夏撃波[暗黒武闘戦線・歌劇派]の独白

2010年09月29日(水) 大熊ワタル

 憧れのクラリネット奏者・大熊ワタルがやってくるというので、御器所「なんや」に行ってきた。今夜は、名古屋在住のギタリスト・臼井康浩と二人でフリージャズ的演奏を展開。
 <シカラムータ>や<ソウルフラワーモノノケサミット>での大熊ワタルとは違ったスタイルでの演奏が興味深かった。邪道とも思えるようなアバンギャルドな演奏もあれば、正統的な奏法もあり、とにかく面白く、引き出しの多さをあらためて感じさせられた。
 私自身があんなふうに演奏できる日は来ない気がするが、少しでも自在に演奏できるようになれると嬉しいなぁ。そのためには、練習あるのみ、か。



2010年09月21日(火) 十余年ぶりの再会と、必然の出会いと

 今回福岡までやってきた目的は、ひとつはヒートウェイヴのライヴを彼らの地元・福岡で観ること、もうひとつは久留米に住む友人Iと十余年ぶりの再会を果たすことであった。
 昨日ヒートウェイヴのライヴを満喫したところだが、十余年ぶりのIとの再会も楽しみにしていた。福岡出身のIと山梨出身の私が最初に出会ったのは二十年前、お互いに名古屋に来て間もない頃だった。よく一緒に遊んだり、語り合ったものだが、やがて名古屋と九州とに別れてなかなか会うこともできなくなった。
 今日は久留米まで出掛けていき、Iの自宅にもおじゃました。十年以上会っていないのに、あまりそんな感じがしない。気兼ねなく話せる友人というものは実にいいものだね。夕方になってから、一緒に博多に繰り出し、「ちょっとバー木馬」というライヴバーに立ち寄った。
 そこからさらなる展開があった。
 「ちょっとバー木馬」の店内には、ピアノやドラムセットが備え付けられ、ギターも置かれている。お客が好きに楽器を使って演奏していいというのだ。我々の前に先客のジャズトリオがいて、スタンダードナンバーなどを演奏。ピアノ・ウッドベース・ドラムスの3人組の演奏レベルは相当に高かった。普通ならば、その後で演奏するのは非常に勇気の要るところなのかもしれない。でも、そのあたりについては二の足を踏む私ではない。決して自らの演奏レベルに自信を持っているわけではない。でも、自分自身がとにかく楽しんで、お客さんも何らか楽しんでもらえたら嬉しいなぁ、ぐらいに考えていた。
 ギターを手にしてマイクの前に立つ。「昨日ヒートウェイヴというバンドのライヴを観るために名古屋からやってきました」と自己紹介すると、客席から「俺も行ってたよ」との声。ヒートウェイヴは演奏力の高いバンドではあるが、そんなに集客力のあるバンドではない。まさかそんな小さなバーでそのような出会いがあろうとは思わなかったな。さらに「一緒に演奏に参加していいですか?」との言葉を掛けていただき、私は「ぜひとも」と即答していた。ヒートウェイヴのナンバーから『満月の夕』『OLD MAN』の2曲を一緒に演奏。すごく気持ちよく歌えたよ。偶然のようでありながら、実のところ必然の出会いじゃないかって思ったね。
 その後、店の雰囲気をしばし味わった後で、Iとともに店を後にした。「次に会うのはいつになるんだろうね」などと話しながら、Iは自宅へ、私は博多駅前のホテルへと向かった。
 明日は名古屋か。また、日常の世界に戻っていくよ。



2010年09月20日(月) ヒートウェイヴ in 福岡

 ヒートウェイヴのライヴを聴きに行くために、新幹線で福岡へ。
 九州に安く行く方法を福岡出身の知人から情報として仕入れて、約1ヶ月前に宿泊付きの新幹線往復指定券をゲットしてあった。
 今朝、名古屋を発って、一路博多へ。博多駅前のホテルでひと休みして、夕方に天神のライヴハウス「DRUM Be-1」へ。
 ヒートウェイヴの地元・福岡でのライヴは最高だった。このバンドの凄さは、山口洋をはじめメンバー一人ひとりの演奏力の高さ、そしてバンドでステージに立った時に見られる化学反応の面白さ。聴く度に、今回の演奏がベストプレイじゃないかと思わされるんだな。満足してライヴハウスを後にした。
 その後、中洲の屋台で、とんこつラーメンと焼ラーメンを食べ、ちょっと旅気分を味わう。いい気分で、ホテルに戻った。



2010年09月08日(水) SAKISHIMA meeting

 今夜は、楽しみにしていた<SAKISHIMA meeting>のライヴ。いりなか「58月(ゴーヤムーン)」に行ってきた。
 <SAKISHIMA meeting>は、石垣島出身の新良幸人(三線、ヴォーカル)と宮古島出身の下地勇(ギター、ヴォーカル)のデュオ。普段はソロが中心の活動の二人、それぞれに個性的なステージを展開する二人が今夜、いかなる化学反応を見せてくれるのか楽しみだった。それぞれ石垣島、宮古島の文化がベースにありながら、新たな音楽を創造してきた二人でもある。
 新良の三線は他にはないパワーがある。当世随一というか、他の追随を許さないというか、とにかく一音聴いただけで突き刺さってくる感じ。ジミヘンのギターに匹敵すると言っても過言ではない響きがある。その三線にかぶさってくる彼自身のヴォーカルもいい。これまでに発見されてこなかった石垣島の魅力を伝えてくれるようでもあり、新たなる土着性を感じさせる。
 一方、下地の音楽は、<宮古方言で歌われるワールドミュージック>って感じかな。宮古島の文化と世界のあらゆる音楽とが不思議な融合を見せている。これまでにない新たな文化だね。
 それぞれに新たな音楽のニューフロンティアを切り開いてきた二人、それぞれに自らの音楽を主張しながらも交わり、ひとつのサウンドを聴かせてくれた。ソロの音とはまた別の魅力を感じさせてくれた。何よりも二人が楽しんでセッションしている感じがいい。私的にはとても贅沢な夜だったよ。



2010年09月06日(月) 棘はずっと刺さったまんまだ(2010)

棘はずっと刺さったまんまだ
棘はずっと刺さったまんまだ
生まれたときから
ずっと刺さったまんまだ

 物心ついた頃には 棘は俺に深く刺さっていた
 それは痛みを伴って
 俺の意識は否応なく棘に向かわされる
 だが 抜こうとすればするほど 棘は
 ますます奥深く俺の体の中心を突き刺した
 激しい痛みとともに 俺は気を失いそうだった
 棘は遠慮会釈なく 俺のなかに居座った
 
棘はずっと刺さったまんまだ
棘はずっと刺さったまんまだ
子どもの頃から
ずっと刺さったまんまだ

 棘は増殖に増殖を重ね 最早なすすべはなかった
 俺は次の手を考えついた
 そうだ 
 棘が寄生する俺自身を葬り去ってしまえばいい
 けれど 計画は実行されなかった
 だから 俺は今もこうして生きている
 今も こうして

棘はずっと刺さったまんまだ
棘はずっと刺さったまんまだ
大人になっても
ずっと刺さったまんまだ

 膝を抱え 体をまるめ 身を固くして
 痛みに耐え続けた
 痛みに耐え 痛みに耐え 痛みに耐え
 いつしか 俺はさほど痛みを感じなくなった
 いまや 棘は 俺の体の一部だ
 いや 俺が俺であることの 徴(しるし)なんだ

棘はずっと刺さったまんまだ
棘はずっと刺さったまんまだ
俺が死ぬまで
棘はずっと刺さったまんまだ

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 2002年秋(もう8年前になるんだな)、俺は名古屋のアングラ劇団「pHー7」の芝居に取り組んでいた。『幻想ヒポカンパス〜太陽と王権〜』というのがその時の公演タイトルだが、自作の詩を朗読しながら芝居するシーンがあった。その時に作った詩が、<棘はずっと刺さったまんまだ>。自分としてはよくできた詩だと思ったし、周りからも評価されたことに気をよくしていた。いつか曲をつけようと漠然と考えていたが、ついにその時がやってきたということのようだ。
 詩を一部書き換えて、トーキング・ブルース風に(と勝手に思っているが)曲をつけてみた。ひとりで煮詰まりそうになって、沙羅にも助けを求めながら(客観的な目も欲しくて)、何とか曲にまとめた。ギターをポロポロ弾きながら歌ってみるというのを繰り返しながら、今はしっくりいく感じを探っている段階。
 今年中にどこかで発表できたら、と思っている。


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