雨降り。濡れた紫陽花。ノロノロ歩くかたつむり。色とりどりの傘の花を咲かせて、駆け回ったあの頃。梅雨なんて関係なかった。世界は自分たちの手で創られていた。とても平和に穏やかに、時が刻まれていった。季節は何順もして、僕は大人になり、あの頃みたいに傘を広げて走る事はなくなったけど、この胸に浮かぶのは幼き日のあの色とりどりの傘たち。