ぐっどないとみゅうじっく
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2002年12月25日(水) |
誰も捕れないような魔球〜風待クリスマス@渋谷AX〜 |
夜からは風待クリスマス@渋谷AX。風待茶房の魔☆(マスター)松本隆の企画。ドアを開けるとステージの星空のようなライトが眩く輝いている。今回は川勝正幸を司会に立て、転換の時もスムーズに繋がるような運びをしている。 テレビでも何度か聴いたことがあるイントロが響き、藤井隆登場。『絶望グッドバイ』で会場が割れんばかりの歓声。やっぱり人気あるんだなぁと実感。いつもの舞台とは勝手が違うため、藤井も緊張しているのが分かる。続いて歌った『Romanticが止まらない』(C-C-B)では歌詞を間違えてやり直し。これはネタであってもなくてもご愛嬌。 次にハナレグミこと永積タカシ。原田真二の『キャンディ』を歌う。声がそっくりと言われたそうだが、比べてみると本当に似ている。永積の方がより情緒的。詞を松本が手掛けた『眠りの森』を歌う。こうしてバンドから離れたステージを観ると、スーパーバタードッグのVoと言うより、歌手永積タカシを充分に感じる。何を歌っても自分の唄にちゃんとなっていた。 続いてbice。2曲歌ったのだが、声質の所為なのか曲云々よりまず歌が聴こえてこない。そして何を歌っているかも分からない。松本いわく「相性が良い」とのことだけど、どこかどう良いのか僕には感じ取ることが出来なかった。ここで一旦バンドのメンバーも引っ込み、1部終了。
2部ポエトリーリーディング。そして今回の主役、松本隆登場。最近、書き下ろした『内面キャッチボール』と言う詩を佐橋(ギター)、KYON(アコーディオン)をバックに朗読する。抑揚の余りない、朴訥とした語りの中で「最初はね、誰も捕れないような魔球をあみ出した。でも、ある時やさしい球を投げるようになった」と言うくだりが印象的だった。これははっぴいえんどを辞めて、作詞家に転向した時のことだろうか。 続いて久保田洋司(The東南西北)。冥王星の先にあると言う、氷に鎖された惑星の詩を読む。そして『内心Thank you』を弾き語りで歌う。変声期を迎えないまま大人になったような、とても澄んだ声だった。ここでポエトリーリーディングは終了。
バンドのメンバーも戻り、3部トップにキリンジ。先日、終了した『ミュージックパイロット』(NHK-FM)でもオープニングテーマになっていた『代官山エレジー』、南佳孝の『スローなブギにしてくれ/I Want you』を弟、泰行が歌う。彼らの曲と松本の詩の相性はこれ以上ないほどの絶妙な混ざり具合。まるでお互いがお互いのためにあるような。兄、高樹のVoで『ルビーの指輪』。何気なく幼い頃聴いていた「くもり硝子の向うは風の街」があの「風街」だと後から知り、すべてが繋がったような想いを抱いたのを思い出した。 続いて畠山美由紀。松田聖子の『SWEET MEMORIES』を歌う。日本語と英語を使い分けて歌うこの唄はまさに彼女の為にあるようだ。マイクがひろう、わずかな吐息に耳と心をくすぐられる。 ラストに「最高のヴォーカリスト!」と紹介され、田島貴男(オリジナル・ラブ)。『リラックス』『夜行性』(共に松本詞)を歌い、圧倒的な色気で会場を沸かす。
アンコールに松本がドラムのバチを持って登場。そしてなんと『はいからはくち』。歌う田島よりも、どうしてもドラムに目が行ってしまう。途中のドラムソロまで見事やり遂げて、次に松本ドラムのまま『春よ来い』に突入。テンポが合わずやり直す。出演者全員再登場(藤井隆は「いいとも特大号」の為、早退…)。余興的なものはあるものの、前回の風待ミーティングのドラムよりはるかに良かった。 終わってみて、時間、出演者ともに申し分なく素敵なものではあったが、今ひとつ自分の中で盛り上がりに欠けた。それが何なのかは未だに分からない。前回の風待ミーティングとどうしても比べてしまう僕が居る。松本の言葉を借りれば「誰も捕れないような魔球」のようなイベントを望んでいるのかもしれない。
セットリスト
1.絶望グッドバイ 2.ロマンティックが止まらない 3.キャンディ 4.眠りの森 5.Cloudy sky 6.包んであげる 7.内面キャッチボール 8.氷の惑星 9.内心Thank you 10.代官山エレジー 11.スローなブギにしてくれ/I Want You 12.ルビーの指輪 13.Sweet Memories 14.WOMAN-Wの悲劇 15.冒険王 16.リラックス 17.夜行性
アンコール 18.はいからはくち 19.春よ来い ↓クリックすると内容が変わります。
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