青春の思ひで。
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2006年12月07日(木) |
後輩にあたる女の子のこと……Again |
去年の秋、卒業した学科に在籍している後輩の女の子が交通事故で亡くなった。
今、秘書のバイトをしている先の先生は、今年はその学科の主任で。 その後輩の女の子と同じ学年のひとたちに関する書類整理を仕事で頼まれた。
先生から、欠損がないかチェックしてくれと言われ、学籍番号が並ぶ名簿と、書類を照らし合わせながら整理していると、1枚だけ足りないのだ。
……頼まれた仕事を始めたときから、予感していたけれど。
「先生、この××番の○○さんって、去年、お亡くなりになった方のことですよね……?」 先生は、ぎこちなく去年のことを思い出すように、「あぁ、……そうだね」って呟かれた。
思い出すと、仕事中にも関わらず、涙が止まらなかった。 「やっぱり、同じ学科ってことが大きいのかもしれないですけど、もし、あたしたちの学年の誰かだったら、とか考えてしまうと……」 面識のないその彼女の死がつらかった。
何ができるわけでもないのに。 彼女の友人だったら、彼女を忘れずにいて、時折思い出して、お墓にお参りしたり、そういうことができるのに。彼女にしてあげられるのに。 何の面識もないあたしが泣いても、何もできないのに。
彼女たちの学年が入学してきたときに作成された先生の仕事用の学籍名簿から、彼女の名前を消した。 あたしが、消した。
去年の今頃とはまた別の感傷もある。 「誰か」の死が、こんなにもつらいんだってこと。 今日は、思い出しては、涙が止まらない。 そんなあたしを見て後輩が言う。 「ねぇ。知らないひとのことでも、そんなにショックなの、わかったでしょ?」 「ごめんなさい」と呟くしかない。 「あたしが死んでたら、みんな泣いてくれてたかな」なんて愚かも極まりないことを口にする。 「死んでなくても、Mちゃんは泣いていたじゃない。僕だって、Kくんの前で泣きすがりそうになったんだよ」 後輩が、誰もいないところで、泣いていたことはすでに聞いている。 「Tに最初に会って、Tが『よかった』って言ってくれたことが、すごく嬉しかった」 「そりゃ、そう言うの、当たり前でしょ。僕たちみんな、蒼白になって待合室にいたんだからね」 「……Hも、泣いてくれたかな」 「そうだよ」 愚かどころか、後輩を傷つけてしまうことさえ口から出た。 後輩はあたしとHとのことを知っている。 未だに、あたしが引きずっていることも、だ。
去年の今頃、「死ねよ、キチガイ」と言われた。 と、同時に泣かれもした。「ほんとうはずっともっと早くに謝りたかったんだ」と。
そのひとが、あたしがほんとうに死にかけたとき、車を飛ばして駆けつけてくれたこと、「生きてて、よかった」と言ってくれたこと。 全部、後輩から聞いたことだけど。
それだけでも、充分だ、って思うべきかな。 なんて、相棒に言ったら「そんな淋しいこと言うな」と言われたけど。
今日、あたしが名前を消した、後輩にあたる女の子のことを、あたしは何もできないけれど、できたら忘れずにいようと思う。 短かったけれど、同じ場所で、彼女とあたしがそれぞれの時間を過ごしたこと。 忘れないよ。 忘れないよ。 忘れないよ、○○さん。 覚えていさせてね。
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