【独言】
キョウ|キノウ|アシタ
過去のことだけど忘れてない。全然、忘れてない。 そう思っていたけど、正にその通りだった。
出ないようにしてた電話。登録してあるから店舗名が出る。 相手先を見ずに受話器を上げた。店舗名を見てシマッタと思った。 何の為に今まで避けていたのか。 心臓がうねった。 どうしようもなく、というよりはきっと。正直なところ欲望に負けたのだろう。 数秒置いて自分の居る店舗名で電話に出た。 日常が非日常になっていた。 心臓が非日常な音をたててた。 数ヶ月ぶりの彼の声、存在。 この体の深いところでどくどくと鳴る心臓。 他の誰にもそのようには鳴らないのに。 あらためて突きつけられたよ。 どうしようもないし、どうにもならないけれど、すきなひと。 緩む顔を、綻びる口元を、醜いと思う隙間さえなく。 私を好きだと言ったかの人に、罪悪感を感じることすら出来ずに。
参った。
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