* * * 
憐凪



 Bridge



  助手席に 身体を滑り込ませ
  溜息ひとつ

  川に架かる橋を 渡る時
  グラウンドに 目をやる
  もう すっかり 習慣化しちゃってる

  もう見ることのない
  遠い県に 越してしまった
  ボーダーコーリーを ついつい目が探す
  無駄なコトだって 知りつつも・・・

  こうして 川向こうに 渡ると
  一気に 緑が増える
  夏草が 身の丈を伸ばしているからじゃなく
  山が多いせい


主治医という名の人と 私は こうして 時々話す
唯一 誰にも打ち明けられない事を 打ち明ける相手の筈なのに

 口早に言葉を発する 主治医の口から
 聞こえてきた言葉
 すべては 聞き取れなかった
 今 思えば聞き取れてなくってよかった

  ねぇドクター なんて言ったの?
  後者の方って 言ったよね

  聞き違いならいい



「工夫する」ってなあに?
どうやって 工夫すれば 良くなるのかを 私が知っていたのなら
アナタは必要ないよ 
ねぇドクター そうでしょう?

プライベートな悩みや 一人苦悩している内容を
打ち明けるってコトは そういう意味じゃなかったのでしょうか


 帰途に着く
 助手席に座って まず出たのは
 ホッとした という意味の溜息

  

  早く あの橋向こうの家に 戻りたい



 ・・・こんなんで


  明日 私は笑うことができるのかな。。。。。
  
  











2004年09月16日(木)
初日 最新 目次 HOME


My追加