ぐっどないとみゅうじっく
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2002年04月12日(金) |
うつくしい唄たち〜Beautiful Songs@国際フォーラム〜 |
ビューティフル・ソングス@国際フォーラム。矢野顕子、大貫妙子、鈴木慶一、宮沢和史(THE BOOM)、奥田民生の5人によるライブ。対バン形式ではなく、他の人の曲をその人なりのアレンジでソロやデュエットで歌う、他ではあまり見られない試み。2年前にもツアーで全国を周っている。前回は友達に先行予約でとってもらったので、1階席のかなり前だったのだけど今回は2階席。席に着いてからオペラグラスを忘れた事に気付く。最近席のあるライブでは何故か左端の席になることが多い。色んなパートを観たいにのちょっと観づらいな。
早いカウントで始まった民生の『マシマロ』。ステージ上を見てみるとサポートメンバーは居らず、5人だけの演奏。ドラム民生、ベース慶一、キーボード矢野、リードギター宮沢、サイドギター大貫の編成で、いきなり度肝を抜かれる。全員が順番に歌う中、大貫はキーが合わないのか、かなり低い声で歌うが逆に他の人より存在感がある。そしてこのメンバーでも中心に立つ大貫。矢野がいろんな曲でバックに回るのに対して、決してサポートには回らない。それが対照的で面白い。
何曲か続き大貫、宮沢でMCの最中、会場から子供の笑い声。MCに笑ったわけではなく、何か他の事が可笑しいらしい。左程近くでもないのだが、ステージ上の2人が何をしゃべっているか分からないくらいなのでちょっと迷惑。静かな時はステージにも届く。幼い頃にいろいろな経験をさせておくのはいいとは思うが、場所によっては他の人への影響が大きく出ることもある。だからと言って会場の外に出せばいいかということではなく、その場その場での楽しみ方を学ばせるのもいいかもしれない。それと周りの大人たちの対処が今後の子供たちに影響が出てくると思う。矢野のライブでは託児所を設けている場合もある。会場に足を運ぶ人がどう人なのか、ちゃんと考えている配慮がとても気持ちいい。
「3年前くらいにとても悲しいことがあって、どうして自分だけこんな目にあうのだろうと思ったりもしました。そのとき色んな人に助けられてありがとうと言ったのだけど、ありがとうと言われるより、実は言う方が倖せなんじゃないかと思います」というMCを挿んで宮沢ソロでの『ありがとう』。ブームはデビュー当時からずっと聴き続けていたのだけど、はじめて生で声を聴いたのは前回のビューティフル・ソングス。当時(今も?)ブーマーと呼ばれた彼らのファンが集まるライブにあまり行く気がしなった。それがこういう形で声を聴くとは不思議なものだ。その内、ブームのライブにも足を運んでみたい。そして今、アルゼンチンのアルフレッド・カセーロによる『島唄』のカヴァー「SHIMAUTA」がアルゼンチンで大ヒット。ワールドカップサッカーの表応援歌に採用されそうなのはもっと不思議。
矢野ピアノ弾き語り「僕の家は豆腐屋の角から4軒目〜♪」と歌う『自転車でおいで』。ピアノの弾き語りは色んな人の唄を歌うのだけど、全部矢野の唄になっている。でも、それは誇らしげに歌うのではなく「こんないい唄があるんだよ」と矢野を通して歌っているに過ぎない。どんな時もまずはじめに唄がある。ちなみに僕ん家は豆腐屋のすぐ隣。野良猫が「なんかくれっ」ていつも入り口にたまってる。駅からすぐだから歩いておいで。
そして、このライブの為だけに作られた糸井重里作詞の『船出(your little boat)』。5人が同じ詞にまったく異なる曲をつける。かごの中のボールを取って順番を決め、大貫、民生、宮沢、慶一、矢野の順に。大貫のしっとりに続いて、落差が激しい民生の曲。ロックな感じはちょっとありきたりかな。この面子だと民生はうるさいの担当って感じなのだろうけど、あえてそれを裏切って欲しかった。宮沢はボサノヴァ調弾き語り。いちばん聴きやすかったがこれも想像範囲でちょっと物足りない。続いて慶一。これが一番良かった。サポートの武川雅寛のトランペットも『船出』と言う感じにぴったり。トリで矢野とドラムの沼澤尚のふたり。矢野vs沼澤と言った方が良いかも。歌うように叩く彼のドラムはたまらない。それぞれ船を見送る側、あるいは船に乗って旅立つ側の視点でこの詞が歌われる。それによって、どこを盛り上げるかでもずいぶんイメージが違ってくる。次回やる時は曲を作り、他の人に歌ってもらうって言うのはどうだろう。
宮沢&民生のアコギ2本、全員で『君はTVっ子』。サポートメンバーは楽器を手放し、踊ってる。この唄をやるのに反対意見もあったらしいけど、民生のごり押しでやることに決定。厭だったのは宮沢だろうか。「せっかく贈った花柄スカート、いつの間にやらテレビのカバー」の歌詞が「「いつの間にやら僕のスカート」には笑わせてもらった。僕もスカート履いてみたい。音楽番組の新人紹介でこの曲を5秒聴いてブームを好きになった。もうあれから10年も経った。宮沢はこの唄を封印したいくらいの思いもあるらしいが、はじめて生で聴いた僕は鳥肌が立った。そして全員で『イージュー★ライダー』。『星のラブレター』。この何曲か前にも『なし』をやった。まさかブームの初期の唄を聴けるとは思ってもいなかったので、興奮しっぱなし。ここで本編終了。
はなれている時でもわたしのこと忘れないでいて欲しいの ねぇ お願い すぐに呼び出して欲しいの ねぇ お願い
鳴り止まない拍手のアンコールで矢野の『ひとつだけ』。サポートメンバーも含め、全員で歌いリフレインされるこのフレーズ。ありきたりで簡単なようだけどすごい胸に響いた。他にも聴きたい唄があったのだけど、他では味わえない満足出来る内容だった。2年前とぜんぜん曲も被っていない。良くなかった点を挙げれば、小原礼のベースは妙に跳ねていて心地よくなかった。ギター小倉の音もこの雰囲気に合わないように思う。あと座席が悪かったのか全体的に唄の音量が小さい。唄を伝えるはずなのに唄が伝わらない。それも歌っているのが悪い訳ではなく音響の為に半減してしまうのは残念なことだ。しかし、それを飛び越えて伝わってくるうつくしい唄たちがここにはあった。
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