酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2002年09月07日(土) 天狼星

 栗本薫と言う人の本をはじめて読んだのは、遠い昔に 『ぼくらの時代』 を。この青春ミステリーがとてもよくてせつなくて、それから栗本君の本は‘大概’読むようになりました。 (魔界水滸伝は挫折) ミステリー、ホラー、ファンタジー、伝奇小説、どんなジャンルの物語も栗本薫流に料理してしまう。天才ですねv書くもの全てを好きとは言えないけれど、作品によってははずせないシリーズがいくつかあります。そのひとつが名探偵伊集院大介シリーズ。あっちゃんとよく話題にする 『仮面舞踏会』 はネットの世界を鋭く切り刻んだ名作です。ネット世界での偽り、言葉だけの陰険さ、危うさを見事に書ききられています。未読の方は是非。とくに今ほどネットが普及するかなり前に栗本君があの作品をかきあげている点にご注目くださいませ。はしりじゃないかな。

 伊集院大介シリーズで一番好きなのは、宿敵シリウスと闘う 『天狼星』シリーズ。中でも一番最初のふたりの出会いになる作品が好きなのです。栗本君は、江戸川乱歩さんをこよなく愛している方なので、このシリーズは 明智vs怪人二十面相 を下敷きにされています (と私は思います)。 物語全体から漂う気だるい妖しい淫靡なゴシックホラー的な雰囲気もそのまま乱歩の世界。あの独特の雰囲気を作り上げただけでものすごいと思う。

 オリエンタルクィーンの異名を持つ、モデル田宮怜の所属するモデルクラブのモデルたちが、連続猟奇殺人事件に巻き込まれます。美しいモデル、天使のような双子、美貌のデザイナー、美丈夫な作曲家、と登場人物たちは才能あふれる人ばかり。きらびやかな世界で起こる異常な事件・・・ここが、まさに目くらましなんでしょうね。恋愛も異性愛、同性愛、異常愛、いろんな形の愛し方が出てきます。朴念仁の伊集院大介が、田宮怜に恋をしてしまうのも一興。この純情万年青年伊集院大介の一世一代の恋愛の行方も気になるところ(笑)。

 対するシリウスは、いろんな顔や歪みや性を見せます。シリーズを読み続けるとシリウスの過去も浮き彫りになっていきます。 また闇と光を織り成す、シリウスと伊集院大介のこのふたりが命をかけて愛してしまう人が同じというのもシリーズでは興味深い。
(あ、田宮怜は別でした。あ、もう恋の行方をばらしちゃった)
 シリウスが取る逃亡方法なんて、もうそのまんま江戸川乱歩なんですよね。特に一番最初の空に浮かぶ・・・以下ネタばれなので自粛しておきます。私はシリウスのコンプレックスみたいなものに同調してしまうので、悪党なのだけれど嫌いになれない。普通に生きてさえいけば、美しく才能に恵まれた奴なのになぁ。可哀想。

 あられさんが、江戸川乱歩を読まれているとかかれていたので、思わず出してしまいました。江戸川乱歩の世界をお好きな方は、是非一度この怪しい世界へ迷い込んでみてください。

『天狼星』 1986.6 『天狼星�供� 1987.1月 『天狼星�掘…海諒茵戞�1993. 3 講談社



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