であり、化学兵器によるテロを世界で初めて体験したのも日本だけだ。

こんな凄い国はない。他のどの国にもできないことを、日本はこの半世紀余り体現しつづけてきた。

平和ボケに誇りを持てるはずだった。

しかしこの6年(要するに地下鉄サリン事件以降だ。

ちなみにタリバンがカブールを制圧したのはこの翌年だ)で、この全てが過去形となった。


もっとヒステリックになって良いのだと思う。

戦争はいやだと泣き叫び、自分も死にたくないし他人も殺したくないと駄々をこねればよい。


★テロ以降を生きるための私たちのニューテキスト/森達也★



■久々にブックオフに行ったら、この本とか「非戦」とかが、もう100円になっていて、
それで9月11日からもうそんなに経つんだなぁとちょっと実感しました。

2003年05月25日(日) 立ち上がれ/後藤貴光
周りの奴等は遠ざかり 一人ぼっちになり

急いで走れば走るほど 空回りさ


道が無く行けないのは、塞ぎこんだ自分のせいさ

恥をさらして笑われても

うずくまっているよりはましだ


この先も見えぬ暗闇を 手探りで歩いていく

苛ついて当たる場所もなく

心が廃れてく

どうにでもなれとひねくれて

投げやりになるほど

自分の心の奥底に嘘はつけない


あがいても抜け出せない
 
夜の闇を突き抜けてやる
 
虚しさや その悔しさが 胸の奥を突き刺すけど


悲しみに暮れ 夜を越えたら

笑える日が必ず来るはずと

こらえきれない 愚かな日々に

涙を捨てて叫んでやれ


★立ち上がれ◇中村雅俊/後藤貴光★



■ロードオブメジャーとか175R系の人たちの曲かなぁと思ったら、
中村雅俊さんの曲(たぶん新曲)でした。

2003年05月24日(土) 灰とダイヤモンド/李花幻
好きなように楽しみなさい 笑いなさい 素敵なこと

先の事など忘れてしまえ

嫌な事は辞めてしまえ 涙流せ 愛嬌だよ

君の命の求めるままに


シャララララ 許してあげる
 
シャララララ お前のすべて


★灰とダイヤモンド◇沢田研二/李花幻★

2003年05月23日(金) 人生を救え/町田康
その頃、私は荒んでいた。前衛ジャズを聴き、酒を飲み、人に議論を吹きかけ、

仕舞いには一分間に十も二十もギャグを云って止めなかった。

なぜそんなに荒んでいたのか。

そんなことは分からない。とにかく私は荒んでいたのだ。

そんな調子だから誰も私の相手になるものはない、友人もみな私を避け、

私はとても孤独で凶悪な目をして人気のない公園のベンチで背中を丸めて菓子パンや煎餅をひとり食ったっけ。

寂しかったよ。

そんな私ではあったが、ひとつだけ心が和むことがあった、というのは、

ビルの一階の不動産屋にいた猫で、猫は窓際のコピー機の上にいつも座っていて、

私の顔を見ると、にゃあ、と云う。可愛いなあ。

私は飼い主に無断で猫を「ニコちゃん」と名付け、ははは、

他家をいつまでも覗き込んでいると怪しまれるが、そこは不動産屋、

貸し家の札を見ているような顔をして、いつまでもニコちゃんを見ていることができたのである。


★人生を救え/町田康★

2003年05月22日(木) 悪童日記(5月15日)/水道橋博士
13時半、新宿スタジオアルタ、『笑っていいとも!』のタモリさんの楽屋へ。

これもまた物怖じしないで“出会いに照れず”の実践なのである、


タモリさんの楽屋で待っていると、机の上には、時刻表と、各種、地図。

タモリさんらしい。


「今日は、これで仕事は終わり」と言う、タモリさんと旧知の俺のかみさんと共に、

タモリさんの隠れ家的某長崎料理のお店へ。

ちゃんぽん、皿うどん、辛子レンコン、たこのから揚げ、長崎風茶碗蒸しなどツマミに、

お昼から、お酒を飲みながら、タモリさんとさまざまなお話。

「いいとも」のプロデューサーも同席しながら、なぜに、ここに俺は夫婦で居るのか? 思いつつも。


「地図を見ながらお気に入りのY字路を探してるんだよ」と。

「芸能界って虚像なんだよ、だから、実像、そして実業に興味があるんだ……」

と語る日本でも、指折りの虚像であるタモリさんの話、抜群に興味深く、関心がある。オモロ。


★悪童日記(5月15日)/水道橋博士★

2003年05月21日(水) 小舟のほとりで/J.Dサリンジャー
「誰がそんなこと言ったの?あたしが提督じゃないなんて、誰があんたに言ったの?」

ライオネルは答えたが、よく聞えない。

「誰ですって?」とブーブーは言った。

「パパだよ」

ブーブーはしゃがみ込んだまま、折り曲げた膝の下から左手をのばして桟橋の板につかまり、

ぐらついた身体を危うく支えた。「きみのパパはなかなかいい奴だ」と彼女は言った。

「しかし、あんなに海の生活を知らぬ男も珍しいぞ。港に入ればたしかにわしは奥さんだ――

それは本当だよ。だが、わしの本当の仕事はだな、何よりもまず、波踊る――」

「ママは提督じゃない」とライオネル。

「今何と言った?」

「ママは提督じゃない。ママはいつだってただの奥さんじゃないか」

ちょっと沈黙が落ちた。


彼女は、煙草に火をつけぬまま、不意に立ち上がると、

不自然なほど背筋をまっすぐにのばし、右手の親指と人さし指とで輪を作って口に当て、

それからカズー笛のように音を震わせながら何やら集合ラッパめいた音を出した。

とたんにライオネルは顔を上げた。おそらくインチキラッパと承知の上に違いないが、

それでもひどく感心したと見えて、ぽかんと口を開けている。

ブーブーは、消灯ラッパと起床ラッパが混じり合ったみたいな一種独特のその奇妙な合図を、

三度続けざまに鳴らした。

それから対岸に向かっていとも厳粛に挙手の礼をおこなった。

最後にまた彼女は桟橋の端にしゃがみこんでもとに戻った格好になったけれど、

そこへ戻る動作には、それまでの、何か世間一般の人や小さな男の子なんぞには

知るべくもない伝統的な海軍魂に衝き動かされてでもいるかのような

熱のこもった態度とは打って変わって、いかにも気乗りがしないといいたげな、

しぶしぶそうするといった感じが精いっぱいに滲んでいた。

しばらく彼女は、海と違って広くもない湖の水平線をじっと見やっていたが、

それからふと自分が一人でないことを思い出したような気配を見せ、

ちらとライオネルを(謹厳な面持で)見下ろした。

ライオネルはまだ口を開けたままである。


「あれ、もう一遍やって」

「とんでもない」

「どうして?」

ブーブーは肩をすくめた。

「一つには、下級将校がその辺にうようよしとるからな」

そう言いながら彼女は姿勢を変えると、インディアンのように胡座をかいた。

そしてソックスを引っ張り上げた。「でも、こういうことにしよう」

彼女は事務の打ち合わせでもするみたいなさりげない口調で言った。

「きみがなぜ家出するのか、そのわけを聞かしてくれたら、

あたしは知ってるだけの秘密のラッパをみんな吹いてあげる。いい?」


★小舟のほとりで/J.Dサリンジャー★

2003年05月20日(火) 虹の都へ/高野寛
だけど僕たちは知っている

香りが誘うこの場所を

地球の中の知られざる街へ僕たちは向う


昨日よりもっと今日の方がいい

そして世界は廻ってる


★虹の都へ/高野寛★

2003年05月19日(月) いまなぜ青山二郎なのか/白洲正子
「こんな説明は不必要だ」といっては切られ、

「文章が冗漫だ。形容詞が多すぎる」といっては削られ、

なかんずく、「これはあんたの一番いいたいこと」と消されたのが一番身に応えた。    


★いまなぜ青山二郎なのか/白洲正子★ 

2003年05月18日(日) この日本人に学びたい/松尾スズキ
かつて人類が洞窟に住んでいた頃、体の動く奴は狩りに出掛け、

頭の切れる奴は狩りの獲物をかすめた。

体が弱く頭も悪い奴は死んだ。だが、そのままでは人間は人間になれなかった。

体が弱く頭も切れない奴らは、なんとか絵を描くことを覚え洞窟を飾った。

狩りはできないが踊りがうまい奴がいた。

足は悪いが語りべとなって人々を楽しませる奴もいた。

そうやって弱者にも糧を得、子孫を残すチャンスを認めたからこそ人間は人間たりえたのではないか。

例えば動物の世界では身体障害者は子孫を残せず野垂れ死にを待つばかりだが、

もしかしたらそいつらの遺伝子にはのちのち「凄い奴」を生み出す情報が入っていたやも知れぬ。

つまり人間だけが持つ文化というものは、

弱者の遺伝子に隠れた「凄い奴」をつぶさないシステムのことをいうのではないか。

そんなふうに私は思う。

というかそんな文化の中にしか私の居場所はとりあえずない。


★この日本人に学びたい/松尾スズキ★

2003年05月17日(土) BRUTUS(6月1日号)/モーリー・ロバートソン
僕はどちらかというと、本屋はスタイリッシュな演出がないところの方が好き。

カッコつけてる店って、そこで働いてるスタッフが何か勘違いしてたりするような

フシがあるでしょ。ヘンなプライドを持ってたりして。

で、ちょっと店のスタイルから外れたようなことを聞くと、冷たくあしらわれたりする。

そういうの嫌なんですよね。ゾッとしちゃう。

――モーリー・ロバートソン


★BRUTUS(6月1日号)/モーリー・ロバートソン★



■「新しいスタイルの「本屋」が気になる!」という特集で、
全体的に「こだわりのあるお店が好き!」という雰囲気の中、
こういう発言をするモーリー・ロバートソンさんという人が
一番なんか感じ良く思えたり。

他に佐伯仁さんて人とShu-Thang Grafixさんて人が似た雰囲気の発言でした。

2003年05月16日(金) イッツ・ア・スモール・ブルース/ワタナベイビー
天国はない 神様もいない

ただのネズミが そこにいるだけ

ah それだけさ だからキミのことも救えない


涙はいらない 悲しみもいらない

ただのアヒルがそこにいるだけ

ah それだけさ だからキミのことも救えない


天国はない 神様はいない

年齢をとったネズミが 手を振るだけ

ah それだけさ だからキミのことも救えない


★イッツ・ア・スモール・ブルース/ワタナベイビー★

2003年05月15日(木) 電話をするよ/ワタナベイビー
内緒だよ 秘密だよ

少しだけ 僕は狂っているよ

誰よりも 何よりも

キミに頼っているよ


★電話をするよ/ワタナベイビー★

2003年05月14日(水) ヨーロッパ日記(5月15日)/上田誠
何だか熱い文を書いちゃったけどそれを薄める手段があんまりない。


★ヨーロッパ日記(5月15日)/上田誠★

2003年05月13日(火) エズミに捧ぐ/J.D.サリンジャー
「わたしには全然ユーモアのセンスがないんですって。

ユーモアのセンスがないから人生に太刀打ちできないって、父は言うんです」

私は彼女の様子を見守りながら煙草に火をつけた。

そして、本当の苦境に立ち至ったとき、ユーモアの感覚では役に立たないと思うと言った。

「父は役に立つって言うんです」

それは、異説を立てているのではなく、一つの信念の宣言であった。

だから私は、すぐ話の角度をかえた。

私はうなずいて、彼女の父はおそらく長い目で見ておられたのだろう、

一方私のほうは短い目で見ていたのだと、そんなことを言った(短い目とはどんな目か、

あやしいものではあったけれど)。


★エズミに捧ぐ/J.D.サリンジャー★

2003年05月12日(月) 白洲正子の世界/白洲正子
成程買ってみないことには解からない。

この(骨董の)世界では買うという事が唯一の行為である。


それを包んであった布には「これを持つものには災いあれ」と

あきらかに青山(二郎)さんの字で書いてあり、彼の執着の程が恐ろしいほど迫ってきた。


いつかジィちゃん(青山)を出しぬいてやろうと思い、一人歩きをして、

気に入ったものを買い、自慢してみせると、「フン、これは昨日僕が売ったものだ」

そういうことが何回もあった。

―中略―

未だに私は青山二郎の世界から足が抜けないし、抜けなくてもいいと思うようになっている。


それから三年ほど経って、彼(青山)はそのぐいのみを壷中居へ持って行き、

今度は五万円で買えという。

「だってあなた、まだお勘定も済んでませんよ」

「俺が三年間持っていたんだから五万円に上がってるサ。ありがたく思え」

といわれ、壷中居はたぶん言い値で買ったのであろう。


真物の中の真物は、時に贋物と見紛うほど危うい魅力がある。


どきどきさせるものだけが美しい。


★白洲正子の世界/白洲正子★

2003年05月11日(日) 銀河鉄道999(始発駅『運命』前編)/松本零士
ネコに判って、僕に判らない事も、この世にはあるんだろうか?


★銀河鉄道999/松本零士★

2003年05月10日(土) 歌 好っきゃねん/つんく
(ASAYANは)テレビ番組のレギュラーを一つ持ったつもりで、

ナインティナインとのコントでもやっていこうかなという程度でしたね。


このコメント言ったら、ナイナイがスタジオで「この人アホやな」って言ってくれるかな?

とか、正直言うとそういうことしか考えてなかった。

だから最終選考の手前ぐらいまでは、ほんと面白がってコメントしてました。

「これおもろい」って言ったら絶対みんな面白がるだろうなとか、

「こんなやつに才能あるんや」と言ったらびっくりするだろうなとか。


最終的には番組的に欲しいやつひとり入れとけよ、という感じくらい。

「この子はお茶の間的に、おもろいよな」とか、

「二十四歳でアイドルしたい言うてるで」みたいだった。


そのころはまだ、年末に紅白歌合戦に出て、その日に「解散します!」

と言ったらカッコいいよなって思ってたんですよ、僕は。

当時はシャ乱Qもあるし、いつまでもこの子たちに正直、かかわってられないし。


この子たちにとっても、

この一年がいい青春だったなって言えるくらいが絶対いいと思ってた。


「次のシングルを出して、十一月に紅白決まって、十二月三十一日解散」

みたいなプチ・ヒストリーを自分で勝手に作ってたんですよ。


★歌 好っきゃねん2◇産経新聞 話の肖像画/つんく★

2003年05月09日(金) 地下鉄にのって/猫
ねえ君何話してるの

だからさ聞きとれないよ

もっと大きな声でもっと大きな声で

でなけりゃ次の駅にとまったら

走り出すまでの

あのわずかな静けさに話そうか

今赤坂見附をすぎたばかり

新宿まではまだまだね

そう君とってもよかったの

今日の映画はとても

もっとそばにおいでもっとそばにおいで

車輪の悲鳴が何もかも

こなごなに立ち切ってしまう

もうおだやかな静けさにもどれない

今四谷を通りすぎたばかり

もううんざりする

ねえ君もう降りてしまおう

だからさ次の駅でさ

ここはどこの駅かなここはどこの駅かな

いいさ次の駅にとまったら

何かを始めるようにそこから歩いてみよう

次で降りるよ

君ももちろん降りるんだろうね

でも君はそのまま行ってもいいよ


★地下鉄にのって/猫★

2003年05月08日(木) テディ/J.D.サリンジャー
テディは初めて相手をまっすぐに見やって「あなた詩人ですか?」と、言った。

「詩人?」と、ニコルソン。「いや、とんでもない。大違いだ。どうしてそんなことを?」

「よく分かんない。詩人というのはいつも天気を個人的に受け止めるでしょう。

感情のない物にいつも自分の感情を注入する」

ニコルソンは微笑しながら上着のポケットに手を入れて煙草とマッチを取り出した。それから

「むしろそれが詩人の十八番じゃないのかな?」と言った。「詩人はもともと感情を扱うもんだろう?」

テディにはこれが聞えなかったのか、それとも聞いてなかったのか、彼は放心したように、

運動用甲板の上に対をなして立っている二本煙突か、その向うの方を見つめている。

ニコルソンはいささか苦労しながら煙草に火をつけた。多少北からの風があったのである。

彼は前かがみになった身体を起して言った。

「きみのおかげで学者先生たちはすっかり困惑してたとか――」

「<やがて死ぬ景色は見えず蝉の声>」

だしぬけにテディは言った「<この道や行く人なしに秋の暮>」

「何だい、それは?」微笑しながらニコルソンは尋ねた「もう一度言ってくれよ」

「二つとも日本の詩。感情的な要素がたっぷりという材料はほとんど使ってないでしょう」


★テディ/J.D.サリンジャー★

2003年05月07日(水) ハーパーズ・マガジンへの返信/J.D.サリンジャー
最初におことわりしておきますけれど、僕にもしも自分の雑誌というものがあるとしたら、

執筆者の経歴などというものを載せる欄は絶対に設けないだろうと思います。


そういうことを知らせてやる作者はまた、開襟シャツなんぞを着たところを写真に撮られたりして

―顔はきまったように四分の三の角度から撮ったプロフィル、

深刻な表情を湛えているといった按配です。


僕はこれまでにも二、三の雑誌に略歴を書いたことがあるにはありますけれど、

果たして正直なことを書いたかどうか、保証の限りではありません。


★ハーパーズ・マガジンへの返信/J.D.サリンジャー★



■「ナイン・ストーリーズ」のあとがきから。
略歴を知らせてくれ、という雑誌社に対するサリンジャーの返信がこれ↑。

32歳で「ライ麦畑でつかまえて」を書いてものすごーく売れて、
34歳で「ナイン・ストーリーズ」を刊行後、隠遁。
46歳で「ハプワース16,1924」発表後は完全に沈黙してる、ってなんかもう。

「ライ麦」の翻訳契約もいろいろ要請があるらしく(顔写真を載せない、略歴を載せない等)。

なんか、載ってる顔写真(四分の三の角度から撮ってる)が
ものすごく嘘っぽく思えてきました。

2003年05月06日(火) 犬が星見た 解説/色川武大
文は人なり、という言葉がある。

特に日本語の文章は、字という記号を使って正確な伝達を旨とするばかりでなく、

感性を凝らして勘でひらりと字句を掬いとっていくような趣があるから、

なおのことパースナルになる。



「百合子、面白いか、嬉しいか」

「面白くも嬉しくもまだない。だんだん嬉しくなると思う」

この返答がすごい。

人はなかなか自分の心に即した簡略な返答を返せないものである。

そうしてその有様をすらっと文章に掬いとってしまうところがすごい。

すごがってばかりいるようだけれど、だって仕方がないのである。

この本にはページごとに、すごいところがある。



微笑ましく、ヴィヴィッドなスケッチは数限りないが、それとともに、

親善、などという文字が空々しくなるほど、人々と直に融合してしまうすばらしさ。

これはもう天使のおこないである。



文は人なり、であるにしても、どうしてこんな文章が書けるのか、私は絶望する。


★犬が星見た 解説/色川武大★

2003年05月05日(月) 青春時代/ミネタカズノブ
大人が死ぬまで あと25年 

僕等が死ぬまで あと50年


大人が死ぬまであと半年か

僕等が死ぬまであと1日か


★青春時代◇GOING STEADY/ミネタカズノブ★

2003年05月04日(日) MajiでKoiする5秒前/竹内まりや
あっというまに日が暮れて

さよならの時が来る

グッとくるセリフ探して

黙り込んだ

“今度はいつ会える?”と

ふいに聞いたあなたが

MajiでKissをくれたのは

門限の5秒前

MajiでKonya眠れない

真夜中の5秒前


★MajiでKoiする5秒前◇広末涼子/竹内まりや★



■久々にこの曲を歌ってたころの映像を見たのですが、
かわいずぎてびっくり。

2003年05月03日(土) 白洲正子自伝/白洲正子
家に禿げ頭の家扶がいて、何かのはずみで「お可愛らしいお嬢ちゃま」といった時は、

怒り心頭に発し、無言で禿げ頭をめった打ちにしたことがある。

そのつるりとした手応えを今も忘れてはいないが、

私が生れてはじめて口にした言葉は、「バカヤロウ」で、

気に入らない医者が診察に来た時、ひと声叫んで浦団を蹴って逃げ出したことを覚えている。

まったく「お嬢さま」にはあられもない暴言であるが、

それが嵩じて何か気に喰わぬことがあると、廻らぬ舌で、「ブッテコロチテチマウ」と地団駄踏む。

二、三年前に亡くなった兄が、晩年になって、

あれをいわれた時はほんとうに怖かったと白状したので、おかしかったことを思い出す。


★白洲正子自伝/白洲正子★

2003年05月02日(金) 犬が星見た ロシア旅行/武田百合子
こんなに広々としていて、しかも人も車も全く通ってないのに、

どうしてこんなドッカーンなどと、バカバカしい大きな音をたてて衝突出来るのかしら。

人がいないのだから野次馬もない。

つっ立っている唯一の目撃者である私に、婦人は興奮した涙声で何か訴えはじめる。

事故の状態を証言してくれといっているのだろうか。

(ロシア語が話せない人間である)ということと、(私の背後で事故が起った。

ドッカーンと音がしたので振り返ったのであるから、事故の起きる直前の車の状態は見ていない。

だから証言は無理である。何しろ、ドッカーンと音かしたので振り返ったのであるから)

ということを、私は婦人にわかってもらいたい。

うしろ向きになって歩いたり、「ドッカーン」と発声して、はっと驚く仕草をしたり、

心をつくし手をつくして、私が証人になれないことを証明する。

結局、私は「ドッカーン」「ドッカーン」だけくり返して言っているばかりだ。


「御機嫌いかがかね」竹内さんが訪ねてきた。

「あたしの御機嫌はこの通り。でも武田は御機嫌よろしくない。

『アルマ・アタにどうして行けないのかなあ』ばっかり、そればっかり言いながら、もうねました。

旅行に出る前『古代保存官』ていう本、読み返したりしてたの。

よっぽどアルマ・アタに行くのが楽しみだったらしい。

見てやって下さい。このしょんぼりとねてる格好。カマトトにもみえるけど――

何だかカワイソウだ」

私はおかしがって話していたのに、カワイソウと発音したら、どうしたんだろう、

急に涙が浮かんでこぼれた。


★犬が星見た ロシア旅行/武田百合子★

2003年05月01日(木) 囲むフォーメーション/ヨーロッパ企画
「負けるフォーメーション」

高校3年の夏頃、不良2人組から恐喝にあった。

恐らく10分くらい跡をつけられていて、

信号待ちをしている時に両サイドをそいつらに挟まれ、人気の無い所に連れて行かれた。

途中で相手は13才で年下だとわかって、一瞬勝てるかなと思ったが、

ブーツの足で胸を一発蹴られ、あ、負けたなと思った。

――永野宗典


「晩御飯」

母親は台所の一番近くに、父親はその隣に、祖母は自分の部屋から一番近くに、

テレビ好きの長男はテレビの前に、次男と僕はその日の気分でそれぞれ座ります。

そして皆の真ん中には今晩のこ馳走が。

これが我が家の食卓を囲むフォーメーションです。

――本多力


★囲むフォーメーション◇パンフより/ヨーロッパ企画★



■下北沢駅前劇場

次回公演は「サマータイムマシン・ブルース」。
白黒チラシがもらえたのですが、
ドラえもんとのび太がタイムマシンでガコガコなってる(時流に巻き込まれてる)
1コマが使われてたりして、さっそくチケット買ってしまいました。

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