ここ数日は天気がいいので、ムー太郎に「今日はドライブ日和だね」って毎日のようにいっていたの。先週はあまり天気がよくなかったけど、今週に入って天気がよくなって、本当にドライブするにはもってこいの天気なんだ。それにすごく暑いってことはないから気持ちいいはずなの。だからドライブするのもいいよねって感じにはなっているんだけど、どこへ行くか決まらないから、とどのつまりはどこへもいけないまま1日が過ぎていたの。ここ北の国では東京のような都会と違って当てもなく走ったところですぐにどこかに着く訳でなく、同じ景色が何時間も続いて退屈なだけだからね。だから目的地だけは決めないとドライブにも出かけられないの。
でも今日はドライブへ行ったんだ。今日の目的地は近くの大都市のショッピングモール。ムースは以前1度行ったことがあるんだけど、ムー太郎は行ったことがなかったので行くことにしたの。近くの大都市っていっても片道約320kmもあるので、車で行くと4時間もかかるの。しかもそのうち3時間半はずーっと畑の中を走っていくので、行けども行けども景色が変わることはないの。そんなに景色が変わらないと眠くならないの?と聞かれそうだけど、たまに小さな街が存在するので気分転換が出来るし、速度計を見ずに走ってスピード違反をしてしまうと、どこからともなくパトカーが突然現れるので、結構気を使って走っているのでそんなに眠くならないかな。でも、やっぱり畑の中の運転に慣れたっていうのが1番の要因かな。
今日行ったショッピングモールは室内のショッピングモールとしてはかなり大きいもので、この辺ではもちろん1番大きいんだけれども、世界でも3番目の大きさらしいの。それだけにすべてを見て歩くには大変かもしれない。ちなみに以前ムースが行ったときは、朝の11時ころから夜6時くらいまでこのショッピングモールにいたの。別に買いものをしていた訳でなく、単に時間つぶしのために7時間もふらふらとしていたんだけど、かなり疲れちゃった。今日は前回行ったときと違い人が多くって半分も見ないうちに疲れちゃったの。それでも一応各階回って、すべてのお店を見たかな。たった1時間くらいだったけど、結構ヘロヘロだったかな。
お買いものはせず、怪しいお寿司屋さんで晩御飯を食べてから帰ってきたんだけど、帰り道は本当に大変だったんだ。まだ陽があるうちにショッピングモールを出てきたので、途中までは薄明るいままだったの。やっぱり真っ暗になってから帰ってくるよりも陽があるうちの方が気分的にいいからね。ここに帰ってくるまでの道のりの半分を過ぎたころかな。陽が沈んで辺りが暗くなり始めたのは。それからは真っ暗な道をひたすら走ってくるんだけど、周りが何も見えないからあまりいい感じはしないかな。そんな中をひたすら走り、ここ北の国に帰ってくるのに通る人口300人ほどの小さな街を過ぎて、もうちょっとで家だと思ったころのことだったの。その小さな街を過ぎてしばらくすると一時停止の看板がある交差点があるんだ。ここを曲がって南に行くと問題児がバイトしている畑の中の飲み屋さんへ行くんだけど、今日は家へ帰るのでそのまままっすぐ行ったの。アクセルを踏み、スピードが上がったそのとき、前方に不審な大きな物体が飛び出してきたの。そこは1面が木で覆われ、人が出てくるようなところではない。じゃぁ、何?って感じ。しかもその物体は人よりもはるかに大きい。こんなにぶつかったら死んじゃうと思って急ブレーキを踏んだの。そのときはムー太郎もムースも大きな悲鳴を上げてたんだ。だって本当に怖かったんだもん。でもって、その大きな物体にぶつかりそうになった瞬間、その物体はこちらをちらりと見て、飛び出してきた方とは反対側に逃げていったの。ムースは一瞬ぶつかったと思ったんだ。だってすごいスピードが出ていてすぐに止まれそうになかったんだもん。その上、その物体はまったく動かなかったの。このまま行ったらぶつかるって思ったときにその物体をよけようとハンドルをちょっと切ったから間一髪のところでぶつからなかったようだけど。本当に怖かった。
ところで、その大きな物体は何だったかというと鹿。オジロジカという鹿らしいの。ムースが今日轢きそうになった鹿はパッと見1m80cmくらいの高さがあったかな。実は以前にもその辺を車で通ったときに鹿の親子が飛び出してきたことがあったの。そのとき、ムースはチームメートの車に乗っていたのでただ単に鹿が飛び出してきたってくらいにしか感じなかったんだ。ただ、チームメートはすごく怒っていたかな。で、今わかったことだけど、あのときチームメートが何であんなに怒っていたか。鹿なんて轢いてしまったら、鹿がかわいそうというより自分の命が危ない。車が大破しただけで済んだのなら、命に別状はなくてよかったねってことになるかもしれないけど、大怪我をしたら本当に大変だから。それにどんなに注意して運転していても鹿の飛び出しをよけることは難しいと思うの。ムースの場合は前に車が見えていたし、まさか前の車とムースの車を間に鹿が飛び出してくるとは思わなかったから。周りに車がまったく走っていないというなら、急な飛び出しも少しはわかるような気がするんだけどね。
こんな訳で家に帰ってくるまでの残りの道のりは生きた心地のしないままだったの。本当に今日はすごい日だったし、疲れがどーっと出た感じかな。 |