○プラシーヴォ○
目次|←どうして?|それから?→
ある主婦の患者さんとメールのやりとりをしているスタッフくん
私はそれを携帯を盗み見して知ってしまった(最低!!!)
その主婦の患者さんをなんとか自宅に呼んでマッサージをしたいみたいだが
主婦さんは忙しくて応じてない様子
その主婦さんが接骨院にきて、私が担当する順番だったので
施術に入った
「あ、先生がする?」
とスタッフくんが、残念そう
なんだか胸がもやもやして、でも面と向かって文句も言えないので
「あの主婦さんを揉みたそうだったけど、先生を指名している人なの?」
と遠回しにメール
「そうだよ。指名というか、できれば僕に揉んでほしいみたい」
「そっか、なんか先生が揉みたそうだったから、子連れママが好きな先生が
個人的に揉みたいのか、私にクレームがきて主婦さんから揉まないように
先生に話をしてたのかなんなんだろうと思って」
「あのさ、言いたくないけどもっと練習したら? そしたら俺が子連れママを好きで揉みたいのか
先生にクレームがきてるのかくらい分かるでしょ」
要するに、クレームとまではいかないけどお前がへただから俺が指名されてるんだろ
それくらい分かるだろということを言いたいらしい
もうそれで私の心のシャッターがばっちんと閉まった
まあ私が悪いということは分かってるんだけど
と、もう一人の私が冷静にみている感じ
文句をいいたいエゴちゃんに、しばらく好きにさせてあげようと思った
もうまる3日ほど、本当に一言もしゃべってないという異常事態
どうなることやら
スタッフくんは仕事が終わってから鍼灸の学校に通っている
なので、仕事中の暇な時に私がよく実験台になる
お灸はいいんだけど、もともと痛いのが嫌いな私は、鍼が苦手でしょうがない
「鍼はいやだ」と言いつつも大好きなスタッフくんのお願いでいつも根負けしてしまう
でも昨日、実験台になったあと 「いやだとかいいながら、いつも結局嬉しそうやん」
みたいなことを言われてぶち切れた
痛いのを我慢して練習させてあげてるのに、その言い草はなんだ!
と同時に、スタッフくんのセフレとかが頭をぐわ〜って回って
「なんで私は、全く優しくされずに痛い思いだけひきうけなきゃだめなの!?」
と思ってしまった
「もう練習台になりません。 他の人でして」
とメール
返信を見るのが怖くて 携帯の電源をきって寝る
すると、スタッフくんからの不在着信が10件くらい入っていた
それを見て少し罪悪感を感じるけど、もう決めたことだから
いつもいつも
これがベストだ!とスタッフくんを突き放す選択をするくせに、本当に距離が空くと寂しくなる
小学生か!
スタッフくんに対して心のシャッターが降りたのは、ご飯を断られたのがきっかけだけど
この2年間、スタッフくんを愛したくて信じたくてもがいていた心の傷が、とうとう開いただけだ
スタッフくんはただ自分の人生を生きているだけなのに
私が勝手に期待してもがいて近づいて離れて絶望してまた愛して…。
今回のことだって、マスターや他のどうでもいい男性だったらどうってことなかった
どうして私は、スタッフくんに対してだけこんなに飢えてるの?
スタッフくんと話する気にならず、完全に無言だった
スタッフくんに嫌われてたんだなあとか、 私はご飯も一緒に行ってもらえない存在なんだと思うと頭が真っ白になる
それよりなにより
私の心のどこかで
こうやってスタッフくんを無視する私を
心配してほしいと思う私がいた
「おれ、何か悪いことした?」
とか私に興味を持ってほしい私がいた
なんとなんと可愛げのない・・・
はあああ
患者さんから美味しい焼き肉やさんを教えてもらったスタッフくん
「行かなあかんな」
「じゃあ、お給料もらったら行こうね」
初めて、スタッフくんから夕食に誘ってもらった
嬉しいな
そしてお給料日がすぎて、スタッフくんにメール
「明日か明後日、焼き肉食べにいこう」
「ちょっと難しい。テストが続くし、実家にも帰るし、ごめん」
実家に帰るのはわかるけど、テスト続くしってなんだよ
じゃあいつ行けるんだよ
そっちはカラオケに誘ってくるくせに!!
私から誘うご飯やカラオケは、ほぼ全敗
「もういいかげん分かった!? そういう男なんだってば!!
もうやめときなって!!」
と天使ちゃんが立ちはだかるのが見える
スタッフくんは悪くない
私だってほんとは悲しくない
落ち着いて
明日は笑顔で
今までの私だったら
「スタッフくんって、私から誘っても絶対来てくれないよね
もういいよ、二度と誘わない」
くらいの返事は送っていたと思う
(今だって実は送ってやりたい)
この状況は私が望んで引き起こしたことだ
なぜ?なぜ?
もうこの職場をふっきって、どこかへ旅立ってもいいよっていうことなのかな
私が本当にいいたかったのは
「そっか、一緒にいけなくて残念だな」
ってこと
それを今まで、すねてすねてすね倒して
「じゃあもういいよ二度と誘わない」
って言ってきた
愛され言葉はまだなかなか言えないけど
せめてひねくれ言葉は言わないでおこう
成長したなあ
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