酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年07月13日(日) 『クラミネ』 児玉真澄

 田辺和人は売れっ子ゲームクリエイター。今まで彼が手がけたゲームはヒットを飛ばし、完成間近の新作も売上新記録間違いなし。このゲームの内容は猟奇殺人犯が主人公。凄惨な猟奇殺人に目くじらを立てる人間が出てこようと、面白いゲームは売れると自信満々。この世の春を謳歌する田辺は無理やりそりの合わない上司から有給休暇をもぎ取り、美しい婚約者・純子とバリ島へ婚前旅行と洒落込む。しあわせいっぱいの田辺のもとへ上司から不吉な電話が入り、田辺の現実が変容を始める。それはまさしく田辺が創造した新作の主人公の殺人鬼が、ゲームの世界を越えて現実の世界に踊り出てきてしまったかのようだ。田辺の周りで起こる連続殺人。愛する純子まで殺されてしまう。失意の田辺はゲームをまねた「署名」を残す殺人鬼を追い詰めようとするのだが・・・。

 ううーん、面白いっv あちこちで面白いジェットコースターホラーだと噂を耳にしていたのですごく読みたかった一冊です。今日まさしく最後のページまであっと言う間に読んでしまいました。主人公が人気のゲームクリエーターで、しかも黒を基調にしたファッションに身を包む中性的な美青年! 現実とゲームの世界が入り乱れ、なんだか不思議な世界が出来上がっています。私はゲームをしないのですが、このゲームはやってみたいと思いました。はまってしまうだろうなぁ。残酷なゲームや映画や漫画などなどは少年犯罪等が起こると必ず槍玉にあげられてしまいますが、フィクションをフィクションとして楽しめない(本気にしてしまう)人はもともとどこかが壊れていて、ゲームなどのせいではない気がします。
 この物語は、登場人物たちがとてもいいキャラクターなので凄惨な事件の中にもいい味が出ています(言い回しが変かしら)。意外なようで意外でないオチかもしれませんが、最後までじゅうぶん楽しめます。オススメ^^v

 俺は、現実を変えていくのは人間にしかできない事だと思っている。それだけ人間の力は大きいと思っているのさ。だって、運命で全てが決まってしまっているのだったら、人間の意志など必要なくなってしまうじゃないか。

『クラミネ』 2003.5.31. 児玉真澄 徳間書店




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