冒険記録日誌
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2022年06月11日(土) |
バカゲー・オブ・ザ・オレ 第6位 |
山口プリン「このランキングももうすぐ折り返しだな。」 たけたろう「前回の“暗黒のピラミッド”もそうでしたが、今回も400パラグラフ以上の作品だから、プレイに時間がかかって大変でした!」 山口プリン「ご苦労さん。しかし、この先のクソゲー・バカゲーは、まだこんなもんじゃないぞ。」 たけたろう「このランキングが終わる頃には、秋になっているかもしれないですね……。」
バカゲー第6位 【超時空パイレーツ おみそれ3人組の冒険】
ジャンル 狂ったファンタジーもの冒険譚 発売元 双葉文庫 執筆者 樋口昭雄 発売日 1988年8月1日 パラグラフ数 450パラグラフ ゲームの構造 1方向システムだが、各世界をランダムで繰り返し訪れることになるので、同じシーンへの再訪は可能。 過去の冒険記録日誌 2003年10月8〜18日にリプレイあり。
ポイント 恐怖の侍
物語の概要 資金難にあえいでいた城西高校映画研究会に所属する一平、和哉、進の3人組は、突然、着ぐるみ猫みたいな動物、なんじゃもんじゃに出会った。「異次元にあるナイトランドをお救いください。女王をお助けになった暁には多額の報酬をー「金じゃあああ!」「がおおおっ!」「いくぞ、みんな!」 こうしてパラレルワールドを旅できるという跳航機とやらに、全員乗り込んで発進したところ、重量オーバーでどこかへぶっ飛ばされたのであった。
特別未公開シーン(パラグラフ7より。バグなのか、正しくポイント管理をすると、到着できない。) ※※※※※※ やがて、三十分もたった頃だろうか。扉が開き、屈強な侍たちが入ってきた。 彼らに引き立てられ、俺たちは屋敷の中庭に再び連れていかれた。 「一同、おもてをあげい」前方を見れば、そこはまさに奉行所の裁きの場。テレビの「大岡越前」の八時四十五分頃のシーンそっくりの光景だった。 「おまえたちは、わが屋敷に忍び込み、偽証、窃盗、婦女の暴行、放火、銃刀法違反、スピード制限速度五十里オーバーなどを犯し、あまつさえ、わが代官所の名誉を傷つけた。その罪万死にあたいする。よっておまえたち、市中引き回しの末、獄門張りつけとする」 「何勝手なこと言ってんだ。この世界、いいかげんすぎるぜ」俺はつい怒鳴った。「だいたい何で代官所が奉行所の真似をしなきゃならないんだ」 「おうおうおうおう。黙って聞いてりゃ、いい気になりやがって」代官は片足を一歩投げ出し、もろ肌を脱いだ。「この背中の桜吹雪が、ぜ〜んぶお見通しだぜ」 その時だ。表の門がキイと開き、鬼の面をつけたひとりの侍が、スススと入ってきた。 「桃太郎侍だ!」と、進が叫ぶ。その侍はくるくると回ったかと思うと、ぱっと鬼の面を取った。そして、手近な侍から斬りかかっていった。 「ひと〜つ、人より力持ち」 ばったばったと屋敷の侍を斬りながら、彼は言った。「ふた〜つ、故郷を後にして」 「行こう、つきあってらんねぇや」和哉にせかされ、俺は進と一緒に屋敷を抜けだした。 ※※※※※※
主な登場人物 竹林一平:10名くらいが所属する映研の会長であり主人公。ゲームブックの主人公としては珍しい眼鏡キャラ。エネルギッシュなつっこみを入れながら、狂った世界を駆け巡る。 高村和哉:映研副会長。主人公と同類な性格。彼の親父が作ったタカムラアルファという薬を、女王に飲ませるのが冒険の目的である。 小川進:映研部員。お菓子が好きな太っちょ。実は「ヴァイケルの魔城」というゲームブックにも、主人公3人組の一人として登場しているが、どっちの作品でも地味な存在である。 なんじゃもんじゃ:着ぐるみの猫のような生き物。ナイトランドから跳航機という乗り物に乗ってやって来た。主人公達をナイトランドに連れて行こうとしたところ、重量オーバーで、跳航機と共に行方不明になってしまう。 流卯留無用ノ介(るうるむようのすけ):主人公を執拗に追ってくる不死身の侍で、本作を象徴するキャラクター。 ダーク:ラスボス。強いのだが、最終盤しか登場しないので影が薄い。 樋口明雄:「超時空パイレーツ」の作者でガチな登場人物。
バカ要素 パラレルワールドとして出現するナイトランドを除く7つの世界がいい意味で狂っている。例えば時代劇風な世界では、電車や公衆電話があり、駕籠かきは車並みに早く走るが信号で止まる。中世ファンタジー風の世界では、王様が大名行列をしていると言った具合である。日本昔話がごちゃごちゃになった世界は、ちょっと変くらいですむが、地平線まで満開の桜の木が続いて、どこもかしこも宴会が延々と続く世界なぞ、非常にシュールである。 主人公側もそれに負けじと、一平と和哉のコンビが強烈な個性を発揮している。正直、主人公が、うる星やつら(アニメの方)に登場するメガネにしか見えん。イラストを見ていると、千葉繁の声が聞こえてきそうだ。 特筆しておかないといけないのは、流卯留無用ノ介というキャラクターである。彼はダークとは関係ない人物にもかかわらず、“武士”と言う言葉が出た瞬間、木や壁をぶち抜いて突然表れ、「そりゃそりゃそりゃそりゃそりゃーーっ!」の掛け声と共に刀を振り回して突進してくる。言葉は“かつおぶし”でも“炭坑節”でも、おかまいなく登場してしまう。反撃をして倒しても、すぐに復活して追ってくるので、最後は逃げるしかなく、こいつのせいでゲームオーバーになる事が一番多いだろう。もし私が「ゲームブックで、一番最強な敵は?」と問われれば、流卯留無用ノ介が真っ先に浮かぶほどの存在感である。
総評 やりたい放題という感じの変な世界をいくつも回っていくので、ストーリーも滅茶苦茶であるが、一応「各世界で情報を収集し、アイテムを集める事で、跳航機となんじゃもんじゃを回収でき、回収後はナイトランドに行ってダークを倒す」という流れはあり、徐々に攻略していくよう、ゲームとしてはちゃんと成立しており、毎回、次こそクリアできそうな気はするので、つい繰り返しプレイしたくなる感じはある。 戦闘は双葉ゲームブックお馴染みのバトルポイント制だが、他の世界への移動のみランダム(本を適当に開いて、右上端に印字された数字を見る)なので、そのクリア手順も毎回変わってくる。しかし、移動がランダムなのは、どの世界でも何かやる事がある序盤は面白いが、中盤以降は行きたい世界になかなか辿りつけず、もどかしい感じになってしまう。跳航機を中盤くらいには回収して、その後は望みの行き先を選択できる、とでもすれば良かったのではないだろうか。 総じて細かいことは気にせずに、正真正銘、正統派のバカゲーとして、笑いながら楽しむのが正解な作品なんだろう。
ちょっとリプレイ(ネタバレ注意) たけたろう「結構、難しいですね。開始早々、ナギナタ持った女中達に殺されました。」 山口プリン「苦戦しそうだから、今回はちょっと黙って見ていよう。」 たけたろう「2回目、みんな格闘技ばっかりやっている世界で、無用ノ介に襲われて死亡。3回目、殺人事件を解決して砂漠を走る船にのっていると、無用ノ介に襲われて死亡。4回目、森の教会に行くと、悪魔崇拝者の集団に生贄にされて死亡。5回目、大クジラの腹の中で、ダークの部下の次元盗賊に襲われて死亡。6回目、人気のない深夜のビル街で、次元盗賊に襲われて死亡。7回目、花見の世界で無用ノ介に襲われて死亡。カラッと描写しているけど、斬られた3人の首が舞っているのを見て、花見客が歓声をあげているのがホラーですね。」 山口プリン「戦闘に負ける事が多いが、今回はバトルポイント表の配列が悪いんじゃないか?」 たけたろう「そうですね。世界を移動した時点でなら、バトルポイント表の書き換えが可能なので、2パターンの表を用意して、適宜切り替えていく作戦にします。」 山口プリン「ここまでのプレイで、だいたいどの敵が、表のどの数値と比べるか分かっているからな。バトルポイント制ならではの攻略方法だ。」 たけたろう「8回目、花見の世界でサラリーマン達と永遠に花見をする事になって、END。この世界は、一番平和そうなのに、実は一番怖くないですか?9回目、3回目と同じように無用ノ介に襲われて死亡。10回目、吸血鬼の城内を走り回ってたら、滝つぼに落ちて死亡。11回目、中世ファンタジーの世界で、無用ノ介に襲われて死亡。12回目、序盤で忍者の集団に殺されて死亡。13回目、今回はかなり進んでます。ある程度、経験値を貯めると戦闘で死ににくいですから、ゲームオーバーにもなりにくいです。ああ!パワードスーツみたいなのを着たおっさんに殺された!ここまで来たのに!」 山口プリン「さすがに終盤近くまで辿り着いて、やり直しは心が折れるな。今の世界の最初から再開でいいよ。」 たけたろう「ありがとうございます。14回目、なんじゃもんじゃを発見して、跳航機でついに8番目の世界“ナイトランド”に到着しました。最初に重量オーバーに気を付けていれば、今回の冒険は、ここからで良かったわけですよね。壮大な回り道をさせられたわけだ。」 山口プリン「女王の城に潜入して、ダークと対決だ。しかし、彼は強いぞ。」 たけたろう「作者に賄賂を贈っているとか、そんなメタな理由の無敵って、ただの反則じゃないですか。追い詰められた私は、手に持っているワープロに”ぶし“と入力して変換。”武士”。壁をぶち抜いて、無用ノ介の登場だ!」 山口プリン「今まで勝ち誇っていたダークが“な、なんだ。こいつはーーーっ”って驚愕して叫んでいるシーンが爽快で好きだな。」 たけたろう「すぐ物陰に隠れると、無用ノ介はダークに襲い掛かっていきます。数時間の死闘の末にダークは倒された。“さらば、無用ノ介“と言い残すと、女王と一緒に跳航機に飛び乗り、現世へ。無茶苦茶な結末だ。」 山口プリン「この作品にはぴったりだろ?結果論だが、回り道をしたおかげで無用ノ介に追い掛け回され、それがダークを倒す伏線になったのだ。エピローグでは、ナイトランドで映画撮影をする事も決まって、ハッピーエンドじゃないか。」 たけたろう「映画撮影中に、無用ノ介が登場しなければいいですけどね。」
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