天然コケッコー |
この先もうたったひとりの漫画しか読んだらいかん!といわれたら、迷いなく選ぶと思うくらい大好きなくらもちふさこさんの大好きな作品が映画化されたので、見に行ってきました。うちのTOHOではやってなかったんですが、ちょうど近所のシネコンでやっていたので。 ずーっと前からこっそり実写化しないかなーと思ってたんですが、ほんとに実写化するとなると大丈夫かなーと心配になるファン心理。前評判が結構高かったんで、期待半分不安半分で行ったら結構よかったです。 島根の過疎の村が舞台なんですが、ほんとにのどかで穏やかで、映像もきれいで心が洗われるようでした。 ストーリーは、小中学校あわせて全校生徒6人の学校に、東京出身のいけめん転校生がくるという、ものすごいありがちなものなんですが、特に脇役の子らがみんな顔も性格もすごい立ってて、映画でもしっかりそれが出ててよかったー。かっちゃんが常に紫色のものを身につけてるとこにこっそり感動した。 以下、ネタバレです。 主人公のそよ役をやった女優さん、夏帆さん?も、相手役の大沢君をやった俳優さんもわたしはこれまで知らなかったんですが、映画見る前はなんかイメージが違うなーとおもってて、でも映画見たらかわいかったです。そよの子とかほんときれいな顔してるなーとおもいました。ただ、わたしは個人的にくらもち作品の主人公が大体共通して持ってる根本のクールさというか、冷めた感が非常に好きだったので、そういう意味では毒気が足りなかったなあ、とおもわないでもない。台詞やエピソードも、そういうとこほとんど削られてたしなー。なんかいい子ちゃん過ぎた気が・・・・・女優さんにあわせたのかなー? というか、原作のエピソードがちょこちょこ出てきて、まあひたすら日常の機微を描いたこの作品をどういうふうに映画化するのかなっておもってて、しかも巻も長いしなーとおもってたんで、しょうがないのかもしれないけどなんか端折りすぎて個人的にすごく大事だと思ってた部分が削られて、ちょっとやりきれない感が・・・・・・特に最初のエピソードの、転校初日っからしちゃかちゃ言葉が悪い大沢君の態度や言葉へのフォローがなくてちょっとがっかり。あれじゃなんでそよが大沢を見直したかわかんないよー。そよがただのいい子ちゃん。 ていうか、個人的にわたしはくらもちふさこの言葉のセンスは恐ろしいほど天才的だとおもっているので、言葉の端々が変わっていたのがちょっと・・・似たような言葉でも、この子はこういう言い回しはしないだろうなーと思う場面がちょくちょくあった。アンモニアとか!(覚えている自分がかるくきもいですけどね!) ずっと田舎で育ってきたそよが初めて東京に修学旅行で来て、駅ではぐれてふらっと人の流れに乗ってしまうのを大沢君が走ってきて捕まえるシーンは、大沢君が珍しく怒鳴りつけることじゃなく、いつもばっちりセットしてる大沢君の髪がばっさばさになってることに気づくことでそよが安心するのだし、東京で初めて大沢君の友達に会うそよは、ものすごい気合と意地を込めてにっこり笑って余裕でおしとやかに挨拶するんだもん。あんな中途半端にこんにちわとか言うシーンじゃないんだもん。大沢は高校進学する時点ではもう東京とそよを天秤にかけてないのに!これじゃ49話はどうなるんだ!ていうか高校別れてしまうかも問題でゆれているとき、帰り道に大沢の制服のボタンを付け直すシーンは、バレンタインチョコ食べに来てやんさる?一緒に森高まで歩いてやんさる?でなく、森校までサッカーしにきてやんさる?試験中消しゴム落としたら拾ってやんさる?ていう、あの、ものすごい日常なのに・・・ていうか、どもるな!そこはさらりという場面だ!そしてやっぱりボタンが歪んでいることを嘆くんだ!ていうか映画版のそよはあの悔し泣きみたいなのがなさすぎる!あれがかわいいのに!そして次の日に大沢が髪を短くして学校に来るんだ・・・坊主になる心構えとして・・・うう、そして最後の教室でのキスシーンは、愛がねーよ!って去っていくのじゃなく、好きをするってことじゃん、とロマンチストなこと言うのに・・・それでそよが黒板にちゅーするときに、わし今すごいキスうまいって思うのに・・・ああ・・・ しかし、こんなに言いながらも大沢が格好良くてにまにましてしまいました・・・・・でも、あいつはばかで面食いでいい加減だけど、そのいい加減さを許してしまえるような愛嬌があって、それってくらもち作品の男の子に共通してるんだけど、その愛嬌があんまりなくってさびしかった。あれじゃただの無神経な子だよーと思う瞬間がちょくちょく・・・いやでもやっぱかっけーけど・・・でもかっけーとおもうシーンのが多くて、原作読んでるときの、「ばか大沢!ほんとしょーがねーなーかわいいなー」というのがあんまりなく、ただの主人公の相手役で終始した感がなくもない。ていうか、個人的にすごい好きだった大沢の浮気エピソードがないのがなー。あれに対するそよのものっそクールな反応がすきなのに・・・。調子いいとこがあって、でもものすごい決めるときは決めてくれるんだけど、映画はなんかずっと決めっぱなしというか・・・ただのクール君だったわー。 あと、アノラックのエピソードを使うなら、大沢のスタイリングはもっとおしゃれにしてくれ。ほかの子は、いい意味でださくて、そよがおかあちゃんと村を歩くときに靴下につっかけ履いて歩いてるときとかにまにました。そうそう、田舎ってこうなんだよなーとおもう、いい意味のだささ。ただ、ものすごい細かいけどそよはハイカットスニーカーを履かないでほしかった・・・たしかコンバースではなかったと思うけど、コンバースだったら嫌だ・・・後の天波屋エピソードはどうなる。 と、文句をぐちぐち述べましたが、原作があるものは大抵メディア化されれば変わるものだし、わたしがあの漫画のエピソードや台詞のいちいちにずくずく胸を刺されていたから過敏に反応するだけなんだとおもいます。だってくらもちふさこの言葉のセンスは神だもん。あれはもう下手にいじらんほうがいいとおもう。 でもキャスティングとか、映像とか、すごく原作を大切に考えているんだなーということが伝わってきて、よかったんじゃないかなーとおもいます。 ただやっぱり大沢はおしっこ臭いとは言わん。あいつはアンモニア臭いって言う。絶対。 |
2007年08月22日(水) |