2006年01月31日(火) |
少し読みモードになってきた? |
ここのところ、書くのも読むのもしていなかったのですが、読みモードのなってきたようです。
A&Cの感想募集でハルヤさんの「そして私は旅をする」を読みました。 エムダヴォさんの「ホントノユウキ」これは覆面企画に参加した作品だとのことです。 私も出せば良かったな、誰かに当ててもらえたかな?(^ー^) 悠奈さんの『ブランコ』完結おつかれさまです。 感想は、A&Cで別の方に書いてもらう事になっているようなので、それに便乗しようかな? 有栖川さんの『空華』これも便乗感想にしよう。
えーと。 読み始める前に気になる事のひとつに、どれくらいの時間が掛かるのだろう? ってことです。 つい、超長編になると、時間が気になって読み始められないことがある。 私は、連載を追うタイプではなうので、さすがに何千ページもあると、中々手が付けられません。 千ページが一気に読める限界のようです。 とはいえ、千ページといってもぎっしりな人も入れば、すかすか斜めに読んでも問題のない作風の人もいます。
で、ちょっと時間を計ってみました。 『そして私は旅をする』は、原稿用紙15、6枚ということですが、10分ほどでしょうか? 『ホントノユウキ』は20ページほどということですが、もう少し早く読み終わった気がします。 ただ、こちらの作品はセンターリングだったので、読み苦しんでしまい、『覆面作家』さんのページで再読しました。味わいも変わってきますね。 『空華』は、ちょうど1時間ほどでした。中編でしっかりとした文章のわりに、さほど時間が掛からなかったんだな? と、自分でも驚いてしまいました。 『ブランコ』は、全部で5601枚の超長編なのですが、もう途中まで読んでいたので、参考になりません。「圭の部」で、10時間ぐらい? 一晩とちょっとかな? 「彩音&空音の部」は、おそらくその半分くらいで読み終える長さかな? と思います。 ちなみに私の大好きな『平原』は、正確な長さを知らないのですが、2日か3日で読んだと思います。でも、きっと要した時間は……20時間以上かかったかも知れません。 仕事が休みなことをいい事に、食事もしないで読んだような……。
読了時間というのは、意外と原稿の枚数じゃなく、それぞれなんですね。
2006年01月30日(月) |
トゥルーコーリングは…… |
えーと、その後ネットで調べたところ、『トゥルーコーリング』は再放送だそうです。 しかも、
***引用*** 続編の存在をほのめかすような終わり方となっていますが、 製作国アメリカで、打ち切りとなったため、まことに残念ながら、 続編は作られておりません。 #26までが、現存するすべての作品になります。 **引用終わり**
という残念なことに。(ーー; とはいえ、一話完結ドラマなので、ぶち切れでも見る価値はあると思います。 アマゾンで2も注文しちゃった。3も買う。(^ー^)
***
旦那とその話をしていて……。 私「そういえば、このドラマって善人でも死んだりして、少しアメリカ的でないよね?」 だ「だから、アメリカでは受けなくて打ち切りになったんじゃないの?」 私「えー! もったいない! あの謎は明かされないまま?」 だ「複雑になりすぎて、作る方も収拾つかなくなったんじゃないか?」 私「………」
旦那ってクールだな。 あれだけ夢中になってみているくせに、妙にさめているところもある。 確かに、仲間だと思っていた人が敵だったり……そもそもはじめには敵味方の区別もなかったのに、事情は難しくなってきている。 結末を睨んで作品を作っていないとしたら、収拾つけるのは難しい。 ドラマって、時々視聴者の反応を見て変わる事もあるし、役者の都合で死んだり(太陽にほえろ! か?)色々。 脚本は一人で書いているわけではないようだし、最後まで幹がしっかりしているドラマを作るのは難しいのかもしれない。 でも、一話完結の一話一話が、毎回完成度高い。 本当に次が見たい! エンドレスに続いて終わって欲しくないかも?(^ー^;
2006年01月29日(日) |
【ドラマ】トゥルーコーリング |
旦那がメチャクチャはまっていまして、土曜日になると、執筆にいそしんで乗っているところの私をテレビの前に引きずりだします。 集中を解かれるのが大嫌いなので、ふん、絶対に面白いなんて、言ってやるもんか! と思っていたのですが、これ、面白いです。悔しいけれど。(^0^;
旦那がはまってDVDまで買ったので、一気に5本も見ちゃいました。 ドラマですからある程度のパターン化はあるのですが、毎回はらはらドキドキさせられています。 これは、ちょっと唸ります。
ストーリーは、死体安置所で働くトゥルーという女性が、死体に【助けて!】とお願いされ、過去に引き戻される。そして、そこで前日を一日やり直して死ぬべき人を助けろ。 というお話です。 その設定が面白いだけではなく、登場人物もどこかまともでない人が多く(?)時には死者を助けられないことなどもあり、絶対にありえなさそうな話なのに、妙に説得力があることです。 いつものメンバーの位置づけも、どんどん展開して変わってくるので、死者に助けを求められて過去に戻ると言う同じパターンでも飽きることがありません。
また、トゥルーは男運が悪く、最初の恋人には2話目で浮気され、次の恋人にはすぐに死なれ、次は特殊能力ゆえに誤解されて別れたうえ、よりが戻ったあたりで殺されてしまいます。 実に等身大の22歳の女性の日常と、恋に憧れる様など、意外と共感する場面も多いです。
これからも、何だか見逃せそうにありません。(^ー^)
2006年01月27日(金) |
【オンライン掌編】ファムファタール |
クラブa&cの感想を読んで面白そうだったので、便乗して感想を書いちゃいました。 高遠一馬さん「ファムファタール」です。
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何とも言えない不思議な雰囲気のお話です。 非常に不幸な女性の一人称なのに、この女性が運命を受け入れていて、しかもしたたかで強い(?)ので、悲壮感があまりなく、さらりとリズム感よく読めます。
幸せの味を知らない人は、我が身の不幸を嘆いたりしないのかも知れません。 それが当たり前で、もっと幸せになりたいとも、嘆き悲しむこともない。 絶望を感じたのは、神の子に捨てられた(おそらくほれっぽい軟弱な男なのだろうが)時。だが、それも当然のように受けいれるしかない。 結局、死にかけた時に戻っていくところは、はじめにいたところ。ふりだしに戻る、という延々と輪廻していくような、途切れない運命を感じます。 悲惨ではあるけれど、あきらめきってしまい、自分の不幸を呪わないことは、逆に強い生き方なのかも知れません。
実のところ、私は『パシパエとエキドナ』どころか『ファムファタール』という言葉もあまり知りませんでした。 『ファムファタール』といえば、映画を思い出します。 宝石泥棒をめぐる悪女物語ですが、映像の美しさもあって、好きな映画でした。 調べてみると、ファムファタールは『悪女』というニュアンスで一般的には使われているようです。 でも、単語ごとにバラして調べると、少し違ってきます。 femme は女、fatale は、必然的・避けられない・運命に定められた……という意味。むしろそのイメージをとったのかな? とも思います。
ここまで調べて違和感だったのは、お話の舞台が砂漠やキャラバンが出てくるところで、どうもフランス語らしいタイトルがついているところでしょうか。 特に前出の映画のイメージを持っている人などは、あれ? と思ったかもしれません。 まぁ、中国映画でも『英雄〜ヒーロー』なのだから、気にするほどのことじゃないとは思いますが……。(だいたい私の場合は、調べなきゃ気にもならなかったし)
『パシパエとエキドナ』は、説明が欲しかった気もしますが、どうもあまり頭が良さそうでない女が説明すると、どこでその知識を得たのか……って疑問も出てきますね。 (ちなみに私はネットで調べた。ギリシャ神話に出てくる女性だった) おそらく、男が「おまえは怪物を生み出した女の生まれ変わりだ」と言い含めたのでしょうか?
いつもはこんな読み方をしません。(笑) でも、緋世さんの感想を読み、ちょっと調べてみたくなりました。 ふだんなら、ちょっと知ったかぶりをして、わかったつもりになって、リズムと異国情緒と何ともいえない雰囲気を楽しみ、一番上に書いたような感想ですべてです。 おかげさまで、実によくねられているストーリーだなとわかり、二度美味しくなりました。(^ー^)
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えっと、補足です。 便乗前の感想に、ファムファタールという題名と内容がしっくりこない、パシパエとエキドナの説明がないのでわからない人もいるのでは? という感想がありました。 なので、その言葉にちょっとこだわって感想を書いています。
高遠さんの作品は、ダークでどこか残酷でそれでいて美しい童話っぽい……と同時に、どこかに寓話っぽさがあり、読者に謎解きをさせるところがあるんですよね。 つまり、これは何かの風刺に違いない、何か教訓があるに違いないと、探りたくなる。(笑) きれいだけどきれいだけじゃなく、人間の持っている本質をあからさまにしようとする、気迫を感じるんですよね。 今回の作品は、悲壮でありながらもどこか比較的明るい雰囲気があります。 不思議とさくさく軽く読めるというか……砂漠や青い空、リズム感のよさが、そんな感じをあたえるのでしょう。 また【神の子】という言葉の使い方も、うまいな……と思います。 どのような世界が舞台なのか書かれていませんが、イメージ的にイエス・キリストの宗教画に書かれているころの雰囲気が浮かんでくるのですよね。そこに、神の子……となると、まさにキリストに巡り会ったような、そんな救いを感じさせ、しかも、神の子に捨てられる。 こういった読者のイメージをうまく利用して文章を書くと、長々と説明を書かずにすみし、鮮明に頭の中に状況を思い描かせることが出来るんですよね。
2006年01月19日(木) |
ヤフー文学賞にショック。 |
えーと……。 昔の感想を読んでもらえばわかると思いますが、私が理解不能といった作品が選ばれていました。 大ショックです。 なんでこんな作品が? っていうのがショックなのではなく、自分の感覚と世間の感覚は、ここまで正反対にずれているのだ! というショックです。
この作品を理解しきれなかった私。(ーー) 携帯サイトに投稿しても、全然読者がいなかったわけもわかるようです。しょぼん。 とはいえ、私は私の感覚で、世間とずれていても書き続けるしかないんですけれどもね。
受賞作品にケチをつけても始まらないので、心を落ち着けてどこがよかったのか、読み返してもることにしました。 審査員に「どこがよかったの?」と、聞いてみたいくらいなのですが、そのような寸評が出ていないので、仕方がありません。
読み返して、あれ? と思いました。 実は、最初に読んだときは読めなかったところがあったのですが、かなり読みやすくなっていました。 校正されたようです。かなりわかりやすくなっていました。 無駄な改行や誤字、半角文字などがなくなったおかげですっきりしています。 気のせいかもしれませんが、文章自体も多少変更が加えられていると思います。最初読んだときは、散文詩のようだと感じたのですが……。
些細な事で文章は変わるんだな、ってこと。 誤字が直っただけで、作品の完成度がかなりあがったように感じられます。 文章の表面だけで作品の本質を読み取れないようでは、私も読者としてはまだまだだめですね。 レヴューアーとしての目もやしなわねば。(^0^;
独特の雰囲気をもった作品だと思います。 特に物語性はないけれど、ボケてしまって恋人を待つおばあさんとか、ブログでおじさんのふりをする中学生とか、さめた優等生の少年とか、それぞれの視点がからみあっています。 だからどう? ってことはなく、だから、なんとなく……みたいな感じで、どこか読者に「自分もそうだよな」という感覚を呼び起こしたのかもしれません。
改めて読むと、最初に思ったほどひどいど素人作品ではないと、素直に認めます。 私が目指すものとは違うけれど、この作品はこの作品なりの魅力がありますね。 作者自身がもつ感性というか、視点の面白さを感じます。 日夜、文章力をどうにか……面白い作品をどうにか……と、うんちくばかりを考え続けて作品を書いている私には、見習う点があるかな、と思います。
2006年01月13日(金) |
シナリオ形式の小説? |
最近、小説と称しているシナリオ形式の作品を見ました。
○○子「だから、こうこうこうなのよ」 ××子「まあ、そんだったの」 ●●子、登場。○○子をひっぱたく。 ○○子「な、何するのよ!」 ●●子「あなたって人は!」 ××子、○○子をかばうようにして立ち、 ××子「あっちいきないさよ」
みたいな書き方で話が進んで行きます。 正直、あまり面白みを感じません。(^ー^; でも、意外とこの書き方をしている若い人が多いのかな? などとちょっと思いました。 というのも、検索サイトに『シナリオ形式は登録不可』と書いてあるところが多いからです。 ということは、そういう作品が多いということなのだな……と思うわけです。
書いている人が多いということは、読んで味わっている人も多い? ……とは、私にはどうも思えないんですよね。 これが、二次創作などでキャラや舞台、アクション・衣装に至るまで、共通の認識が出来ているならば別ですが、これだけの文章で世界を表現するには、かなり無理があると思います。 所詮は自己満足のみの創作に終わってしまう可能性が高い気がします。 もちろん、趣味で書いているのですから、独りよがりでもなんでもいいのですが。
シナリオは、いわばプロットやあらすじ、ネームのような準備段階の形式に過ぎないと思います。 つまり、舞台や映画、小説、漫画の土台となるものです。 作家の頭の中にはイメージが出来ていて、次から次へと物語りが広がって行くけれど、役者も舞台装置もない状態では、読者に訴える物が足りなすぎるのではないかな? と。 単独では勝負できない作品であり、それを元にして完成品になるものではないかな? ……というのは、私の思い込みかもしれませんが。
完成品ドラマや映画のシナリオは、ファンにも価値あるものだと思いますが、未完成状態のシナリオだけでは、なかなか作品の面白さを判断するのは、普通の読者には難しい??
***
と書いたところ、何人かの方に「シナリオ蔑視?」ととられてしまったようです。 詳しくはブログ『言葉の日記』に書いたのですが、シェークスピアなどの名作は当然知っていますが、そこまで広義の意味でシナリオという言葉を用いたわけではないこと、シナリオ単独で表現を目指す分野を知らなかったこと、で、誤解させてしまって申し訳ありません。 ここでは、その分野の戯曲は全く抜きで話しています。
上記は、あくまでもシナリオ形式で書くのってどうなのでしょう? ものすごく難しいのではないでしょうか? ということです。 つまり、小説ですと宣言している『シナリオ形式』の作品のことについて、お話しています。 画像も舞台も映像もないうえに、ト書きと台詞しか用いれないという制約がついちゃいます。 もちろん、文豪が書くならば違うかもしれませんが。(^ー^;
明日書く! 問いって何日間。(^ー^; これで書かなくなることって、多々ある私です。
今回は、買い替えたテレビに夢中になり、ハイヴィジョンでシルクロードなどを見てしまい、すっかり興味がそちらに変わっておりました。 八犬伝もいいテレビで見たかったな。
で、続きです。
衣装はさわれないのですが【浪人街】の衣装だけはさわる事を許されていました。 恐れ多くてさわりまくっている人はいなかったです。(^ー^; 私もびくつきながらさわって見たので、あまり実感がありません。 おそらく舞台衣装ということで、強度も充分にあるのかな?
やはり、今回の衣装の一番の見応えは【LOVERS】の衣装です。 太鼓もいっしょに来ていて、流れている映像と見比べながら見入っていました。 太鼓叩きながら……の衣装もすごいのですが、青いほうの衣装のほうが凝っているように見えました。シルエットがものすごくきれいです。胸元の花(牡丹か?)も豪華でした。 太鼓衣装のほうは、微妙な色合いがきれいで、絢爛豪華な雰囲気がします。でも、デザインはわりとシンプルな重ね着になっていて、踊った時により美しく見えるように工夫されていたようです。
【八犬伝】の展示は、今回一番スペースをとっていました。 何せ、この会期中に放映されるので、宣伝も兼ねていたかと思います。 しかし、壁に展示された写真に主人公の信乃がいない。(^ー^;ポスターには出ているのだけど。 これって、実は【八犬伝】のサイトでもそうなのですが、肖像権の問題とかあるのでしょうかね? さて、私は八犬伝を見てから行ったので、この展示を見た後、また見たくなってきました。 DVDが出るそうですが、買ってしまいそうな気がします。(^ー^; 今回の衣装で一番印象に残っていたのが玉梓の打ち掛けなのですが、見たとたん菅野さんの名演技を思い出しました。と同時に、衣装に命を吹き込むのは、やはり着る人なんだな、とも思いました。 テレビで見ると、浜路の衣装など着物は少し裾広がりで、そのせいでやや中国っぽく見えました。やはり、若干裾がスカートのように広がるようになっていたようです。 テレビで見ていて、あれ? 思ったのは靴でした。どうも時代劇といえば、下駄・草履のイメージが強く、きっちりと足を包み込んだ靴は、違和感に思えたのですが、展示ではそうでもなく見えました。 八犬伝自体は江戸時代に書かれたお話なので、話の中には鉄砲が出てきたりしてやや歴史から外れているのですが、ドラマは日本人が考えている時代物のイメージである【江戸時代】を排斥した感じがします。靴ひとつみてもそうですね。鉄砲も弓に変わっていたし。
さて、図録でも買って帰ろうか? と思ったら、何ともう売れ切れでした。 がーーーーん! 私は、こういった展示を見に行ったら、思い出に必ずと言っていいほど図録を買うんですよ。(ーー) 見る、見ないは別にして……。ちょっと後悔しそうです。
2006年01月05日(木) |
ワダエミの衣装世界展 |
以前から行きたいと思っていたので、寒いけれど晴れた空に誘われるようにして出かけてきました。
『HERO〜英雄』『LOVERS』舞台『浪人街』テレビドラマ『里見八犬伝』の衣装が展示されています。 最近放映された『里見八犬伝』の衣装が一番数が多く、見応えがあるのは『LOVERS』でした。 ちなみに、私は『HERO〜英雄』と『里見八犬伝』は見ていますが、『LOVERS』は見ていません。見ていたら、もっと感動が大きかったかも知れません。 でも、あの有名な踊りながら太鼓を叩くシーンは目に焼き付いているし、映画のトレイラーを流し続けているので、見入ってしまいました。 近くで見ると映像で見る以上に色が鮮やかで、中にはぎょっとした役者さんもいるのでは? と思いました。特にグリーンが鮮やかですね。
展示の最初は『HERO〜英雄』です。 風を入れて衣装がなびく工夫をしていました。 衣装自体は絹で作られているものが多く、一部パイナップルファブリックなどを使ったり、刺繍を施したりしています。が、全体的には華美なものではなく、凝った作りではありません。 むしろ、ただの布に近い感じで、しかも折り柄も何もなく、透けるような薄い生地です。 でも、だからこそ、あのアクションで動きが出ることになったのでしょう。色鮮やかに舞う絹の残像こそ、あの映画の映像美に繋がっています。 シンプルだからこそ色の美しさが引き立ち、幻想的ですらあったような気がします。 着物風ですが、あわせは浅く、しかも裾はゆったりとスカートのように幅があり、動きやすそうです。 赤の衣装で女同士が戦うシーンが印象的ですが、その赤が一番苦労したようです。 中国では水が日本と違うので鮮やかな赤に染まらず、わざわざミネラルウオーターを使ったとか。 その努力のせいなのか、赤はあでやかでしかも深い色でした。映像でも印象的でしたが、映像以上に深みのある色です。 白の衣装は、よく見ると裾に穴があいていました。 あれだけの激しいアクションです。衣装も傷むのでしょう。絹だし。 (とはいえ、絹は実は丈夫なんですよね。昔はパラシュートに使われていたらしい) 逆に、ああ、この衣装を着て演技をしていたんだな……などと、感慨深かったです。
『HERO〜英雄』は、無名という男の語りと現実の世界の組み合わせで成り立っている映画です。 無名の語り部分は、人々の心模様が色であらわされていて統一されています。無名だけが黒い衣装というのもなんとも印象的です。 現実の世界は、黒っぽい衣装で表現されていて、また、少し凝っています。歴史上もこんな服だったのかな? というリアリティも感じます。 あきらかに幻想世界との違いを意識していますよね。
思い出したのが、『乱』 これもワダエミの衣装担当でしたが、あの映画は妙に幻想的な世界でした。 衣装の色のあでやかさが、やはり現実離れしていたような気がします。 当時は『影武者』などの黒澤映画に比べるとリアリティの薄い感じがして今ひとつと思ったのですが、黒澤監督は『HERO〜英雄』のような幻想的な世界を作ろうとしていたのかな? などと思ったりして。あのアクションは別として、映像的にね。
……と。 ここまで書いたらえらく長くなったので、続きは明日にします。
2006年01月04日(水) |
【テレビ番組】里見八犬伝 |
期待しすぎたせいか、かゆいところに手が届かない感じでした。 が、充分楽しませてもらいました。(^ー^)
やっぱりNHK人形劇の【じゃんじゃんじゃーん】が印象に残っているせいか、日本というよりも中国的に見えたところが、うーんでしょうか? でも、衣装はさすがですね。色がとてもきれい。ただ、我が家のテレビでは、ブルーが黒に見えたのが残念です。(ーー;
配役もまずまずなのですが、毛野は美青年を見たかったです。(笑) ちょい役の男の人が美形だったので、探せばどうにかなったのではなかろうか? と思ってしまいます。でも、やはり無理なのかな……。 義経以降、タッキーはいいですね。ぐーんと人を惹き付けるような演技力はまだまだだけど、所詮、アイドルだよなーって演技ではないというか。けっこうファンになりそうです。 でも、浜路役は考えて欲しかった。ちょっと怒り肩で着物が似合わないうえに、タッキーと比べて背が高すぎる。役者が悪いのではなく、ちょっとバランスを考えて欲しかった。 玉梓は最高でした。怖かった……。(^0^; 着物の柄もぴったりでした。 武田鉄矢の悪役ぶりもなかなかでしたし、こりゃちょっと……は、浜路くらいでした。 毛野に懸想する小文吾がかわいかったです。
ストーリーは、まず八房が出てこない事にびっくり。 でも、里見義実の人格が聖人に描かれているので、犬に娘をやるなんて暴言を言いそうにないですね。だから、仕方がないと思います。 ただ、ひたすらに時間が短くて、八犬士が活躍途中で終わった感が拭えないです。 それと、全体的に都合がいいですよね。ばらばらに別れていた7人が再集結できるのも奇妙だし、さらわれた浜路が一体いつまで寝ているの? って感じ。(笑) 信乃が道節が持っていた村雨にすぐ気がつかないのもおかしければ、ゝ大法師がどうやって浜路を見つけたのかも不明。八犬士がその場に集合するのも都合がいいし、義実が玉梓に襲われるのを、なぜ信乃が気がついて助けに入ったのかも明らかにおかしい。 もったいないほどご都合がよすぎるんですよね。 最後のメッセージはよく伝わると思いますが、それにしても戦争が安易ではないかな? あれで和平がなるのであれば、苦労はしない気がします。 しかも、毛野と道節があっけなく仇を許すのも……。
実は、道節が仇を許すところは、人形劇でのエピソードがとても好きで印象に残っていました。 引くか深追いするかの瀬戸際に、道節は戦場で鋏を拾います。で、彼はそれを「切り込め」というメッセージと考え、仇を追い、見事に切り倒します。しかし、それは影武者で、しかも何の力もない老人でした。老人は、最後に忠義を見せて喜んで息絶えます。それを見た道節が、敵討ちの虚しさを知る……というお話だったと思います。 原作は、おそらくあっぱれ敵討ちをするってものだったと思いますが、江戸時代でない今では、敵討ちに正義を見いだせないので、変更したのだと思います。 子供心にとっても納得できて涙が出た事を覚えています。
映像も、あらら……ってところがいくつかありました。 一番は、化けネコの小ささです。あれれ??? (^ー^; 浜路がさらわれるところも、あらら??? でしたね。 木々の間を飛び回る新兵衛とか、ちょっとヘンでした。(^0^; 切っても死なない悪役があんなにどこにでも出現するというのも、ちょっと……でした。 ゝ大法師があっけなく死んで、誰が玉梓を浄化させるんだろ? と思っていたら、伏姫でした。 それは、悪くなかったと思います。 船虫の設定も、はじめはびっくりでしたが、なかなかよかった。よかったのに活躍が少なすぎたのも残念。
よかったところですが。 玉梓を切るときの信乃。剣に仁義礼智忠信孝悌の文字が浮き上がり、かっこ良かったです。 男の毛野を見たいと書きましたが、踊りはきれいでしたね。ちょっと中国っぽいところが気に食わず、もう少し女性的に見せて男性的な毛野との差が見たかったですけれど。 犬飼現八もよかった。信乃との戦いはかっこ良かったです。
期待していた満足感は得られませんでしたが、非常に好感が持てる内容でした。 時間が10時間ものであれば、もっといい作品に出来たと思います。5時間ではあれがいいところなのかも知れません。 このメンバーでドラマ化して欲しいですね。DVDが欲しいかも?
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