夜勤明けで3時半に起きて、てんやわんやして電車乗ったのが4時半。
銀座着いたのが6時。
さて、ル・テアトル銀座の場所が分からない。
ちょっと歩いたら交番が。そこで聞く。
「ル・テアトル銀座って、どこですか?」
「目の前。」
ふりむいたら、有った。
何も食ってないので、吉牛でも食べようとしようとしたら、周りにない。
かろうじてドトールはあったが、コーヒーの匂いがキライなので入れない。
さすが、オサレな街、銀座!!吉牛何ぞお呼びでないのか!!
しょうがないのでampmにてカロリーメイトとおにぎり、緑茶購入。
「おにぎりぐらいは食えるべ」と甘く見ていた私。
映画鑑賞とちがうのに気づいていない。
なんせ、初鑑賞ですから、舞台。
満員のエレベーターに乗り、受付へ。
ところひしめく美輪様FANたち(全員そうではなかろう)
一角では美輪様グッズが売られていて、パンフを買う。
三島由紀夫ページがあるよ!ヒャホ!(三島崇拝者ではない)
Tシャツが案外かわいいので欲しくなる。でも財布が寂しいので断念。
ちょっとしたカフェもあり、生ビール飲んでいる人もちらほら。
あら。うらやましい。と思ったが、空きっ腹にビールはやばい。
確実に寝る。だからやめた。賢い選択である(自画自賛)
当日券販売しているその横で、美輪明宏の会申込用紙を発見。
速攻連絡先記入して置いてきた。入りたかったんだよね〜。
6時半開演なので、とっとと会場入り。
席はどこかと探す私に、劇場案内員のお姉さんが一声かけてくれる。
こういうの、慣れてないのですよ!!どひゃー!!
非常に緊張して、アホほど丁寧にお礼を言った。
…なんでとっさに感謝を表すと「スイマセン」になるのだろう。
席に着くと両サイドは居ない。あれ、案外空き有るのかな?と思いつつ、
おにぎりをガサガサとポリ袋をまさぐり、手にする。
周りをもう一度見渡す。
誰も何も食っちゃいねぇ…。
ペットボトルすら手にしてない。何ナノ此処は?
おにぎりを丁重に袋の奥底に追いやった。
しかし、空きっ腹。腹の虫は今にもわめき出しそうな勢い。
やむなくカロリーメイト・フルーツ味を開封。
1本口に含む。が、入りきらない(一口で食うものではない)
収まりきらないカロリーメイトをくわえ、モゴモゴと頬張る。
口内で砕けたカロリーメイトは少ない唾液を全て攫って喉を通過する。
喉が渇くし、歯にはフルーツの破片が挟まった。
茶を飲んでも良いのだろうか?悩んだが、枯渇には耐えられぬ。
ごそごそと、次はPET飲料を口に運ぶ。
そのうち、隣の席がうまり出す。心底ヤバイと思った。
わぁ、場違い?ねぇ、私、場違い??
劇場って食べちゃダメなの?そりゃダメって放送はしてるけど…
キムタクのウィダーinゼリーにしとくべきだったかもしれぬ。
そう思いつつ、茶でカロリーメイトを流し込む。
なんだか一層空腹感が増した気がした。
そして少し予定より遅れ、開演。
出だしは、美輪様扮する黒蜥蜴と早苗さんとの会話シーン。
生・美輪明宏にびびる。
たとえ劇中だとしても、物腰・口調が優雅で私より女性らしい。
思わず、開ききった膝を引き締めてみたりして…。
女性にしか見えなんだ。確かにTVで見ても男性には見えないけど。
すげぇなぁと思った。
そして、声色がまたすごい。表現できないがすごい。
マイクもスピーカーもなにも機械を通さぬ、空気だけの振動で、
ここまで人の声に聞き入ったことは無い。
やっぱ、美輪明宏様々だわぁ、と思った。
なんというのか、え〜、とにかく、すごい。
抑揚っつうか、なんちゅうか…どんぴしゃで比喩が見つからん…。
訴えかけるっつうか、こう、揺さぶられる声をしてらっしゃるのだ。
もののけ姫の狗神様を思い出した(あの声には背筋が凍ったね)
重々しくって荘厳で、わぁ、神様!と言う感じ(なんだソレ)
それに比べ、早苗役の早瀬英理奈は、凛々と鈴が鳴るが如く、
キレの良い高音ボイス。対照的で面白かった。
正直言うと、劇の内容、後半からしか覚えてない…。
1幕目は、原作そのまま。幕締めの発砲にビビって記憶が飛んでる。
2幕目は、三島節か?アレ。難しいこと言ってたなぁ。わからんかった。
そうそう、明智vs黒蜥蜴の犯罪論争も、三島節なのか?
犯罪を3人の女に喩える比喩が、とっても高尚でワケワカメ。
「1人目の女は、貰った薔薇の花束をそれに付いていた虫ごと、暖炉に
ぶち込む。2人目の女は、冷静に虫だけをつまみ取り、燃えさかる暖炉
に放り投げた後、残った花束を愛でる。3人目は、虫も花束も選べず、
花束の送り主を燃えさかる暖炉にぶち込む。1人目は世の秩序をとっさ
にかいま見せ、2人目はその秩序の区切りを、それこそ鮮明に表してい
る。そして3人目は、優しすぎるが故、秩序を破壊して、突拍子もない
行動に出てしまう。この中で、一番犯罪者になりうるのは3人目…」
(うろ覚えなので間違いばかりだろう、きっと)
こう語る明智の脳みそを、覗いてみたいと思った。
3人目は確信犯だろう、もはや…。
3幕目は、目に訴える視覚的効果が満載だったので、とっても鮮明。
まぁ、クライマックスだったっつうのが一番だがね…。
明智の潜伏する長椅子に接吻を繰り返す黒蜥蜴。
明智の死を嘆き、つらつらと本心を語る黒蜥蜴。
そんでもって、やっぱ最後のラストシーン。
ここらへんの美輪明宏氏の演技が…!!
開いた口がふさがらない状態だった。
「演劇とは、役者とは、ここまで役にはいりこむものなのか!!」
ただただ、あんぐりとオペラグラスを覗き込んでしまった。
最後の根城のセット、豪華だったぁ。すごかったぁ。
生人形が瞬きしないのが大変だと思った。ぴくりとも動かなんだ。
あれがプロ根性ってやつか、本当に恐れ入る。
ただ、見ていてちょっと引いたのが雨宮と偽早苗のやり取り。
雨宮の屈折した黒蜥蜴への愛はわかるが、おい、偽早苗。
一目見てすぐ 「 愛 し て る 」 と か 言 う な よ 。
雨宮の愛が重いだけ、一層陳腐なモノに見えてしょうがなかった。
あそこであんな台詞を吐かすのは、観客に偽早苗に対するに敵意を抱か
せようとして仕組んだネタとしか思えなかった。役者のお二人の演技が
素晴らしければ素晴らしいほど、正直引いてしまった。加速する二人の
世界が、私を取り残していってしまったようです。黒蜥蜴と明智の愛だ
けでいっぱいいっぱいなので、伏線的なこの二人の愛は目に入らぬので
ある。「こんなのあった?」という位のつつましさで良いと思うのだが…
ダメだし出来る立場でないのは重々承知。
演出、脚本などを解さぬ、ど素人の疑問だと思ってください。
最期の黒蜥蜴は、真の宝石でした。キレイだった。
明智も言葉にせぬものの、その思いが伝わったから彼女は死んだのです。
「心に他人が入ってくる位なら、死を選ぶ」
そこまで信念持って生きられるって、すごいです。
そんな人、劇中でしか存在しないんだろうなぁ。
また、見に行っても良いなぁ、黒蜥蜴の生き様。
帰りは、帰宅ラッシュに巻き込まれグロッキーになった。
あのおにぎりですか?
駅のホームでむさぼり食おうとしましたが、やめました。
帰ってから食いました。
あ、血糖値低すぎてグロッキーだったのかなぁ。
余談。
劇場は完全飲食不可、という掟を思い知ったので、次回に活かしたい。