2002年11月16日(土) |
GIANT.ART 沖縄レースの報告 |
ツールドオキナワレースリポート 期間11月10日 沖縄県名護市
国内最後のレースとなるツールド沖縄が開催されました、三浦にとって6月の全日本選手権以来の復帰戦になるとは思ってもみない事でした。 今年の三浦は怪我に苦しんだ。本人曰く、「入院生活もなかなか快適だったし、いろんな事を考えられた。猛暑知らずはクーラーの効いた病室でアイシング用の氷でワイン冷やして飲んどった。お陰で蓄積していた疲労が抜けた。」 3月、台湾で1ヶ月の長期トレーニングキャンプを終え参加した3DAY熊野第1ステージでいきなり落車。膝の筋肉までえぐれる程の大怪我を負い、 少しずつトレーニングを開始し、6月の全日本選手権までには何とか間に合わせた。この全日本選手権で会場に足を運んだ人は三浦のすさまじい走りを目の当たりにする。しかしその3日後、トレーニング中10トントラックと激突し、膝の皿を骨折。膝をボルトで固定し、入院生活。退院後、幾つかのレースを走ったが、あくまでもトレーニングとしての参加だったので事実上の復帰戦はこのツールド沖縄なのだ。
GIANT.ARTのメンバーは三浦の他、ウランバートルの虎ウルツィ・オルシク、チームダウンアンダーから移籍してきたオーストラリア人ポール・レーデンバッハ、柿沼の4人。 キナンから、辻俊行、野口忍、日置大介の3人と、ルール上4人での参加しか認められないので、長野耕治を助っ人選手としてチームを組み参加する、 朝7時、ようやく明るくなった空の下スタート。200kmという長丁場なんて関係ないとでも言いたげなハイペースでアタックを繰り返すのは、やはり三浦。前半から逃げてレースの主導権を握りたい選手達も応戦する。三浦を援護すべく柿沼も前線に上がり、動きに加わるが、ふとしたアタックから一人で飛び出す形になってしまった。一瞬躊躇したがとりあえず様子を見るために1人で走っていると、後ろからキナンチームの日置が追いついてきた。(キナンチームは三浦、柿沼が昨年まで国内で所属していたチーム。今年はUCIのレギュレーションにより登録できなかったが、来年は再び登録できる見込み) この時点で、とりあえず80km地点の上りの頂上まで逃げる事を決断。 ツールドオキナワのコースは、スタートから70km地点まで海岸線の平坦路を行く。 そこから一気に8km上るが、とりあえず頂上まで逃げ続けていれば追いついて来るのは少人数のグループだろうと見込んでいたからだ。 日置と2人、高速でローテーションを繰り返す。幸い、今日は風がないので逃げる選手に有利だ。曲がりくねったコースの最短距離を突くように走る。 頻繁にチームカーやオフィシャルからタイム差を聞く。70km地点、上り口でのタイム差は2分。 この貯金を使い果たす位、ゆっくり上って次の動きに備える作戦だったが、頂上で追いついてきたのは意外にも大集団だった。 完全に振り出しに戻った集団から1人、2人と選手が飛び出して行く。100km地点再び海岸線に下りて来た時には、7人の先頭グループが2分近く先行する形になっていた。 後半、70km地点と同じ上り坂をもう一度上るが、ここでメイン集団のペースが上がり、 先頭グループとの差が詰まり始める。頂上まで数キロ、集団がバラけ始めた。約15人が先行する形になり、三浦、柿沼は後ろに取り残される。前を行く7人に15人が追いつき、その後ろに集団という図式。差は1分強。GIANT.ARTからはポールが先頭グループに入っているが、人数的に不利だ。 上りでは今ひとつ体に力が入らなかったという三浦だが、前のグループに追いつきさえすれば、後半に強い三浦に勝機は見えてくる。レース残り10kmの海岸線に出る前には追い付いておきたい。キナンの野口と共にローテーションを繰り返し、ペースアップを計るが、 いかんともしがたい疲労が襲ってくる。もはやペダルの軌跡は円を描いていないような気さえする。後半になって逆に余裕の見え始めた三浦だが、消耗してしまっている選手達とリズムがかみ合わず1人になってしまう場面が多々見られるようになってきた。かといって1人で先頭グループまで追いつくのは至難の業だ。残り15km地点の上りまでに追いつけなければ、事実上のレースは終わってしまう。すべてを出し尽くして踏み続け、上り口で柿沼が戦線離脱最後の上りで三浦がペースアップ、先頭グループの背中を捕らえながらもあと数メートルの差を埋める事が出来なかった。 レースは結局、5人に絞り込まれた先頭グループのゴールスプリントをGIANT.ARTのポールが制した。 チームメイトの勝利に救われたが、三浦、柿沼としては結果を残す事が出来ず、残念だったと言わざるを得ない今年のツールド沖縄だった。 今年1度として万全でレースに挑む事が出来なかった三浦だが、それでも決して周りに引けを取らない力を発揮した。 そして今回、三浦、柿沼を助ける走りに徹してくれたキナンの野口、日置、辻、長野も確実にレベルアップしている。多くの反省点と共に彼らの成長も来シーズンへの好材料だ。
多くの方々に支えられて、国内最終戦となるツールド沖縄を走りきる事が出来ました。 この場を借りて感謝と来シーズンの更なる活躍の約束を申し上げます。
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