重松清著「リビング」
を読んだ。
う〜ん……もはや、ビョーキ、だね。 読むたびに、切なくて、苦しくて、揺さぶられてしまう。
akdに「お勧めの重松作品は?」と聞かれて、ひとつを挙げることができなかった……。 どれもこれも、一番はつけられない。
この作品は、一組の子どもを持たない夫婦の日常を軸に、その他の風景を織り交ぜた短編集の形で描かれている。 専業主婦の夫へ対する、びみょーに理解してもらえていない日常のため息や、幸せな家族とはかくあるべきという隣家の演じようとしている家庭像と現実のその家族それぞれのギャップ。 すべては、重松作品で描き続けられている夫婦像や家族像の、一面だけではない、さまざまな表情や想い。
一面だけじゃないから、すべてを見ようとしてみる。
……見れるわけが、ない。
だから、すべてを見ようとしているつもりになっていて、けっきょく、なにも見えていなかったりする。
2007年03月21日(水) |
「竜宮」と都知事候補 |
川上弘美著「竜宮」
を読んだ。 うーん、川上作品はよいねえ。 でも今回は、ちょいとアクがアク足りえなかった感じだった。なにせ、世界そのものがアクの中のような感じだったから、登場人物たちのそれぞれのアクが薄まってしまった感じ。
川上作品に描かれているような女性に、出会ってみたい。 いや、本当は出会っているのかもしれなくて、いや、誰もがその一部分を内包しているのに気がつかなくて過ごしてしまっているのかもしれない。
それは、損だ……。
最近、朝の情報番組で都知事候補者を集めている場面をよく見かける。
建築家先生様は、大損だねえ。 電話中継なんてことになってしまったりして、あれじゃあ、存在感なんて出せないし、扱いだってぞんざいになるに決まってる。 このスケジュールを踏まえたうえで、彼は行動しているのだろうか。それとも、そんなことは彼のスケジュールが決まった後に企画されて、少しでも顔と名前を普通の人たちに知ってもらうためにやった苦肉の策なのだろうか。 致命的なミステイク。 ひとり違う場所にいるというだけで、スタジオ内の人たちから孤立させられて画面に映っている。 映っていればまだいい。 忘れられてて、「誰このひと」と思われてしまっている恐れがある。
まあ、今回は一発当選を確実に狙うのは難しいだろう。 今回で一般の人たちに顔と名前を知ってもらって、次の別の機会に繋がる第一ステップ、と考えているのかもしれない。
……考えすぎ?
2007年03月18日(日) |
「ヘンダーソン夫人の贈り物」 |
「ヘンダーソン夫人の贈り物」
をギンレイにて観た。 まあ、第二次大戦下のロンドンで劇場を開いた未亡人(老婦人)の奮戦記。 なかなかしみじみとさせられた作品。
時間までにぶらっと神楽坂を歩いたんだけれど、ドラマのせいか、えらい人だった。みんな片手にカメラを持って、そして、我が麗しの「五十番」には長蛇の列が……。肉まん買うのをあきらめました。
オリーおばさんの肉饅頭……。
今度、会社帰りに寄って買っていこう……。 これができるのが、今の会社の強み。 ん? なんか、言う事矛盾してる? まあ、世の中、こんなもんです。
割り切りと開き直り。
そうだよね、 割り切りと開き直り、
だよね……。
唯川恵著「不運な女神」
を読んだ。 唯川恵という作家の作品。 なぜかついつい惹かれてしまう……。 とくに感動させられた、ということはないのだけれど、重松作品のように胸をわしづかみされるような感想はないのだけれど、なぜか、ふと、手にとらされてしまう。
さらりとした視点で、日向ではないひとの内面を描写している作品がほとんどだから、なのかもしれない。
本当は今週末に栗本さんのぐいんが出ているだろうと期待して神保町の三省堂に足を向けたのだけれど、出ていなかった。 隔月刊ぐいんも、びみょーに遅れてるのかしらん……てか、このペースで書き続けている栗本さんのすごさに脱帽、てか、人外のものを感じる(笑)
そのペースに少しでもあやかりたい。
てか、締切りまで残り二週間。 応募先を各社の要綱とにらめっこしながら絞らなくちゃならない。 さて、たしかメール応募可の出版社があったはずだけれど、どこだったっけか…… いや、枚数の少ないほうが優先か……
……あかん、なんかまちがってきてるかも(苦笑)
2007年03月10日(土) |
「格闘する者に○(まる)」 |
三浦しをん著「格闘する者に○(まる)」
を読んだ。
昨年「まほろ〜」で直木賞を受賞した作家さん。 うん、なかなか嫌いじゃないかもしれない。 就職活動に奮闘する女性主人公の姿に、思わずくすりと微笑みながらエールを送りたくなる……て、どれだけ上目線じゃいっ!(笑) さいわいにも、新卒のときの就活ではあまり苦労しなかった。大手は狙わなかったし、いわゆる隙間を狙っていったし、運も良かった。
昼過ぎにふらっとアメ横へ。 久しぶりにじっくりとネタ書き。 赤入ればかり、しかも主人公たちはみな低年齢だった。
ふと、昨年プロットの走り書きだけで止まっていたネタを思い出し、夏用のネタにまとめようということにした。 やれやれ、ようやく新しい主観の世界をのぞき見る快感をじっくり楽しめる……のか? 仕事しながら。今月末締切りのネタさえもまだ、赤入れの途中なのに(笑)
そして帰り。 夕方に、ぼへへ、と不忍池を渡る。途中、弁天様の境内で店仕舞いした「お好み焼き」の屋台のテントが。その前にふらら、と引き寄せられ、しばし、ぼへへ、と見つめ続ける。 「お好み焼き、食いてえ……」 どんなに待っても屋台が開くわけでもなく、池を渡る涼しい風に、はっと我にかえる。 「帰ろ……」 明日の昼間に寄って食ってやる、と決意。
2007年03月03日(土) |
「モルヒネ」と飴とムチ |
安達千夏著「モルヒネ」 を読んだ。
すばる文学賞受賞作家の作品だけど、「あっそうですか」的な感想。
……出たっ、ビッグマウス!(笑)
今月末の各出版社主催の締切をのがせば、夏まではしばらくチャンスがなくなってしまう。 口を滑らせるくらいなら、筆を走らせろ。 と、言い聞かせる。 昼の自分が邪魔をして、頭の中は現実のことでいっぱいで、妄想どころじゃあ、ない。 新しい環境に慣れるまで待っていたら、締切に間に合わない。 ハードルをなるたけ下げさせてもらってるつもりなんだけどねえ……。 あ、仕事ではなく。 仕事は必要以上にハードル上げまくってますよ。 「やっぱりムリです」 と相方がうなだれたときに、 「じゃあ、この高さなら平気ですよね」 と、すくいあげられるように。 仕事は努力で給料をもらってるわけじゃあない。 なにを納めたか、でもらうもの。 頑張ってますオーラは自己主張で必要だけれど、それに酔って、満足されちゃあ、こっちはたまらない。 どんなに頑張っても、できなかったら意味がない。できるなら、頑張らなくてもなおよし、なのだから。 ……耳が痛い。
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