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2003年11月23日(日) 無数の星のように〜ポラリス@新宿リキッドルーム〜

 5月の野音以来のポラリスのライブ。そしてワンマンは1年振り。去年は青山CAYだったが今年は新宿リキッドルーム。7階までの心臓破りの階段がきつい。確かにあれを昇りきったらドリンクは必要だわな。

 開演からまもなくメンバー登場。1曲目アルバムと同じ『星と願うなら』をどこまでも届くような澄んだ声で歌い出す。ドラムのフィルインが入り、全員の音が出た時「あぁ、ここにまた帰ってきたんだ」と、嬉しくて溢れてくるものがあった。逢いたかった音たち。「また、あえた。」。続いて『Slow Motion』。ガットギターの宮田誠が加わる。音数は少ないものの、あるとなしじゃ大違い。今回のツアーはレコーディングにも参加した原田郁子(クラムボン)もサポートで入っている。コーラス含め、今のポラリスになくてはならない音。メンバー紹介をはさんで『季節』。間奏のドラムのエフェクト効果と低音番長柏原の地殻変動の音のようなベースが見事にうねり合っていた。柏原のベースの低音は本当衝撃的で、笑ってしまうほど凄まじい。地響きでスピーカーや天井に付いているホコリがぱらぱらと落ちてくるよう。『ハニー・ムーン』『6:30 am』『甘い海と記憶』の3曲でゆったりと深みに入っていく。眠りでいうならノンレム睡眠。
 そのままレム睡眠までたどり着いて、マナブトロニクス(ドラムソロ)。前半は残響系のエフェクトを自在にあやつり、次々と浮遊した音を出してゆく。そしていつの間にかガムランの世界へ。その音を出したままのドラムソロ。機械よりも精密、それでいて心が熱くなるような原始の音。バスドラが心臓の鼓動みたいだった。オオヤが新曲『南風』を弾き語り。しっとりと響く。これがどういう唄になっていくのか、経過が聴けるのも面白い。メンバーが戻ってきてお互いのソロコーナーを褒め讃える。微笑ましい。

 後半戦。がらりと変わりスピードアップして『瞬間』。繰り返される同じ音が変わる瞬間にはっとさせられる。目でギターとキーボードの呼吸を合わせて『深呼吸』。このもどかしくなるほど切ないフレーズに鳥肌が立つ。歩く速度、呼吸、心拍数、眠りにつくまでの時間、それらすべてがこの曲にはある。続く『光と影』で、とてもゆっくりと加速する。この「光と影のおりなす世界〜♪」の部分の変わらないメロディーが2年前、最初に聴いた時から頭からはなれない。最後にサンバ調のリズムが気持ちいい『檸檬』。でもこのままでは終われない。

 アンコールに3人とも中央に出てきて、アルフィースタイル!?で『雨とギター』『御空 〜ミソラ〜』。ここでは坂田はドラムからアコースティックギターへ。ドラムの人が遊びでやるような感じではなく、本格的(失礼)。それどころかオオヤと絡むコーラスとギターが本当に素晴らしい。他の曲でも叩きながらコーラスをしているけど、それがこういうアコースティックな形態で聴くと見事にはまっている。
 2度目のアンコールに答え『天気図』。イントロでめずらしく手拍子。インタビューでも答えていたが、彼らの曲は本当に時間軸がきちんとある。それの軸を螺旋状に昇ったり降りたりしている。オオヤいわく、5万人?の観客のコーラス隊と共にラスト『流星』で長い3時間の幕を閉じた。リキッドルームの長い階段を下りている時は放心状態だった。さほど動いてもないのにすべてを出し切ったような感覚。

 いわゆるポップスで人が厭きずに聴いていられる時間というのは1曲で4、5分らしいのだが、見事にそれを覆している。彼らの場合、それが5分であっても15分であっても、決してだれることはない。気持ちのいい連続した瞬間が、宇宙に広がる無数の星のように散りばめられていた。僕らはそれを月の裏側から眺めている。

セットリスト


1.星と願うなら
2.Slow Motion
3.季節
4.ハニー・ムーン
5.6:30 am
6.甘い海と記憶
7.マナブトロニクス
8.南風(新曲)
9.瞬間
10.深呼吸
11.光と影
12.檸檬

アンコール
13.雨とギター
14.御空 〜ミソラ〜

15.天気図
16.流星


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