ぼくたちは世界から忘れ去られているんだ

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2004年02月18日(水) 沼の底日記
沼の中で考える。どうしてあたしはここにいる。
沼に入ったのはだいたい三年ぐらい前。
それからずっと沼の中で、イチカのことばかり考えている。
イチカというのは、あたしがなりそこなったあたし。
三年前に、決別してやろう、って思って沼に入って、でも、結局まだイチカのことばかり考えている。

あたしは、イチカになりたかった。でも、それは無理だった。
星がちかちか瞬いていても、背伸びしたって届かないように、あたしはイチカにはなれなかった。

三年前、あたしは中学生だった。
今、沼の底にある女子高に通っている。
沼の底の女子高は、ちっとも楽しくない。でも、いつか沼の外にでるときのために、通っている。

「わたし、明日、この沼からでるわ」
メグルが云う。
「ほんと?」
「ええ、ほんと。緊張してる。だって沼からでるの、五年ぶりよ?」
「おめでとう」

しばらくして、メグルの新しいメールアドレスから携帯に、メールが来た。
「やっほー。元気してる?
わたしはすこぶる元気。
大学に通うために、地上の予備校で、勉強をはじめました。
大変に楽しいです。
思えば、沼の底では苦しいことばかりだった。
でも、それがわたしを強くした。
ありがとう、ありがとう、ありがとう。
また出会える日を夢見て」

能天気なメール。あたしは一分ぐらい、メグルのことがきらいになった。
まあいいや。

明日も学校に行かなくちゃ。


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