冒険記録日誌
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2022年06月09日(木) |
クソゲー・オブ・ザ・オレ 第7位 |
たけたろう「クソゲー紹介7位です。だんだんクソゲー度が増してくるのでしょうか?」 山口プリン「7位という事で、これからはクソゲー度に気合が入った作品を紹介していくぜ!」
クソゲー第7位 【ルパン三世 暗黒のピラミッド】
ジャンル 国民的アニメ「ルパン三世」を原作としたゲームブックシリーズの1作 発売元 双葉文庫 執筆者 塩田信之 発売日 1986年9月8日 パラグラフ数 400 ゲームの構造 単純な分岐小説タイプ。1方向システムのストーリーパートと、双方向システムのダンジョンパートが交互に進行する。 過去の冒険記録日誌 2004年7月15日に感想あり
ポイント 恐怖の失神ダンションをおたのしみ下さい。
物語の概要 僕はジェイク。尊敬する教授が「混沌の祭祀書」という謎を追って、パキスタンに旅立ったまま行方不明になった。心配している僕に、謎の男達が僕をパキスタンへと誘ってきたのだ。
作者コメント(隠しパラグラフ150番より) 今回のこのゲームブックには、この項目のように、ゲーム上、来る項目のない項目が幾つかあって、それがあたかもファミコンやビデオゲームのように隠しコマンド(情報)となっています。恐怖の失神ダンションと共におたのしみ下さい。
主な登場人物 ジェイク:本作の主人公。コンピューターを自在に操る16才の天才少年。 フィリス:行方不明になった教授の姪だが、さほどストーリー的に重要ではない。ヒロイン役のためのヒロイン。イラストは可愛い。 スコット:主人公を今回の冒険に誘った謎の男。大男のロブと、やせ型な体のリドリーという2人の部下を従えている。 ルパン:お馴染みルパン三世。今回も、次元、五右衛門と一緒に組んで古代の宝「混沌の祭祀書」を狙っているようだ。ルパンは大泥棒というより、トレジャーハンターだろ、と感じる作品はアニメを初めとして多いが、本作もその一つである。 クソ要素 本作の大半は、ダンジョン探索で占められている。このダンジョンというのが、ただ出口を求めるだけの単調な迷路である。謎解き要素もなく、イベントといえば、まれに設置された罠と、どこかで鍵を取って扉を開けるくらいのギミックしかない。さらに、この迷路が広大きわまりなく、道の方角が東西南北だけでなく、南東、北東、南西、北西にも伸びるので、やたら複雑。脱出にはマッピングが不可欠だが、そのマッピングが面倒くさい。 主人公のジェイクは天才少年という設定で、コンピューターを使って、どういうプログラムかわからないが、何でも精密な予測をすることができるという、ふた昔前の漫画やアニメに多かったタイプのキャラ。なのに迷路となると山勘で右往左往しているだけになる。中盤からはルパン一味が主人公に同行するが、彼らもただついてくるだけ。五右衛門が迷路の壁を斬って道をショートカットするとか、ルパンが罠の解除をするとかあっても良かったのではないだろうか。 このように探索中は、主人公や仲間が「疲れたな」とか言うくらいで、たいした描写もないという事で、当然プレイヤーは飽きてしまい、マッピング作業は苦行の域に達する。このような精神状態で、「点数はないしサイコロもいらないし……電車に乗ってでも出来る本格ゲームブック!」と無邪気に自画自賛する作者あとがきを読むと、もはや読者を煽っているとしか思えなくなるのである。
総評 神出鬼没で、どんなピンチも奇想天外な手段で切り抜けるルパン三世は、実はゲームブックの主人公に向いていない。普通のゲームブックの主人公のように扱うと、(シリーズ他作品であったように)ビルの監視装置に一度引っ掛かっただけでゲームオーバーとか、およそルパンらしからぬ情けない泥棒になる。その点、第三者であるジェイクという少年を主人公に据えたのは、一つの正解だと思う。ジェイクの視点から見たルパンは、評判通りの世界一の大泥棒なのである。 ただ、ストーリー中盤で商店の親父に対して、ルパンが偽のトラベラーズチェックに「ルパン三世」とサインをしただけで、あっさり詐欺が成功するシーンはどうかと思った。トラベラーズチェックで、ルパン三世という名前が有効と信じる人間がいるのもおかしいし、そもそも天下の大泥棒がそんなせこい犯罪をするとは情けない。とはいえ、ストーリーパート云々は大きな話しではない。前述したゲームの大半を占めるダンジョンパートの凶悪さがこの作品の全てである。
ちょっとリプレイ(ネタバレ注意) たけたろう「序盤はまずまず面白いですね。主人公は、同行しているスコット達が信用できない一方、まだ少年だけに、彼らの力なしで冒険が出来ない部分もあって、その葛藤の中で選択肢を選ぶのはいい感じです。」 山口プリン「そうだね。ストーリーパートはそんなに悪くないと思うよ。」 たけたろう「問題のダンジョンに入りました。確かに、ジェイク達がただ歩き回っているだけですね。山口プリンさんが、2004年の日記で感想を書いたときは、マッピングなしでクリアしたんでしたっけ。よく脱出できましたね。」 山口プリン「適当に迷宮の端にそって歩き続ける事で脱出できた気もするが、鍵とかは中央とかの部屋に配置されていたりするからな。当時の自分を褒めてやりたい。」 たけたろう「単にマッピングが面倒くさかったのでしょ?まあ、なんとか脱出しました。そして、ストーリーパートを挟んで、また次の迷路……これ広くないですか?たまにワープポイントが登場するし、8方向にも通路が分かれている部屋があるしで、マッピングが地獄なんですが。」 山口プリン「ああ、とくに意味のない区画や行き止まりなんかもあったりもするし、完全にプレイヤーの気持ちをへし折りに来ているよな。」 たけたろう「どこまで地図が広がるんだろう。ノートを見開きで使っても書ききれなくなって、次のページまで行ってしまいました。」 山口プリン「おっ、脱出できたじゃないか。マッピングなしでクリアした時は、迷路全体の大きさがわからなかったけど、マッピングすると何マスくらいだった?」 たけたろう「正方形や長方形みたいなキレイな形ではないから、ちょっとわかりにくいですが、一部屋が1マスとして、大雑把な広さは12×15マスってところかな?もうぐったりですよ。」 山口プリン「最後は“混沌の祭祀書”を前にあれやこれやの展開があって、ジェイクが意識を取り戻すと、そこはアフガニスタンのバーミヤンにある巨大大仏像の前だった、というところでエンディングだ。あれが破壊されるなんて、発売当時は予想できなかったろうなぁ。」 たけたろう「そんな感慨とか今は関係ないですから。クリアの達成感よりやっとこの冒険と縁が切れるという気持ちしか湧きませんでした。もうやりたくないです。」 山口プリン「まあ、そう言うな。迷路に出口が必ずあるのは本作の長所だよ。」 たけたろう「そんなの当たり前じゃないですか!って、何ニヤニヤ笑っているんですか?この先、出口のない迷路なんてクソゲーが登場するんですか?そんなまさかねぇ。ねぇってば、返事してくださいよ!」
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