2005年03月31日(木) |
データ集 2004年度 |
(画像サイズ、デカくてすいません)
まずは基本説明を。上記一覧表は、私が観戦した試合における「私が集計した記録」のうち、公式戦 (クラブ選手権、東海プリンス、高円宮杯、Jユースカップ)のものを、統計にしたものです。そのため公式記録と違い、誤りがあります。傾向を掴む程度に捉えて頂ければ、有り難く思います。 用語については、こちらも参照下さい。
▼出場時間
−−−−− 鈴木真 −石垣−−−−−−
−−−−−−−−山本−−−−−−−−
−−岡村− 桑原卓 −池田−−枝村−−
−−−−佐野−−岩本−−村越−−−−
−−−−−−−−風間−−−−−−−−
1. 池田 (1764)、2. 真希 (1645)、3. 真司 (1624)、4. 風間 (1574)、5. 桑卓 (1435) 6. 岡村 (1374)、7. 石垣 (1305)、8. 村越 (1208)、9. 岩本 (1162)、10.佐野 (1123)、11.枝村 ( 951)
12.美臣 ( 797)、13.上埜 ( 796)、14.谷野 ( 720)、15.長沢 ( 593)、16.篠田 ( 518)、17.町田 ( 480)、18.小泉 ( 466)
以上、上位18人。18人は、ユース年代の標準的なベンチ入りメンバー数である。以下、19.渥美 (394)、20.一也 (332)、21.柴田 (279)、22.前田 (260)、23.桑彬 (236) と続き、24番目の晃太は計106分の出場と差が開く。25.竜男 (26)、26.八木 (8)、雄也・望月・神田・小出の4人は、対象試合での出場がなかった。 上記図は出場時間上位11名を組み合わせたものだが、「左高右低」の様子が見て取れる。左アウトサイドを任せられる選手が真司・岡村・桑卓・佐野と4人もベスト11入りしながら、右アウトサイドを専門にする選手が一人も入っていない。逆に12〜18番手の7人中、美臣・上埜・谷野・篠田・小泉と5人も右SH/SBで起用された選手が名を連ねる。19番手以降も、渥美・一也・柴田・桑彬と、その傾向が続く。 専門右サイドに代わって、どうにか11番手に滑り込んだ枝村を右WBに回したが、彼の出場時間の短さが昨年の苦戦に繋がったのは疑いのないところ。他にも上位11名に入るべき選手である美臣・篠田・前田なども、怪我に悩まされた。代わって奮戦したのが1年生で、上位11人中4人がランクイン。3年生も5名が11名に入る中、2年生が真希と石垣の2人とやや寂しい結果となっている。 また、様々なシステムを試したのも昨年の大きな特徴で、望月監督は上記の3−4−1−2 (真司が下がり目の3−4−2−1とも) だけでなく、4−1−4−1、4−2−3−1なども起用されている。全体としては、築館監督時代に一貫して固定されていた、伝統の中盤フラットの4−4−2が多かった。
以下の統計は、統計対象試合で通算400分以上出場した選手 (小泉以上18名) を対象にしている。
▼得点・シュート [90分間あたり得点率] 清水累計:1.76、相手累計:1.81 1.篠田 ( 0.87)、2.真希 ( 0.82)、3.町田 ( 0.56)、4.枝村 ( 0.19)、5.真司 ( 0.17)、6.石垣 ( 0.14)
[90分間あたりシュート数] 清水累計:11.6、相手累計:13.1 1.枝村 ( 4.35)、2.篠田 ( 3.30)、3.町田 ( 3.19)、4.真希 ( 2.68)、5.長沢 ( 1.67)、6.真司 ( 1.50)
[シュート決定率] 清水平均:15.2%、相手平均:13.8% 1.真希 (30.6%)、2.篠田 (26.3%)、3.谷野 (20.0%)、4.町田 (17.6%)、5.上埜 (14.3%)、6.岡村 (13.3%)
[枠内シュート率] 清水平均:47.2%、相手平均:45.9% 1.上埜 (71.4%)、2.岩本 (66.7%)、3.篠田 (63.2%)、4.真希 (61.2%)、5.谷野 (60.0%)、6.村越 (55.6%)
阿部と篠田で分け合った一昨年と違い、各項目で首位が異なっており、昨年のFW事情を物語る。石垣はCBで起用された試合を含むとはいえ、基本2トップの石垣・真司の名が少ないのは寂しい。その中で安定した数字を残しているのが、真希と篠田。昨年の記録から跳ね上がった真希は、ダントツの通算15得点を稼いだエース。ミドルが中心とは思えない、高い決定率と枠内率を記録した。篠田が通算5得点で2位。この選手のシュートは、シュートに持ち込む前の動きも含めて一級品なだけに、シュート以外の仕事をいかにこなすかがトップ昇格への課題だろう。町田も篠田と似た傾向があるが、課題は枠内率 (23.5%) で見て取れるとおりだ。 昨年の数字から更に伸ばし、MFながら90分あたりシュート数 (※累計では真希が1位) トップの枝村は、しかしシュート決定率4.3%という酷い数字を残してしまった。20本シュートを撃って実に19本が空砲に終わっていた計算になる。ミドルが多く、枠内率 (39.1%) に課題を抱えるのも確かだが、昨年はPA内に飛び出す得意の形になっても決められないことが多かった。主将の責任感と怪我のリハビリの日々が、力みに繋がっていたように思う。他では、上埜と谷野が枠内率で、良いキックを持っていることを証明。それだけに特に上埜はもっと動いて、そのキックを披露できる機会を作ってほしかった。
全体の傾向として、攻撃面では決定率・枠内率はさほど変わらないが、シュート数が昨年と比べて2割以上減少。そのまま得点減に繋がっている。シュートが少ない理由はいろいろ考えられるが、端的に言えば攻めてる時間が短いということだ。一方の守備面では被シュート数は殆ど変わらず、大きく増加したのは被決定率。9.4→13.8と急上昇した。セーヴ率 (1−失点/被枠内シュート) で見ると、一昨年が78.5%だったのに対し、昨年は70.0%。トップ昇格した阿部と海人、この2人が抜けた影響の大きさを感じさせる。
▼アシスト [90分間あたりアシスト数] 清水累計:1.11、相手累計:1.16 1.町田 ( 0.66)、2.岡村 ( 0.26)、3.真希 ( 0.25)、4.小泉 ( 0.19)、5.枝村 ( 0.19)、5.長沢 ( 0.15)
[アシスト率 (=アススト/ゴール)] 清水累計:63.2%、相手累計:64.2%
短い出場時間ながら、4アシストを記録した町田がトップ。そのうち3つは岐阜工戦で荒稼ぎしたものだが、点取り屋ながら利他的な動きも見せるようになってきたのも確かだ。町田と同じく4アシストは、左の切り込み隊長・岡村。常に勝負を挑むプレースタイル上、パフォーマンスの落差が大きいが、相手の優位に立った時の破壊力は著しい。真希は5アシストで、累計ではこちらもトップ。枝村はこの項目も数字を落とした。彼の持ち味であるゴール前での憎らしいほどの冷静さが失われ、焦って自らシュートを撃ってしまう姿が思い浮かぶ。 全体的には昨年同様、ゴールにアシストが絡む確率が低く、独力でゴールを奪う傾向が見受けられるが、相手も同じ傾向を示しており、昨年に比べて強引にゴールを奪われることも多かった。詳しくは後述。
▼クロス ※クロス総数が5本以下の選手は除外 [90分間あたりクロス成功数] 清水累計:3.66、相手累計:2.60 1.小泉 ( 1.97)、2.岡村 ( 0.98)、3.真希 ( 0.60)、4.美臣 ( 0.56)、5.真司 ( 0.44)、6.桑卓 ( 0.38)
[90分間あたりクロス数] 清水累計:14.5、相手累計:13.9 1.小泉 ( 4.93)、2.岡村 ( 4.45)、3.真司 ( 2.27)、4.真希 ( 1.81)、5.谷野 ( 1.75)、6.枝村 ( 1.70)
[クロス成功率] 清水平均:25.3%、相手平均:18.7% 1.美臣 (55.6%)、2.小泉 (40.0%)、3.真希 (33.3%)、4.佐野 (28.6%)、5.桑卓 (27.3%)、6.池田 (25.0%)
出場時間は短いが、小泉の活躍が目立つ。抑え込まれることも少なくなかったが、とにかく果敢に勝負を挑み続け、質・量ともに文句なし。他に右SHを争った選手では、CHでも起用された上埜・谷野は数字がクロッサーのそれではなく、上位18人に入らなかった一也と柴田は、一也が量 (90分あたり2.44本) に、柴田が質 (成功率18.2%) で小泉に劣る。小泉は今後、先発で同じ質と量を求められるだろう。成功数2番手の岡村も小泉同様に常に勝負を挑むプレースタイル上、試合毎のパフォーマンスの落差が大きい。左の切込隊長だった岡村の出来は、そのまま試合結果に繋がることが多かった。クロスの種類が速く低いボールをニアに折り返すものに偏りがちで、それが成功率を落とす結果 (22.1%) になったか。 真希はクロス部門でも小泉・岡村に続く3番手につけ、運動量豊富なところを見せる。クロスの種類は決して豊富ではないが、ひたすら「低く速く正確」。他では美臣・桑卓・佐野らSB陣が、キックの正確さを示している。特に美臣はFWがマークを外した瞬間を見つけるのが目ざとい。このあたり、今年挑戦しているCHでも活かせそう。枝村はクロスの量は昨年と殆ど変わらず精力的なのだが、成功率が激減 (37.8%→11.1%)。これも焦りの影響だろうか。 チーム全体では、自軍のクロス本数が大きく減少。単純に押し込まれる試合が増えたせいでもあるし、途中3バックにしてサイドの枚数を減らした時期があったためでもあろう。一方で相手の数字も一昨年より低下。成功率に関しては村越らDF陣が空中戦に強かった点を評価していい。ただ、押し込まれて両SBが引いて守る時間が長かったためでもある。3バックの時も守備になると両WBが深く戻ってきており、一昨年は攻撃参加する森安の裏を突かれることも多かったが、昨年はあまりサイドを崩されることはなかった。
▼反則・警告 [90分間あたりファウル数] 清水累計:12.4、相手累計:15.1 1.小泉 ( 2.33)、2.美臣 ( 1.88)、3.長沢 ( 1.88)、4.枝村 ( 1.80)、5.篠田 ( 1.74)、6.真司 ( 1.66) …15.桑卓 ( 0.93)、16.岩本 ( 0.75)、17.佐野 ( 0.57)、18.風間 ( 0.00)
[守備ゾーン (自陣側1/3) での反則率 (=守備ゾーンでの反則÷総反則数)] 清水累計:17.9%、相手累計:19.4% 1.佐野 (59.3%)、2.美臣 (46.7%)、3.岩本 (36.0%)、4.桑卓 (29.4%)、5.岡村 (29.1%)、6.谷野 (25.0%) …15.真司 ( 3.5%)、16.長沢・篠田・小泉 ( 0.0%)
[90分間あたり警告数] 清水累計:1.66、相手累計:1.60 1.美臣 ( 0.68)、2.小泉 ( 0.63)、3.篠田 ( 0.35)、4.村越 ( 0.32)、5.枝村 ( 0.31)、6.上埜 ( 0.24) …15.真希 (0.06)、16.谷野・岩本・風間 (0.00)
[反則に対する警告確率 (=警告÷反則)] 清水累計:13.2%、相手累計:10.5% 1.美臣 (36.0%)、2.佐野 (29.2%)、3.小泉 (27.2%)、4.上埜 (22.3%)、5.村越 (21.4%)、6.篠田 (20.0%)
あまり少なくても戦ってないと批判されかねない反則・警告部門だが、多すぎるのは当然問題。で、2部門トップ+2部門2番手なのが美臣。削りを厭わぬ激しい守備もさることながら、抜かれた後にカッとして後ろから倒す場面もあって審判の心証を悪くしている。大人しい選手の多いチームで貴重なスタイルではあるが、トップ昇格に向けて修正できるところは修正すべきだろう。ファウル数トップの小泉は、守備ゾーンの反則率0%が示すとおり殆どオフェンスファウル。ドリブルをカットした相手に無理に食いついて、笛を吹かれることが多い。あまりラフなプレーは多くないが、静学戦で異議?とリスタート時の距離不足によって7分で退場させられ、警告部門でも上位に来ることになった。 桑卓・岩本・佐野の1年生DFラインが、ファウル数の下位を占めた。その中で佐野の警告率・守備ゾーン反則率が比較的高く、ファウルの仕方が下手。まあ、佐野は大柄な上にスピード・ジャンプ力もあるので、強引に相手を倒したように見られがちなのだが。それは188cmの長沢も同様で、何もしてなくても相手に覆い被さってるように見えてしまう。逆に桑卓・岩本はファウルの仕方も上手。特に岩本はアドバンテージで流すべきか微妙なファウルをよくしており、トップの斉藤を思わせる狡猾さがある。攻守は違うが篠田もズルいファウルが多く、ボールを奪われた瞬間にさりげなくオブストラクションをしてたり。日本の審判基準に慣れたのか、昨年よりはだいぶファウル数を減らした。 全体的には、武闘派集団だった昨年からだいぶファウル数を減らした。一方で警告数はむしろ増えており、「警告覚悟の」ファウルをせねばならない状況が多かったと言えそう。
[90分間あたりに犯したオフサイド数] 清水累計:4.82、相手累計:1.62 1.町田 ( 3.19)、2.真司 ( 1.88)、3.長沢 ( 1.52)、4.篠田 ( 1.04)、5.真希 ( 0.55)、6.岡村 ( 0.52)
清水の誇るオフサイド王・町田が堂々の (?) トップ。絶好の位置に走り込むのがひたすら好きな選手で、しばしば焦りすぎ。真司も同様、もっと落ち着け (苦笑)。長沢は決してスピードがある方ではないが、緩い球に対してトラップの巧さを活かし、裏でボレーを放つのも得意パターン。その長沢よりオフサイド数の少ない篠田はさすが。この選手は常に全力の町田や真司と違い、良くも悪くもトップスピードで走る場面を限定しがちだ。 清水がオフサイドを犯す回数が多いというより、清水が相手をオフサイドにハメる回数が少ないという印象。組織で守るのを嫌い、人と人がぶつかりあって守る方が育成のためになると考えているようだ。例えばJユースカップ、磐田とのH&Aで清水は計21回ものオフサイドを犯している。アップの時、磐田はフラット3の連動したライン上下移動をよく練習しているが、清水では見たことがない。
▼得点の形・失点の形
得点 失点 3 ( 8%) セットプレー直接 5 (13%) 2 ( 5%) セットプレー間接 3 ( 8%) 6 (16%) 清水右サイドから 5 (13%) 7 (18%) 清水左サイドから 7 (18%) 6 (16%) 中央から裏へ 6 (15%) 9 (24%) 中央から強引に 9 (23%) 5 (13%) ミドルシュート 4 (10%)
阿部が抜けた大きさを物語るのが、裏に抜けるパターンの激減ぶり。また真希の痛烈なシュートの印象は強いが、大瀧・森安が抜けてミドルシュートも割合を減らしている。更にキッカー・ストライカーが共に抜けて、セットプレーからの得点率も落ちた。代わって左サイドの切れ込み隊長・岡村の活躍でサイドアタックも活性化されたが、なんと言っても増えたのは中央からの強引な崩し。真希や枝村が中央から強引に持ち込むパターンがしばしば見られ、一昨年以上に一部の個人能力に頼った攻撃が多かったことをうかがわせる。 海人の抜けた影響も非常に大きい。一昨年はサイドから完全に守備組織を崩されるか、もしくはセットプレーでないと海人の牙城は殆ど破られなかったが、昨年は安易に中央から点を奪われている。ラインが深い (オフサイドの項目参照) ため、DFが完全に置き去りにされたパターンは少なく、正面からのシュートに対してGKがもう少し頑張ってほしかったところ。とはいえ、青森山田戦のように、DFが完全に緊張感を失っていた試合もある。
▼私撰MVP・MIP 1.真希 (15)、2.岩本 (13)、3.池田 (10)、4.佐野 (6)、4.村越・枝村 (5) ※MVP2点・MIP1点で換算
まあ、私のお気に入りの選手リストということで (笑)。でも、意外に最近随一のお気に入り選手がランクインせず。真希は別格として、守備の選手の名前が並んでいるあたりが、昨年の状況を物語る。
←2003年度データ集へ →2005年度データ集へ
2005年03月01日(火) |
今年度的清水エスパルスユース 2005年度版 |
▼予想布陣
−−−−−−−−−− 長沢駿2 −−−篠田悠輔3−−−−−−−−−− (町田朋弥2) −−桑原卓哉2−−−−−−−−−−−−−−−−−−−小泉慶治2−− (谷野由紘3) −−−−−−−−−−高野美臣3−−−山本真希3−−−−−−−−−− (池田康彦2) −−佐野克彦2−−−石垣勝矢3−−− 岩本大2 −−− 桑原彬2 −− (渥美直人2) −−−−−−−−−−−−−−前田陽平3−−−−−−−−−−−−−−
名前の横は学年。 昨年の主力で、ユースを卒業した3年生はGK風間、DF村越、MF枝村・岡村、FW鈴木真。だが昨年は下級生が起用された試合も多いため、GK前田、DF佐野、FW篠田・長沢・町田らが十分に経験を積んでおり、問題なく新チームに移行されそうだ。同時に今年は上級生、特に2年生の層が厚く、新入生がレギュラーを奪うには苦しい1年になりそう。途中交代されやすいFWあたりがチャンスだが、U-14NTCの滝戸ですら、山崎竜との競争に勝たねば出場すら危ぶまれる。一方で菊地・浩太、枝村や真希らをJrユースから昇格させ、積極的に起用してきた行徳監督だけに、前田陽あたりのユースデビューがあるかもしれない。 それでは、今年もポジションごとに戦力をチェックしてみよう。
▼FW 1st ○長沢、△町田、△竜男、△滝戸、×藤牧 2nd ○篠田、○町田、△陽平、×八木
駒数は昨年から豊富だったFW。鈴木真はユースを卒業したが1年生3人が順調に成長し、下から滝戸も昇格してきた。昨年は絶対的エースがおらず、石垣や真希をFW (トップ下) にコンバートすることになったが、今年はその必要はなさそうだ。 能力・相性的には、篠田 (3年)・長沢 (2年・U-17代表) の組み合わせがベストか。絶対的な決定力と瞬間的なスピードを持つ篠田に、足下でエレガントなポストプレーを見せ、徐々に長身も活かせるようになってきた長沢。ただ、2人とも少々怪我がちで、その間に町田 (2年・元U-15代表) が猛チャージを掛けている。篠田と同タイプのストライカーだが、スタイルが固まっている篠田に比べてプレー幅を広げており、PA外での仕事や周りを活かすプレーも忠実にこなしている。山崎竜 (2年) は、実はこの4人の中で最も空中戦が強い。泥臭いプレーでレギュラーを狙える位置にいる。 比較的空中戦に強い選手が少ないので、滝戸 (1年・U-14NTC) にもチャンスはあるだろう。昨年のJrユースでは1年間、CHを担ったが、CHの候補に事欠かないユースではFWで競り合いの強さを活かしたい。DF登録で長身の外部加入選手、藤牧 (1年) も前線で起用されていたとの情報がある。一方、セカンドトップの隠し球なら、やはり前田 (中3・U-15代表)。Jrユースでは圧倒的なテクニックでピッチで踊りまくっているが、この選手は上のレベルに合わせた確実なプレーもできる。八木 (3年) は、FW以上に層の薄い左SHでの起用がメインになりそう。
▼MF(ハーフ) 中央 ◎真希、○高野、○池田、△谷野、△神田、×滝戸、×佐諒、×岩本 右 ○小泉、○谷野、△柴田、△伊藤 左 ◎桑卓、△八木、×小出、×佐諒
昨年、怪我がちの枝村に代わって大車輪の活躍を見せた山本 (3年・U-18代表) が、トップに呼ばれない限り、そのまま中核を担うのは間違いない。長短緩急を使い分け、試合を創る能力を持った枝村の代わりになる選手は「いない」のが現状だが、今年は山本のチームとして違う姿を見せることになるだろう。 その山本、今年はセンターハーフとして文字通りチームの「中心」を担うことになりそうだ。彼の長所は数多くあるが、ドリブル・ミドルシュート・低く速く正確な縦パスを駆使して、チームを縦に加速させる推進力を有する点が、CHとして重宝される。カカに代表される現代型トップ下に必須とされる能力だ。となると、相方は山本が前に向かった背後を守れるタイプが求められるが、それを高野 (3年) と池田 (2年・U-16NTC) が激しく争っている。共に運動量豊富で球際にしつこく、守備力に不安はない。ただ、DFからコンバートながら、高野は山本同様に攻撃的な縦パスを果敢に狙うことで、池田を一歩リードしている印象。池田も得意の左右に振り分けるダイアゴナルフィードで、アピールしてきたいところだ。 3人に続くのが、谷野 (3年・後述) と神田 (2年・U-14NTC)。谷野は攻守に競り合いに強く、基礎技術も確かで、確実に計算できる戦力だ。神田はゴール前でアイデアが豊富なファンタジスタ系。体ができれば、他に似たタイプがいないだけに面白い。佐野諒 (1年・県選抜) もファンタジスタだが、神田より更に線が細いだけにまずは体づくりの1年か。競り合いと正確なフィードが持ち味の滝戸 (1年・前述) は、似たタイプが多いだけに別の色を見せていかないと厳しい。最後に岩本 (2年・後述)。ここ数年ずっとCBで固定されており、そろそろコンバートがあってもおかしくない。
さて、今度はサイドハーフの候補を考える。今回は例年とは逆に左から。というのは、左は桑原卓 (2年) でほぼ決まった感があるからだ。昨年、精力的な運動量で左SBのレギュラーを担った桑原卓は、ドリブル・ラン・クロス・フィードと攻撃の幅が広く、守備でもオーバーラップした左SBと入れ替わった時は勿論、内に絞った時もソツがない。八木 (3年) は縦のスペースに抜ける動きに良いものがあるが、攻守のプレー幅で桑原卓と大きな開きがある。Jrユース時代はこのポジションを担った小出 (2年・元U-14NTC) は、まず怪我を治すことが先決。佐野諒 (1年・前述) は、スペースのあるサイドの方がその技術を活かせるのではないか。 一方の右サイドは、小泉 (2年) と谷野 (3年・元U-14NTC) が有力候補。経験という点では、間違いなく谷野。当たりに強くてキックが正確、CHや右SBでの経験もあるので流れの中でポジションが入れ替わっても違和感がない。ただ、行徳監督は攻守のバランスを重視する傾向があり、左にバランサーの桑原卓を使うなら、右にウイング型の小泉が使われる可能性が高い。小泉はスペースへのランだけでなく、ドリブルで相手に果敢に挑む。柴田 (3年) もスピードのあるウイング型だが、積極性で一歩、後れを取る。伊藤 (1年) もまた、ウイング型。先輩2人を上回る積極性を見せることができるか。
▼DF 中央 ◎石垣、◎岩本、○克彦、△高野、△藤牧、×鍋田、×江守、×渥美 右 ○桑彬、○渥美、△尚希、×真希 左 ◎克彦、○桑卓、△江守、△鍋田
村越が抜けたCBは、石垣 (3年・県選抜) と岩本 (2年・U-16NTC) のコンビが基本になりそう。空中戦チーム最強を誇る石垣は、昨年FWで経験を積んだことで相手の動きが分かるようになり、マークを外すことが少なくなった。対人守備は安定している。逆に岩本は読みが鋭く、スペースをカバーできるタイプ。正確なダイレクトロングフィードで、最後尾の司令塔にもなる。良い補完関係にあり、後は連携を深めていくだけだろう。 ただ、昨年CBで起用されていた佐野 (2年・後述) と高野 (3年) が他のポジションで定位置を任されそうなため、実質上の選手層がかなり薄くなっている。ジャンプ力を含む瞬発力があるとはいえ、166cmの渥美 (2年) を起用するのは非常事態にとどめたい。いきなり1年生が務めるには厳しいポジションだが、藤牧 (1年)・鍋田 (1年)・江守 (1年) にはチャンス。ただ、外部参入組の2人がどこまでやれるかは未知数で、昨年Jrユースのレギュラーとはいえ、170cmの鍋田もどこまで通用するか。場合によっては、池田 (2年・前述) や滝戸 (1年・前述) がコンバートされる事態になる。
サイドバックは、まず右から。Jrユース時代と同様、桑原彬 (2年) と渥美 (2年) のポジション争いが激しい。桑原彬は弟の卓哉と共に昨年最も伸びた選手の一人で、課題だった当たりの脆さが改善、一方でフィードとカバーリングに長じている。渥美は小柄ながら運動能力に恵まれ、後方からもう一人のウイングとして攻撃に絡む。ただ、前方にウイング型のSHを置くことが予想されるため、それを上手く使える桑原彬が一歩リードか。昨年Jrユースレギュラーの桑原尚 (1年) は、どちらかと言えば渥美に似たスピードが武器のSB。ただ、まだフィジカル的に競り合いに弱い。この3人以外では誰かをコンバートすることになり、山本 (3年・前述) 以外にも柴田 (3年)・谷野 (3年・前述) に可能性がある。 左は昨年レギュラーの桑原卓 (2年) が1列前に上がりそうなため、佐野克 (2年・U-17代表) の定位置になりそうだ。ここ2年間、CBで起用されてきたが、元々はこのポジションの選手だけに守備は勿論、攻撃にも意欲的。体格とスピードを前面に押し出して相手を蹴散らす姿は、清水にない力強さがある。左サイドは鈴木真と岡村が卒業したため、佐野克と桑原卓の2人のレフティの存在が際立っており、それに続く人材が少ない。三菱養和のレギュラー左SB江守 (1年) や、スピードと堅実なプレーが持ち味のレフティ、鍋田 (1年) に期待したい。
▼GK GK ◎前田、○晃太、×吉田
基本的に前田 (3年・元U-16代表) と考えて問題ない。身体能力が高いため空中戦に強く、キックは飛距離十分。思い切りの良い飛び出しを見せ、守備範囲を広げている。ただ、昨年半年以上にわたった怪我のブランクの影響は大きく、集中力を切らす場面が散見される。そのため、山崎晃 (2年・二種登録) にもチャンスは十分にありそうだ。昨年、まだ身長が伸びていた晃太は未だ細身のままだが、それでも徐々にパワーをつけてきた。元々シュートへの反応は鋭いだけに、これからジャンプ力がついてくれば化けそうだ。昇格した吉田 (1年) は穴の少ない好選手だが、前田に挑むには何か自分だけの武器がほしいところ。
▼筆者私案
−−−−−−−−−− 長沢駿2 −−−篠田悠輔3−−−−−−−−−−
−−−−−−−−−−−−−−山本真希3−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−桑原卓哉2−−− 岩本大2 −−−池田康彦2−−−−−−
−−佐野克彦2−−−高野美臣3−−−石垣勝矢3−−−町田朋弥2−−
−−−−−−−−−−−−−−前田陽平3−−−−−−−−−−−−−−
昨年3−4−2−1や4−1−4−1など様々なシステムを体験しただけに、今年は4−4−2の予想布陣どおりで良いと思うが、一種のお遊びということで。基本コンセプトは3年・1年生は特徴を最も活かせるポジションで、2年生は特徴を最も伸ばせるポジションに置いてみること。
ACミラン型4−3−1−2。GK+DFラインは一人を除いて、Jrユースの時と同じである。GKに前田。DFラインは左から佐野克・高野・石垣までは問題なかろう。佐野克と石垣の特徴は説明したとおり、高野は170cmと小柄だが、岩本同様スペースカバーに長け、ロングボールの落下地点の予測とクリアが正確。そして、町田の右SB! 点取り屋を自認する彼には不満だろうが、DFの立場を理解するのも良い経験だ。同時に彼の持ち味であるスペースへの飛び出しと、最近冴えを見せているドリブル (フェイント) を磨くこともできるだろう。 中盤は3ボランチ+1トップ下。ピルロ役には、憧れの選手がネスタな岩本。枝村が卒業した今、後方からロングフィードで試合を組み立てることに関しては、岩本が最も優れていると思う。ピルロと違い、守備力にも期待。池田はカフーに対するガットゥーゾと同様に、攻撃参加した町田の穴を豊富な運動量で埋めてもらう。桑原卓はボランチだが、セードルフ並に攻撃参加して積極的にミドルを狙ってほしい。せっかく良いキックを持ってるのだから。トップ下の山本に関しては、説明不要。彼がいるから、トップ下を置くシステムを採用する意味がある。 FWはあまりイタリア (ミラン) っぽくない2人。だが、横からのクロスよりも、縦へのクサビ・スルーパスを受ける形を得手とする点で、いささか類似点があるか。スペイン仕込みの篠田は、ゴールにボールを流し込む技術に偏重したFW。ミランで言えば、インザーギ? シェフチェンコと言うには語弊のある長沢は、クライファートというか、イブラヒモビッチというか、クラニーというか、そんな感じの長身変則派。コンバートも試したいが、彼に関しては中3秋にCHからFWに再コンバートされてるので、ユースの3年間はFWのままでいいかもしれない。
…お遊びなんで、「○○選手をなぞるなんて、○○選手に失礼だ!」なんて批判は、勘弁ください。
←2004年度版 ←2006年度版
|