++ 記憶の中へ
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■ 就学問題その3 就学相談 2002年08月30日(金)
 予約してあった就学相談に行ってきた。

 担当員は、名古屋市にある療育施設の医師と海部郡にある佐織養護学校の先生、そして教育委員会の職員の計3名。こちらは、海渡と夫と私の3人。

 海渡は慣れない雰囲気のせいで終始緊張していた。先生方が大きな画用紙とクレヨンを海渡の前に出して、

「何でも好きな絵を描いていいよ」

と言ってくれたけれど、無言のままでもちろんクレヨンも持とうとしない。まあ、海渡がこうなることは予想していた(笑)
 あまり言うのも返って緊張するだろうということで、画用紙とクレヨンを海渡の前に出したまま、本題に入った。まず、療育施設の医師から海渡の生育暦から発達のことまで簡単な質問があった。

 内科的なことに始まり、運動能力に関して、走れるか、片足でケンケンができるか、鉄棒にぶらさがっていられるか、ブランコに乗れるか、立ちこぎができるか、三輪車に乗れるか、スキップができるか、身辺自立の面では、着脱ができるか、そのとき前後ろがわかるか、歯磨きが一人でできるか、お風呂で一人で洗えるか、靴、靴下が一人ではけるか、食事がひとりでできるか、お箸が使えるか、よくかんで食べられるか、食事に時間がかかるか、知的な面では、言葉が出るか、人の顔が描けるか、そのとき首も描けるか、耳も描けるか・・・・などなど。もちろん、「・・・はできる?」といたって親切な聞き方でした。

 海渡はどちらかというと、運動能力的には遅れているほうで、スキップ、ブランコの立ちこぎ、縄跳び、ケンケン、鉄棒のぶらさがり・・・・ほとんどが「できません」だった。身辺自立などはできることのほうが多かった。

 ざっと聞き取りが終わって、いよいよ本当の本題。
 地域の小学校に特殊学級が無くなり、学区外の特殊学級がある小学校へ通うことを学区の小学校の校長にすすめられているということ。
 ここからは、佐織養護学校の先生と主に話をさせて頂いたが、夫が

「先生からみて、海渡はどこが一番いいと思われますか」

と養護学校の先生に尋ねた。私はきっと養護学校の先生なんだから、当然「養護学校が最適では?」という答えが返ってくるものと思っていたが、先生の返答は違っていた。先生の返事は

「この子なら、特殊学級がいいと思います」

というものだった。これには正直言って驚いた。そして、

「でも、養護学校なら海渡くんは間違いなく優等生になれますよ。」とおっしゃった。勉強面でもA、B、Cとその子にあったレベルに分けるけれど、海渡は恐らく一番レベルの高いAクラスになるでしょうと・・・・。そして「でも生活している地域とは離れてしまいますが・・・」とも。

 今まで、健常児のなかでみんなについてゆくのに精一杯だった海渡が養護学校なら優等生になれるというのだ。競争もなく、ゆったりと、その子にあったきめ細かい指導を受けられる。

 しかし、周りは障害児しかいない。そして、通学バスで片道1時間かかるほど遠いところへ通わなくてはならない。地域から隔離された学校生活が小学部、中等部。(もちろん、地域の中学校の特殊学級へ移ることも可能だけれど)、高等部と12年続くことになる。高等部卒業後は就職か、作業所への入所になるらしく、在宅にはなるべくさせないように努力しているというお話だった。

 また、療育施設の医師の

「でも、健常児の中で競争しながらどんどん成長していくということもあるんですけどね」

という話もあり、やはり迷いに迷う。
 学区内の小学校の普通学級に入れば、加配などの配慮はなく、40人近い児童と同じように授業を受けることになる。

 同席していた教育委員会の人に連絡を取ってもらい、学区外の3校の現在の正確な情報も知ることができた。学区外には3つの小学校があり、どこも現在、2名の在籍児童がいるということ。以前、電話で調べたときには分からなかった小学校も現在6年生が2名いることもわかった。つまり、海渡がもしそこへ入学すれば特殊学級の在籍児童は海渡ひとりになるらしい。もっとも、就学検診でどうなるかわからないが、今のところそれらしい子どもはいないらしい。
 
 ただ、3校とも歩いて通うには無理があり、車での送り迎えとなる。
 9月にはいったら、とりあえず3校の特殊学級に見学を申し入れ、10月に入ったら、養護学校も見学することにした。10月下旬の学区内の就学児検診も受ける。その上で、決めようという結論に達した。

 きっと養護学校がいいと言われるとばかり思っていたので、行く前の憂鬱な感じは無くなって、終わってみれば、就学相談を受けて良かったと思っている。

 ただ、今日はさすがに学童のことまでは出せなかったので、見学のときに確かめてみようと思っている。

 私たちが話をしている間、間仕切りで仕切られたもう一組の相談者の方の子どもが時々大きな声を出したり、泣き声をあげていた。それを聞いたからか、医師が

「こうやって、長い間じっと座っていられるんだね」

と感心していた。

 海渡は話が終わりそうだという気配を感じ、急にニコニコになった。「海ちゃん、終わりだよ、帰ろうか」というが早いか、「バイバイ」と手を振り、元気よく歩き出した(笑)

 帰りにマクドナルドでおやつを食べた。
 ワッフルを食べる私に

「おかあさん、おいしい?」

とたずねる海渡。「うん、おいしいよ、海ちゃんは?」と言うと

「おいしい!」とニッコニコの笑顔で答えた。さっきまでのだんまりの分を取り戻すかのように、しゃべるしゃべる(笑)

 学童のこともあり、私はまだまだどこが一番いいのかまったく分からないが、今日の佐織養護の先生の話を聞いて、夫はかなり養護学校に関心を持っているようだ。先生がまた感じの良い人柄だったせいもあるのだろう。養護学校の先生が最後に海渡に向かって

「養護学校もいいところだよ」

とにこやかにおっしゃったのも印象的だ。学区の小学校の校長先生とは同じ教育者だというのに受け取る印象がまったく違う。やんわりと海渡の入学を拒否していた校長のことを思い出すと、今日の養護学校の先生のいるところなら海渡も楽しいかもしれないとさえ思えてくる。

 就学相談の会場で、AKAGUMIやPOCO A POCOのメンバーともばったり会えて、ほんのちょっぴり悩みを分け合うこともできた。みな、それぞれ悩んでいる。

 海渡にとって、どこが一番幸せなのか、まだまだ悩みは続きそうだ。


 
 

■ 言葉 2002年08月23日(金)
 海渡は家ではけっこうおしゃべりだ。
 「おとうさん」「おかあさん」はもちろんのこと「お茶くだしゃい」「ジューシュくだしゃい」「おなかしゅいたなぁ(お腹空いたなぁ)」「ああ、すっきりした」などなど、けっこう日常生活で困らない程度の言葉を発する。「おかあさんと、おとうさんと、海ちゃんと、ブッブー、シューパー、いこ(おとうさんとおかあさんと海ちゃんと、車でスーパーへ行こう)」などけっこう長い文章のおしゃべりもできる。それなのに、保育園では無口な海ちゃんに変身してしまうらしい。

 ところが、今日の連絡帳に「せんせい、さむい」「おかわりください」などたくさんお話してくれて嬉しかったです、ということが書いてあった。家ではよく言うフレーズなのに、保育園ではわざわざ連絡帳に書いてくれるほど、珍しかったのだろうか。そんなにしゃべらないのかなぁと、来年就学を控えてちょっぴり不安。

 こちらの言うことの理解のほうは、かなり進んでいて昨日も
「これ(ゴミ)くずかごにポイして、ついでにティッシュ持ってきて」と一回言ったら、ちゃんとごみを捨てて、ティッシュを一枚持ってきてくれた。たいていのことは理解している。

 普通の6歳児にくらべたら全然赤ちゃんだけど(笑)
 でも、こうして言葉ですこしずつコミュニケーションが取れてきているんだよね。
 
 

 

■ 1から3までの数 2002年08月17日(土)
 海渡と一緒に買い物に行くと、ときどき、海渡が自分でものの数を数えていることがある。

 たとえば、大好きなコーラのペットボトルを「い〜ち、に〜、ふたっつ、ある」と指を二本出して私に教えてくれる。
 ときには、牛乳のパックが3本あると、なぜか「スリー、ある」と指を3本立てて教えてくれたりする。英語になってしまうところが面白いけど、確かにスリー(3)なので「すごいね、海ちゃん、ほんとに3本あるね」と誉めてあげる。

 どれだけ数の概念があるのか、今日ボタンで試してみた。

 6つあるボタンを海渡の前において、「海ちゃん、ひとつ、ちょうだい」と言ってみる。そのとき、指を1本たてて言う。すると、海渡は「はい」と言って、私の手のひらにボタンを1つ置いてくれる。そして、「海ちゃんも、いっこ」と言いながら、ボタンをひとつ握り締めた。

 ボタンを返して「じゃあ、ふたつ、ちょうだい」と指を二本立てて言うと、ちゃんと二つ私の手のひらに置いて、自分もふたつ握った。3の時も同じだった。でも、4つになると分からないようで、また3つのせてくれる。

 どうやら、3までは分かるようだ。
 3まででも理解できれば、あとは順番に覚えていけるだろう。

 ひらがなは今のところ、まだ覚えていない。でも、文字があるということは理解しており、ただ読みとその文字が一致していないだけのような気がするので近いうちに、きっと読めるようになると思う。

 そして、海渡は海渡なりに「文字」を書いているときがある。
 絵のように紙いっぱいに描くのと違って、ぶつぶつ言いながら小さくペンを動かして「文字」を書いている。それはとても細かくて、確かに文字らしくみえる。一目見るとまるでアラビア文字みたい。ちゃんと左から右へそろえて、何行も書いている。言葉と同じで海渡語のその文字は海渡にしか読めないけれど、いつか私にも読める日が来るんだろうなと思う。


■ お盆休み突入〜 2002年08月13日(火)
 私のお盆休みに合わせて、海渡にもやっと夏休みがやってきた。
 8月に入って、朝兄と姉が夏休みで家にいることに気づき出し、なかなか保育園へ行きたがらなかった海渡だが、やっとおおいばりでお休みできる・・・・といってもこの1週間だけなんだけど。

 13日から18日までのお盆休み。これといって予定のない我が家は、ちょこちょこと近場に行くことになる。今日は以前行ったことのある「ペットふれあい王国」へ娘の麻梨香と海渡を連れてお出かけ。長男は興味なしということで留守番を選んだ。

 今日は、療育手帳を持って行ったので、本人が無料となり付き添いとなる大人(つまり私と夫)も1000円のところそれぞれ850円に割引となった。
 今日は、連日の猛暑に比べると幾分涼しくて湿度が低く、屋外でも過ごしやすかった。いろんな種類の犬や猫、小動物と触れ合って、犬がフリスビーをキャッチするショーやドッグレースなどを見て、海渡も麻梨香も大満足の一日だった。最後に好きな犬と散歩して(モチロン有料で15分1000円!高い)ゴキゲン。選んだ犬はラブラドールレトリバー。大きな犬にも海渡は平気で触ったり、ロープを引いたりしていた。家で猫を飼っているからか、小さな動物も平気で「可愛い、可愛い」の連発。

 明日は一宮市に住んでいる弟宅に実家の母と遊びに行く予定。これも海渡と麻梨香を連れて。長男と夫は、映画だそうな。



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