妄想穴倉生活
ヒナコ



 ジャムひと瓶

仕事があって週末医者に行き損ねました。
それでちょっと無理して椅子に座りつづけていたら
右足全体が腫れ上がってしまいました。

そんなこんなでようやく今日医者にいったんですけど
今日の先生は院長先生でした。
そこの病院は曜日によって先生が変わるのです。
院長先生は私の足を見て
「こりゃー2〜3ヶ月かかるかもなあ」と言いました。
ににに、2〜3ヶ月!!?診断書では確か1週間と。
冗談じゃないっ!仕事はどうなる!
つか診断書、警察に出しちゃいました。
わ、私が無理したのが悪いんでしょうか??(涙)(弱気)
(警察のほうはあくまで*見込み診断*なので
問題無いと言われましたが)

院長先生は他の日のカルテを見るなどして
私の症状をよく吟味しておられました。
先日のぐりぐりの一件も御覧になって
「注射は細い針じゃ出てこなくて当然だよ。
何?太いのでやった?それでこれだけ?成る程」
などと下の先生から聞いておられます。

で。結局
「切っとく?」
と言われました。
(何故ここの医者は押しなべて
どんな話題でもトーンが変わらないのか…)
まあそれはそれとして、院長先生は
前一度見てもらった時も結構信頼できるカンジだったので…
私はそれもいいと思いました。
しかし、先日の件もあるので、私は恐る恐る
「麻酔してくれます?」と聞いてみました。
「麻酔して欲しいの?」と院長先生は言いました。
(言わなきゃしないつもりだったのか…)
私はやさぐれました。
だってさー。看護婦さんが麻酔注射よりも早く、
まずメスを出してきたんだよ。怖!
チームワークいいな、おい。
「切るって言ってもね、2cmくらいだよ。
悪い血を出してしまえば2〜3週間で治ると思うからね」
それでもそんなにかかるのかぁ…と思いましたけど
切らないより3分の1の期間で済むんだし
思いきって切ってもらうことにしました。

で、麻酔を切る部分に施して、さくりと切られました。
「寝てていいよ」と言われましたが
「いや、見てますよ」と凝りもせず答えました。
切った部分から真っ黒な血の塊がぶちゅっと出てきました。
そりゃもう、すっごく不健康そうで
本当に固まりかけてて、なんというかゲル状です。
こんなちょっと切るだけで大丈夫かな?とか考えていたら
院長先生はぎゅううううぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜っと!
力いっぱい搾り出したんです。
ぎゃああああああああああ!!!
いてぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜!!!
すると切り口からどんどん、もうどんどん
ぶしゅぶしゅ出てくるわ出てくるわ。

私は笑いました。
想像してください。
--小さな犬小屋からでかいゴリラが4頭でてきたら--
ありえないでしょう?
びっくりして笑うでしょう?
まさにそれです。
確かに私の膝は腫れていたけど
どこにこれだけの悪い血を抱えていたのやら。
そして笑いながら言いました。
「ブルーベリージャムみたいですね♪」
先生も笑いました。
看護婦さんも笑いました。
助手のお兄さんは
「どうして皆笑ってるの?(汗)」とぶるぶるしました。
(萌えー)

ジャムはたっぷりひと瓶ほど取れました。
絞ったあとの私の膝はしわしわになっていました。
曲げた状態なのにしわしわの膝。めったに見られません。
その後、縫合するのかな?と思っていたら
「新しい血が溜まらないようにね♪」と言って
その傷の中にガーゼをぐいぐい詰められました。
2cmの傷口からガーゼの端がちょこっと覗いています。
そりゃ詰められますよね。
今あんなにいっぱいジャムが入っていた場所ですものね。
しわしわですものね…
私は笑いが止まりませんでした。
院長先生は
「お産みたいだったねえ。すっきりしたでしょ!」と言いました。
私は最後まで笑っていました。
泣き笑いでした。







2003年06月16日(月)
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