イシダ植物の「転石」
多感なお年頃、ついに三十路突入いたしました。 これから先もローリングストーンしながらトーキンバゥマイジェネレーションだよ。
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1stステージが終わって、相方は「満たされちゃった」といって帰ってしまった。 わかる、ほんとうに、「満たされ」たんだ。 女性が「満たされた」と言う感覚、わかるかな。あの、あんな感覚に、たしかに近い。 私も帰ってもよかった。でも、なんかまだそこに居たかったというか、 まだ浸ったまま動けないというか、こわいけどもっといってみたいというか。
2ndステージは、明るくて聴きやすいサンバな曲から始まった。 1stよりも、ポップ、バラード、無難と言うか分かりやすいというか、 カタチとしては触れたことのありそうな雰囲気の選曲。 でもひとつひとつの音の粒がより鮮やかでくっきりとしていて、 精度も音量もぐんぐん素晴しくなっていく 青天井!
耳が、サックスを追いかける。 唸る。歌う。ゆれる。ささやく。おどる。聴いたことのないほどの音のいろんな表情。
すでに満たされているところにどんどん盛られていく感覚に、 私の脳は、 ついに、思ってもない反応に出たんだ。
オデコが、しゅわしゅわとしている。 オデコのあたりに、じゅわー、じゅわー、というシビれを感じる。 このへんの毛細血管がチリチリしているようなかんじ。 これはなんだろう、と思いながら、 私は思いっきりこの音楽に酔っていた。
すごーーーーい。
ぜんとうよう、だぁ。 と、このときおもったんだ。
前頭葉が、よろこんでいるよぅ。 ものすごい波長が現れているよう、先生、この脳波どう!? すごいよイシダさん、波が、振切れているよう。 なにかビシビシしたり、パステル色とりどりの曲線も現れたりして、思い思いに描いているよう。 すごいよこれは。ああ、きろくをとっておけばよかった。 とってないの、せんせい?そーなの?ああ、でもいいよぅ、わたしにもわかるよ。 ぜんとうようが、すごくよろこんでいるよう。
* * * * *
この余韻は次の日も続き、その次の日は形を失いつつただ綺麗な思い出となって、 そのあとも、目を閉じてオデコに手をあてては「ああここにしゅわしゅわがキてたなぁ」と 水面から見た高い空を思い出させるのでした。
この体験を、言いふらしたくて。
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