くじら浜
 夢使い







あの夏の日 3   2004年06月20日(日)

永遠にこの雨が降り続いたらいいのに
と、少年は思った

雨に濡れるということはたぶんこういうことなのだろう

引力から開放された時
雨はあがった。

見上げた空が眩しかった。






あの夏の日 2   2004年06月16日(水)

雨と同化した。
すべての引力が少年を支配した。

体に沁みた雨は足を伝い地に潜り
沸いた蒸気が頭から天に昇った

雨を通じて天の匂いを嗅ぎ
少年は雨を抱いた


雨はまるで天から少年だけを目指しているかのように
いつまでも少年に落ちてきた。






あの夏の日 1   2004年06月15日(火)

一瞬、閃光が走り
時差をおいて爆音が鳴り響いた

少年は裸足で外に飛び出し
顔を天に平行に持ち上げ
天から落ちる雨を垂直に受けとめた

両手を広げ天に突き出し
手のひらで雨を受けた

雨は天から手を刺し顔を刺し
そしてそのまま少年を包み込んだ

激しい雨だった。





初日 最新 目次 HOME