冒険記録日誌
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2022年03月03日(木) |
うざいリプレイを書いてみた 巨大コンピュータの謎(安田 均・TTG/創元推理文庫)その2 |
宇宙船が到着すると、入国手続きの際の税関で、デュマレストは愛用のナイフをどうするか迷います。この惑星の市内では武器の所持が認められていないので、このままでは没収されてしまうからです。 ここで嘘をついてナイフの所持を隠すか、正直に申告するかという、ゲーム初の選択肢となります。実は原作では、切羽詰まったときを除いて、宇宙船の乗降の際に彼が嘘をつくことはほとんどありません。身を隠す必要があるときでさえも、本名を名乗っています。噓発見器を使われるのでバレてしまうと説明があった巻もあります。なので、ここは正直にナイフの所持を申告する選択肢を選びます。 係官にナイフの所持を伝えると、今度は賄賂を渡すかどうか、渡すならその金額が100フォルか300フォルかという選択肢が登場します。 参考にと、このパラグラフでは、宇宙船の一回の渡航費用が、特等なら2000フォル、一等が1600フォル、下等が200フォル、持っているナイフの値段が300フォルと説明がありました。 特等とは、惑星間の長い長い退屈な宇宙船の旅を、低速代謝という動く速度や生命活動が数十分の1になる薬を使って過ごし、数か月の旅が旅客にとっては実質数日になるという旅行法。次に1等の旅とは、これは原作にはでてこない表現です。おそらく、宇宙船の船員が時々するように、低速代謝を使用せずに旅をする、原作でいうミドルと呼ばれる旅行法の事と思います。そして下等は、家畜と同じく、冷凍睡眠の状態で荷物のように運ばれ、目的地で蘇生してもらうという格安旅行法です。ただし、15%もの人間が蘇生に失敗するリスクの高さが問題です。
ところで原作では、このゲームブックのような各惑星固有の通貨単位はあまり登場しません。代わりにどの惑星でも通用する価値を表す単位として、渡航費用を基準にした表現をします。例えば「特等料金10回分の価値がある」、「それでは下等料金にも足りない」といった感じです。第一巻「嵐の惑星ガース」でも、モアドーという残虐な闘士を相手に戦いを挑むよう、「一度でもあの男を倒せば下等の渡航費を出すぞ、殺せば特等だ!」とデュマレストたちに向かって呼びかけるシーンがあります。 本書の作者後書きでは、1フォル=500円と書かれているので、特等は100万円、下等は10万円の価値ということになるでしょう。 しかし、原作を読む限り、本当にそうなのか、はっきりとはわかりません。 デュマレストのような宇宙を旅する流れ者は、現実世界でいうバックパッカーみたいな存在で、辿り着いた惑星で路銀がつきれば、しばらく仕事をして、次の惑星へ旅立つ旅費を稼ぐという繰り返しで旅を続けています。そういった人たちにはこの乗船料は厳しい金額だと思うのです。 原作で参考になるところでは、第4巻「共生惑星ソリス」で、デュマレストは下等料金の半分しか所持金のない状態でクロンという惑星にたどりつきます。そこでヒロインにマントやヘルメットなどの防寒具一式と護身用のナイフを買ってやると、彼女のもともと着ていた上等な衣服を売り飛ばしても、ほぼ文無しになってしまうという展開があります。また、第10巻「誘拐惑星オウレル」では、1000スターガル(その惑星の通貨)が特等料金2回分の価値であり、デュマレストと交渉していたごろつきが、カジノ付きの高級レストランで食べた肉料理が7スターガルでした。そこから考えると、山口プリン的には特等料金は50万円、下等料金は5万円程度が妥当だと思っています。 もっとも、特等料金100万円、下等料金10万円(原作者にとって1000ドルと100ドル)説も、キリが良くわかりやすい金額で、ありえる気もしなくはないですが。
話しが随分それました。とにかく100フォルの賄賂を渡してナイフの所持を見逃してもらったデュマレスト。街で話しかけてきた胡散臭い男は無視して、当面の宿を決め、早速、情報を売る「ライブラリ」へ向かうのでした。
続く
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