泡のように消えていく
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あたしが所有していたもの あたしが所有されていたもの
少し寒い午後の風や 色のない空の質感や なにもない絶望感や 根拠のない独占欲や
実は あの頃見ていたものすべてに所有されていたあたしは 実は 今はもうなにも所有していないのです
不思議な話だけれど あの頃の出来事は勝手に思い出になってしまって 今はもうなにも感じられないのです
たとえばどちらともなく重なった手や 何もいわなくてもわかったことが 今はもう 思い出さなければ思い出せない、 ただの思い出になってしまったのです
当たり前のことなのかもしれないけれど あたしが なによりも大切に思っていたことを まさか忘れてしまう日が来るなんて
少し寒い午後の風に絡んで 色のない空を見上げて なにもない絶望感を思い出しても 根拠のない独占欲を思い出しても
あの人のことを思い出しても
もう今さら、何も取り戻せないことだけはわかっているのです
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