for want of a better word
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朝4時に集合するために、寝なかった。複数の課題を平行して同時にこなさなければならないので、その課題をやりながら集合時間を待った。
集合。みんな寝てなかった。荷物をイカダのおいてある場所まで運んだ。出航したのは5時半だった。
利根川は幅もかなり広い川だ。とりあえず川の真ん中までこぎ出した。
僕たちは川は流れていると思っていた。真ん中まで行けばかなりの勢いで流れていると思っていた。 利根川は全く流れていなかった。
つまり推進力は自分たちのオールのみ。予想外の事態。けれどもとりあえず進んだ。
即席のオールは重く、こぐのはかなりの重労働だ。4人いれば何分かに一回は一人が怠ける。最初の頃は馬鹿な話をしながらこいでいたのが、だんだんと無くなっていった。
僕たちが遭遇したのは挫折だった。時速1キロにもかかわらず悲鳴を上げる肩。地図から計算するとこのペースだと80時間はかかる。僕たちにそんなに時間はないし、なにより体が限界に来た。
水平線を見るのをあきらめた。川に僕たちは惨敗した。悔しかった。
陸へ上がった。各々家へ帰った。 2時間後にまた集合してイカダを解体した。 ゴミを分別した。あまりにも後味が悪くてイカダを放置したままにすることはできなかった。
コンビニでビールを買って乾杯した。
少なくとも良い経験になった。
そもそも僕が日焼けまでしてイカダを造ることになった理由は映像作品を撮るためだ。 腕と顔がひりひりする。
授業の課題でドキュメンタリーを撮ることになった。 グループで一つの作品を撮り、15分にまとめて提出。題材は自由。 焼酎を飲みながらの話し合いの結果「いかに自分の命を危険にさらすか」がテーマになった。グループは男4人だし、大学生でもなければ無茶はできない。 マンホールの中を探検するとか、3日ぐらいホームレスに混じるだとか色々な案を検討した結果、僕たちが行き着いたのは「イカダを造って利根川を海まで下ろう」だ。自分たちの体験をドキュメントとして提出する。壮大なスケール、自然との闘い。
土日の二日間を川を下るために用意した。海までたどり着けるかは全くわからない。ルートもわからない。 とりあえず僕らにはイカダが必要だった。4人が乗っても沈まないイカダ。イカダなんて当然造ったこともなく、不安でいっぱいだった。
アトリエからでっかい発泡スチロールをパクって、ゴミ捨て場から使えそうな木材を大量に拝借し、台車にのっけて河原まで運んだ。 太陽がさんさんとするなか、僕らはイカダを造り始めた。
廃材で土台を組み、発泡スチロールをくくりつけ、色々と試しながらイカダは完成した。少し味気ないけれど、僕ら4人の命を支える大事なイカダだ。 川へ浮かべて4人で乗った。沈まなかった。僕らのドキュメンタリーはこれで実行可能になった。嬉しかった。
オールを造り、浮き輪も買い、地図も買った。明日朝4時に集合という約束で、僕らは胸を躍らせながら解散した。
女の子の友達が僕の実家に泊まるなんて初めてのことで、たぶん親もそうとうめんどかっただろうと思う。 何でその子が泊まったかというと、今住んでるところから横浜は遠すぎて、朝から美術館に行こうと思うとすごくハードだったから。 つまり、同じアパートの住人とまたデートした。
実家では自分の高校時代の写真やらをいろいろ見た。たぶん、その子が今大学の中で一番僕の過去を知ってる。それぐらいいろんなもんを見せた。
今朝はめちゃくちゃ暑い日だった。何もして無くてもじっとりと汗をかく。 朝から美術館をじっくり見て、中華街でお昼をまったり食べて、アパートの他の住人への土産を探すためにかなりうろうろした。山下公園でボーッと海をながめて、赤レンガ倉庫の芝生で寝そべりながら日が沈むのを待った。夜の赤レンガ倉庫が好きだ。きれいだ。 ランドマークタワーの夜景を見せるって言う話でしたデートだから当然夜景を見た。何度きても最高な夜景。横浜人が横浜を愛するのがよくわかる。二人で写真を撮った。そして次は東京タワー行くぞって約束した。
かなり遅めの晩飯を居酒屋で食べて、終電でアパートへ。今日のデートに100点満点中150点をくれた。そりゃもちろんうれしい。次のデートは僕の誕生日近くだからその子がデートコースを決めてくれる。半端なく楽しみだ。 延々といろいろなことを話した二日間だったけれど、その子が僕をどう思ってるのかわからないし、僕もその子をどう思ってるかいまいちよくわからない。とりあえずとても仲の良い友達なんだと思っとく。 今日を糧に明日から3週間近く気張って作業しないと。楽しんでばかりじゃだめだ絶対。
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