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2000年08月03日(木) クラブ選手権 総括

クラブユース選手権とは、5月から6月に、全国9地域で行われる地域予選を通過した24チームが、7月下旬から8月上旬にかけて福島県Jヴィレッジに集結し、ユース年代夏のクラブ日本一を決める大会。5位以上は全日本ユース選手権への、出場権を獲得できる。清水は、前年優勝の磐田を県決勝で5−1、東海決勝で4−0と圧倒し、首位通過。しかし、東北1位仙台、関東4位横浜、九州1位福岡という死のグループに入ってしまう。

課題の守備には、身長168cmの村松潤が時には中央に入り、下級生の多いDF陣を指揮。彼は、身長のハンデを、体を上手く入れたり、預けたりすることで、カバー。また絶妙なカバーリングと見事なライン統率を見せ、さらにCBでもSBでも、正確なビルドアップの起点となり、時には積極的に持ち上がりラストパスを供給した。
また、塩澤達也は豊富な運動量とフォアチェックで、前線を活性化。決定機を逃せば大声で吼えて自分を奮い立たせるなど、闘志をチームに注入した。高木純平は、左右MFに左右SBなどを担当し、その幅広く高度な技術を披露、鈴木隼人は本来のボランチで、正確かつ球足の速いロングパスと、抜群のキープ力で、試合を支配することに成功する。
しかし、下級生は、経験不足からユースのプレスの速さに戸惑う場面も見受けられた。杉山浩太も、怪我で長期療養中。
結局、リーグ最終戦、横浜に2−2から(引き分けは清水の勝ち抜け)、ロスタイムにロングスローから失点し、残酷なまでに劇的な予選敗退を喫する。その後、横浜は決勝トーナメントを全試合無失点、2点差以上で勝ち進み、優勝。清水−横浜の激闘は、リーグ予選ながら事実上の決勝戦とも呼ばれた。


▼主力メンバー
−−−−−塩澤−−長沼−−−−−

−森山−−鈴木−−深澤−−日高−

−村松−−高山−−渡邊−−高木−

−−−−−−−浅山−−−−−−−

▼得点者(本大会のみ)
長沼3、塩澤、鈴木、高木、仁科



2000年08月02日(水) クラブ選手権 全国大会 横浜F・マリノス戦

00年08月02日16:10開始 Jヴィレッジ
 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会 全国大会 予選リーグ
 対 横浜F・マリノスユース

布陣
−−−−−塩澤−−長沼−−−−−

−森山−−−−−−−−−−日高−

−−−−−隼人−−深澤−−−−−

−村松−−高山−−渡邊−−高木−

−−−−−−−浅山−−−−−−−

交代:後半37分:長沼→阿部(そのままFWに)

横浜Fマリノスユース:

−−−−−坂田−−斎藤−−−−−

−越智−−−−−−−−−−鈴木−

−−−−−金子−−田中−−−−−

−樋口−−小原−−数馬−−飯田−

−−−−−−−榎本−−−−−−−

交代:後半12分:斎藤→北野、後半17分:樋口→松井、後半22分:鈴木→後藤
   後半38分:金子→栗原


▼試合展開

 清水は、すっかりお馴染みになったフラットな3ラインによる4−4−2。対する横浜は、清水に合わせてマイナーチェンジ。高いビルドアップ能力の対決が予想される、隼人−金子の中盤セントラル対決をサポートすべく、運動量に定評のある右MF田中を中央で組ませ、機動力に不安のある深澤に対峙させた。

 試合がまだ試合の体相も見せていない数十秒過ぎ、浅山のポジショニングが定まらないのを冷徹に見極めた越智がハーフライン付近から一閃。この大胆な超ロングシュートが、なんと決まってしまう。
 出鼻を挫かれ動揺した清水は、相手と体を入れ替えて前でボールを奪いに行く、普段の攻撃的な守備が影を潜め、横浜のボール回しに後追いになる。中盤中央は横浜の狙いが嵌った格好で、隼人と深澤がポジションチェンジを繰り返してプレスを交わそうとするもなかなか実らず、横浜が圧倒。8分にはドリブル突破からシュートを許すが、これは立ち直った浅山が掴む。なおも11分、快活な動きを見せていた田中のFKは、ポストに助けられた。
 しかし凌虐された時間帯に、突如として煌めいたのは、頼れる3年生の個人技。22分、隼人の左CKが跳ね返されたが、蹴った隼人が自ら拾うと、後ろから俊足を飛ばして高木純平。巻き込むような体勢から放った隼人の左足スルーパスは、右アウトサイドを抉り取り、スピードを殺さずに捻転した純平が、右足ダイレクトでセンタリング。すっとGKの前に入った長沼の頭が捉えて、同点。
 これで、流れは反転。その後も村松の芸術的なスルーパスなどで攻め立てるが、ノーゴールに終わった。

 後半開始に仕掛けたのは、今度は逆に清水。後半4分、相手が集中する前に日高が緩い中盤を中央突破、斜めに外に開いて上げたセンタリングを、長沼が豪快に右足で蹴り込み、2−1と勝ち越しに成功した。
 ドローでも予選勝ち抜けの決まる清水には、2点の余裕が出来た。これで、清水は気持ち的に守りの体勢へ。一方の横浜は1年生チビッコストライカー北野を投入し、攻めの姿勢を強める。14分、冴えを見せる田中のFKから、數馬がボックス内で合わせて同点にされるが、攻守の構図は変わらない。17分も同じくセットプレー、田中のCKから中央で叩きつけられるも、ファーのライン上で守っていた渡邊が弾き混戦、そこからのシュートは再び渡邊が体を投げ出して掻き出す。
 しかし、守勢とはいえ、流れの中では4バック相互に良いカバーリングを見せ、十分に渡り合う。横浜のプレスも緩んで隼人が中盤の支配権を取り戻し、左右に巧みに散らしては一気のロングフィードで速攻を仕掛けるなど牽制。攻撃には人数を掛け過ぎず、セットプレーや、カウンターから塩澤が技術と緩急で相手を振り回すなど、リスクを抑えながら相手後方を脅かした。
 ところが、ロスタイムに入ろうかという38分、それまで冷静に相手ボールに対処してきた最終ラインに未知の武器が。途中交代、栗原の強烈な勢いのロングスローが、右タッチラインから放り込まれた。これを上がっていた數馬に頭で流されると、最後はFW坂田。ダイビングヘッドは浅山の伸ばした手を嘲笑うように、ファーの角に流し込まれた。
 この後、余力の全てを賭した殴り込みを仕掛けるが、無情の笛。ある者は泣き崩れ、誰もが立ち上がれない清水イレブンの横で、狂喜する横浜ユース。勝負では必ず起こり得る、試合後の明瞭な両者の懸絶は、殊更に残酷な様相を呈し、予選リーグながら「事実上の決勝戦」と呼ばれた試合は幕を閉じた。


▼試合結果
清水エスパルスユース 2−3 横浜Fマリノスユース
 得点:前半01分:横浜・越智隼人(?)
    前半22分:清水・長沼圭 (高木純平:右クロス)
    後半04分:清水・長沼圭 (日高琢磨:右クロス)
    後半14分:横浜・数馬正浩(田中隼磨:FK)
    後半38分:横浜・坂田大輔(数馬正浩:ショートパス)


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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