++ 記憶の中へ
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■ 動かない理由 その2 2006年02月23日(木)
 もうそろそろ帰る時間なのに、なんか遅いなぁ、また公園で道草くってるのかなぁと思っていたところへ「ピンポーン」。

 インターフォンに出ると、海渡と同じクラスで同じマンションの女の子でした。その瞬間、また公園で水遊びかと不安に・・・・


 ところが、そうじゃなくて、海渡が一つ下の階で動かないと言うのです。

 行ってみると、真下の部屋の前で海渡が座り込んでいました。その周りには同じマンションの同級生の女の子が数人取り囲んでいます。聞いてみると、海渡は一つ階を間違えて自分の家の下の部屋のインターフォンを何度も鳴らしていたというのです。反応が無いからか女の子に階が違うと指摘されてか、ふてくされて座り込んでしまったということでした。

 やれやれ〜、何で自分の家を間違える???

 たまたま、下の家は引っ越したばかりで空き家になっています。海渡は何度もピンポンと鳴らしたのでしょう。女の子が

「良かったね、誰も住んでいなくて」

といいました。ほんとだね。

 動かなくなってしまったのは、私が出てくれないからではなくて、友達に階が違うと指摘されて、それに気づいだからだと思います。

 自分の失敗にふてくされちゃったんでしょうね。

■ 動かない理由 2006年02月22日(水)
 何とか順調に登下校できるようになってきた海渡。
 朝は、促せば素直にテレビを消して家を出られるようになりました。
 もちろん、毎朝ベランダからちゃんと集合場所から出発しているか確認しています。


 ・・・が、先日、ニコニコと家を出た海渡をいつものようにベランダから確認すると・・・・

 なぜか、班の子達は並んでいるのに、海渡だけ外れたところに立っています。しかも、海渡の特学の先生がいらっしゃる。

 なぜ?どうして?あんなにご機嫌で出ていったのに。
 出がけにトラブルもなかったし、ご飯も食べたから体調もいいはずだし、なんで並ばない?????

 先生が呼んでも並びません。そのうち、他の子たちは先に出発して先生と海渡だけが残ってしまいました。

 うーん、どうしよう。降りて行くべきか、先生がいらっしゃるからまかせるべきか・・・・と、あれこれ悩んでもう一度見ると、一人遅れてきたらしい子がいたらしく、仲良く3人で歩いていく後ろ姿が・・・・

 学校から帰った海渡に、朝どうして並ばなかったのか聞いてみましたが、無言・・・。何か言いたそうな表情ではあるのですが、結局何も教えてくれませんでした。

 そして、翌日の連絡帳にその理由が書いてありました。

 海渡は遅れてなかなか来ないお友達を置いて行くのが嫌で、なかなか並ばなかったそうなのです。たまたま登校の様子を見回りに来ていた先生が

 「先生が待っているから先に行っていいよ」

と言っても動かなかったそうで、結局先生と二人で待ち、遅れて来た子と3人で登校したということだったのでした。

 そのお友達は、海渡のことをいつも何かと気にかけてくれて、いろいろと面倒を見てくれる子で、海渡にはその子を置いていくことができなかったのでしょう。

 海渡の我がままか、気まぐれで動かないんだと思い込んでいた私。

「海ちゃん、○○ちゃんを待っていたんだね」

と言うと

「そだよ」

と一言だけ言って、あとは知らん顔。

 何かあったら、海渡が何かしたから、何か問題があったからと咄嗟に思い込んでしまう癖がどうしても沁み込んでいたんですね。

 ちょっと反省です。

■ きょうだい 2006年02月20日(月)
 昨年末、工業高校3年の長男の就職が内定しました。今は自動車学校にせっせと通っています。18歳にならないと仮免を受けられないので、2月生まれの長男は誕生日を待って18歳と6日目で仮免合格しました。あとは入社日の3月22日までに免許証をゲットするのみ!

 そして、今日、中学3年の長女が第一志望の公立高校に推薦合格しました。
 やれやれ〜・・・・・ほんのちょっぴり肩の荷が降りた感じ。

 うちの長男、長女は海渡がダウン症という障がい児であることをもちろん知っていますが、だからといって、福祉の道を行こうとかボランティアをしようとかはこれっぽちも考えていません。

 これが良いことなのか、悪いこととは言わないまでもそれに近いことなのかは、正直言ってわかりません。

 年が離れていたせいもあって、海渡絡みの外出(病院とか療育とかおもちゃ図書館とか)には一度も上の子を連れて行ったことがありませんでした。
 でも、長女の友達は小さい頃からうちに遊びに来ては「海ちゃん、海ちゃん」と可愛がってくれたし、今では長女の友達のきょうだいたちが海渡のことを小学校などで面倒みてくれています。

 長女は女の子ということもあって、本当にまめに海渡の面倒をみてくれたし、今でも「可愛い」と言って抱きしめたり、海渡に嫌がられながらもほっぺにチュッしたりしています。長男はさすがにベタベタ可愛がるということはしないのですが、全然知らん顔しているようで、さりげなく様子を見てくれたりしていました。ヘルパーさんを利用していない頃は、私が急用で行けないときは高校生の長男が小学校まで海渡を迎えに行ってくれたこともありました。(不審者に間違われないか心配でしたが)

 長男のときも長女のときも中学の授業参観には海渡をよく連れて行ったし、それを二人とも嫌がったりしなかったし、海渡のことを友達や他人に隠そうと思わなかった二人に本当に感謝しています。

 高校生になった長男はバイトもあり、忙しさも手伝ってちょっと気難しいところがあり、なかなか海渡と触れ合う時間がなかったりしたのですが、この間、こんなことがありました。

 夕食前、海渡が何を思ったのか、私と長女と順番にギュと抱きしめててほっぺにチュッとキスしてくれたのです。そのとき長女が「次はおにいちゃんにだよ」と言いました。こういうことはあまりしない長男なのでどうするのかなと見ていると、身長185センチのでかい兄ちゃんはニコニコしながら海渡の様子を見ていました。

 ところが、海渡の方がどういうわけか照れてしまって、お兄ちゃんのそばには行くもののギュっとできずにいます。私と長女には何の照れもなくできるのに、どうして兄には照れてしまうのか不思議ですが、どうしてもモジモジして出来ません。そこで長女が

 「じゃあ、お兄ちゃんのほうからすればいいんじゃん」

と言いました。

 「えー、嫌だよ」

と言うかと思ったら、意外や意外!

 「そうじゃん!」

と言って、長男が海渡をギュっと抱きしめました。さすがにほっぺにチューはしなかったんですけど、海渡は嫌がることもなくニコニコしています。長男の優しさに驚くとともに胸がジーンと熱くなりました。

 実はこの長男、就職と同時に家を出て一人暮らしの祖母のマンションに下宿というか同居することになっています。こんな風に兄弟でじゃれあっている姿は、もうなかなか見れないかもしれないと思うと、ちょっと寂しくもあったのです。

 まあ、近所ですので、夕食食べに来たり、遊びに来たりはできますが、きょうだいが離れて暮らすことに母親としては勝手に寂しい思いをしていたのですが、この様子を見てきょうだいの絆はいつまでもあるんだよねぇと安心しました。



■ 触れるということ 2006年02月13日(月)
 先日、海渡の小学校で「心の健康な子どもを育てるには」という子育て講座が開かれました。講師は虐待や放任などで、情緒障害になった子どもたちを預かる入所施設の園長先生。

 参加されたのは、来年度この小学校に就学する子どもさんを持つお母さんと在学中の子どもさんを持つお母さん方でした。当然のことながら、私よりもうんと若いお母さんが多く、きっと今度就学するお子さんがはじめての子どもさんというお母さんも多かっただろうと思います。

 私は、海渡の上に今春社会人になる18歳と今春高校生になる15歳の子どもがいますので、子育てに関しては多少経験があるわけですが、それでもやっぱりこの日伺った話は胸にズキンとくるものが多く、上の子どもたちのとき、こういう話がきけていたらなぁとつくづく思いました。

 この日のお話を要約すると、

 子育てとは、深く関わりながら母子が互いに離れていくこと、心は「愛情」によって結びつきながら子どもの自立(社会化)を促していくこと。
 そして、「愛情」を伝えるには「抱きしめること」「触れること」が大切であるということ。

 海渡に関して言えば、毎日抱きしめ、抱きしめられています。そして、毎日「だいすきだよ」と伝えあっています・・・と言うか、海渡に聞かれるので「だいすきだよ」とこたえてあげています。

 でも、上の子たちのときはどうだったかなと思い返すと・・・
 もう一度、18年前に戻ってやり直したい気持ちになるのです。

 このお話を聞いてずっと昔に知った詩を思い出しましたので掲載しておきます。



「わたしにふれてください」  Phyllis K.Davis

もしわたしがあなたの赤ちゃんなら
どうぞ、わたしにふれてください。
今までわたしが、知らなかったやさしさを
あなたからもらいたい。
おふろにいれてください、おむつをかえてください
おっぱいをください
ぎゅっとだきしめてください、ほほにキスしてください
わたしのからだをあたためてくれる快楽が
わたしに安心と愛をつたえてくれるのです

もしわたしがあなたのこどもなら
どうぞ、わたしにふれてください
いやがるかもしれないし、拒否するかもしれないけれど
何度もそうしてください
わたしがどうしていやがるかをわかってほしいから
おやすみなさい、と抱きしめるあなたの腕が
わたしの夜を甘くしてくれる
昼間にみせてくれるあなたのやさしさが
あなたの感じる真実を伝えてくれる

もしわたしがあなたの思春期のこどもなら
どうぞ、わたしにふれてください
もう大きくなったのだからなんていわないでください
あなたがわたしにふれるのをためらうなんて思いたくない
あなたのやさしい腕が必要です
あなたのおだやかな声をききたいのです
人生は困難なのかもしれないとわかったいま
わたしの中の小さな子どもがあなたを必要とするのです

もしわたしがあなたの友達なら
どうぞ、わたしにふれてください
あなたがだきしめてくれると
わたしはあなたにとって大切な人だとわかるから
あなたのやさしさが
おちこんでいるわたしも、かけがえのない存在であることを
思い出させてくれるから
そしてひとりではない、と思い出させてくれるから
わたしにやすらぎをくれるあなたのありよう
それだけがわたしが信じられるもの

もしわたしがあなたのセックスの相手なら
どうぞ、わたしにふれてください
あなたは、情熱さえあれば、十分と思うかもしれない
でも、あなたの腕だけが、わたしの恐れをとかしてくれる
あなたのやさしくおだやかな指先をください
あなたにふれられて
わたしは愛されているということを思い出すことだできる
わたしはわたしなのだ、ということを思い出すことができる

もしわたしがあなたの大きくなった息子なら
どうぞ、わたしにふれてください
わたしには、抱きしめるべきわたしの家族はいるけれど
それでも、傷ついたときには
おかあさんとおとうさんにだきしめてほしい
おとうさん、あなたといるとすべてが違ってみえる
わたしが、大切なわたしであると思い出すことができる

もしわたしがあなたの年老いた父親なら
どうぞ、わたしにふれてください
あなたが小さかったときに
わたしがあなたにふれたと同じように
わたしの手をにぎり、わたしのそばにすわって
わたしを力づけてください
わたしの疲れた体によりそい、あたためてください
わたしは随分しわくちゃになってしまったけれど
あなたのやさしさに力づけられる
そうぞ、何も恐れないで
ただ、わたしにふれてください




■ 海渡の愛読書 2006年02月12日(日)
 最近、幼児雑誌を2冊買いました。
 最初に買ったのが「入学準備小学一年生」。
 海渡はもうすぐ四年生です。でも、海渡にはこれくらいがちょうどいい内容です。

 「入学準備小学一年生」を海渡と二人で見ながら、海渡の学校の様子をそれとなく確認することができます。

 「これ何してるの?」
 「べんきょうしてる」

なんて具合に普段なかなかしゃべってくれない学校のことが聞けたりします。今回、一番興味深かったのは、小学校の授業中の様子をドラえもんのイラストで質問するページでした。

 だいたいこんな感じです。

 質問1 「先生に名前を呼ばれたらどうするの?
 答え A「『はい』と返事をする」
    B「『なあに』と先生のところへ歩いていく」

 質問2 「教科書を忘れたらどうするの?」
 答え A「隣の人に見せてもらう」
    B「自分だけ違うことをする」

 質問3 「トイレに行きたくなったらどうするの?」
 答え A「がまんする」
    B「手を上げて先生に言う」

 質問4 「先生がお話をしているときはどうするの?」
 答え A「自分も隣の人とお話をする」
    B「先生のお話を聞く」

 海渡にやらせてみたら、AABBを指差しました。
 全部、正解! 一度も迷うことなく、正しいほうを指差して、正直驚きました。何にもわかってないようで、実はちゃんとわかってるんじゃん! だてに3年間学校に通っていたわけじゃなかったのね。

 次に買ったのが「幼稚園」・・・この本を海渡が選んだ理由は付録についていたDVD。最近、DVD鑑賞がお気に入りなんです。そのDVDの中に「ラブ&ベリー」なるものが入っていました。

 女の子の間で大人気と噂の「ラブ&ベリー」、どんなものかと見てみたら・・・・おおおおぉぉ〜、しばし見入る私。隣で見ている海渡も口をあんぐり開けて見ています。

 が、もう一度見たいとはその後一度も言いませんでした。
 一緒に踊りだすかしらとか、また見たいと言ったらどうしようとか考えたんですが・・・・とりあえず、ホッとしました。

 だって、付録のムシキングには興味なしだったのに、お雛様には大喜びだったし・・・(笑)

 でも、ハム太郎とエルモは何度も見てました。
 まあまだまだこんなもんですかね。

■ 障害者自立支援法の説明会 2006年02月01日(水)
 住んでいる地域の障害者親の会主催で、自立支援法の説明会があった。
 ネットなどで調べていたのでだいたいのことはわかっているけれど、特に今日は地域に密着した具体的な話がきけた。

 支援費制度を使い始めてほぼ1年。
 利用する前から、この制度が破綻しかけていることや制度が変わることは知っていた。

 だから、今日説明を聞いても、改めて大きな驚きもショックも今更ないけれど、ため息だけはどうしても出てしまう。海渡が学校を出て自立していくころには完全に自立支援法に移行しているはず。わずかな収入も障害者年金もさまざまな負担を強いられ、手元には生活保護に該当しないよう、2万円かそこらだけ残るしくみになっている。なんだかなぁぁ・・・・・・。

 まあ、まだまだ5〜6年先のことなので、その間にまた制度の改定があるかもしれないけれど・・・・淡い期待。

 とりあえず、児童である現在、4月から影響してくるのは利用している居宅介護サービスの負担額が所得に応じた応能負担だったのが大幅増(泣)の一律1割負担になることと移動介護が居宅介護から「移動支援」として別の事業になること。

 説明会に行政の担当者も同席していたので聞いてみると、とりあえず4月から1割負担にはなるけれど、移動介護は当面今のままで行けそうなことが分かった。良かった、一安心(^^;)

 今日配られた資料によると、移動介護つまり移動支援は「地域生活支援事業」となり、市町村が運営することになる。直接、町が運営するのか既存の居宅介護の事業所に委託するのかはまだ分からないそうだが、移動介護の利用者がいてニーズがあるうちは無くなったりすることはないそうで、ホッと胸を撫で下ろした。

 それから、「移動支援」と並んで「地域活動支援センター」という事業が資料には載っていて、その内容が

「創作的活動又は生産活動の機会の提供、社会との交流等を行う施設」となっているので、ものすごく関心がある。ただ、国や県の事業ではなく、あくまでも市町村事業なので、ただでさえお金のないこの町がどこまでやってくれるのか一抹の不安が残る。

 来月、海渡の支援費の受給者証の更新がある。
 今日、ついでにそのことも聞いたら、初めて手続きしたときと同様、また海渡本人を連れていって発達具合を見せないといけないそうで(自立支援法で言う「障害程度の区分の一次判定」? ネットや事業所の話しでは児童は106項目のアセスメントなどは行わないと聞いたけど、今日の説明会では児童も成人と同じようにやるとか、どうなってるんだろう??)またまた面倒だけど、その後の支援にもかかわってくるのでめげずに頑張ろう。

 ああ、お金もエネルギーも吸い取られてしまいそうな障害者自立支援法・・・・・




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