++ 記憶の中へ
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■ 冒険 2004年04月29日(木)
 この間、ひとりでマンション隣の公園へ行かせて、結局約束通り公園にいられなかった海渡。親のいいつけは、いざとなると忘れてしまうんだと、あのときの一件で分かりながら、今日もう一度行かせてみた。

 お母さん、ベランダから見てるからね!と釘を刺して送り出す。

 ベランダから観察。
 誰だかわからないけれど、先に公園にいる男の子のもとへ走っていく海渡。しばらく二人でブランコに乗っていた。男の子は立ちこぎで限界に近いほど大きく揺らしている。海渡は相変わらずのすわりこぎ、しかも自力で大きく揺らすことができないので、だんだん揺れが小さくなっていく。そのたびに、足を地面に下ろしてまた初めからやり直している。

 そのうちにブランコに飽きて、海渡がジャングルジムへ走って行った。男の子があとを追いかける。海渡はここのジャングルジムにはまだ登れないはず・・・・だったのに、ゆっくりと時間をかけてよじ登っててっぺんに立っている。初めて見た。

 滑り台から滑り降りてきて、もう一度登ろうとしたが、うまくいかなかったらしく、しばらく上のほうで止まっている。登ることも降りることもできなくなったらしい。どうしよう、行ったほうがいいかな、握力の弱い海渡はいつ落ちても不思議じゃない。

 迷っていたら、先に上に上っていた男の子が何か言っている。しばらく動かなかった海渡がその声をきっかけに決心したのか、やっとよじ登り、なにやら歓声を上げて滑り台を滑っている・・・安堵・・・・

 ここで安心して、いったん部屋に入り、数分後再びベランダから覗いたら・・・もう公園にいなかった!(怒)

 周りにもいる気配がないので、仕方が無く探しに行くことにした。
 すると、エレベーターホールでどこからか、海渡の声がする。階下か階上か分からないけれど、このマンションのどこかにいるらしい。

 上に行ったり、下に行ったりしながら探すけれど、見当たらず一度部屋に戻ってもう一度、ベランダから公園を眺めていたら、「ただいま〜」と海渡が帰ってきた。

 大満足の笑顔。

 あんまり嬉しそうに帰ってきたので、叱る気になれなかった。

 こういうことをこれからも何回も繰り返していかないといけないんだろう。きちんと名前も住所も言えない知的障害児を一人で外へ出すというのはもしかしたら無謀なことかもしれない。でもこれから陽が長くなり、他の子供達が公園で楽しそうに遊んでいるのに、部屋の中へ閉じ込めておくわけにもいかない。またいつまでも親がくっついて外遊びへついて行くのも限界があるのも事実。

 他の子供達が場所を移動したときに海渡がついていけるかどうかという一番の不安はあるけれど、やっぱり少しずつ外の世界へ出ていかないとね。

 こうなると、これは海渡の冒険というよりは、親の冒険かもしれない。



■ ありがとう 2004年04月28日(水)
 ちょっと小さくなってきている海渡の大好きな長靴。それでも、いつも海渡は「だいじょぶ!」と言いながらずっと履いてくれていた。

 きのう、近所の靴屋さんで新しい青い長靴を買った。
 下校した海渡に真新しい青い長靴を見せたら、これがまあ、大喜び(泣)
 そして、とびっきりの笑顔で

「ありがと!ママ!」

 そして、早速長靴を履いて、部屋の中を嬉しそうに歩いている。
 たかが長靴で、こんなに喜んでくれるとは思ってもみなかった。


 そういえば、海渡は最近何かにつけて

「ありがと!」

とよく言う。おやつをあげても、ジュースをあげても、どうってことのない、ささいなことでも「ありがと!ママ」と言うのでこっちが面食らって照れてしまうこともある。

 取り立ててそんなに厳しく「ありがとう」と言いなさいと教え込んだつもりはないと思うのだけれど、なぜか気づいたら海渡に毎日感謝されている。

 なかば口癖のようになっているのかもしれない。
 でも「ありがと!」と言ってくれるときは、いつも輝くばかりの笑顔なのだ。そして、しっかり私の顔を見て言ってくれる。

 子に教えられるということはこういうことなんだろうな。
 何のてらいもなく、自然に、笑顔で「ありがとう」と言える海渡。
 知的な障害はあっても、一番大事なことを教えてくれる。

 私こそ海渡に言いたい。

 「ありがとう」と・・・・


■ 一人だけの学級写真は・・・・ 2004年04月27日(火)
 特学の学級写真をもらってきました。
 特学在籍は海渡だけなので一人だけの学級写真。でも、両隣には特学の担任の先生と校長先生がいます。

 海渡はニコニコの笑顔。
 特学の先生はちょっと緊張気味。
 そして、校長先生は笑いをこらえているように見えます。

 なぜかというと、海渡が両先生の足を踏んでいるからなんです・・・。
 右足で担任の先生の左足を、左足で校長先生の右足を踏んでいます・・・・踏んでいるというよりは、乗せている感じです。そして、校長先生はもう片方の足でそれをどけようとしているように見えます。笑いをこらえつつ・・・・

 体育館で撮ったので、先生方はスリッパをはいていますが、海渡は靴下。それがイヤだったのか、たまたまそうなっちゃたのか、わかりません。なんで、両先生の足の上に自分の足をそれぞれ乗せているのか、本当にわかりません・・・・(泣)

 海渡にどうして足を乗せているの?と聞きましたが、写真を見てゲラゲラ笑うばっかりで、どうしてだか言いません。きっと自分でも覚えていないし、わからないのでしょうね・・・・溜息・・・・ひたすら溜息


 実は、この写真を先日の授業参観で見せてもらったとき、私は固まってしまいました。そしてすぐに特学の先生に謝りましたが、そのときの先生の返事が

「ボクはこれ、気に入ってるんですよ」

と・・・
はい??え??あの?その、ナント答えていいのか・・・

 その夜、海渡の父さんにこのことを話すと、大笑いで面白い先生じゃないか!って・・・・いや、そういう問題じゃないんだけど・・・・

 今日、改めてこの写真を見て、やっぱり「どうもすみません」と謝るしかない私です・・・・


■ 歯が抜けた 2004年04月26日(月)
 昨日の夜、凍らせた棒ジュースをかじっていた海渡がしきりに歯を触るので見てみると、下の歯が1本、ぐらぐらになっていた。
 多分、かじった拍子にぐらぐらになってしまったんだろう。前に抜けたのは保育園の時なので歯が抜けるという意味を忘れてしまったらしく、あまりに不安そうにしているので

「だいじょうぶ。もうすぐ抜けて、大人の歯が生えてくるよ」

と言うと、元気のなかった顔がとたんにぱっと輝いて、安堵の表情になった。ダウン症児の歯は生える時期や抜け替わる時期も普通よりばらばらで、海渡の乳歯は保育園のときに1本抜けたきり、他の歯はびくともしていない。1本抜けた歯の隣がぐらぐらになりかけていたのに、いつの間にかその隣の歯とくっついてしまったらしく、先日の学校の歯科検診では「癒合歯」としてレントゲンが必要と書かれていた。あとからくっついて癒合してしまうことがあるのかどうか知らないけれど、それっきりほかの歯も抜ける気配がなかったのだ。

 ところが、今日迎えに行ったら、まず途中で出会った1年生の子供達が

「海ちゃんのお母さん、海ちゃんね、今日歯が抜けたよ。」

と教えてくれた。なんで1年生が知っているんだろうと不思議に思いつつ「ほんと?」と答えると

「うん。歯が抜けたから、ケーキでお祝いしてね」

と言われてしまった(笑) 次に出合った2年生(つまり同級生)の男の子が

「海ちゃんのお母さん、海ちゃん、今日5時間目に歯が抜けたよ!」

とまたまた教えてくれた(笑) そうか、5時間目に抜けたんだ。



 抜けた歯は、ティッシュに包まれて、連絡袋に入っていた。連絡帳には

「帰りの会のときに歯が抜けました。おめでとうございます」

と書かれていた。意外と早く抜けてびっくりしたけれど、周りの子供達がみんな自分のことのように喜んでくれていることが嬉しい。

 それにしても、隣の1年生の子供達が知っているのはなぜだろう???


 海渡は抜けた歯を見ながら

「すっごいね!」

と笑っていた。

 

■ よろしくね 2004年04月23日(金)
 きのう、海渡が水筒を学校へ忘れてきたので、今朝、海渡を学校へ送るついでに水筒を持って帰ろうと、久しぶりに学校の中まで入っていった。

 教室前の中庭を歩いていると、教室の窓からクラスの女の子たちが顔を出して海渡の名前を呼んでいる。すると、私の後ろを歩いていた海渡が大きな、しかもはっきりとした声で

「おはよー!」

と言った。おまけに嬉しそうにニコニコ笑って手を振っている。

 下駄箱へ行くと、さっきの女の子たちがみんな出迎えてくれていて、腰をおろした海渡の周りを取り囲んだ。

 ありがたいことに、相変わらずのハーレム状態(笑)

 そのすきに特学の教室へ走り、水筒を持ってきて、海渡に「じゃあ海ちゃん、お母さん帰るね」と言ったら、無視された。
 
 「海ちゃん、お母さん帰るって、バイバイは?」

と女の子が言ってくれるがやっぱり無視。授業参観のようにずっといてくれると思ったのだろう。

 「海ちゃんのことお願いね」

女の子たちに言うと、みな自信たっぷりの笑顔で

 「はい。さようなら」

と手を振ってくれる。ん?なんか、この風景は覚えがあるぞ・・・・

 そうだ、保育園へ海渡を預けにきて、保育士さんに「よろしくお願いします」と挨拶しているのと同じシチュエーションだわ(笑)



■ ワガママが通る人、通らない人 2004年04月22日(木)
 海渡はワガママが通る人と通らない人をよく見分けているところがある。
 学校の先生は一応ワガママが通らない人と認識しているようだ。じゃあ、ワガママが通る人は誰かというと、これが父親なのだ(笑)

 水曜日の学校までの付き添いは父さんの役目。
 先日の水曜日、海渡は集合場所の公園でブランコに乗ったきり、動かなくなってしまったらしい。・・・って言うか、家を出るときからお父さんの誘いを無視して動かなかったんだけど・・・・(笑)

 ベランダから見ていたら、父さんは動かない海渡に業を煮やしたのか持て余したのか、分団の子たちを先に出発させてしまった。ああいう場面、私なら決してみんなに先に行ってもらわず、無理やり海渡をブランコから引っ剥がして列に並ばせる。でも、父さんは海渡が少しぐずると、みんなを先に行かせてしまう。まあ、どちらが良いか悪いかは別にして、先に行いかせちゃったほうが、親は楽なんだよね・・・。

 さて、みんなを先に行かせたあとも海渡が動かないので父さんは試しに「おんぶか?」と聞いたそうだ。そうしたら、大喜びで飛びついてきて、30キロをおんぶして歩いている間中、背中ではしゃぐので頭に来て、数メートル先で「自分で歩け」となったそうである(笑)だから、無理にでもブランコから下ろしてみんなと歩かせれば良かったのに・・・(笑)

 海渡のほうが、父さんよりも上手なんだよね・・・。

 海渡は私に対してどう思っているのかというと、ワガママを何とか通したいけれど、どうしても通させてくれない人、だろうか。
 朝はとにかく、部屋で動かなかったら引きずってでも玄関に連れていくし、ブランコやゆりかごを下りなかったら、「もう行く時間なの」と無理やり下ろしてみんなの列に連れて行く。

 ダンナはその無理やりというのが気に入らないらしい。でも、毎朝毎朝のことなのでそのたびに折れてはいられないし、海渡がワガママを言いたい、うまくいけばおんぶしてもらいたい、抱っこしてもらいたいというのはわかっているけど、だからと言ってそれを毎日かなえてやるわけにはいかないのよ。

 もちろん、本当に何か理由があって学校へ行きたくないとか、体調が悪くて動きたくないとかがあってはいけないので、朝起きてからの海渡の様子や食欲、機嫌はしっかりチェックしている。元気が無いとか、食欲がないとかで子どもの体調や心の動きはたいてい分かるものだ。

 テレビを見てゲラゲラ笑い、朝ごはんを残さずペロリとたいらげ、「これが終わったら行くよ」という言葉に「うん!」と元気よく返事しておいて、テレビが終わったとたんにグズグズ言っても、お母さんには通じないのだ。

 このへんは、やっぱり日ごろ子どもと密に接している母親と、そうでない父親の観察力と判断力の違いでしょうか(笑)

 それとも、ただ単に私が荒っぽいだけの母親ということなのかも(笑)


■ 愛とは・・・ 2004年04月21日(水)
 愛とは・・・・

 「るがままに つくしむこと」

 先日の学級懇談会でいただいたプリントに書いてあった言葉。
 目からウロコの思いで何度も心の中でつぶやいた。

 あるがままに いつくしむこと、簡単なようでいてこんなに難しいことはないと思う。誰でも母親はどこかで自分の子どもを、もう少しこうだったら、もう少しああだったら・・・・と期待しつつ見てしまう。また、こうでなければいけないという枠にとらわれ、それにあてはまらないと、落胆したり、子どもに辛く当たったり、優しく接することができなくなることもある。

 わが子を、本当に本当に、あるがままにいつくしむことができたとき、そのとき、初めて本当の母親になれるような気がする。

 自分を振り返ってみて、どうなんだろう・・・・
 私はあるがままに 子どもをいつくしむことができているだろうか・・・

 そんなことを考えさせてくれる言葉だ。
 

■ 授業参観 2004年04月20日(火)
 2年生になって初めての授業参観。
 「生活科」の授業だったけれど、特学の先生がついてくださるというので、私はひたすら参観することに・・・・しかし、海渡の集中力の無さは目に余る。

 とにかく、先生の話を聞いてない(怒)
 後ろを見たり、自分の指をもてあそんだり、特学の先生にちょっかい出したり、じゃれたり、甘えたり・・・・先生の話もお友達の発表も何にも聞いてない(怒) まあ、先生のお話が海渡には難しいということもあるんでしょうけど、それでも聞く姿勢をもう少し身につけないといけないと切実に思った参観だった(溜息)

 でも、思っていた以上に新しい特学の先生に慣れているらしく、自分から先生に甘えたり、先生の手を触ったりできるというのにちょっと驚いた。意外と順応性は高いのかも。しかも、先生のお話によると、今日初めて、朝職員室へ先生を迎えに来たらしい。

 朝先生を迎えに職員室へ行くというのは、前の特学の先生がいたときに、毎朝海渡がやっていたことで、日課のようになっていた。2年生になって先生が変わって、その日課も途絶えていたけれど、どうやらやっと新しい先生を迎えに行く気になったのかな。

 今日一日で、前の先生に対するようにはまだまだいかないけれど、それでも徐々に歩み寄っていく海渡を見ることができた。また、先生の方でも海渡が描いてくれたという先生の顔の絵を壁に張ってくださったり、わざわざ金魚と水槽を買って特学の教室に置いて海渡にエサやりをやらせてくれたり、想像以上に前向きな姿に感動した日でもあった・・・・。

 どうか、先生の期待を裏切らないでね、海ちゃん。


■ 夢 2004年04月19日(月)
 夢を見た。
 なぜか、臨月になってる(笑)

 誰でもそうなのか知らないけど、妊娠した夢をたま〜に見る。それも途中をすっ飛ばしてたいてい、既に臨月になっている(笑)
 もうひとり欲しいなんて絶対思っていないのに、何でいまだにこういう夢を見るんだろう。

 面白かったのは、それでもやっぱり赤ちゃんが産まれることがとても嬉しくて、ワクワクしていたこと(笑) そして、出産費用がない!といきなり気づいてあせっている自分(笑)

 そして、さらに不思議だったのは、突如
「あ、またダウン症だったらどうしよう」
と思ったこと・・・・・。

 なんか、笑っちゃうんだけど、お金がないということと、またダウン症だったらどうしようというリアルな感情を生々しく覚えていて、目が覚めてからもしばらくは夢だと気づかずにいた。

 そうしたら、急にお腹が張るように痛くなって、ちょっと便秘気味だったのか消化不良だったのか、とにかくお腹が張る感じがしていて、それがお産の前の張りと似ていたから、妊娠している夢を見たのかな・・・・・

 それにしても、あの「また、ダウン症だったら・・・」というのは、何なんだろう。

 確かに、海渡が産まれて翌日にNICUのドクターから告知を受けたときは、ダウン症であることを受け入れられなくて、私はダウン症の赤ちゃんなんかいらない、ダウン症の赤ちゃんを産むためにここへ来たんじゃない、もう一度今度は健常な子を産む・・・なんてとんでもないことを思ったもんだけど、でも、今では海渡以外の子どもは考えられないほど、海渡のことを大切に思い、愛している。ダウン症である海渡そのものを受け入れてつもりでいる。

 なのに、何であんな夢を見たのかな・・・・
 どこかで、ダウン症をやっぱり受け入れていないところがあるのかな。
 やっぱり、健常な子どもを産みたかったという思いが心のどこかにまだあるのかな・・・なんてことをついつい考えてしまう。

 そばですやすやと寝息をたてている海渡の髪を撫でながら、

「ママは、海渡が大好きだよ」

とつぶやいてみる。いとおしさがこみあげてくる。

 この気持ちにうそ偽りはない。
 それをはっきりと自覚し、やっと安堵してまた布団にもぐりこんだ。そっと海渡の手を握りしめながら・・・・・


■ ちょっと違う?? 2004年04月18日(日)
 でかけるために、車に乗り込んだとき、海渡の靴が脱げました。
 すると、海渡は

「あ、はずかし〜」

 恥ずかしい?なんで???

 そこで思い出しました。

 近頃、海渡は服を脱ぐと「はずかし〜」と言います。
 つまり、脱ぐイコール恥ずかしい と思い込んでいるらしいのです。

 で、靴が脱げても恥ずかしい・・・・と

 でもねぇ、人前でズボンがずり落ちそうになってパンツが丸見えでも平気なのに靴が脱げて「恥ずかしい〜」は・・・なんかちょっと違うんじゃない?海渡くん?

■ 嬉しいひととき 2004年04月17日(土)
 今日はおもちゃ図書館へ行く日。保育園友達のゆうちゃんに会えるかもしれないので、海渡はおお張り切りで出かけました。
 ところが、ゆうちゃんが来ていなくてちょっと残念。

 でも、海渡の小学校にもコンサートに来てくれた「ほっとハウス」のバンドの一人で海渡と同じダウン症の人がよく遊んでくれて、海渡は大喜びでした。同じダウン症だからか、お互い言葉は何も話さないのに、なぜか通じ合うというか、波長が合うというか・・・まあ、相手が合わせてくれているんでしょうけど、海渡はずっと笑いっぱなしでした。
 彼は、そのあとオカリナを吹いてくれました。コンサートのときのリコーダーも上手だったけれど、オカリナまで吹けるとは驚き!
 ダウン症のピアニストの越智さんがいる「ほっとハウス」のバンドの皆さんは海外演奏にも行かれるそうで、忙しそうです。

 また海渡の小学校に来てねと言うと、笑顔で「行くよ」と答えてくれました。素敵な大人のダウン症の人に会うと本当に嬉しい。
 海渡の将来が何となくちょっとだけ見えるようで・・・・

 

■ いろいろと・・・・ 2004年04月16日(金)
 今朝は昨日の反省もあって、早めに集合場所へ行った。
 班長さんに昨日はごめんね、と言うと「いいよ、別に」と。高学年の男の子ということもあって照れもあるのかもしれないけれど、意外とあっさりとしていて、ちょっと安堵・・・・

 ほかの子が言うには、走り出しては止まり、走り出しては止まり・・・していて転んだらしい。でも、泣かずにまた走っていたとか。夜お風呂でそのことを聞いてみたら「ママ、おそい」とポツリ・・・ごめんね(笑)


 今日は2時下校なので、帰ってからが長い。
 ゲームに飽きて、ベランダから公園を眺めている海渡に「公園、ひとりで行ける?」と言うと、とたんにニコニコの笑顔になって「うん!」と言う。

「じゃあ、公園から出ないこと。ずっと公園の中にいること。わかった?」

と約束してひとりで公園へ行かせてみた。

 しばらくしてベランダから見たら、女の子と二人で公園の外の道をふらふらしている(怒) まったく、約束も何もあったもんじゃない!

 そのうちに高学年の子がぞろぞろ学校から帰ってきたのにつられて公園へ戻った。しばらく公園の中にいたけれど、公園に出る前に遊んでいた子たちがいなくなっていてつまらなくなったのか、ひとりで戻ってきた。

 マンションの入り口から中へ入るかと思って見ていると、それを通り過ごして道路の方へ歩いていく(怒) そこで上から声をかけた。

「海ちゃん、どこ行くの!」

 海渡はびっくりして飛び上がり、上を見あげ、私が見ているのに気づくと、端っこによってぺたんと座り込んでしまった。

 つまり、公園から出てはいけないと約束したのに、それを破り、見つかって叱られるという思いと、私がずっと見ていたということに対する不満だろう。

 座り込んで動かなくなったところへ、たまたま学校から帰ってきた登校班の班長の男の子が海渡に気づき、声をかけてくれた。ひとりでいる海渡を心配してくれているらしい。上から声をかけたら彼、「なにこれ?」って(笑)「どういうこと?」っていうことでしょうね(笑)

 私が下まで降りていくと、班長さんは海渡のそばに一緒にすわって待っていてくれていた。ああ、連日、お世話になります、班長さん。

 海渡は私を見て、涙をポロリ・・・・

 自分のやったことはわかっているようだ。
 「公園へ一緒に行こうか?」と言うと、笑顔になって元気よく立ち上がった。班長さんもホッとしたように立ち上がった。

 「ごめんね、ありがとうね」と言うと、またあっさりと「うん、じゃ・・・」と。

 その後、公園でブランコに乗る私の背中を海渡が押してくれた。
 海渡なりの罪滅ぼしだったのかも・・・・・(笑) 
 

■ 短縮授業 2004年04月15日(木)
 今日は40分授業で帰りがいつもより早い。早いのはわかっていたのに勘違いして、2時25分下校を2時45分下校と思い込んでしまった。

 2時40分ごろ、そろそろ迎えに出ようかなと思っていたら玄関のインターフォンが鳴った。出ると「かいちゃんです・・・・」と小さな声が。

 ドアを開けると海渡とともに、海渡のランドセルを持った班長さんが立っていた。あれ??

「海ちゃん、途中で転んで、何回か止まっちゃって・・・・」

と疲れきった様子・・・。そこで、私はやっと時間を間違えていたことに気づいた。ごめんね〜と謝り、ありがとうねとお礼を言う。

 海渡は膝小僧を擦りむいていてズボンをまくって見せてくれた。でも、泣いたり機嫌が悪いということもなく、手当てをしてくれるのを待っている。消毒してバンドエイドを貼りながら、転んだり、止まったりしながらも、よくここまでちゃんと歩いてきたなぁと思う。

 これまでも、疲れて道のはしっこに座り込んで動かなかったこともあったのに、班長さんに言われて、立ち上がってまた歩き出したのだろうか。だとしたら、海渡にしてはすごいことだ。班長さんも苦労しただろうな・・・

 家まで連れて来てくれた班長さん、ありがとう。


■ 距離 2004年04月14日(水)
 雨だったので、早めに小学校へ迎えに行った。
 下駄箱のある昇降口から顔なじみの子供達が続々と出てきた。
 海渡はどこかなと奥を覗くと、特学の担任の先生といっしょに長靴を履いているところだった。中へ入って先生に近づいて

「お世話になってます。あの、ちゃんと言うこと聞いてますか?」

とずっと気になっていたことを訊いてみた。

 先生のお話によると、海渡はまだ自分(先生)との間に距離を置いて、様子を見ているようなところがあるらしい。

 海渡は、たぶん新しい先生に対して

どこまで甘えられるのか、
どこまでワガママが言えるのか、
どこまでやると叱られるのか、
どこまで信頼していいいのか、
どこまで自分のことを守ってくれるのか、

・・・考えているんだろう。

 もちろん、はっきりと言葉にしてそう思ってはいないだろうけど、海渡なりに一生懸命、考えて、探りを入れているんでしょうね(笑)

 先生もそこのところはよく理解してくださっているらしい。
 前の先生のように、全身で信頼しきるようになるまでには時間がかかるかもしれないけど、でもきっと海渡にもわかると思う。


■ ゆっくりと 2004年04月12日(月)
 2年生になってから、俄然張り切っている・・・らしい海渡。
 朝も本当にすんなりと出かけられるようになった。相変わらず歩くのは遅くてみんなには迷惑かけっぱなしだけど、それでも毎朝上機嫌だ。

 今日、迎えに行った帰り道、「お給食は、誰と食べたの?」と訊いてみた。新しい先生の名前が出るかなと期待したんだけど、帰ってきた答えは

「○○せんせい」

 転任していった前の先生の名前だった。

「○○先生はもういないでしょう?」と言うと

「おるよ!」

と言う。

 その海渡の言い方に、もしかして、以前より毎朝すんなり家を出るのは、○○先生が今日は来ているかもと思っているんじゃないだろうかと思った。

 まさかね、と思いつつ、まだまだ海渡の心の中には前の先生がいるんだなぁといじらしくなった。

 今の先生に早くなじまないといけないんだけど、でも、前の先生のことも忘れずにいようね。それはそれで大事なことだから・・・・


■ しゅくだい&スイミング見学 2004年04月11日(日)
 2年生になってはじめての宿題、上履き洗い。
 「海ちゃん、宿題の上履き洗うの、やる?」と聞いてみたところ、大好きなゲームをしていたにも関わらず、

「はーーい!」

と上等のお返事とともに、すっと立ち上がった。ちょっとどころか、ものすごくびっくり(笑)

 洗面所で一通り洗い方を教えると一生懸命、ゴシゴシと夢中になって洗っていた。すすいで、拭いて、ベランダに干して、もう大満足、大得意の表情の海渡。先生にちゃんと洗ったよと教えてあげてね、と言うと、またまた

「はーーい!」

のお返事で。大ハナマルでした。

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 何も習い事も療育も行っていない海渡に、何か習わせたいと思い続けてきた。障害があってもやれそうなこと、受け入れてくれそうなところ、海渡が楽しんでやれること、私の仕事に支障のないこと、そして経済的に負担にならないこと、これだけの条件を満たすことはなかなか見つからない。

 一番、海渡が喜びそうなことは、音楽関係、特にダンス。
 楽器はダメだし、歌も発音が悪くてイマイチ。でも、踊ることは大好きで、いつもテレビやCDの曲で踊っている。親バカだけれど、リズムに乗っているときの海渡の体の動きはけっこういいんじゃないかと思ったりなんかもしている。音楽さえあれば、道具もいらない。一人ででもできるし、何より楽しそうだ。体にも良さそうだし、ダイエットにもなりそう。

 そこであれこれ探してはいるけれど、なかなか障害児用のダンスというのはなかなか見つからない。

 次の候補がスイミング。海渡は水が好きだし、体にも良い。どうかなぁと思っていたところへ、障害児用のスイミングの話を聞き、今日見学に行ってきた。

 障害児のスイミングサークルのような会があって、主に水に慣れることや水に入ることによる療育のような感じ。
 親もいっしょに入らないといけないというのがちょっと大変だけど、なかなか障害児用のスイミングはないし、日曜というのが逆に都合がいいといえばいい。平日、学校から帰って疲れている海渡を、またどこかへ連れて行くというのは大変なのだ。

 プール自体は海渡は大好きだから、多分続けられると思うけど、まだ迷いもある。ダンスへの未練も。もう少し考えてみたいと思う。


■ 平常授業開始 2004年04月09日(金)
 今日から2年生3日目。
 朝は、春休み前のようなぐずぐずがない。2年生としての自覚が出てきたのか、よほど春休みが退屈だったのか、とにかくすんなりと出かけられて私はとっても嬉しい(笑)

 集合場所でも時間になると、さっと集まりさっさと歩くのでちょっと気味が悪いくらい。大きな声で歌をうたったり、動物の名前を言ったり、ポケモンの名前を言ったりとってもご機嫌。これが何も言わずに黙って歩いていると(普通の子供はみなそうなんだけど)どこか具合が悪いのかなというバロメーターになる。知らない人が見たらおかしな風景だけど、海渡はこれが元気の印だ。

 校門の前まで来たら、いつも振り返りもせずに走っていくのに、今日は私の手を離そうとしなかった。一緒に来てというようなそぶりだったけれど、こちらから手を離した。やっぱり、先生が変わってしまうというのが分かるから不安なのかな。

 学校から帰宅して連絡帳を見たら、新しい先生が大きな文字で今日のことを書いてくださっていた。どうやら、連絡帳を書くのは苦手ではないらしいのでちょっとホッとした。

 教室前の中庭の桜をいっしょに見たこと、サッカーをしたこと、海渡が先生の顔を描いてくれて嬉しかったということが書いてあった。先生の顔を描くということは、海渡はかなり先生に対して心を開いているということが分かる。

 そして、初めて宿題が書いてあった。

しゅくだい  うわばきをあらうこと

 きっと2年1組のほうで出た宿題だとおもうけれど、今まではこういうふうに書いてあることがなかったので、母としてはちょっとうれしい(笑)

 ゆっくりと海渡の2年生生活がスタートした。

■ さよならの向こう側 2004年04月08日(木)
 今日、離任式ということで、海渡の前の先生と会える最後のチャンス。
 朝海渡を学校へ送ったときに、廊下で2年1組の担任の先生(1年のときの持ち上がりでした)と、やっぱり異動になってしまった養護の先生に会った。

 異動する○○先生、新しい先生に校務の仕事の引継ぎをしないといけないのに、それよりも「海ちゃんは・・・海ちゃんは・・・」と海渡の話ばかりしていたらしい。少しでもたくさん、海渡のことを伝えておきたかったんだろうか。 その話を聞いて、あらためて本当にいなくなってしまうんだと感じた。

 校長室で海渡と数人のお友達といっしょに○○先生とお会いした。お友達が「海ちゃんね、昨日言うこときかなかったときに、おりこうさんにしたら明日○○先生に会えるよって言ったら、言うこときいてくれたよ」と言った。先生は「そうかそうか」と笑いながら海渡のほっぺをはさんで「新しい先生の言うことよくきけよ」と・・・・。

 学校から戻ってきた海渡の連絡帳には、1組の担任の先生が離任式の様子を書いてくださっていた。海渡は先生に首飾りをかけてあげたそうだ。そして、○○先生は全校生徒に

「海ちゃんをよろしく」

とお話されたんだそうだ。
 そんな話をされるとは夢にも思っていなかったので、驚いて、何だかいろんな思いでいっぱいになった。

 いろんなことがあったけど、先生なりに精一杯海渡のことを思い、考えてくれたんだと、あらためて気付いた。

 1年間、きっとたくさん迷惑をかけ、困らせ、手を焼かせてきたはずなのに、最後の最後で先生の海渡を思う深い気持ちに触れることができて、海渡はものすごく幸せな1年間を過ごすことが出来たんだなぁと・・・・。

 どこかで会ったらまたいつものように「よぉ、海渡」と声をかけてやってください、先生。
 ありがとうございました・・・・・


■ 出会いとわかれ 2004年04月07日(水)
 海渡の新しい先生は、ほかの学校から転任してみえた先生だった。

 海渡の小学校では、校務主任が特学の担任を兼任するのが慣例なので、校務主任である前の海渡の担任が転任していかれたということは、今学校内にいる先生が校務主任にならないかぎり、他から転任してくる先生が特学の担任ということになる・・・と薄々予感はしてはいた。

 まさか、その通りになるとは思わなかったけれど・・・

 今日、新しい先生と初めて会い、お話をした。
 お話した感じでは、海渡を安心してまかせられそうな感触があった。かつて、ダウン症児と接したこともあったそうで、全く初めてだったという前の先生とは違い、その点ではちょっとだけ安心感があった。

 今日の始業式で新しい先生が海渡についていたとき、海渡は眼を合わせようとせず、先生と距離をとっていたらしい。何となく海渡の気持ちが分かるような気がした。

「このひと、だれ?」

っていう気持ちだったんだろうね。

 あとで、海渡は私に

「きょう、○○せんせい、おやすみ」

と言った。○○先生というのは、今までの特学の先生のこと。今までも出張で時々お休みすることがあったので、海渡は今日はお休みなんだと思ったんだろう。
 思い切って

「○○先生は、ほかの学校に行ったんだよ。
 海ちゃんの先生は※※先生になったんだよ」

と言った。海渡は何も答えなかった。

 ○○先生はもう新しい学校へ行ってしまったけれど、明日は離任式で最後のお別れにみえる。海渡は、ほらやっぱりお休みだったんだって思うだろう。そして、本当にいなくなった次の日から、少しずつわかっていくんだろう。

 別れがあって、出会いがあって、その数だけ大きくなれるといいね。
 


■ 青いランドセル 2004年04月06日(火)
 春休みも終わり、いよいよ海渡は明日から2年生になる。
 「海ちゃんは今度何年生?」という問いかけに、やっと2年生の意味のVサインを出すようになった。

 今日、海渡の青いランドセルから、1年前の入学式の日に学校からもらった黄色いランドセルカバーを外した。
 1年生のしるしの黄色いカバー。
 ピカピカの鮮やかな黄色いカバーだったのに、ところどころ破れて、汚れている。海渡の落書きもあるし、どこから持ち出したのかところどころハンコが押してある。後半にはシールを貼ることを覚えて、ポケモンやニモのシールがペタペタ貼ってある。

 1年間、小学校の行き帰りこの黄色いカバーを見つめながら一緒に歩いてきた。昨年の春は雨が多くて、真新しいランドセルが濡れないよう、この黄色いカバーがいつも守ってくれていた。

 2年生になったら外すという決まりはないし、交通安全のためにも目立つ黄色いカバーをつけておくこともいいけれど、海渡に1年生はもう終わりだよということを知ってもらうためにも、海渡の目の前で外すことにした。

「海ちゃん、1年生もうおしまいだから、はずすね」

 海渡は神妙な顔で「うん」と返事して、黄色いランドセルから青いランドセルになるのを見ていた。

「海ちゃんの青いランドセルになったね」

 そう言うと、海渡はまた「うん」と言った。
 今度はニコニコの笑顔で。

 今度はこの青いランドセルと一緒に歩いていこう。
 海渡が一人で歩き出すまで。
 

■ 春休みも残りわずか 2004年04月05日(月)
 春休みもあと残りわずかとなった。
 この春休みは私の仕事と見事に重なって、どうしても海渡を放っておきがちになってしまった。午前中、部活に行っている長女が昼からは相手をしてくれることもあるし、友達が来てくれることもあったけれど、やっぱり私が相手をしてやるということが少なかったせいか、後半かなり淋しい思いをさせてしまい、海渡にとっては寂しさと欲求不満でストレスが溜まったことだろう。

 叱られることも多かったせいで、やたらと

「ママ、だいしゅき(大好き)」

と言いに来る。眼と眼が合って、ほんの少しでもにっこり微笑んでやるとそれは嬉しそうな顔をする・・・かわいそうなくらい。

 土曜日、パパがいたので日中私は仕事をしていたんだけれど、さすがに日曜日までも海渡をほおっておいて仕事をする気になれず、夜中2時頃までやっているのを3時までに伸ばせばいいやと、少しカルタの相手をしてやったら大喜びだった。パパが「車でどこか行こうか」と誘っても、「ママとカルタ」と言って動こうとしない。出かけるのが大好きな子なのに・・・

 気づいたら、今年は町内の桜まつりにも行かなかった。
 雨が降っていたこともあったけれど、毎年欠かさず海渡も連れて、満開の桜を見に行ったのに、何だか淋しい春になった。

 桜、今度の週末まで咲いているだろうか・・・・・
 

■ 海渡の逆襲 2004年04月02日(金)
 相変わらず、友達が遊びにくるとみんなゲームをやりたがる。
 家で禁止された子もいるのだが、本人は「よその家ではいいの」と言う。いいのかな?

 ところで、最近、海渡のゲームのやり方が変わってきた。なんと、相手を攻撃することを覚えてしまったのだ。これは「カービィのエアライド」でのことだけれど、今まではただ走るだけで、相手から攻撃されることはあっても自分が特定の相手を攻撃する方法は知らなかったと思う。ところが、どうもその方法を学習したらしく(笑)今日は海渡に攻撃された子から非難の嵐なのだ。
 「なんでオレの壊すんだよ!」
と怒る。今まで自分がしていたのに、逆にやられると腹が立つんでしょう(苦笑) 低学年の子供の世界はまだまだこんなものらしい。

 今日、海渡にやられた子が海渡の背中をなぐっていたり、もうひとりからは「卑怯者!卑怯者!」となじられている場面があった。当の海渡は知らん顔をしているので、いったいどこまでわかっているのかどうなのか・・・? もしかして、今までのお返しとばかりに逆襲に出ているのだろうか・・・。もしも、もしもそうだとしたら、海渡って思っていた以上にしたたか? 口で言い返せない分、行動でということかな?それはそれでちょっと問題かもしれない。

 子供達なりに、このレースはスピードを比べようとか決めて攻撃はなしとルールを作っているらしいのだが、海渡がそれをどこまで理解しているのか、きちんと海渡にも伝えているのか分からないところもある。海渡は言葉がはっきりしないし、理解力もイマイチなので、なかなか会話に入れなかったり、会話に入れてもらえないこともあり(海渡を除く二人であれこれ決めていることが多い)、やっぱり7歳、8歳のこどもと実質3歳の海渡が同じゲームをするのは無理があるのかなぁと思う。あるいは大人がついていないと対等には遊べないこともあると実感する。ただ、ちゃんと海渡に伝えてもその通りにしないこともあるので、またややこしいんだけど・・・・
 やっぱりゲームそのものをやめさせたほうがいいのかもしれない。

 ところで、私自身もここのところ、海渡の逆襲にあっている。
 仕事が忙しくて相手をしてやれない不満や淋しさからか、私に隠れてこっそりとベランダから物を落としているのだ。

 かなり厳しく叱って、分からせたつもりだったのに、翌日も同じことをした。叱られるとわかってやっている。お風呂に入ったときに理由を聞いても絶対に言わない。必ず話をそらす。

 ただ、ふいに私のそばへきて「ママ、だいしゅき」と一言だけ言うことがよくあるので、遊んでほしいということはよくわかっている。いたずらや悪いことをするときは、たいてい私が忙しいときなのだ。

 だから、本当は一番悪いのは私なんだよね。
 いろんな事情があって学童を断念したけれど、何とか海渡を淋しくさせない仕事の仕方を見つけないといけないなと思う。





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